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雪ちゃんとの生活④

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「だから!あれは絶対に要るってばっ!」

バンッ!と、テーブルに両手を着いて雪ちゃんが立ち上がる。

「いーえ!あんな馬鹿デカイの絶対に要りません!!」

私も負けじとテーブルを叩き、立ち上がった。

ガーデニングバー・Hanaの、いつもの席。

入り口からは死角の一番奥の角席で、私達は言い合いを繰り広げていた。

「なんでよ!大は小を兼ねるって言うじゃない!」

「大き過ぎるって言ってるんです!」

私と雪ちゃんは両者一歩も引かず、目の前にバチバチと火花を散らしていた。

「ちょ、ちょっと二人共!来るなり喧嘩ってどうしたのよ!?」

ハナちゃんが、私達と他のお客さんを交互に見てオロオロしている。

お客さん達も、「なんだなんだ?」「喧嘩か?」などと言いながら私達を見ている。

しかしそんな事も気にならない位、私達はヒートアップしていた。

「聞いて下さいよハナちゃん!雪ちゃん一人暮らしのクセに、6人掛けのダイニングテーブル買うって駄々こねるんですよ!?確かに部屋は広いし雰囲気にも合ってますけど、そんな大きいの要ります!?しかも、値段を聞いてビックリ!30万ですよ、30万!」

私は一気に捲し立て、ハナちゃんに同意を求めてズイッ!とせまった。

「だから、値段と大きさは関係ないって言ってるじゃない!デザインが気に入ったんだってば!『あのリビングに置いたらカッコいいですね』って、江奈だって欲しそうに見てたじゃないの!」

「欲しそうに見ていたのと本当に買うのとは別です。私が居る内は良いかも知れませんけど、いや、私が居たってどうかと思うのに、雪ちゃん一人になったら絶対に持て余します。これは明白です!」

私は腕を組み、フンッ!と断言する。

「ぐっ……」

私の断言に、雪ちゃんの言葉が詰まった。

「食器類だって、私のはなんだって良いしあるの使いましょうって言っても全然聞いてくれないし!そんで勝手に買っちゃうし!大体――」

「ちょおーっとストップ、ストーップ!!」

更に追い込みをかける様に話を続けようとしたら、ハナちゃんが両手を広げ私と雪ちゃんの間に割って入った。

「あの、話が全然見えないんだけど…何?アンタらもしかして……いや、もしかしなくても一緒に住んでる……?」

ハナちゃんが腕を組み、こめかみの辺りに人差し指を立て、首を傾げている。

「はい」

「ええ」

え?そうですけど?みたいな感じでアッサリと答えた私達に、

「えぇーーーっ!?」

と、ハナちゃんが叫んだ。


――優雅な午後のティータイム。

雰囲気をぶち壊した仲間に、ハナちゃんも加わった。


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