婚約から始まる「恋」

観月 珠莉

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*31* 採用試験

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少しずつ、結婚に向けて身辺の準備を進め、いよいよ宝生院家にご挨拶に伺う事になった。
直嗣さんと一緒に宝生院家に向かう。
お花を生けには何度もお邪魔しているけれど、二人で一緒に行くのは初めてだなぁ…なんて思いながら窓の外を見ていた。
楠木さんの運転で向かった時にも外を見ながら物思いに耽っていたけれど、その時とはまた違った景色に見える…気がする。

「緊張しているか?」
「少しだけ…。お母さんは優しくしてくださるけれど、宝生院家の七代目当主にはお会いした事が無いから。」
「父さんも優しいから大丈夫だよ。」

そう言って、直嗣さんは笑う。
話をしている内にあっという間に宝生院家に到着した。
今回は、ご挨拶という事もあり、ゲストルームに通される。
直ぐに、宝生院家七代目当主と夫人と当主と共に初めてお会いする弟さんが入室してきた。

「父さん、母さん、治嗣はるつぐ、俺は母さんに紹介して貰った霧ヶ谷 さくらさんと結婚するよ。」

その言葉に、お母さんは何度も何度も頷き、涙まで浮かべている。

「私は、結婚しないと言っていた直嗣が結婚を決意してくれたのであれば、異論は無いよ。二人で幸せになりなさい。」
「ありがとう、父さん。」

あんなに緊張していたのに、あっさりと許可されてしまった。
嬉しい事なんだけれど、何とも肩すかしな感が否めない。

「ご挨拶が遅れました、霧ヶ谷 さくらと申します。この度は、結婚のお許しを頂きありがとうございます、当主。」
「さくらさん、そんなに堅苦しい挨拶はいいよ。今日は当主では無く、直嗣の父親としてさくらさんにお会いしているんだから。」

そう言って優しく笑う姿は、包容力に溢れている。

「さくらちゃん、いよいよ娘になるのね!!嬉しいわッ!!!!!!」

お母さんは、相変わらず、ウェルカムな状態だ。

「兄さん、この人って宝生院の嫁に相応しいの?」

突然、弟の治嗣くんから爆弾のような言葉が投下された。

「そうだな。確かに、今のままだと難しいだろうから、花嫁修業は必要だな。」

あれれれ??????
それって、前途多難って事なの?
そこにすかさず、お母さんからのフォローが入る。

「あらぁ、大丈夫よ。さくらちゃんのマナーは相当なものよ。」
「ふぅん、じゃあさ、この人は何か国語話せるんだろうね?まぁ、宝生院家に嫁ぐくらいだから、五か国語くらいは軽く話せるんだろうね?」

…何か、ちょっとした採用試験の様相を呈してきた。
もしかして…ピンチ!?
恐るべし、宝生院家弟!!
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