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【01】 偽善者との出会い
*007* 収まらぬ怒り
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骨がギリギリと音を上げそうな程に強い力だった。
「お前、誰に向かって口を利いている!!」
「痛……ッ…!!」
「この私を侮辱しておいて、ただで済むと思うなよ!!」
大河は、地を這うような低い声で唸る。
「今直ぐに、ここから出て行け!! 二度と私の前にその姿を見せるな!! もし、この瞳がお前の姿を映す事があったら、その時こそただでは済まさないからな!! 覚えておけ!!」
怒りの為に、段々と声が大きくなっていく。
その、あまりの迫力に小袖は腰が抜けそうになった。
しかし、副社長室に居られるような状況では無かった為、及び腰の状態で退室する。
小袖は、失礼な事を言われたはずなのに、余りの逆鱗ぶりに、自分の方が何か悪い事をしてしまったような錯覚に陥った。
傲慢で、激しい気性だが、目が離せなくなるような美しさを持った男…それが、小袖が大河に対して持った印象だった。
大河の事を思い出すだけで、胸がドキドキと激しく脈を刻む。
田島のフォローの為に残ったはずの副社長室は、初対面の時に誘われた続きであったとは想像もつかなかった小袖だった。
この時、咄嗟に小袖の口から突いて出た一言が、会社を窮地に追い込む事になるとは、まだ、気付いていなかった。
「衣川君、どうだったんだ?」
小袖は、心配して近付いてきた山上に副社長室での一件を報告する事が出来なかった。
「あの…田島が混乱しているままでしたので、状況について報告する事が出来ませんでした。」
「そうか…。」
「私がフォローしなければならないのに、全くお役に立てずに申し訳ございません。」
「いや、君は何時だってしっかりとやってくれているよ。田島君さえも外に出て来てしまった状況だ、君が出来る事は無いよ。」
「でも、その後に何を聞かれたんだい?」
「あ……の…私が他に、知っている事があれば聞かせて欲しい…と…。」
何時もの小袖らしくない、しどろもどろとした説明だった。
まさか、口説かれましたとは言えない彼女は、上手い言い訳が思いつかなかったのだ。
更に、より繋がりを強固にしたいワールド・セレクションとしては、副社長を怒らせて距離が離れてしまったとは口が裂けても言えないのだ。
山上と話しているうちにようやく心が落ち着いてきた小袖は、誰にもバレないように大河へのフォローが必要だと考えが及んだ。
早速、頭の中で、その算段を始める小袖だった。
「何だか…衣川君らしく無いなぁ…。」
「それは…ザ・ノーブル・ランドのような大きな百貨店の副社長と対峙して、緊張してしまったからですよ!! エレベーターが到着致しました、どうぞ。」
小袖は、的確な指摘をゆったりとかわしながら、山上をエレベーターへと促した。
「お前、誰に向かって口を利いている!!」
「痛……ッ…!!」
「この私を侮辱しておいて、ただで済むと思うなよ!!」
大河は、地を這うような低い声で唸る。
「今直ぐに、ここから出て行け!! 二度と私の前にその姿を見せるな!! もし、この瞳がお前の姿を映す事があったら、その時こそただでは済まさないからな!! 覚えておけ!!」
怒りの為に、段々と声が大きくなっていく。
その、あまりの迫力に小袖は腰が抜けそうになった。
しかし、副社長室に居られるような状況では無かった為、及び腰の状態で退室する。
小袖は、失礼な事を言われたはずなのに、余りの逆鱗ぶりに、自分の方が何か悪い事をしてしまったような錯覚に陥った。
傲慢で、激しい気性だが、目が離せなくなるような美しさを持った男…それが、小袖が大河に対して持った印象だった。
大河の事を思い出すだけで、胸がドキドキと激しく脈を刻む。
田島のフォローの為に残ったはずの副社長室は、初対面の時に誘われた続きであったとは想像もつかなかった小袖だった。
この時、咄嗟に小袖の口から突いて出た一言が、会社を窮地に追い込む事になるとは、まだ、気付いていなかった。
「衣川君、どうだったんだ?」
小袖は、心配して近付いてきた山上に副社長室での一件を報告する事が出来なかった。
「あの…田島が混乱しているままでしたので、状況について報告する事が出来ませんでした。」
「そうか…。」
「私がフォローしなければならないのに、全くお役に立てずに申し訳ございません。」
「いや、君は何時だってしっかりとやってくれているよ。田島君さえも外に出て来てしまった状況だ、君が出来る事は無いよ。」
「でも、その後に何を聞かれたんだい?」
「あ……の…私が他に、知っている事があれば聞かせて欲しい…と…。」
何時もの小袖らしくない、しどろもどろとした説明だった。
まさか、口説かれましたとは言えない彼女は、上手い言い訳が思いつかなかったのだ。
更に、より繋がりを強固にしたいワールド・セレクションとしては、副社長を怒らせて距離が離れてしまったとは口が裂けても言えないのだ。
山上と話しているうちにようやく心が落ち着いてきた小袖は、誰にもバレないように大河へのフォローが必要だと考えが及んだ。
早速、頭の中で、その算段を始める小袖だった。
「何だか…衣川君らしく無いなぁ…。」
「それは…ザ・ノーブル・ランドのような大きな百貨店の副社長と対峙して、緊張してしまったからですよ!! エレベーターが到着致しました、どうぞ。」
小袖は、的確な指摘をゆったりとかわしながら、山上をエレベーターへと促した。
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