エゴイストの檻

観月 珠莉

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【02】 地獄行きの切符

*008* オープン当日に見えた景色

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プレオープンでハプニングがあったが、それでも何とかオープン当日を迎えた。
昨日までは、フロアで展示する全てがワールド・セレクションで提案した作品で、それを準備する為のサポート要員も全て小袖が知っているスタッフのみだった。
それが、トラブルから一夜明けた今日、オープン直前にフロアに行ってみると、競合他社の社長とスタッフが数社…副社長や百貨店の店長と笑顔で挨拶を交わしていた。
小袖は、昨日の自分の選択の失敗をまざまざと見せつけられていた。
そして、自分の行動が重大な結果を招いた事を認識する。

「おはようございます。」

小袖は、何時も通りに挨拶をしながら、フロアへと入って行く。

大河から、挨拶を返される事も無かったが、目を合わせる事さえも無かったのが堪える。
それでも、その場から叩き出されなかっただけでも、マシなのだと思うしか無い。

「衣川君、おはよう。」
「社長、おはようございます。」

気持ちが落ちそうになるが、山上の笑顔に救われる。
その事に気付いているのだろう…山上は、小袖の肩をポンポンと叩き無言で慰める。
そして、強い視線で小袖に頷き、心配は無用だという意思を無言で伝えてくる。

「ありがとうございます、社長。私の方でも最善を尽くしますので。」
「その気持ちだけで嬉しいよ。」

昨日の一件があった後に直ぐ、小袖は、貴桜邸の住所を調べた。
朝の大河の様子を目にした直後、調べておいた貴桜邸へと赴き、真摯に謝罪の意思を伝える事を決断した。
ワールド・セレクションの秘書として出来る、ありとあらゆる方法を試したいと思っていたのだ。
朝のこの様子から考えると、今日の夜にでも決行する必要があると決断した。
大河が何時頃に自宅へと戻るのか解らないが、小袖が百貨店終了時に直ぐに出る事が出来れば何とかなる可能性も高いのではないかと推測する。
やり手の副社長であれば、初日の人の流れはとても気になるだろうと予測がつく為だ。

「あの、社長…本日は、百貨店の終了時に直ぐに失礼させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、かまわないよ。今まで、準備で毎日遅くまで取り組んでいてくれたからね。本当ならば、定時退社させてあげたいところなんだけれど、今日までは甘えさせてくれると嬉しいよ。」

山上は、小袖から珍しく出される要望を快く受け入れた。

「ありがとうございます。今日の夜は、やっておきたい事があったものですから。」
「また、仕事じゃないだろうね?」

小袖は、山上の感の良さに苦笑いを返したのだった。
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