エゴイストの檻

観月 珠莉

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【02】 地獄行きの切符

*009* 貴桜邸

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その夜、小袖は、ザ・ノーブル・ランドの営業終了と同時に百貨店を後にした。
その足で、一人、大河の邸へと向かった。
貴桜邸は、都内の中心部に位置している。
住所から、直ぐにその場所は解ったが、歩いても歩いても、門は見えない。
実際に自身の目で見ると、その敷地面積は広く、パッと見た感じでは、公園か何かと見紛う程に緑溢れた空間だった。
ようやく邸の入口に到着し、遠目に貴桜邸が見えたその姿は、迎賓館のような様相を呈していた。
ベルを鳴らそうかとも考えたが、今回の状況を当事者以外に話しても的を射ない説明になりそうだと考え、門前にて大河が戻るのを待つ。
彼が何時に戻るのかも全く事前情報が無いままに…。
小袖が貴桜邸に着いた時点でも充分に遅い時間だったが、それから何時間が経過しただろうか?
会えるまで待つ覚悟はあったが、既に邸内に戻っている可能性もあるし、または何等かの理由で戻らない可能性だってある。
冷え切った身体であれこれと考え出すと、ネガティブな思いに飲み込まれそうになった。
間も無く、日付変更線も越えようかという頃、車のヘッドライトが、貴桜邸に向かって走行してきた。
小袖は、何度か肩透かしを食らった後の為、注意深く、その車を観察する。
見るからに高い車が貴桜邸へと向かっている。
今度こそ待ち人を乗せている可能性が高いその車を見て、小袖の胸は高鳴ってきた。
程なくして、その車は貴桜邸の門の前で一時停止した。
同じタイミングで、正面の門がゆっくりと開き出す。
小袖は、運転席の窓をノックする。
運転手は、怪訝な顔で少しだけ窓を開けた。
隙間から後部座席を確認すると、待ち人の貴桜 大河の顔がほんの少しだけ見えた。

「ワールド・セレクションの衣川と申します。貴桜副社長とお話したくお待ちしておりました。」

その言葉を聞き、運転手は、後部座席を振り返る。

「そんな奴は知らん。」

大河は、一言そう言うと、顔を背けた。
運転手は、大河の言葉を受け、窓を閉めようとする。

「貴桜副社長、どうか、話を聞いてください。」

小袖は、窓を閉められないように窓の小さな隙間に指を入れる。

「ちょっと…危ないですから!! 止めてください…。」

ドライバーは慌てながら言うが、小袖はこのチャンスを逃してなるものかと必死に食らい付く。

「どうか、貴桜副社長とお話させてください!!」
「無視しろ…。」

小袖の叫び声と大河の指示は同時だった。
ドライバーは困惑する。
小袖は、再び、大河の方を向いて指示を仰ごうとするタイミングと同時に、後部座席の窓をバンバンと強く叩き出した。
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