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【01】 薔薇の誘い
*003* 視線の根源
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透けるように白い肌に何処か異国情緒を漂わせるような麗しい容姿。
六堂 絢斗。
年齢は、三十代半ば…というところだろう。
彼は、海外事業部の部長としてその手腕を発揮していたが、特にヨーロッパのインテリアについては、相当な目利きぶりで、彼の右に出る者は居ないだろうと言われている。
余りの美しさに彼に憧れている社員は多いが、クールさ故か自ら近付く猛者は居なかった。
ただ、崇拝の象徴として見つめているだけだった。
それだけの美しさを持ちながら、絢斗の周りには浮ついた噂話は無かった。
社外にはステディな相手が居るのかと思いきや、そんなそぶりも全く無いと言って良いだろう。
そんな、夜遊びとは無縁な絢斗がこんな時間にバラの庭園を歩いているなんてミスマッチな感じがする。
周りに人が居ない事を良い事に、ここ最近、特に気になっている彼の視線の意味について確認してみる事にした。
「こんな遅い時間に、こんな処でお会いするなんて…何、なさっているんですか?」
「……。」
絢斗は、突然現れたセレナに驚く事も無く、ただ、黙ってそこに立っていた。
そして、暫く沈黙のまま佇んでいたが、絢斗は何も言わずにクルリと振り返り、また歩き出した。
セレナが折角話し掛けたというのに、何とも失礼な話である。
何時ものスーツ姿とは違い、ラフなシャツの上にボタンを留めずに羽織ったカーディガンが、風に靡いている様子を見つめていたが、ハッと自分が質問をしたまま置いてけぼりになっている事に気付き、慌てて後を追った。
奥まったところに、ベンチがあり、ゆったりとそのベンチに腰掛けている絢斗が居た。
リラックスしている様子は、まるでリビングで寛いでいるようにさえ見えた。
「ちょっ…質問したのに、ムシは無いでしょ!!」
相手は部長、セレナは社長令嬢とは言え平社員…話し掛けるには、随分と礼儀知らずな口調だった。
そんな事を気にする様子も無く、絢斗は、傍にあるバラを自分の傍へと引き寄せ、そっと口付けている。
「何か言う事は無い訳?」
セレナが訪ねているのに、視線さえも向けてはくれない。
「何か…とは?」
何かあるから、何時も自分の方を見ているのでは無いのか?
セレナの方が、質問したかったのに、質問で返されて、どのように対処するべきなのか考えあぐねてしまった。
普段はクールに見えるその形の良い瞳と、ふとしたタイミングで見る度に目が合う。
最初は気のせいだと思っていたその視線も、段々と目が合う回数が増え、日増しにその視線は強くなっているように思う。
六堂 絢斗。
年齢は、三十代半ば…というところだろう。
彼は、海外事業部の部長としてその手腕を発揮していたが、特にヨーロッパのインテリアについては、相当な目利きぶりで、彼の右に出る者は居ないだろうと言われている。
余りの美しさに彼に憧れている社員は多いが、クールさ故か自ら近付く猛者は居なかった。
ただ、崇拝の象徴として見つめているだけだった。
それだけの美しさを持ちながら、絢斗の周りには浮ついた噂話は無かった。
社外にはステディな相手が居るのかと思いきや、そんなそぶりも全く無いと言って良いだろう。
そんな、夜遊びとは無縁な絢斗がこんな時間にバラの庭園を歩いているなんてミスマッチな感じがする。
周りに人が居ない事を良い事に、ここ最近、特に気になっている彼の視線の意味について確認してみる事にした。
「こんな遅い時間に、こんな処でお会いするなんて…何、なさっているんですか?」
「……。」
絢斗は、突然現れたセレナに驚く事も無く、ただ、黙ってそこに立っていた。
そして、暫く沈黙のまま佇んでいたが、絢斗は何も言わずにクルリと振り返り、また歩き出した。
セレナが折角話し掛けたというのに、何とも失礼な話である。
何時ものスーツ姿とは違い、ラフなシャツの上にボタンを留めずに羽織ったカーディガンが、風に靡いている様子を見つめていたが、ハッと自分が質問をしたまま置いてけぼりになっている事に気付き、慌てて後を追った。
奥まったところに、ベンチがあり、ゆったりとそのベンチに腰掛けている絢斗が居た。
リラックスしている様子は、まるでリビングで寛いでいるようにさえ見えた。
「ちょっ…質問したのに、ムシは無いでしょ!!」
相手は部長、セレナは社長令嬢とは言え平社員…話し掛けるには、随分と礼儀知らずな口調だった。
そんな事を気にする様子も無く、絢斗は、傍にあるバラを自分の傍へと引き寄せ、そっと口付けている。
「何か言う事は無い訳?」
セレナが訪ねているのに、視線さえも向けてはくれない。
「何か…とは?」
何かあるから、何時も自分の方を見ているのでは無いのか?
セレナの方が、質問したかったのに、質問で返されて、どのように対処するべきなのか考えあぐねてしまった。
普段はクールに見えるその形の良い瞳と、ふとしたタイミングで見る度に目が合う。
最初は気のせいだと思っていたその視線も、段々と目が合う回数が増え、日増しにその視線は強くなっているように思う。
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