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ダンジョンショップ
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スケボーゴキはあっさりとスライムに倒され、還らぬゴキとなってしまった。
何のことかというと、以前に拾ったあの銅板。あれはモンスターカードで、召喚するとスケボーゴキが現れたのだ。そこで試しに地下1層でスライムと戦わせてみたのだが、噛みつきと体当たりしか攻撃手段のないスケボーゴキに対し、スライムは絡みついての酸攻撃でスケボーゴキを捕食。
しかも戦闘中はカードに戻せないらしく、救出する前にスケボーゴキはスライムに倒されてしまったのだった。これは完全に対戦相手との相性が悪かった模様。
そして敗れたスケボーゴキが再びカードに戻ることはなく、煙となって消えてしまった。それはつまり、モンスターカードはモンスターが倒されたら消滅してしまうということ。
情報が得られた代わりにスケボーゴキのカードを失ってしまった。う~ん、いらなかったような惜しかったような…なんともモヤモヤする気分だ。
まぁそれはともかく、今日は金策の為に魔石をダンジョンショップに売りに行こうと思う。うちの冷蔵庫がダンジョンになってから、もう2カ月が過ぎた。無職になってからだと、もうすぐ1カ月になろうとしている。
なのでなんにせよ金策は講じておきたい。
幸いオレがもくもくと蟲王スーツを作成していた2週間で、世の中は色々と進んでくれた様子。試験的に一般開放されたダンジョンの周囲には、ダンジョン産のアイテムを買取してくれるダンジョンショップなるものが開店したようなのだ。
しかもここでなら古本屋やリサイクルショップと同じようにその場で持って行ったモノの現金化が可能だという。うむ、コレはありがたい。ネット上に乱立しているダンジョン産アイテムの高価買取を謳ったショップも数多く見かけるが、コチラはどうにも詐欺商法の類っぽい。
どういう事かというと、相場以下のめちゃクソに安い金額しか支払われなかったり、買取査定の為に送ったアイテムが届いていないなどとシラを切られてパクられる等、ダンジョン関連の情報を漁っているとそういった苦情をあげている書き込みが何件か見受けられた。
だから魔石を売るなら間違いなく店舗にいってその場で買い取りをしてくれるダンジョンショップのほうが安全といえよう。それであれば買取金額が気に入らなくても、その場で買い取りを取り下げることだって可能だ。
「ではゆくぞ、それライドオンッ!」
愛車のバイクに跨ると、早速ダンジョンショップへと向かった。
………。
そして到着したのは、都内にあるビル建築前の更地に発生したダンジョン。
その名残でまだ敷地の周囲はスチール製のフェンスで囲まれており、工事計画の看板も残されたままになっている。ここのビル建設に関わっていた人達には、ダンジョン発生はいい迷惑以外のなにものでも無かったろう。
バイクを停め通信端末の地図を頼りに周囲をぶらつくと、すぐに目当ての店舗は見つかった。
しかしすぐには店に入らず、2度3度と店の前を通り過ぎて中の様子を窺う。うん、特に意味のある行動ではない。だが内気なオタが知らないお店に入る時には、異常に警戒するものなのだ。
そうしてようやく両開きの自動ドアを潜って入店すると、すぐに女性店員の明るい声が迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。ダンジョンショップパレードへようこそ!」
ウ、明るい笑顔が眩しすぎる!なんと好印象な。それが営業スマイルを解かっていても、ちょっとドギマギしてしまう。
店内は白く清潔で、雑貨を販売するお店にちょっと似ている。が、観光地のお土産屋さんみたいにして、出入り口付近には木刀やバットなどが売られている。そんなのを見ると、なるほどコレがダンジョンショップなのだなぁとなんとなく納得。
ふと視線を上げると、カウンターの向こうにいる若い女性店員と再び目が合いスマイルをいただく。
うむむ、重ねてのスマイル攻撃。不味い、普段女性に微笑みかけられる事のまずないオタは、こういう時どんな顔をすれば解らないのだ。
『笑えばいいと思うよ』、誰だそんな事を言う奴は。
普通に笑い返せればいいのだろうが、コミュ障というデバフが常時発動しているオレにとってそんなことは至難の業。なのでなんとか声がうわずらずに、話しかけるだけでも精一杯というもの。
「あの、こちらで魔石を買い取りしていると聞いたんでしゅが…」
お店の赤いポロシャツを着た可愛い女性店員に声が裏返らずに話しかけられたまでは良かった。が、それでも最後まで持たずに舌がもつれてしまう。
「ハイ、承っております。よろしければコチラにお売りしたい品を載せください」
しかし女性店員さんはオレの舌がもつれたことなど全く無かったかのようにして、カウンターの上に銀のトレーを用意してくれた。だが横を向いた時に見えた腹囲と胸囲の高低差。ムムム、可愛いうえになんてお胸の大きな女性店員さんなんだ。
「あ、はい。じゃあコレ、おねがいしまう…」
「はい、それではしばらく店内でお待ちください」
あう…、完膚なきまでに呂律がダメダメに。
ここしばらくずっと独り言ばかりで、対人会話の仕方を忘れてしまっている。しかしそれでも買取を頼んだ魔石は、前もってビニールパウチに入れて来ていたのでスムーズに渡すことが出来たぞ。すると女性店員さんはそれをトレーに載せカウンターからバックスペースに入って行った。
(ふむ、きっと奥にだれか魔力の感じられる人間でもいるのだろうな)
魔石は赤いアクリル樹脂なんかで偽装しようと思えば、いくらでも偽造ができそうだ。しかし魔石には魔力が秘められている。スキルを使う事で魔力も使えるようになったオレも、今では魔石からその魔力が感じとれる。
ともあれ魔石の査定が済むまで、店内に飾られたおよそダンジョンと関係ないようなマグカップとか水に濡れても書けるというペンなんかを見て時間を潰す。他にも買取を頼む客でもいればどんなモノを買いとってもらえるのかを知ることが出来たのだが、生憎と店内に客はオレ一人。
「買取お待ちのお客様、お待たせいたしましたぁ」
お、どうやら査定が済んだようだな。どれどれ…。
「コチラの金額になりますが、よろしいでしょうか?」
と、提示された買取用紙に記載されていた金額は¥84.000。渡した魔石は手で一掴みほどの量で、およそ150グラムほどだった。とすると1グラムで560円程度か。にしても即現金で¥84.000はありがたい。うちは現在資金難だが、魔石なんてポリバケツにみっしり入っているのだから。
「はい、おねがいしましゅ」
うむむ、なんとも最後まで締まらないが、こうして現金¥84.000を手に入れることができた。
そしてその後も他の店舗も回り、そこでも小分けした魔石を売ることで50万近い現金を手に入れることに成功。一度に売らなかったのは、あまりに大量に売るのは悪目立ちしてしまうと恐れたから。「おい、アイツもしかして隠しダンジョンを持っているじゃ?」なんて勘ぐられたら、恐らくいい結果には繋がらないだろう。
……。
『フキュン!!(コフゥ~~~~ッ!)』
そうして現金を手に入れ食料買い込みを済ませた後は、後顧の憂いなく意気揚々とダンジョンに潜る。そう、新たな鎧、蟲王スーツの性能テストの為だ。
部屋からダンジョン前室に持ってきた鏡に映るのは、まさに蟲人間。
さながら蟲の騎士といった風貌だ。これをカッコイイと捉えるか気持ち悪いと捉えるかは、人により意見の分かれるところだろう。もちろん造った当人であるオレは、ものすごくカッコイイと思っている。
『(きゅまッ!きゅまッ!)』
素早く左右の拳を繰り出してみると、やっぱり変な音がする。
だがまぁ、それも味だろう。オレは巨大ロボットの歩く時の「ビギョン、ビギョン」なんていう効果音が大好きだったりもするし。この音も聞いてるうちに好きになるかもしれない。
よし、ではまずは装甲テストから。
地下1層ではスライムを挑発して攻撃させてみる。スライムはオレに絡みついてきて酸を生成し、分解捕食しようとする。が、オレのスキル【強酸】でもびくともしない蟲王の外殻が、スライムの酸程度で侵食されるわけがない。
「ふ、温いな…(ぷち)」
絡みついてくるスライムに手を突っ込んで、その核をにぎり潰す。別に熱くも寒くも温くもないのだが、単に強者ぶってみたかっただけなのでさらっと流して欲しい。
次いで地下2層。ここでは巨大ゴキ達が集まってきて、なぜかオレの姿を見て拝跪(はいき)した。
まぁゴキなのでもともと這い蹲っている訳なのだが、集まってきたゴキ達が全部オレの方を向いて綺麗にピタリと動きを停めたのだ。
そして生まれる静寂。
(ほぅ、これが蟲王の権威。か…)
効果はゴキたちから崇められる。そして試しに散れと一声かけたら、ゴキたちはワラワラと散っていった。う~ん。凄いと言えば凄いし、ショボイと言えばショボイ。まぁ偶然に手に入れたモノだから別にいいんだけど。
そして地下3層では病鼠と乱闘になった。
「クッ!このっ!」
「「「ギュチチィーッ!」」」
こちらの殲滅速度よりも多く次々に襲い来る病鼠。
う~む、やはり酸のスキルが無ければ地下3層は攻略できなかったろう。あまりに数が多くギーチーとやかましいうえに、どこを視ているのか解らない濁った眼が実に気持ち悪い。結局最後は捌ききれずに酸霧を撒いて殲滅した。
「ふぅ…。さて、酸雨」
病鼠から浴びた返り血を流すのにも、酸の雨でスーツを殺菌消毒。
蟲王スーツは酸で溶けないし、ヘルメットには防毒マスクの予備フィルターを内包したので酸を呼吸器官を傷めてしまう心配もない。でも衛生面には十分気を付けなければ。
さらに地下4層は特に何事も無く通過。
巨大ナメクジが攻撃態勢に移る前に、その横をサッと通り過ぎてしまえるだけの敏捷性を手にしたからな。あとナメクジと取っ組み合うのも嫌だし。
そして下りてきた地下5層。
ここでもゴキたちがオレに拝跪してきたが、気にせずマッピングをしながらキングゴキを探す。もし今の姿のオレを見たら、キングゴキがいったいどんな反応をするのか見たかったからだが、すっかりマッピングを終えてもキングゴキの姿はひとつも見当たらなかった。
「ふぅむ…、とするとキングゴキは本当に一匹だけのボスモンスターだったのか?」
リポップするのかしないのか。現状ではそれが解らないのでもう少し時間をみる必要があるだろう。
そして、せっかく地下5層まで下りてきて時間にも余裕があるので、今日はさらに地下6層へと下りてみることにした。
何のことかというと、以前に拾ったあの銅板。あれはモンスターカードで、召喚するとスケボーゴキが現れたのだ。そこで試しに地下1層でスライムと戦わせてみたのだが、噛みつきと体当たりしか攻撃手段のないスケボーゴキに対し、スライムは絡みついての酸攻撃でスケボーゴキを捕食。
しかも戦闘中はカードに戻せないらしく、救出する前にスケボーゴキはスライムに倒されてしまったのだった。これは完全に対戦相手との相性が悪かった模様。
そして敗れたスケボーゴキが再びカードに戻ることはなく、煙となって消えてしまった。それはつまり、モンスターカードはモンスターが倒されたら消滅してしまうということ。
情報が得られた代わりにスケボーゴキのカードを失ってしまった。う~ん、いらなかったような惜しかったような…なんともモヤモヤする気分だ。
まぁそれはともかく、今日は金策の為に魔石をダンジョンショップに売りに行こうと思う。うちの冷蔵庫がダンジョンになってから、もう2カ月が過ぎた。無職になってからだと、もうすぐ1カ月になろうとしている。
なのでなんにせよ金策は講じておきたい。
幸いオレがもくもくと蟲王スーツを作成していた2週間で、世の中は色々と進んでくれた様子。試験的に一般開放されたダンジョンの周囲には、ダンジョン産のアイテムを買取してくれるダンジョンショップなるものが開店したようなのだ。
しかもここでなら古本屋やリサイクルショップと同じようにその場で持って行ったモノの現金化が可能だという。うむ、コレはありがたい。ネット上に乱立しているダンジョン産アイテムの高価買取を謳ったショップも数多く見かけるが、コチラはどうにも詐欺商法の類っぽい。
どういう事かというと、相場以下のめちゃクソに安い金額しか支払われなかったり、買取査定の為に送ったアイテムが届いていないなどとシラを切られてパクられる等、ダンジョン関連の情報を漁っているとそういった苦情をあげている書き込みが何件か見受けられた。
だから魔石を売るなら間違いなく店舗にいってその場で買い取りをしてくれるダンジョンショップのほうが安全といえよう。それであれば買取金額が気に入らなくても、その場で買い取りを取り下げることだって可能だ。
「ではゆくぞ、それライドオンッ!」
愛車のバイクに跨ると、早速ダンジョンショップへと向かった。
………。
そして到着したのは、都内にあるビル建築前の更地に発生したダンジョン。
その名残でまだ敷地の周囲はスチール製のフェンスで囲まれており、工事計画の看板も残されたままになっている。ここのビル建設に関わっていた人達には、ダンジョン発生はいい迷惑以外のなにものでも無かったろう。
バイクを停め通信端末の地図を頼りに周囲をぶらつくと、すぐに目当ての店舗は見つかった。
しかしすぐには店に入らず、2度3度と店の前を通り過ぎて中の様子を窺う。うん、特に意味のある行動ではない。だが内気なオタが知らないお店に入る時には、異常に警戒するものなのだ。
そうしてようやく両開きの自動ドアを潜って入店すると、すぐに女性店員の明るい声が迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。ダンジョンショップパレードへようこそ!」
ウ、明るい笑顔が眩しすぎる!なんと好印象な。それが営業スマイルを解かっていても、ちょっとドギマギしてしまう。
店内は白く清潔で、雑貨を販売するお店にちょっと似ている。が、観光地のお土産屋さんみたいにして、出入り口付近には木刀やバットなどが売られている。そんなのを見ると、なるほどコレがダンジョンショップなのだなぁとなんとなく納得。
ふと視線を上げると、カウンターの向こうにいる若い女性店員と再び目が合いスマイルをいただく。
うむむ、重ねてのスマイル攻撃。不味い、普段女性に微笑みかけられる事のまずないオタは、こういう時どんな顔をすれば解らないのだ。
『笑えばいいと思うよ』、誰だそんな事を言う奴は。
普通に笑い返せればいいのだろうが、コミュ障というデバフが常時発動しているオレにとってそんなことは至難の業。なのでなんとか声がうわずらずに、話しかけるだけでも精一杯というもの。
「あの、こちらで魔石を買い取りしていると聞いたんでしゅが…」
お店の赤いポロシャツを着た可愛い女性店員に声が裏返らずに話しかけられたまでは良かった。が、それでも最後まで持たずに舌がもつれてしまう。
「ハイ、承っております。よろしければコチラにお売りしたい品を載せください」
しかし女性店員さんはオレの舌がもつれたことなど全く無かったかのようにして、カウンターの上に銀のトレーを用意してくれた。だが横を向いた時に見えた腹囲と胸囲の高低差。ムムム、可愛いうえになんてお胸の大きな女性店員さんなんだ。
「あ、はい。じゃあコレ、おねがいしまう…」
「はい、それではしばらく店内でお待ちください」
あう…、完膚なきまでに呂律がダメダメに。
ここしばらくずっと独り言ばかりで、対人会話の仕方を忘れてしまっている。しかしそれでも買取を頼んだ魔石は、前もってビニールパウチに入れて来ていたのでスムーズに渡すことが出来たぞ。すると女性店員さんはそれをトレーに載せカウンターからバックスペースに入って行った。
(ふむ、きっと奥にだれか魔力の感じられる人間でもいるのだろうな)
魔石は赤いアクリル樹脂なんかで偽装しようと思えば、いくらでも偽造ができそうだ。しかし魔石には魔力が秘められている。スキルを使う事で魔力も使えるようになったオレも、今では魔石からその魔力が感じとれる。
ともあれ魔石の査定が済むまで、店内に飾られたおよそダンジョンと関係ないようなマグカップとか水に濡れても書けるというペンなんかを見て時間を潰す。他にも買取を頼む客でもいればどんなモノを買いとってもらえるのかを知ることが出来たのだが、生憎と店内に客はオレ一人。
「買取お待ちのお客様、お待たせいたしましたぁ」
お、どうやら査定が済んだようだな。どれどれ…。
「コチラの金額になりますが、よろしいでしょうか?」
と、提示された買取用紙に記載されていた金額は¥84.000。渡した魔石は手で一掴みほどの量で、およそ150グラムほどだった。とすると1グラムで560円程度か。にしても即現金で¥84.000はありがたい。うちは現在資金難だが、魔石なんてポリバケツにみっしり入っているのだから。
「はい、おねがいしましゅ」
うむむ、なんとも最後まで締まらないが、こうして現金¥84.000を手に入れることができた。
そしてその後も他の店舗も回り、そこでも小分けした魔石を売ることで50万近い現金を手に入れることに成功。一度に売らなかったのは、あまりに大量に売るのは悪目立ちしてしまうと恐れたから。「おい、アイツもしかして隠しダンジョンを持っているじゃ?」なんて勘ぐられたら、恐らくいい結果には繋がらないだろう。
……。
『フキュン!!(コフゥ~~~~ッ!)』
そうして現金を手に入れ食料買い込みを済ませた後は、後顧の憂いなく意気揚々とダンジョンに潜る。そう、新たな鎧、蟲王スーツの性能テストの為だ。
部屋からダンジョン前室に持ってきた鏡に映るのは、まさに蟲人間。
さながら蟲の騎士といった風貌だ。これをカッコイイと捉えるか気持ち悪いと捉えるかは、人により意見の分かれるところだろう。もちろん造った当人であるオレは、ものすごくカッコイイと思っている。
『(きゅまッ!きゅまッ!)』
素早く左右の拳を繰り出してみると、やっぱり変な音がする。
だがまぁ、それも味だろう。オレは巨大ロボットの歩く時の「ビギョン、ビギョン」なんていう効果音が大好きだったりもするし。この音も聞いてるうちに好きになるかもしれない。
よし、ではまずは装甲テストから。
地下1層ではスライムを挑発して攻撃させてみる。スライムはオレに絡みついてきて酸を生成し、分解捕食しようとする。が、オレのスキル【強酸】でもびくともしない蟲王の外殻が、スライムの酸程度で侵食されるわけがない。
「ふ、温いな…(ぷち)」
絡みついてくるスライムに手を突っ込んで、その核をにぎり潰す。別に熱くも寒くも温くもないのだが、単に強者ぶってみたかっただけなのでさらっと流して欲しい。
次いで地下2層。ここでは巨大ゴキ達が集まってきて、なぜかオレの姿を見て拝跪(はいき)した。
まぁゴキなのでもともと這い蹲っている訳なのだが、集まってきたゴキ達が全部オレの方を向いて綺麗にピタリと動きを停めたのだ。
そして生まれる静寂。
(ほぅ、これが蟲王の権威。か…)
効果はゴキたちから崇められる。そして試しに散れと一声かけたら、ゴキたちはワラワラと散っていった。う~ん。凄いと言えば凄いし、ショボイと言えばショボイ。まぁ偶然に手に入れたモノだから別にいいんだけど。
そして地下3層では病鼠と乱闘になった。
「クッ!このっ!」
「「「ギュチチィーッ!」」」
こちらの殲滅速度よりも多く次々に襲い来る病鼠。
う~む、やはり酸のスキルが無ければ地下3層は攻略できなかったろう。あまりに数が多くギーチーとやかましいうえに、どこを視ているのか解らない濁った眼が実に気持ち悪い。結局最後は捌ききれずに酸霧を撒いて殲滅した。
「ふぅ…。さて、酸雨」
病鼠から浴びた返り血を流すのにも、酸の雨でスーツを殺菌消毒。
蟲王スーツは酸で溶けないし、ヘルメットには防毒マスクの予備フィルターを内包したので酸を呼吸器官を傷めてしまう心配もない。でも衛生面には十分気を付けなければ。
さらに地下4層は特に何事も無く通過。
巨大ナメクジが攻撃態勢に移る前に、その横をサッと通り過ぎてしまえるだけの敏捷性を手にしたからな。あとナメクジと取っ組み合うのも嫌だし。
そして下りてきた地下5層。
ここでもゴキたちがオレに拝跪してきたが、気にせずマッピングをしながらキングゴキを探す。もし今の姿のオレを見たら、キングゴキがいったいどんな反応をするのか見たかったからだが、すっかりマッピングを終えてもキングゴキの姿はひとつも見当たらなかった。
「ふぅむ…、とするとキングゴキは本当に一匹だけのボスモンスターだったのか?」
リポップするのかしないのか。現状ではそれが解らないのでもう少し時間をみる必要があるだろう。
そして、せっかく地下5層まで下りてきて時間にも余裕があるので、今日はさらに地下6層へと下りてみることにした。
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