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夜のガサガサ
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『ぴきぃーーーーん………!』
無念無想、無何有の境地。瞑想により自身の意識を深く深く心の奥底へ、はたまた遥か高く高く虚空の彼方へと飛ばす。塩サウナの中で。
しかし良い時間帯なので、塩サウナの中も結構な人の入り。
でもだからといって、ガヤガヤとした人の気配にも集中を乱してはいけない。沸き起こるサウナの熱気にも集中を乱してはいけない。心頭滅却すれば火もまた涼し、だ。
ただ、それを言ったお坊さんはそのまま焼け死んだそうだが。
ま、塩サウナで頭の上に塩をてんこ盛りにして瞑想するオレに、話しかけてくるモノ好きはいない。たぶん相当頭のイカれたヤツだと周囲から思われているだろう。が、それらは俗世の些事に過ぎないのだ。
そうして集中していると、やがてまた塩の精霊たちとのチャンネルが繋がった。
『ぴきぃーーーーん…!』
(((…ッ…ッ……ッ…)))
相変わらず何を言ってるのかも解らない。
が、意識や感情のようなモノがこちらに向いているのは、感じとれる。それでいい、オレはただ…彼らと向き合い心を溶け合わせればいい…だけ…。
(ざざ~ん…ざざ~ん…)
「…ハッ!?(ばっ!)」
あれ…?ああ、なんだ、サウナの中か。なんだか長い時間広い大海原を漂っていたような気がする。ム、それに気付けばもう一時間半も経っているではないか。
塩サウナで瞑想すると、どうも自然と90分コースになるみたいだ。なにか意味があるんだろうか。っと、いかんいかん。今日は瀬来さんとスーパー銭湯に来てるんだった。長湯するとは言っておいたけど、これはさすがに待たせてしまってるな。早く出ないと。。。
「……」
表に出て瀬来さんの姿を探すと、瀬来さんはソファーに腰かけドリンクを飲みながらつまらなそうに肢をぷらぷらと揺らしていた。うむむ、やはり少し待たせてしまったようだ。館内着で歩く人が多い中で、私服姿の瀬来さんは周りから少しだけ浮いて見える。
「や、すまない。遅くなってしまった」
「ううん…。なにかゴハンたべよっか」
あら、どうしたんだろう。やけにテンション低いな。いつもの瀬来さんなら怒るにしても、「もぉ!遅~いッ!」なんて言うはずなのに。
「……」
並んで歩きつつも、気になって横顔を覗きこんでみるも無表情。
怒っている訳でもないが、さりとて面白い訳でもない。そんな顔をしている。勉強している時はよくそんな顔でノートに向かってたっけ。
「…瀬来さんはなに食べたい?」
しかし女心の機微に疎いオレには、食べ物で機嫌を取るくらいしかいい案が思い浮かばない。くそう…桂名のヤツとか、ホントどうやって女の子の機嫌取ってるんだろ…。
「ん~、天ぷらとおそばとかは…?」
「お、いいね!たっぷり汗をかいたから、塩気のあるそばつゆを頂きたいね。それでサクッとした天ぷらも追っかけで頂いて。う~む、唾が出てきた…」
「あはは、でも師匠なら自前の塩があるじゃない」
「まぁそれはそうだが、それも料理と合わさってこその塩だろ?」
「そっか、料理と合わさってこその塩…か(ぽつり)」
「ん…、どうした?」
「ううん、なんでもない。あ、あそこの席空いてるよ師匠!」
………。
「(ずッ!ずばぞぞぞ!…むぐむぐ…サクッ!…もぐもぐ…)」
「(ずッ!ずるるっ…もぐもぐ…)」
ふたりでテーブルに向かい合い、ざるそばと天ぷらの盛り合わせを頂く。
瀬来さんはオレと食事をするとき、引っ張られるのか少しだけ行儀が悪くなる。でも、麺類は勢いよく啜るのが作法であろう。それにお淑やかに食べられるよりも、女の子でも瀬来さんみたいに食べっぷりのいいのを見る方が、オレは気持ちが良かった。
「瀬来さん、どうかした?今日は何か少し元気がないみたいだけど?」
訊かないのも優しさなのだろうが、さすがに気になったので訊いてみる。こんな時どちらが正解なのか、オレにはさっぱり解らない。
「んん~、ちょっと…色々とね…(カリッ、しゃくしゃく…)」
言葉を濁しつつ海老天を口に入れ、咀嚼する瀬来さん。
うむむ、どっちだろう?これは「もう訊かないで」っていうサインだろうか…。うん、でもそうだよな。ストーカー問題とか、色々とあったもんな。ストーカー男の母親にも襲われたりなんかしたら、さすがに後も引くはず。それを思い返したくはないのだろう。
それから、瀬来さんはオレにスッポン鍋がすこぶる美味しかった!なんて話をして、それ以上自身の悩み等について語る事はなかった。
…。
『ひゅおおおお~!ガサガサガサざざぁ~!』
瀬来さんをバイクの後ろに乗せ自宅に送り届けた後、オレは風の強く吹く川原にバイクを停め夜景を眺めていた。
『ファ…ン!ガタンゴトン…ガタンゴトン…』
遠くに見える陸橋を、光の帯のようになって電車が走り抜けて行く。そして川の水は、ダンジョン入り口の真っ黒のように暗い。
なんだろう、ひどく心がざわつく…。
別れ際、アパートの前でヘルメットを返しながら「師匠、いろいろとありがとね」と言った瀬来さんの言葉が、ヤケに心にひっかかったのだ。
言葉としては単なるお礼の言葉だった。が、どこかなにかの終わりを告げられているような…。
振りかえって瀬来さんのアパートのある方角を見てみるも、それで何かが解ろうはずもなく淋し気な風音だけが響いて耳を打つ。
(なんだったのだろう…?)
とはいえそれがオレに関係のない事ならば、余計な口出しはかえって不興を買うだけか。
(まぁ、瀬来さんのことだ。なにかあればまた遠慮なくオレに言ってくるだろう。気にはなるが、少し様子をみよう)
『ひゅおおおお~!ガサガサガサガサぁ~!』
そうだな、気分を変えよう。
うん、そう気分を変えて土手下の川を見下ろせば、景色もまた変わって見えてくる。淋し気に見えた夜の川辺の景色も「お、あの辺なんかいそう!」と感じさせるポイントがいくつもあった。
そう、オレは天然物のスッポンをゲットしたことで、味をしめていた。
いくらダンジョンでモンスターを狩ったところで、美味しい食材が手に入る訳ではない。うむ、獲物を狩って食す。キャッチ&イートでこそ、狩猟本能を満たすことが出来るのだ。
(そうだ、獲物を探そう…!)
オレはダンジョンでモンスターと戦う事で、原始的な本能が目覚めてしまったのだろうか。なんだかやたらと獲物を狩って食すという、キャッチ&イートがしたくてたまらない。
そこで土手を降り、川まで密生する葦をかき分けながら進む。足元は薄らとぬかるんでいるが、靴に滲みて来るほどではないな。よし、このまま一気に川べりまで行ってしまおう。
『がさがさがさ…』
葦だらけ、葦だ。葦が密生している。日本の神話には、可美葦牙彦舅尊《ウマシアシカビヒコジノミコト》という神が一番最初に登場する。
これは伊弉諾尊と伊邪那美命が、天沼矛で日本国土を生み出す国造りの前に登場する神だ。
可美は美称。今であれば、『イケてる』とか、『素晴しき』と思えばいいだろう。葦牙は葦の若芽の事、彦舅は逞しい男性という意味で、まとめると『素晴らしい葦の芽の逞しい男性神』となる。
今の感覚だとちょっとピンと来ないかもしれないが、葦というのは刈っても刈ってもすぐに生えてくる植物。なのに、さらにその芽ぐらいに生命力つよつよな男の神様ということだ。
まぁ周囲に何もない古代人には、きっと神を例えるにしても他に例えようがなかったのだろう。
「お…ようやく川に到着か。さてライトオン、なにかいるかな…?」
川べりはブロック、護岸ブロックというのだったか。
斜面になった四角いコンクリートが並んでいる。そしてそんなコンクリートの斜面に光を当てると、ミニライトの光をチカチカと反射する小さな眼がいくつも見えた。
「む、あれはエビか…?おお、手長エビがあんなにたくさんいるじゃないか…!」
子供のころはよく川や池に出かけては生き物を捕まえていた。
ザリガニだとか、カエルやメダカ捕まえて飼っていた。だがそんな時に一緒に捕まえていた手長エビが美味しくいただけると知ったのは、つい最近のこと。これもまたサバイバル系動画を視聴して得た知識だ。
「ふむ、獲物としてはすこし小さいが、数としては申し分なし!天ぷらとか、かき揚げとか…っておんなじか。ともあれアイツらを捕まえよう!」
だが今回も例によってタモもなければ釣竿もない。でも大丈夫、スキル【粘液】を駆使すれば手長エビくらい容易く捕まえてくれよう。
「喰らえっ!粘液円蓋!(きゅばぁあ…ん!)」
投網の如く広がった粘液が、川面に着水しゆっくりと沈んでいく。
「む…やはり薄い粘液の膜だと、川の流れと水でだいぶ溶かされてしまうな…。これは魔力のコントロールが重要だぞ…、よっと…ッ!」
粘液のドームを着底させると、巾着の口を締めるように窄めていき手長エビたちを閉じ込める。そうして大きな袋の形状を形成すると、上部に設けた穴から少しずつ水を抜いて川から引き揚げた。
『ず…ざしゃあああぁぁ…(びちびちッ!びちびちッ!)』
「おおっ、すごい!大漁じゃないか!」
粘液ネットで捕獲にするには、少々獲物が小さすぎた。その為粘液円蓋で捕獲を試みたが、目論見通りに見事手長エビを大量ゲットすることが出来たぞ。
金額でいえばたいしたことはないのだろう。が、自分で食べる為の食材を手に入れるというのは、なんとも心躍るものがある。
「よしよし、手長エビくんたちよ。キミたちはお持ち帰りして美味しく頂くからな!」
そこそこ大きなビニール袋いっぱいにゲットできた手長エビたち。コレを土産に、オレは意気揚々と帰路につくのだった。
無念無想、無何有の境地。瞑想により自身の意識を深く深く心の奥底へ、はたまた遥か高く高く虚空の彼方へと飛ばす。塩サウナの中で。
しかし良い時間帯なので、塩サウナの中も結構な人の入り。
でもだからといって、ガヤガヤとした人の気配にも集中を乱してはいけない。沸き起こるサウナの熱気にも集中を乱してはいけない。心頭滅却すれば火もまた涼し、だ。
ただ、それを言ったお坊さんはそのまま焼け死んだそうだが。
ま、塩サウナで頭の上に塩をてんこ盛りにして瞑想するオレに、話しかけてくるモノ好きはいない。たぶん相当頭のイカれたヤツだと周囲から思われているだろう。が、それらは俗世の些事に過ぎないのだ。
そうして集中していると、やがてまた塩の精霊たちとのチャンネルが繋がった。
『ぴきぃーーーーん…!』
(((…ッ…ッ……ッ…)))
相変わらず何を言ってるのかも解らない。
が、意識や感情のようなモノがこちらに向いているのは、感じとれる。それでいい、オレはただ…彼らと向き合い心を溶け合わせればいい…だけ…。
(ざざ~ん…ざざ~ん…)
「…ハッ!?(ばっ!)」
あれ…?ああ、なんだ、サウナの中か。なんだか長い時間広い大海原を漂っていたような気がする。ム、それに気付けばもう一時間半も経っているではないか。
塩サウナで瞑想すると、どうも自然と90分コースになるみたいだ。なにか意味があるんだろうか。っと、いかんいかん。今日は瀬来さんとスーパー銭湯に来てるんだった。長湯するとは言っておいたけど、これはさすがに待たせてしまってるな。早く出ないと。。。
「……」
表に出て瀬来さんの姿を探すと、瀬来さんはソファーに腰かけドリンクを飲みながらつまらなそうに肢をぷらぷらと揺らしていた。うむむ、やはり少し待たせてしまったようだ。館内着で歩く人が多い中で、私服姿の瀬来さんは周りから少しだけ浮いて見える。
「や、すまない。遅くなってしまった」
「ううん…。なにかゴハンたべよっか」
あら、どうしたんだろう。やけにテンション低いな。いつもの瀬来さんなら怒るにしても、「もぉ!遅~いッ!」なんて言うはずなのに。
「……」
並んで歩きつつも、気になって横顔を覗きこんでみるも無表情。
怒っている訳でもないが、さりとて面白い訳でもない。そんな顔をしている。勉強している時はよくそんな顔でノートに向かってたっけ。
「…瀬来さんはなに食べたい?」
しかし女心の機微に疎いオレには、食べ物で機嫌を取るくらいしかいい案が思い浮かばない。くそう…桂名のヤツとか、ホントどうやって女の子の機嫌取ってるんだろ…。
「ん~、天ぷらとおそばとかは…?」
「お、いいね!たっぷり汗をかいたから、塩気のあるそばつゆを頂きたいね。それでサクッとした天ぷらも追っかけで頂いて。う~む、唾が出てきた…」
「あはは、でも師匠なら自前の塩があるじゃない」
「まぁそれはそうだが、それも料理と合わさってこその塩だろ?」
「そっか、料理と合わさってこその塩…か(ぽつり)」
「ん…、どうした?」
「ううん、なんでもない。あ、あそこの席空いてるよ師匠!」
………。
「(ずッ!ずばぞぞぞ!…むぐむぐ…サクッ!…もぐもぐ…)」
「(ずッ!ずるるっ…もぐもぐ…)」
ふたりでテーブルに向かい合い、ざるそばと天ぷらの盛り合わせを頂く。
瀬来さんはオレと食事をするとき、引っ張られるのか少しだけ行儀が悪くなる。でも、麺類は勢いよく啜るのが作法であろう。それにお淑やかに食べられるよりも、女の子でも瀬来さんみたいに食べっぷりのいいのを見る方が、オレは気持ちが良かった。
「瀬来さん、どうかした?今日は何か少し元気がないみたいだけど?」
訊かないのも優しさなのだろうが、さすがに気になったので訊いてみる。こんな時どちらが正解なのか、オレにはさっぱり解らない。
「んん~、ちょっと…色々とね…(カリッ、しゃくしゃく…)」
言葉を濁しつつ海老天を口に入れ、咀嚼する瀬来さん。
うむむ、どっちだろう?これは「もう訊かないで」っていうサインだろうか…。うん、でもそうだよな。ストーカー問題とか、色々とあったもんな。ストーカー男の母親にも襲われたりなんかしたら、さすがに後も引くはず。それを思い返したくはないのだろう。
それから、瀬来さんはオレにスッポン鍋がすこぶる美味しかった!なんて話をして、それ以上自身の悩み等について語る事はなかった。
…。
『ひゅおおおお~!ガサガサガサざざぁ~!』
瀬来さんをバイクの後ろに乗せ自宅に送り届けた後、オレは風の強く吹く川原にバイクを停め夜景を眺めていた。
『ファ…ン!ガタンゴトン…ガタンゴトン…』
遠くに見える陸橋を、光の帯のようになって電車が走り抜けて行く。そして川の水は、ダンジョン入り口の真っ黒のように暗い。
なんだろう、ひどく心がざわつく…。
別れ際、アパートの前でヘルメットを返しながら「師匠、いろいろとありがとね」と言った瀬来さんの言葉が、ヤケに心にひっかかったのだ。
言葉としては単なるお礼の言葉だった。が、どこかなにかの終わりを告げられているような…。
振りかえって瀬来さんのアパートのある方角を見てみるも、それで何かが解ろうはずもなく淋し気な風音だけが響いて耳を打つ。
(なんだったのだろう…?)
とはいえそれがオレに関係のない事ならば、余計な口出しはかえって不興を買うだけか。
(まぁ、瀬来さんのことだ。なにかあればまた遠慮なくオレに言ってくるだろう。気にはなるが、少し様子をみよう)
『ひゅおおおお~!ガサガサガサガサぁ~!』
そうだな、気分を変えよう。
うん、そう気分を変えて土手下の川を見下ろせば、景色もまた変わって見えてくる。淋し気に見えた夜の川辺の景色も「お、あの辺なんかいそう!」と感じさせるポイントがいくつもあった。
そう、オレは天然物のスッポンをゲットしたことで、味をしめていた。
いくらダンジョンでモンスターを狩ったところで、美味しい食材が手に入る訳ではない。うむ、獲物を狩って食す。キャッチ&イートでこそ、狩猟本能を満たすことが出来るのだ。
(そうだ、獲物を探そう…!)
オレはダンジョンでモンスターと戦う事で、原始的な本能が目覚めてしまったのだろうか。なんだかやたらと獲物を狩って食すという、キャッチ&イートがしたくてたまらない。
そこで土手を降り、川まで密生する葦をかき分けながら進む。足元は薄らとぬかるんでいるが、靴に滲みて来るほどではないな。よし、このまま一気に川べりまで行ってしまおう。
『がさがさがさ…』
葦だらけ、葦だ。葦が密生している。日本の神話には、可美葦牙彦舅尊《ウマシアシカビヒコジノミコト》という神が一番最初に登場する。
これは伊弉諾尊と伊邪那美命が、天沼矛で日本国土を生み出す国造りの前に登場する神だ。
可美は美称。今であれば、『イケてる』とか、『素晴しき』と思えばいいだろう。葦牙は葦の若芽の事、彦舅は逞しい男性という意味で、まとめると『素晴らしい葦の芽の逞しい男性神』となる。
今の感覚だとちょっとピンと来ないかもしれないが、葦というのは刈っても刈ってもすぐに生えてくる植物。なのに、さらにその芽ぐらいに生命力つよつよな男の神様ということだ。
まぁ周囲に何もない古代人には、きっと神を例えるにしても他に例えようがなかったのだろう。
「お…ようやく川に到着か。さてライトオン、なにかいるかな…?」
川べりはブロック、護岸ブロックというのだったか。
斜面になった四角いコンクリートが並んでいる。そしてそんなコンクリートの斜面に光を当てると、ミニライトの光をチカチカと反射する小さな眼がいくつも見えた。
「む、あれはエビか…?おお、手長エビがあんなにたくさんいるじゃないか…!」
子供のころはよく川や池に出かけては生き物を捕まえていた。
ザリガニだとか、カエルやメダカ捕まえて飼っていた。だがそんな時に一緒に捕まえていた手長エビが美味しくいただけると知ったのは、つい最近のこと。これもまたサバイバル系動画を視聴して得た知識だ。
「ふむ、獲物としてはすこし小さいが、数としては申し分なし!天ぷらとか、かき揚げとか…っておんなじか。ともあれアイツらを捕まえよう!」
だが今回も例によってタモもなければ釣竿もない。でも大丈夫、スキル【粘液】を駆使すれば手長エビくらい容易く捕まえてくれよう。
「喰らえっ!粘液円蓋!(きゅばぁあ…ん!)」
投網の如く広がった粘液が、川面に着水しゆっくりと沈んでいく。
「む…やはり薄い粘液の膜だと、川の流れと水でだいぶ溶かされてしまうな…。これは魔力のコントロールが重要だぞ…、よっと…ッ!」
粘液のドームを着底させると、巾着の口を締めるように窄めていき手長エビたちを閉じ込める。そうして大きな袋の形状を形成すると、上部に設けた穴から少しずつ水を抜いて川から引き揚げた。
『ず…ざしゃあああぁぁ…(びちびちッ!びちびちッ!)』
「おおっ、すごい!大漁じゃないか!」
粘液ネットで捕獲にするには、少々獲物が小さすぎた。その為粘液円蓋で捕獲を試みたが、目論見通りに見事手長エビを大量ゲットすることが出来たぞ。
金額でいえばたいしたことはないのだろう。が、自分で食べる為の食材を手に入れるというのは、なんとも心躍るものがある。
「よしよし、手長エビくんたちよ。キミたちはお持ち帰りして美味しく頂くからな!」
そこそこ大きなビニール袋いっぱいにゲットできた手長エビたち。コレを土産に、オレは意気揚々と帰路につくのだった。
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