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(アノクタラサンミャクサンボダイ…)
今朝は早朝から瑠羽と共にジョギングに出かけ、近所の公園で昇ってきた新年二日目の御来光に祈りを捧げる。まぁ祈り方はオタ特有のモノなので、気にしないでもらいたい。
しかし『初日の出を拝まないで効果あるのか?』という考えもあるだろう。だがちょっと待ってほしい。需要と供給のバランスを考えた場合、大勢の人が拝んでいる初日の出のご利益は、『かなり薄まってしまっている』とも考えられる。
それであればほとんど拝む人のいない新年二日目の御来光を拝む方が、需給バランス的には1人に対するご利益は濃いのではないだろうか。
まぁどちらも気持ちの問題だが、『瑠羽とふたりで新年二日目の御来光をいっしょに拝む』といった事の方がオレにとっては大事なことなので、どっちがどっちでも構わない。
そんな感じで朝からいい汗を流して帰宅すると、なぜかシャークがいて瀬来さん達といっしょに朝飯を食っていた。
そんなシャークに『どうして?』と問うと、『早くサンドラさんみたいに強くなりたいから!』とごはんで口をもごもごさせながらも返事を返してきた。うむむ、これが若さか。まったく元気だなおい、三が日くらいのんびり過ごせばいいのに…。
まぁいい、それならそれでスライムのドロップ集めがはかどるからな。もうすでに8割がたは集まったし、これなら新年のご挨拶と共に納品ができるだろう。
……。
「じゃあ行って来るよ。ここの仕切りは仁菜さんに任せた」
「ええで。コォチも気を付けてな~」
四人にピクシーを呼び出してやり地下1層へと送り出すと、オレは買い出しに向かう。
これは別段オレがドロップ集めをサボっている訳ではなくて、4人もいれば戦力としては充分である為。それにバイクという移動の足があるのはオレだけなので、役割分担でオレが買い出しに出るのは必然ともいえる。
とはいえ4人の士気は旺盛だ。
当初、スライム狩りという単調な作業は皆すぐに飽きてしまうのではと懸念していた。が、【酸】という不人気なスキルといえどもその魔法のような力が手に入るというのは彼女たちのやる気をいたく刺激したらしく、進んでダンジョンへと潜ってくれている。
な訳で現在彼女たちは、スキルオーブ集めに夢中だ。
しかしオレが発明した『オラオラムーブで核ぶっこ抜き攻撃』を4人に指導してみても、スキルオーブのドロップ率には変化がみられなかった。
うむむ…とすると、これはオレのスキル【簒奪】がやはり関係しているのだろう。
ともあれ【簒奪】は特別なにかからドロップした訳でもなく、ひょっこりといつの間にか自己習得していたスキル。なのでコレに関しては教えようにも教えようがない。
などど考えながらバイクを走らせていると、『カニが横断歩道を横断している』というおかしな場面に出くわした。
うん、ちょっと意味が解らない。
(なぜにカニが…!?)
そんな摩訶不思議な光景に0.05秒ほど思考停止に陥ってしまうが、横断歩道をカニ歩きで横断しているカニは大型犬ほどもあるサイズ。コイツはどう考えてもダンジョンから出てきたモンスターだろう。
「よし、ならばっ…。ライダーキック、とぉッ!(スカッ)なにっ!?」
安全にバイクを路肩に停め、慎重に歩み寄って放った蹴り。しかし巨大カニはその重厚な外観からは思いもよらぬ素早いカニダッシュで、見事に躱してみせた。
『ズゴッ!バキバキュッ!ぐちゃちゃチャっ!ブロロロォ…!』
が、対向を走ってきたダンプに轢かれ微塵に砕かれると、巨大カニは異世界へと旅立っていった。ダンプもカニを轢いた事などまるで気付かなかったのか、そのまま走り去った。
こうして後にはひき逃げされた巨大カニの亡骸が。完全にバラバラであり、アスファルトの路上にそのカニみそを盛大にぶちまけている。
「うむむ…、おっとそうだ」
それはともかく、この巨大カニがいったい何処から現れたのかだ。そこで巨大カニがやってきた方向へと目を向け周囲を調べてみると、どこからか飛ばされでもしたのか古びた青いポリバケツの蓋がポツンと歩道に転がっていた。
しかも逆さになって落ちている蓋の内側は真っ黒で、しかもその真っ黒のなかからまた新たな巨大カニが姿を現そうとしているではないか。
「よし、今度こそ…ライダーキックッ!(ドガッ…ぼきゅ!)」
そんな巨大カニにライダーキックからの腕ひしぎ逆十字で、今度は華麗に止めを刺す。
そして空間接続型ダンジョンと化してしまっているポリバケツの蓋には、手を突っ込んで特殊ベークライト風味な粘液を大量に流し込んで封印しておく。こうしておけば、しばらくは持つだろう。
「(ばささ…)カァー、カァーッ!」
「カァホゥ、カーホゥ!!」
その間ほんの僅かな間であったろうに、いつの間にやらカラスが何羽も集まってきて路上でバラバラになった巨大蟹を嬉しそうに啄み始めていた。
(うむむ…。あれではまるで、やられた弐号機にたかる量産機みたいだな…)
とはいえカラスがダンジョンモンスターを食うか。なんともすごい時代になったもんだ…。
……。
「「うわぁあぁん!うわぁぁぁあぁあん!」」
と、こうして買い物を済ませ帰宅すると、なぜか部屋で瀬来さんとシャークが装備も解かずにギャン泣きしていた。
「なんだ?ふたりとも一体どうしたんだ?」
「あんな…、このふたりコォチの言いつけ守らんと、勝手に地下2層に下りてしもうたんよ…」
ああ…、それでか。やれやれといった調子で事情を説明してくれる仁菜さんの話を聞いて、納得だ。
「では視たんだな?地下2層にいる巨大ゴキたちの姿を…」
「ぎゃーーッ!その名前だすなぁ~~ッ!!」
「うぅ~おっきかった…!おっきかったよぅぅ~…ッ!」
ハァ…、言わんこっちゃない。
怖がると思ったからどんなモンスターがいるかは伏せておいたのに。これには瑠羽や仁菜さんと顔を見合わせ、苦笑いを浮かべるしかない。
「にしてもコーチ、随分と買いましたね。何を買ってきたんですか?」
「ああ、これは買ったというか、狩ってきたんだよ(どさっ)」
空間庫の事まではまだ明かしていないので、外で空間庫から取り出し背負ってきた荷物を降ろす。
「なんなんコレ…!?カニ?こんな大っきいカニどこにおったん??」
「偶々通りがかった横断歩道を歩いててね。まぁソイツはダンプに轢かれてカラスの餌になったけど、ちょうど空間接続型ダンジョンから出てきたヤツを倒して、持ち帰って来たんだ」
「わぁ、おっきいですね。でもコレ…どうするんです?あ、もしかして…!」
「ああ、折角だし食べてみようかと思って」
「「「ッ…!」」」
そう発言すると、その場の全員が驚愕の眼でオレを見つめる。うん、でもまぁ今更なんだよ。すでに長い事巨大カマドウマのお肉には世話になってるし。
「ホンマに大丈夫なんコォチ?カニにも毒持っとるのがおるんよ。ツルツルマンジュウカニいうて…」
うん仁菜さん、それを言うならスベスベマンジュウガニですよ。
「そうだね、だからまずはオレが食べてみるよ。ダンプに轢かれたカニはカラスが大勢群がって美味そうに食べてたし。しばらく様子をみてたけど、それで苦しんで死ぬようなカラスもいなかったしね」
「コーチが食べるなら、わたしも食べますッ!」
いやいや瑠羽、それはちゃんと安全確認の手順を踏んでからね。
「カニ…(ごくり)」
「カニ…(ジッ…)」
ギャン泣きしていた瀬来さんとシャークも目の前に降ろされた巨大カニを視ると泣くのをやめ、その姿にジッと見入っている。どうやらふたりとも巨大なゴキはダメでも、巨大なカニならOKの様子。
「まぁいずれにしろ食べたいって人は、パッチテストからだな。まずオレが食べてみて、そうだな…3時間は様子をみようか」
……。
そして、フツフツとお湯が沸き、鍋からは白い湯気が昇っている。準備完了だ。そんなお鍋を一同が囲み、ジッとオレの一挙手一投足に見守っていた。
「では参ります」
「「「ごくり…!」」」
まずは『ぱきゅッ!』と巨大カニの胴体から肢を捥ぐ。
カニなのに、瑠羽たち女性の腕と変わらない太さだ。次いで関節を折って『ずるり』と白いぷりぷりの身が姿を現すと、歓声をあげ瀬来さんとシャークが身を乗りだした。
「ほら、瀬来さん。お湯が跳ねると危ないからもうすこし離れて…シャークもだ。では入湯…」
『(スッ…ぼわわわゎゎゎゎ…)』
「「「うわぁぁぁ~~♪」」」
熱いに湯に浸けると、巨大カニの身は一気に花開くが如くその身を開かせる。そしてすぐさま立ち昇るカニの美味しそうな匂いに、全員が歓声をあげた。
「お、美味しそう~ッ!」
「はやく食べたいぞっ!」
うん、待ちたまえキミたち。まずはオレが毒見をしてからだ。こんな時スキル【病耐性】を持ってると、【毒耐性】ではないがちょっとだけ安心だな。
「では、いただきます」
『あ~ん』と口を大きく開けて、『がぶり』と掲げ持ったカニの身に喰らいつく。バッと花開いてるし大きさもあるので、コレを一口でとはいかないな。
「(もっきゅもっきゅもっきゅ…)」
「ね、どう?ね、どう!?」
まぁまぁ待ちなさいな、瀬来さん。
うむ…これは、口の中いっぱいにカニの風味が広がり、実に美味。大きいからといって大味という事も無く、甘みが口いっぱいに広がってなんとも贅沢な気分。毒見でなんの味付けもしていないけど、ポン酢とかで食べたらさらに美味いだろう。
「うん!コレは美味いッ!!」
「ね!一口!ねぇ一口だけっ!」
「ダメだよ瀬来さん、ちゃんとしばらくは様子をみないと」
「えぇ~!…あ、そういえば師匠だってパッチテストしてないじゃない!」
「オレはいいの。倒す時に返り血ならぬカニの返り汁浴びたから」
「うぉぉぉジャング!こんなの拷問だぞ!3時間なんてとても待てねぇよぉ!!」
こうして、瀬来さんとシャークに値切りに値切られ様子見2時間と短縮された後で、文字通り垂涎の的となった巨大カニは全員に奪い合うようにして美味しく頂かれた。
ね、モンスター普通に食ってるオレも大概だけどさ、みんなもう少し安全に気を付けようよ。
今朝は早朝から瑠羽と共にジョギングに出かけ、近所の公園で昇ってきた新年二日目の御来光に祈りを捧げる。まぁ祈り方はオタ特有のモノなので、気にしないでもらいたい。
しかし『初日の出を拝まないで効果あるのか?』という考えもあるだろう。だがちょっと待ってほしい。需要と供給のバランスを考えた場合、大勢の人が拝んでいる初日の出のご利益は、『かなり薄まってしまっている』とも考えられる。
それであればほとんど拝む人のいない新年二日目の御来光を拝む方が、需給バランス的には1人に対するご利益は濃いのではないだろうか。
まぁどちらも気持ちの問題だが、『瑠羽とふたりで新年二日目の御来光をいっしょに拝む』といった事の方がオレにとっては大事なことなので、どっちがどっちでも構わない。
そんな感じで朝からいい汗を流して帰宅すると、なぜかシャークがいて瀬来さん達といっしょに朝飯を食っていた。
そんなシャークに『どうして?』と問うと、『早くサンドラさんみたいに強くなりたいから!』とごはんで口をもごもごさせながらも返事を返してきた。うむむ、これが若さか。まったく元気だなおい、三が日くらいのんびり過ごせばいいのに…。
まぁいい、それならそれでスライムのドロップ集めがはかどるからな。もうすでに8割がたは集まったし、これなら新年のご挨拶と共に納品ができるだろう。
……。
「じゃあ行って来るよ。ここの仕切りは仁菜さんに任せた」
「ええで。コォチも気を付けてな~」
四人にピクシーを呼び出してやり地下1層へと送り出すと、オレは買い出しに向かう。
これは別段オレがドロップ集めをサボっている訳ではなくて、4人もいれば戦力としては充分である為。それにバイクという移動の足があるのはオレだけなので、役割分担でオレが買い出しに出るのは必然ともいえる。
とはいえ4人の士気は旺盛だ。
当初、スライム狩りという単調な作業は皆すぐに飽きてしまうのではと懸念していた。が、【酸】という不人気なスキルといえどもその魔法のような力が手に入るというのは彼女たちのやる気をいたく刺激したらしく、進んでダンジョンへと潜ってくれている。
な訳で現在彼女たちは、スキルオーブ集めに夢中だ。
しかしオレが発明した『オラオラムーブで核ぶっこ抜き攻撃』を4人に指導してみても、スキルオーブのドロップ率には変化がみられなかった。
うむむ…とすると、これはオレのスキル【簒奪】がやはり関係しているのだろう。
ともあれ【簒奪】は特別なにかからドロップした訳でもなく、ひょっこりといつの間にか自己習得していたスキル。なのでコレに関しては教えようにも教えようがない。
などど考えながらバイクを走らせていると、『カニが横断歩道を横断している』というおかしな場面に出くわした。
うん、ちょっと意味が解らない。
(なぜにカニが…!?)
そんな摩訶不思議な光景に0.05秒ほど思考停止に陥ってしまうが、横断歩道をカニ歩きで横断しているカニは大型犬ほどもあるサイズ。コイツはどう考えてもダンジョンから出てきたモンスターだろう。
「よし、ならばっ…。ライダーキック、とぉッ!(スカッ)なにっ!?」
安全にバイクを路肩に停め、慎重に歩み寄って放った蹴り。しかし巨大カニはその重厚な外観からは思いもよらぬ素早いカニダッシュで、見事に躱してみせた。
『ズゴッ!バキバキュッ!ぐちゃちゃチャっ!ブロロロォ…!』
が、対向を走ってきたダンプに轢かれ微塵に砕かれると、巨大カニは異世界へと旅立っていった。ダンプもカニを轢いた事などまるで気付かなかったのか、そのまま走り去った。
こうして後にはひき逃げされた巨大カニの亡骸が。完全にバラバラであり、アスファルトの路上にそのカニみそを盛大にぶちまけている。
「うむむ…、おっとそうだ」
それはともかく、この巨大カニがいったい何処から現れたのかだ。そこで巨大カニがやってきた方向へと目を向け周囲を調べてみると、どこからか飛ばされでもしたのか古びた青いポリバケツの蓋がポツンと歩道に転がっていた。
しかも逆さになって落ちている蓋の内側は真っ黒で、しかもその真っ黒のなかからまた新たな巨大カニが姿を現そうとしているではないか。
「よし、今度こそ…ライダーキックッ!(ドガッ…ぼきゅ!)」
そんな巨大カニにライダーキックからの腕ひしぎ逆十字で、今度は華麗に止めを刺す。
そして空間接続型ダンジョンと化してしまっているポリバケツの蓋には、手を突っ込んで特殊ベークライト風味な粘液を大量に流し込んで封印しておく。こうしておけば、しばらくは持つだろう。
「(ばささ…)カァー、カァーッ!」
「カァホゥ、カーホゥ!!」
その間ほんの僅かな間であったろうに、いつの間にやらカラスが何羽も集まってきて路上でバラバラになった巨大蟹を嬉しそうに啄み始めていた。
(うむむ…。あれではまるで、やられた弐号機にたかる量産機みたいだな…)
とはいえカラスがダンジョンモンスターを食うか。なんともすごい時代になったもんだ…。
……。
「「うわぁあぁん!うわぁぁぁあぁあん!」」
と、こうして買い物を済ませ帰宅すると、なぜか部屋で瀬来さんとシャークが装備も解かずにギャン泣きしていた。
「なんだ?ふたりとも一体どうしたんだ?」
「あんな…、このふたりコォチの言いつけ守らんと、勝手に地下2層に下りてしもうたんよ…」
ああ…、それでか。やれやれといった調子で事情を説明してくれる仁菜さんの話を聞いて、納得だ。
「では視たんだな?地下2層にいる巨大ゴキたちの姿を…」
「ぎゃーーッ!その名前だすなぁ~~ッ!!」
「うぅ~おっきかった…!おっきかったよぅぅ~…ッ!」
ハァ…、言わんこっちゃない。
怖がると思ったからどんなモンスターがいるかは伏せておいたのに。これには瑠羽や仁菜さんと顔を見合わせ、苦笑いを浮かべるしかない。
「にしてもコーチ、随分と買いましたね。何を買ってきたんですか?」
「ああ、これは買ったというか、狩ってきたんだよ(どさっ)」
空間庫の事まではまだ明かしていないので、外で空間庫から取り出し背負ってきた荷物を降ろす。
「なんなんコレ…!?カニ?こんな大っきいカニどこにおったん??」
「偶々通りがかった横断歩道を歩いててね。まぁソイツはダンプに轢かれてカラスの餌になったけど、ちょうど空間接続型ダンジョンから出てきたヤツを倒して、持ち帰って来たんだ」
「わぁ、おっきいですね。でもコレ…どうするんです?あ、もしかして…!」
「ああ、折角だし食べてみようかと思って」
「「「ッ…!」」」
そう発言すると、その場の全員が驚愕の眼でオレを見つめる。うん、でもまぁ今更なんだよ。すでに長い事巨大カマドウマのお肉には世話になってるし。
「ホンマに大丈夫なんコォチ?カニにも毒持っとるのがおるんよ。ツルツルマンジュウカニいうて…」
うん仁菜さん、それを言うならスベスベマンジュウガニですよ。
「そうだね、だからまずはオレが食べてみるよ。ダンプに轢かれたカニはカラスが大勢群がって美味そうに食べてたし。しばらく様子をみてたけど、それで苦しんで死ぬようなカラスもいなかったしね」
「コーチが食べるなら、わたしも食べますッ!」
いやいや瑠羽、それはちゃんと安全確認の手順を踏んでからね。
「カニ…(ごくり)」
「カニ…(ジッ…)」
ギャン泣きしていた瀬来さんとシャークも目の前に降ろされた巨大カニを視ると泣くのをやめ、その姿にジッと見入っている。どうやらふたりとも巨大なゴキはダメでも、巨大なカニならOKの様子。
「まぁいずれにしろ食べたいって人は、パッチテストからだな。まずオレが食べてみて、そうだな…3時間は様子をみようか」
……。
そして、フツフツとお湯が沸き、鍋からは白い湯気が昇っている。準備完了だ。そんなお鍋を一同が囲み、ジッとオレの一挙手一投足に見守っていた。
「では参ります」
「「「ごくり…!」」」
まずは『ぱきゅッ!』と巨大カニの胴体から肢を捥ぐ。
カニなのに、瑠羽たち女性の腕と変わらない太さだ。次いで関節を折って『ずるり』と白いぷりぷりの身が姿を現すと、歓声をあげ瀬来さんとシャークが身を乗りだした。
「ほら、瀬来さん。お湯が跳ねると危ないからもうすこし離れて…シャークもだ。では入湯…」
『(スッ…ぼわわわゎゎゎゎ…)』
「「「うわぁぁぁ~~♪」」」
熱いに湯に浸けると、巨大カニの身は一気に花開くが如くその身を開かせる。そしてすぐさま立ち昇るカニの美味しそうな匂いに、全員が歓声をあげた。
「お、美味しそう~ッ!」
「はやく食べたいぞっ!」
うん、待ちたまえキミたち。まずはオレが毒見をしてからだ。こんな時スキル【病耐性】を持ってると、【毒耐性】ではないがちょっとだけ安心だな。
「では、いただきます」
『あ~ん』と口を大きく開けて、『がぶり』と掲げ持ったカニの身に喰らいつく。バッと花開いてるし大きさもあるので、コレを一口でとはいかないな。
「(もっきゅもっきゅもっきゅ…)」
「ね、どう?ね、どう!?」
まぁまぁ待ちなさいな、瀬来さん。
うむ…これは、口の中いっぱいにカニの風味が広がり、実に美味。大きいからといって大味という事も無く、甘みが口いっぱいに広がってなんとも贅沢な気分。毒見でなんの味付けもしていないけど、ポン酢とかで食べたらさらに美味いだろう。
「うん!コレは美味いッ!!」
「ね!一口!ねぇ一口だけっ!」
「ダメだよ瀬来さん、ちゃんとしばらくは様子をみないと」
「えぇ~!…あ、そういえば師匠だってパッチテストしてないじゃない!」
「オレはいいの。倒す時に返り血ならぬカニの返り汁浴びたから」
「うぉぉぉジャング!こんなの拷問だぞ!3時間なんてとても待てねぇよぉ!!」
こうして、瀬来さんとシャークに値切りに値切られ様子見2時間と短縮された後で、文字通り垂涎の的となった巨大カニは全員に奪い合うようにして美味しく頂かれた。
ね、モンスター普通に食ってるオレも大概だけどさ、みんなもう少し安全に気を付けようよ。
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