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カニダンジョン地下1層
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今日は仁菜さんとダンジョンデート。
しかも揃いの金色スーツで、ペアルックだZE。うひ!なんともワクワクするね。とはいえ油断は禁物、なにせまだ一度も確認した事のないカニダンジョンを探索するのだから。
そのため準備も入念に。
オレは増設アーム付蟲王スーツに、ナイフなど一式を腰ベルトに装着。ファイヤーワンドも胸にセットし、右手には見た目に惚れてつい最近衝動買いしてしまった『ロンギヌスの金テコ』を握っている。
この金テコのどこがロンギヌスかというと、色味が綺麗なメタリックの青紫で言わずと知れた某ロボアニメに登場する武器に似ててカッコよかったから。
なので大層に『ロンギヌスの金テコ』などと呼んではいるものの、実際には単に大型ホームセンターで買い求めたモノ。なので丈夫なこと以外に、これといった特殊能力はない。なので完全に趣味装備である。
一方で仁菜さんの方は蟲王スーツMk2姿にエクスカリバール+1を右手に持ち、左手にはエメラルドグリーンの輝きが美しいカメムシ盾を持っている。うん、これは新装備。巨大カメムシの外殻もけっこう大きいからね。翅を納める外殻の片側を用いて、なんちゃってカイトシールドを即興で作ってみました。
仁菜さんの着ているスーツは肘から手までが一体なので、盾の裏の穴に腕を通す形で装備する。だから盾を構える時は、ガッツポーズをするように手の甲を相手に向けるスタイル。
「うん、いいね。仁菜さんは身体の線が細いから、半身になると綺麗に上半身が隠れるよ」
「ふふ、スノコの盾から随分グレードアップしたもんやなぁ。軽くて扱いやすいわ」
フィッティングは上々、仁菜さんは盾を構えて敵の攻撃を受け流しつつ反撃をいれる動作を繰り返して具合を確かめている。仁菜さんて自分からは攻めずに、相手に合わせて攻撃するのが得意だしね。盾があったほうが戦いやすいだろう。
オレも最初のうちは盾を使ってたけど、もうほとんど使わなくなってしまった。というのも、スキルを魔法が飛び出すみたいなイメージで手の平から発動させることが多いから。
それ故に、どちらか一方の手は空いていたほうが都合が良いのだ。
やろうと思えばイメージと魔力操作だけで無手でのスキル発動も出来る。けどそれだとやっぱり少しコントロールが難しいというのがある。戦闘中に変なミスはしたくないし、なのでどうしても盾を外す方向にならざるを得なかった。
それにほら、オレの場合は【粘液】が優秀な防壁として使え、【塩】でソルトシールドも生み出せる。それにいざとなれば増設アームも盾代わりにも出来るので、消去法的に盾が装備から外れていくのも、無理からぬことであろう。
「ほんなら準備も整ったし、そろそろ行く?」
「そうだね、出発だ」
冷蔵庫ダンジョンの前室から地下1層の扉を潜り、カニダンジョンの元へと向かう。
冷蔵庫ダンジョンの地下1層内にダンジョン化したポリバケツの蓋を置いてあるわけだが、今のところダンジョン同士で共鳴も融合も起こらずに、放置出来ている状態だ。
ポリバケツの蓋から出てきた巨大カニも冷蔵庫ダンジョンに支配される訳でもなく普通にウロウロしてて、スライムなんかを餌にしようと攻撃したりなんかしている。
そんな風に地下1層を闊歩している巨大カニは、粘液で『べちょっ』と縛りつけてスルー。
たいへん美味な食糧なので、無闇に殺さずあとで美味しく頂きます。ボリュームも大型犬並みのサイズなので、すこぶる食いでがある。この間はサバゲーマー達も美味い美味いと、大喜びしてたしな。
房総半島だから伊勢海老は水揚げされてて結構食べ慣れていたとしても、蟹はそうではなかったらしく提督らにとても感謝された。
「あ、ポリバケツの蓋からカニが這い出てくるのって、なんやシュールやねぇ…」
通路の突き当りに置いたポリバケツの蓋が視えてくると、ちょうど巨大カニが這い出てくるところだった。
「ああ、まぁそうかもね。ゴミ漁りでもしてたのかって、ちょっと想像しちゃうか」
ま、それはともかく、いったいあの中はどうなっているのやら…。
…。
先ほど這い出てきた巨大カニはなんちゃって燻製肉で誘導し引き離し、カニダンジョンに入る準備を整える。
「でもカニしか出てこんなんて、不思議やねぇ。こないだの植物ダンジョンもアロエやら竹やらって出てきとったのに…?」
「そうだね。きっとなにか理由があるんだと思う。それに急に強いモンスターなんかが這い出て来られても困るから、しっかりと調査しとかないとね」
最初のうちは『カニ美味ぇ!最高ッ!』って放置してたけど、よくよく考えればそれもまた危険な話。一応なかの状態は確認しておかないと。
「じゃ、先に入るよ。安全が確認取れたら声かけるから」
「はい、気ぃつけてなコォチ」
仁菜さんはそう言いながら離れた位置に移動する。
うん、大丈夫。こういう時の安全マージンはしっかりと取らないと。飽和状態のダンジョンに、いきなり頭突っ込んだりはしないよ。
(はい、まずは手を挿しこんでと、ミューカスウォール…!)
ポリバケツの蓋の真っ黒に手を突っ込み、入り口近辺を覆う量の粘液壁を生み出す。
これで入口近辺にいたモンスターは粘液に押しやられたか、粘液に埋もれて身動きできなくなったはず…。もし動けるモンスターがいたとしても、厚くベッタベタの粘液壁をそう容易く切り裂くことは出来ないだろう。
こういうのってゲームなんかだと移動を完了し終えないと行動ができなかったりするけど、このダンジョンは空間を跨いだ状態でも行動できちゃう。なのでコレを利用しない手はない。
(よし、どれどれお邪魔しま~す)
『とぷり』と真っ黒に頭を突っ込んでそっと内部の様子を探る。
すると中は、なんか地底湖みたいな感じだった。粘液越しになのでまだよくは解らないが、入り口付近を覆っていた粘液を操りドーム状にすると磯のような匂いが鼻をくすぐる。
(ふむむ、足元は濡れてゴツゴツとした岩場。それに、なんだか黒いのがビッシリだな…。アレはなんだ?)
【粘液】のほかにスキル【塩】も発動し、粘液ドームを形成し塩の窓を作ってみる。
丁寧に魔力を注いで生み出してやると、均一な分子構造となって無色透明でガラスみたいな塩も生み出すことが出来るのだ。
「む、アレは貝か?随分とデカいし、これまた凄い数だな…」
生み出した塩の窓から外の景色を覗くと、ゴツゴツとした自然洞窟チックな岩場にビッシリと真っ黒な二枚貝が。それも剣山というか逆立った鱗というか…とにかくエライ量の二枚貝が密集して行く手を阻んでいる。
が、ダンジョンの入り口付近にモンスターはいなかったので、ここで一旦外に出て仁菜さんを呼びにいく。
「仁菜さん、なかは貝だらけで凄い数だよ」
「え、ホンマに?入ってもええ?」
「ああ、とりあえず入り口は安全のようだから入っておいで」
「…わぁ!また大きな粘液出したんやねぇコォチ」
うん、たくさんでちゃいました、てへ。なんてな。
「ほら、そこの窓から外が覗けるよ」
「ふ~ん、どんな感じなんやろ…。あ、すご~い!あれムール貝そっくりやなぁ!めっちゃ美味しそうやん!」
え、そうなの?
ん~…言われてみればそうかな?食べたことないから、名前ぐらいしか知らないなぁ。洋食ではメジャーな貝なんだっけ?今まで碌に彼女もいなかったし…、彼女でもいればそういうオシャレなモノも食べられる洋風なお店にも行ったりしたんだろうけどさ。
でもともかく、仁菜さんは貝を視てひどく興奮している。
これもまた珍しい。きっとムール貝というのは、ものすごく美味しい貝なのだろう。まぁオレは貝といえば定食屋で牡蠣フライを頼むくらいのモンだ。
「なるほど、そんなに美味しい貝なんだ。でもコレでこのダンジョンからカニしか出てこない理由の一端が知れたよ」
「あんな風に岩に根付いとる貝やったら、移動なんてせんもんねぇ」
うん、仁菜さんの言う通り巨大ムール貝はゴツゴツとした岩に張り付いている。移動をしないが故に、ダンジョンの外まで出てこなかったのだろう。
「よし、では試しに一体倒してみるか」
「気ぃつけてな」
「うん、仁菜さんはここにいて」
粘液ドームに出入り口を設けて外に出ると、より一層磯臭さを感じる。
能力値の上昇で感覚が鋭敏化しているせいもあるが、防毒マスク越しでこれだけ匂いが感じられるという事はかなりのモノだ。
と、ゴツゴツとした足場に気を付けながら巨大ムール貝の群生に近づいていったら、あと4メートルほどといった距離に差し掛かったところで突然巨大ムール貝から鋭い刃物が飛んできた。
「さて、ではどう料理するか…うわっぷ!?」
『ギゃリンッ!ギギャギャ!!』
咄嗟にロンギヌスの金テコを振るって飛んできた刃物を弾くと、オレンジ色した火花が散る。それに慌ててバックステップで距離をあけると、そこでようやく巨大ムール貝がどうやって攻撃してきたのかが見て取れた。
(貝殻ッ!?貝殻の一部が刃物に変わっただとッ!?)
なんと、二枚貝の一番ヘリの部分がパカリと三日月状に分離すると、ベロというか触腕のようなモノで振り回して鎖鎌のように攻撃したのだ。
(って、なにその寄〇獣みたいな攻撃ッ!?)
しかもその攻撃は、一撃で人の首くらい容易く跳ね飛ばせそうな威力。とても地下1層で出て来ていいようなモンスターとは思えない。
(うむむ…。いや、でもコイツは移動の出来ない分、攻撃力と防御力に長けているということか…)
一旦後ろに下がって距離をあける。
と、巨大ムール貝らは一撃で仕留められなかったことを悔しそうに、貝で出来た三日月鎌を揺らしている。
(むぅ、貝なんて防御優先で進化したような生物だから攻撃には消極的だと思ったら、めちゃくちゃ好戦的じゃないか…)
カニダンジョン地下1層にいたモンスターは、貝だった。
そして1層にいるモンスターとは思えない程に強力な攻撃を仕掛けてきた。そのことにひどく驚き、オレは動揺を隠せないのだった。
しかも揃いの金色スーツで、ペアルックだZE。うひ!なんともワクワクするね。とはいえ油断は禁物、なにせまだ一度も確認した事のないカニダンジョンを探索するのだから。
そのため準備も入念に。
オレは増設アーム付蟲王スーツに、ナイフなど一式を腰ベルトに装着。ファイヤーワンドも胸にセットし、右手には見た目に惚れてつい最近衝動買いしてしまった『ロンギヌスの金テコ』を握っている。
この金テコのどこがロンギヌスかというと、色味が綺麗なメタリックの青紫で言わずと知れた某ロボアニメに登場する武器に似ててカッコよかったから。
なので大層に『ロンギヌスの金テコ』などと呼んではいるものの、実際には単に大型ホームセンターで買い求めたモノ。なので丈夫なこと以外に、これといった特殊能力はない。なので完全に趣味装備である。
一方で仁菜さんの方は蟲王スーツMk2姿にエクスカリバール+1を右手に持ち、左手にはエメラルドグリーンの輝きが美しいカメムシ盾を持っている。うん、これは新装備。巨大カメムシの外殻もけっこう大きいからね。翅を納める外殻の片側を用いて、なんちゃってカイトシールドを即興で作ってみました。
仁菜さんの着ているスーツは肘から手までが一体なので、盾の裏の穴に腕を通す形で装備する。だから盾を構える時は、ガッツポーズをするように手の甲を相手に向けるスタイル。
「うん、いいね。仁菜さんは身体の線が細いから、半身になると綺麗に上半身が隠れるよ」
「ふふ、スノコの盾から随分グレードアップしたもんやなぁ。軽くて扱いやすいわ」
フィッティングは上々、仁菜さんは盾を構えて敵の攻撃を受け流しつつ反撃をいれる動作を繰り返して具合を確かめている。仁菜さんて自分からは攻めずに、相手に合わせて攻撃するのが得意だしね。盾があったほうが戦いやすいだろう。
オレも最初のうちは盾を使ってたけど、もうほとんど使わなくなってしまった。というのも、スキルを魔法が飛び出すみたいなイメージで手の平から発動させることが多いから。
それ故に、どちらか一方の手は空いていたほうが都合が良いのだ。
やろうと思えばイメージと魔力操作だけで無手でのスキル発動も出来る。けどそれだとやっぱり少しコントロールが難しいというのがある。戦闘中に変なミスはしたくないし、なのでどうしても盾を外す方向にならざるを得なかった。
それにほら、オレの場合は【粘液】が優秀な防壁として使え、【塩】でソルトシールドも生み出せる。それにいざとなれば増設アームも盾代わりにも出来るので、消去法的に盾が装備から外れていくのも、無理からぬことであろう。
「ほんなら準備も整ったし、そろそろ行く?」
「そうだね、出発だ」
冷蔵庫ダンジョンの前室から地下1層の扉を潜り、カニダンジョンの元へと向かう。
冷蔵庫ダンジョンの地下1層内にダンジョン化したポリバケツの蓋を置いてあるわけだが、今のところダンジョン同士で共鳴も融合も起こらずに、放置出来ている状態だ。
ポリバケツの蓋から出てきた巨大カニも冷蔵庫ダンジョンに支配される訳でもなく普通にウロウロしてて、スライムなんかを餌にしようと攻撃したりなんかしている。
そんな風に地下1層を闊歩している巨大カニは、粘液で『べちょっ』と縛りつけてスルー。
たいへん美味な食糧なので、無闇に殺さずあとで美味しく頂きます。ボリュームも大型犬並みのサイズなので、すこぶる食いでがある。この間はサバゲーマー達も美味い美味いと、大喜びしてたしな。
房総半島だから伊勢海老は水揚げされてて結構食べ慣れていたとしても、蟹はそうではなかったらしく提督らにとても感謝された。
「あ、ポリバケツの蓋からカニが這い出てくるのって、なんやシュールやねぇ…」
通路の突き当りに置いたポリバケツの蓋が視えてくると、ちょうど巨大カニが這い出てくるところだった。
「ああ、まぁそうかもね。ゴミ漁りでもしてたのかって、ちょっと想像しちゃうか」
ま、それはともかく、いったいあの中はどうなっているのやら…。
…。
先ほど這い出てきた巨大カニはなんちゃって燻製肉で誘導し引き離し、カニダンジョンに入る準備を整える。
「でもカニしか出てこんなんて、不思議やねぇ。こないだの植物ダンジョンもアロエやら竹やらって出てきとったのに…?」
「そうだね。きっとなにか理由があるんだと思う。それに急に強いモンスターなんかが這い出て来られても困るから、しっかりと調査しとかないとね」
最初のうちは『カニ美味ぇ!最高ッ!』って放置してたけど、よくよく考えればそれもまた危険な話。一応なかの状態は確認しておかないと。
「じゃ、先に入るよ。安全が確認取れたら声かけるから」
「はい、気ぃつけてなコォチ」
仁菜さんはそう言いながら離れた位置に移動する。
うん、大丈夫。こういう時の安全マージンはしっかりと取らないと。飽和状態のダンジョンに、いきなり頭突っ込んだりはしないよ。
(はい、まずは手を挿しこんでと、ミューカスウォール…!)
ポリバケツの蓋の真っ黒に手を突っ込み、入り口近辺を覆う量の粘液壁を生み出す。
これで入口近辺にいたモンスターは粘液に押しやられたか、粘液に埋もれて身動きできなくなったはず…。もし動けるモンスターがいたとしても、厚くベッタベタの粘液壁をそう容易く切り裂くことは出来ないだろう。
こういうのってゲームなんかだと移動を完了し終えないと行動ができなかったりするけど、このダンジョンは空間を跨いだ状態でも行動できちゃう。なのでコレを利用しない手はない。
(よし、どれどれお邪魔しま~す)
『とぷり』と真っ黒に頭を突っ込んでそっと内部の様子を探る。
すると中は、なんか地底湖みたいな感じだった。粘液越しになのでまだよくは解らないが、入り口付近を覆っていた粘液を操りドーム状にすると磯のような匂いが鼻をくすぐる。
(ふむむ、足元は濡れてゴツゴツとした岩場。それに、なんだか黒いのがビッシリだな…。アレはなんだ?)
【粘液】のほかにスキル【塩】も発動し、粘液ドームを形成し塩の窓を作ってみる。
丁寧に魔力を注いで生み出してやると、均一な分子構造となって無色透明でガラスみたいな塩も生み出すことが出来るのだ。
「む、アレは貝か?随分とデカいし、これまた凄い数だな…」
生み出した塩の窓から外の景色を覗くと、ゴツゴツとした自然洞窟チックな岩場にビッシリと真っ黒な二枚貝が。それも剣山というか逆立った鱗というか…とにかくエライ量の二枚貝が密集して行く手を阻んでいる。
が、ダンジョンの入り口付近にモンスターはいなかったので、ここで一旦外に出て仁菜さんを呼びにいく。
「仁菜さん、なかは貝だらけで凄い数だよ」
「え、ホンマに?入ってもええ?」
「ああ、とりあえず入り口は安全のようだから入っておいで」
「…わぁ!また大きな粘液出したんやねぇコォチ」
うん、たくさんでちゃいました、てへ。なんてな。
「ほら、そこの窓から外が覗けるよ」
「ふ~ん、どんな感じなんやろ…。あ、すご~い!あれムール貝そっくりやなぁ!めっちゃ美味しそうやん!」
え、そうなの?
ん~…言われてみればそうかな?食べたことないから、名前ぐらいしか知らないなぁ。洋食ではメジャーな貝なんだっけ?今まで碌に彼女もいなかったし…、彼女でもいればそういうオシャレなモノも食べられる洋風なお店にも行ったりしたんだろうけどさ。
でもともかく、仁菜さんは貝を視てひどく興奮している。
これもまた珍しい。きっとムール貝というのは、ものすごく美味しい貝なのだろう。まぁオレは貝といえば定食屋で牡蠣フライを頼むくらいのモンだ。
「なるほど、そんなに美味しい貝なんだ。でもコレでこのダンジョンからカニしか出てこない理由の一端が知れたよ」
「あんな風に岩に根付いとる貝やったら、移動なんてせんもんねぇ」
うん、仁菜さんの言う通り巨大ムール貝はゴツゴツとした岩に張り付いている。移動をしないが故に、ダンジョンの外まで出てこなかったのだろう。
「よし、では試しに一体倒してみるか」
「気ぃつけてな」
「うん、仁菜さんはここにいて」
粘液ドームに出入り口を設けて外に出ると、より一層磯臭さを感じる。
能力値の上昇で感覚が鋭敏化しているせいもあるが、防毒マスク越しでこれだけ匂いが感じられるという事はかなりのモノだ。
と、ゴツゴツとした足場に気を付けながら巨大ムール貝の群生に近づいていったら、あと4メートルほどといった距離に差し掛かったところで突然巨大ムール貝から鋭い刃物が飛んできた。
「さて、ではどう料理するか…うわっぷ!?」
『ギゃリンッ!ギギャギャ!!』
咄嗟にロンギヌスの金テコを振るって飛んできた刃物を弾くと、オレンジ色した火花が散る。それに慌ててバックステップで距離をあけると、そこでようやく巨大ムール貝がどうやって攻撃してきたのかが見て取れた。
(貝殻ッ!?貝殻の一部が刃物に変わっただとッ!?)
なんと、二枚貝の一番ヘリの部分がパカリと三日月状に分離すると、ベロというか触腕のようなモノで振り回して鎖鎌のように攻撃したのだ。
(って、なにその寄〇獣みたいな攻撃ッ!?)
しかもその攻撃は、一撃で人の首くらい容易く跳ね飛ばせそうな威力。とても地下1層で出て来ていいようなモンスターとは思えない。
(うむむ…。いや、でもコイツは移動の出来ない分、攻撃力と防御力に長けているということか…)
一旦後ろに下がって距離をあける。
と、巨大ムール貝らは一撃で仕留められなかったことを悔しそうに、貝で出来た三日月鎌を揺らしている。
(むぅ、貝なんて防御優先で進化したような生物だから攻撃には消極的だと思ったら、めちゃくちゃ好戦的じゃないか…)
カニダンジョン地下1層にいたモンスターは、貝だった。
そして1層にいるモンスターとは思えない程に強力な攻撃を仕掛けてきた。そのことにひどく驚き、オレは動揺を隠せないのだった。
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