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ダンジョンスタンピード第二波 友情
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江月と瀬来の去った裏門に、息を切らせて駆けつけたのは雛形結月であった。
「ハァッ…ハァッ…ハァッ…、ああ、もう行ってしまったのね…」
裏門に集まっていた生徒たちがそれぞれに散っていく後姿を淋しげに見つめながら、自分が遅れてしまった事を結月は悟った。
「ああ、もう行っちまったぞ」
そんな結月に、江月から『もう戦友なんだから優しくしてやれよ?』と言い含められていたるりは、一応声をかけてやる。
「ねぇ利賀さん…。お父さんて、あんな感じなのかな…?」
「はぁッ…!?ま、え…ジャングがか??」
いったいどうしてそうなったのか?
それであれば『黙ったままモンスター肉を食わせて娘をショック状態に陥らせるのが父親』ということになってしまう。全国のお父さんピンチ!
「私ね…物心ついた時にはもう両親がいなかったたから、父親ってどんなか知らないの…」
だが利賀るりと一緒に粘液パックというちょっぴり大人な体験をした雛形結月は、彼女に対して強い親近感を覚えており自分の事を知ってほしいと思っていた。
「いや…アタシたちからすりゃジャングもいいオッサンだけどさ、でも高校生の子供がいるような歳でもないだろ?」
しかし利賀るりは雛形結月に対して粘液パックというちょっぴり大人な体験を一緒にしても、そこまで親近感は覚えていたワケではなかった。なので正直、『両親がいないとか、いきなりそんな重い話してくるなよ…』と思った。
「お爺ちゃんにはオモチャとか買ってもらったことなかったから…。ピクシーちゃんをつけてもらえて、わたし凄く嬉しかったの」
「お、おお…」
なにやら自分語りをしだした結月に戸惑いながらも、とりあえず相槌を打ってやる。そして『おい爺ぃ、孫にオモチャくらい買ってやれよメンドくせぇ!』と、るりは思った。
「利賀さん…、色々きついこと言ってごめんなさい。ほんとはわたし、利賀さんが羨ましかったの…。すごく自由に生きてて、わたしなんかよりずっと輝いて見えたから…」
「んぅ…ッ!?」
なんか唐突に心情を吐露し始めたと思ったら、るりに対しても唐突に謝り出す結月。潔癖症で品行方正にも程があると思っていたら、謝るのにもいきなり心の内をぶっちゃけてきた。
「ん…まぁ。いいよもうそんなの。それに一応、いっしょに戦った戦友だからな…」
「許してくれるの…?ありがとう利賀さん…」
スタンピード以前は、ミリオタとしてクラスでも少々浮いていた利賀るり。
しかし対立した相手も、単に自分と同じ不器用なだけだった。こうなってくるといつまでも相手に対して怒っている自分が馬鹿らしくなり、ここに利賀るりと雛形結月の和解が成立したのであった。
…。
一方その頃、シャーク女子高をあとにしたダンジョン超人コンビは糧品宅へと戻るために川岸の土手を歩いていた。
「は~あ…」
「おや、瀬来さんもお疲れ?」
土手の上を普通の歩速で歩むふたり。周囲からは丸見えだが、視界が広く物陰からの不意打ちなどは受けずに済む。なので今のふたりの実力であれば、この方が都合が良かった為のルート選択であった。
「ん~?ま、モンスターの食材も美味しいけどね、また武者バーガーの捲土重来セットが食べたいなぁ~って思っただけ」
「ああ、毎朝ガッツリいくくらい好きだったもんね」
朝からしっかりと食べても、その栄養がお腹にいかずにぜんぶお胸にいくのだから、なんとも瀬来さんは素晴しい。
「いいでしょ別にぃ~、好きなんだから。それに江月さんだってコレが落ち着いたら食べたいってモノくらいあるでしょ?」
「ん~そうだな、コレが食べたい!って程ではないけど、今は近所のラーメンショップのニラレバ炒めとギョウザが食べたいかな?」
うん、薄給サラリーマンのたまの休みといえば、近所のラーメン屋に足を運ぶくらいがささやかな日々の慰めだったもんなぁ。
「ふふ、意外と美味しいもんねあそこ。でもニンニクラーメンは無くていいの?」
「まぁ、行けばなんだかんだ言って頼んじゃうだろうね」
「いいわよ、その時はニンニクラーメンも付き合ってあげる!」
「お、それじゃまた行こうか!」
わおッ!ニンニクラーメンに付き合ってくれるって、女性からしたら最高の全肯定だよね!?瑠羽の拒絶でオレが闇落ちした原因も、ニンニクだったし…。
くぅ~~ッ!こんなことを言ってくれる女の子が傍にいる…こんなに嬉しい事は無い!!Oh!ユア・マイ・エンジェ―
「江月さんのご馳走してくれるモノはなんでも美味しいもんねッ!」
ホワッ…!?もしもし?もしかしてこちら、悪魔さんディスカ??
「ハァッ…ハァッ…ハァッ…、ああ、もう行ってしまったのね…」
裏門に集まっていた生徒たちがそれぞれに散っていく後姿を淋しげに見つめながら、自分が遅れてしまった事を結月は悟った。
「ああ、もう行っちまったぞ」
そんな結月に、江月から『もう戦友なんだから優しくしてやれよ?』と言い含められていたるりは、一応声をかけてやる。
「ねぇ利賀さん…。お父さんて、あんな感じなのかな…?」
「はぁッ…!?ま、え…ジャングがか??」
いったいどうしてそうなったのか?
それであれば『黙ったままモンスター肉を食わせて娘をショック状態に陥らせるのが父親』ということになってしまう。全国のお父さんピンチ!
「私ね…物心ついた時にはもう両親がいなかったたから、父親ってどんなか知らないの…」
だが利賀るりと一緒に粘液パックというちょっぴり大人な体験をした雛形結月は、彼女に対して強い親近感を覚えており自分の事を知ってほしいと思っていた。
「いや…アタシたちからすりゃジャングもいいオッサンだけどさ、でも高校生の子供がいるような歳でもないだろ?」
しかし利賀るりは雛形結月に対して粘液パックというちょっぴり大人な体験を一緒にしても、そこまで親近感は覚えていたワケではなかった。なので正直、『両親がいないとか、いきなりそんな重い話してくるなよ…』と思った。
「お爺ちゃんにはオモチャとか買ってもらったことなかったから…。ピクシーちゃんをつけてもらえて、わたし凄く嬉しかったの」
「お、おお…」
なにやら自分語りをしだした結月に戸惑いながらも、とりあえず相槌を打ってやる。そして『おい爺ぃ、孫にオモチャくらい買ってやれよメンドくせぇ!』と、るりは思った。
「利賀さん…、色々きついこと言ってごめんなさい。ほんとはわたし、利賀さんが羨ましかったの…。すごく自由に生きてて、わたしなんかよりずっと輝いて見えたから…」
「んぅ…ッ!?」
なんか唐突に心情を吐露し始めたと思ったら、るりに対しても唐突に謝り出す結月。潔癖症で品行方正にも程があると思っていたら、謝るのにもいきなり心の内をぶっちゃけてきた。
「ん…まぁ。いいよもうそんなの。それに一応、いっしょに戦った戦友だからな…」
「許してくれるの…?ありがとう利賀さん…」
スタンピード以前は、ミリオタとしてクラスでも少々浮いていた利賀るり。
しかし対立した相手も、単に自分と同じ不器用なだけだった。こうなってくるといつまでも相手に対して怒っている自分が馬鹿らしくなり、ここに利賀るりと雛形結月の和解が成立したのであった。
…。
一方その頃、シャーク女子高をあとにしたダンジョン超人コンビは糧品宅へと戻るために川岸の土手を歩いていた。
「は~あ…」
「おや、瀬来さんもお疲れ?」
土手の上を普通の歩速で歩むふたり。周囲からは丸見えだが、視界が広く物陰からの不意打ちなどは受けずに済む。なので今のふたりの実力であれば、この方が都合が良かった為のルート選択であった。
「ん~?ま、モンスターの食材も美味しいけどね、また武者バーガーの捲土重来セットが食べたいなぁ~って思っただけ」
「ああ、毎朝ガッツリいくくらい好きだったもんね」
朝からしっかりと食べても、その栄養がお腹にいかずにぜんぶお胸にいくのだから、なんとも瀬来さんは素晴しい。
「いいでしょ別にぃ~、好きなんだから。それに江月さんだってコレが落ち着いたら食べたいってモノくらいあるでしょ?」
「ん~そうだな、コレが食べたい!って程ではないけど、今は近所のラーメンショップのニラレバ炒めとギョウザが食べたいかな?」
うん、薄給サラリーマンのたまの休みといえば、近所のラーメン屋に足を運ぶくらいがささやかな日々の慰めだったもんなぁ。
「ふふ、意外と美味しいもんねあそこ。でもニンニクラーメンは無くていいの?」
「まぁ、行けばなんだかんだ言って頼んじゃうだろうね」
「いいわよ、その時はニンニクラーメンも付き合ってあげる!」
「お、それじゃまた行こうか!」
わおッ!ニンニクラーメンに付き合ってくれるって、女性からしたら最高の全肯定だよね!?瑠羽の拒絶でオレが闇落ちした原因も、ニンニクだったし…。
くぅ~~ッ!こんなことを言ってくれる女の子が傍にいる…こんなに嬉しい事は無い!!Oh!ユア・マイ・エンジェ―
「江月さんのご馳走してくれるモノはなんでも美味しいもんねッ!」
ホワッ…!?もしもし?もしかしてこちら、悪魔さんディスカ??
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