うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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終息はダラダラと

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「はい、こっち出来たよ。じゃあパーツも揃ったし、繋げて試着してみようか」
「わぁ~!みんな、おおきにぃ!」

魔力を用いた素材加工で、鉤爪武器を作っていたオレ達。

だが瑠羽と仁菜さんはオレの増加装甲を作ったことでだいぶ手慣れたらしく、アッという間に4人分の装備が出来上がってしまった。そこでどうせなら、巨大赤蠍の外殻を用いてスーツも作ってみようという話になったのだ。

そうして出来上がったのが、仁菜さん専用の赤蠍スーツ。

「ほな着替えてくるから、コォチはここで待っとってな。万智、手伝って」

「うん、いいよ~」
「あ~、わたしも手伝うよ静ちゃん!」

そんな風にキャッキャッしながら3人は、ベランダから瑠羽の部屋へと移動していった。


『―でありまして、今回のダンジョンスタンピードを早期に終結させるために、自衛隊では総力を挙げて―』

で、静かになるとリビングで瑠羽ママが聞いているラジオの音声が聞こえてくる。

ふぅむ…。この4日ほど糧品宅で加工などをしながら大人しくしていたが、その間の自衛隊の動きが目覚ましかった。まるでそう、急にガチギレしたようになってモンスターを駆除しはじめたのだ。

移動中に戦闘ヘリが飛んできた時にも、激しくブッたまげた。

だがまさか街中に戦車までをも投入してくるとはである。たださすがに街中であの主砲をぶっ放す訳にはいかないので、機銃掃射でモンスターを追いかけ回しトドメはそのまま轢き殺すという「もうなんでもアリね」ってな感じの酷い戦い方をしている。

これらの動画は通信インフラが回復したことで、一般人が通信端末などで撮ったグロい映像を無加工のままアップしてしまっている。動画サイトの運営会社なんかも社員が避難してるせいか、それらの動画が削除されることもなく、何日もネット上に残ったままなのだ。

そこで通信端末を取り出し、今朝観ていた動画を改めて観直してみる。

『ヅダダダ…!ヅダダダダ…!ギュロゴロロロ!ブロオォォン!!(ギャン!ギァアア~!!)』

その動画では大きな交差点で機銃を発砲していた90戦車が、アスファルトが傷むのもおかまいなしに超信地旋回。その場でモンスターの群れに向き直ると、急発進で体当たりをブチかましている…。

そこにはもう、放置車両を傷つけまいと遠慮していたかつての気後れが一切見られない。それはまるで、自衛官ひとりひとりがモンスターぜったい殺すマンになってしまったかのようだ。

(う~む、何が遭ったら自衛隊がこんな風に変わってしまうんだ?国賓とか誰か国の重要な人物が、この災害で亡くなったりしてしまったんだろうか…?)

…。

そうしてしばらくすると、仁菜さんが新スーツに身を包んで戻ってきた。

「ほら、ニュー衣装やぁ」
「おお、鮮やかだね!とてもよく似合ってるよ!」


綺麗な仁菜さんがこんな姿になると、オタ心に刺さりまくりでそれはもう宇宙規模で美しい。

そんな仁菜さん専用赤蠍スーツは従来の構造を踏襲しつつも、バットみたいな一体型手首はやめてガントレット状に変更されている。そしてその長い脚のすねには鉤爪鋸が新たに装備され、防御面だけでなく攻撃力も大幅に強化された。そしてリクエストにより肩部分には、より防御力を高めるために厚みのある外殻が取り付けられている。

「もっと派手になるのかと思ったら、シズが着ると品良く視えるのだから不思議よね~」
「そうだね、静ちゃんすごく綺麗!」

うむ、ふたりの言う通り真っ赤というド派手な色味の割に、仁菜さんが身に着けているとやけにシックな感じというか落ち着いて視える。

うん、まぁそうだよな。世界的にも有名な真っ赤なスポーツカーも、そのデザイン性とか機能美で決して下品だとは感じないもんな。う~む、なんでオレだけ山車になっちゃんだろ??

「ありがとう。ん~でもコレやと、前よりすこし動き難いかもしれんね…」
「ああ、巨大赤蠍の外殻は硬くて丈夫な分、蟲王スーツよりしなりや弾性は低いからね。具合が悪いなら可動部だけでも蟲王スーツと変更する?」

「ううん、そこまでやないから大丈夫や。それにウチはカウンター狙って待ち構える方やし、防御力のあるほうが嬉しいわ」
「そうか、なら不具合があったら言ってね。と、いってももう自分で直せるか」

「ふふ、そやね。せやから心配いらんよ。ありがとうなぁコォチ」

「あ~あ。でもこれで防御力ナンバー1の座は、シズに譲ることになっちゃったか~」
「でも万智ちゃんのスーツは空も飛べるんでしょ?」

「ああうん…、でも自分で自由には使えないんだもん」
「ま、ウチらも素材の加工ができるようになったんやし。万智も自分のスーツ手入れしとるうちに、何かしら気付くんやない?」

「それもそうね。あ~…ただ私、飛べても高いところ苦手だからなぁ~」
「ふふ、そら悩ましいところやねぇ」

「なら、慣れるのにまた川までひとっ飛びしようか?今日は結構いい風が吹きそうだ」
「アレはもうやめてっていってるでしょ~!もぉ~~!」

「「「ハハハ!」」」


『―でありまして、今週中にもダンジョンスタンピードを終結させるべく国の総力をあげて―』
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