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自衛官、路亜九郎
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自衛官、路亜九郎は疲労の極致にあった。
もう幾度、モンスターどもを退けたか解らない。その足でよろよろと73式小型トラックの助手席に乗り込むと、誰の飲みかけかも解らない珈琲で喉を湿らし、深く、深く息を吐いた。
「はぁ~~~~………ッ」
ツライ…。
動悸と眩暈がして、呼吸がいくら待っても整わない。
この仕事に就くと決めた時から泣き言は決して言わぬと誓った路亜ですら、今の状況には耐えがたいものがあった。
避難所となっていた女子高へと補給物資を輸送した路亜たち。
だがその後に送られてくるはずの追加の物資が、何時まで経っても届かなかった。しかも再三確認の問い合わせを入れても、ただ連絡を待てとだけの一点張り。そこでやむなく部隊を維持する為の食料も被災した人達に分配し、路亜たち自衛官らは腹を空かせつつもなんとか凌いでいた。
が、その後に通達されたのは「物資欠乏により今後の補給は途絶の恐れあり。よって総員総攻撃をもって現状を打開せよ」などという、まるで旧日本軍の大本営が出しそうなとんでもない命令が送られてきたのだった。
さすがにこれには正気かと疑い、すぐに上官へと確認をとった。
しかしその命令が防衛大臣から出されたものだと知ると、路亜は頭を抱えた。防衛大臣がそんな命令を出したとするならば、それはその上の内閣ないし総理大臣からの命令だと容易に察しがついたからだ。
…。
そして今、俺はどこにいる…?
何日寝ていない…?もう5日か、いや6日か…?
その間の記憶ももはや断片的で、自分が今どこにいるのかすらも解らない。
ともかくもなんとか眠気を払おうとポケットに入れておいた清涼剤を口に含もうとして、疲労は極致に達しそのまま意識を手放してしまった。。。
……。
初めてダンジョンが地球の現れた日、自衛隊内でも大きな衝撃が走った。
だがその後、日本の国土に出現した謎の特異迷宮を調査する為に自衛隊が駆り出された。そしてなかにいたのは、異形の化け物。
政府は自衛隊に、この特異迷宮ことダンジョンの駆除が可能なのかの調査を追って命じた。そんなダンジョン突入部隊に、路亜は配属されたのだった。
突入部隊は2チームのよって編成され、第一線でモンスターと戦うアタックチームと後方で援護や補給を行うサポートチームに分かれていた。
こうして幾度かの調査を行っていると、アタックチームが大量にモンスターの溜っていたエリアを駆除したのか突然後方にいた路亜たちの周囲に少なくない数のモンスターが出現。サポートチームに配属されていた路亜はこの事態に臆することなくモンスターと戦い、これを駆除した。
が、イレギュラーが発生。どういう訳なのか、そこで路亜はスキルを習得してしまったのだ。
しかし体調の異変とステータスの確認により状況を確認した路亜は、即座に上官へと報告。だがサポートチームにはモンスターの落とした物の回収という任もあったことから、スキルを取得できる希少なドロップをネコババしたのではないかという嫌疑が、路亜にかけられてしまった。
それは後に同様のケースがいくつか発生し、スキルの自己習得は偶発的に起こるものだということが確認された。が、当時はまだ誰にも知られておらず、路亜はそれを理由に突入部隊から外されたのだった。
それはいい。疑われるのも当然。
サポートチームは後方から追いかけながら、アタックチームが倒したモンスターのドロップを回収していたのだから。しかし突如スキルという未知の力を手にした路亜に周囲からは妬みと疑いの目が向けられたことで、疑いの晴れた後も突入部隊へと戻ることを希望しなかった。
以降は地上勤務となり、路亜はダンジョンから漏れ出てきたモンスターの駆除にあたった。
それでも最初期からダンジョンへと潜っていた路亜はスキルを抜きにしても他の自衛官らより頭ひとつ飛び抜けており、なにかと面倒なモンスターの相手をさせられる事が多かった。
モンスターの中には、特殊な能力を用いて物理的な攻撃を無効化してくる存在もあったのだ。
そうなるともう銃火器であっても歯が立たない。また実体のない幽霊のようなアンデッドも、それと同様であった。
しかし路亜の偶然取得した【闘気】というスキルを用いれば、そういったモンスターにも有効なダメージを与えられたのだった。
「路亜おきろ!おい、眼を覚ませ!」
「…ぅ!?」
眼を覚ますと、ヘルメットの下の顔を煤と血で汚した同僚がドア越しに路亜の肩を揺すっていた。
「悪い!また実体のないアンデッドだ、頼む!」
「う…そうか。わかった…」
そうしてヘルメットを被りなおし前線へと駆け戻った路亜。だがモンスターと対峙し戦うためにスキルを発動した途端、意識を失いそのままバタリと倒れ込んでしまうのであった。
「GAHHH--!」
「「じ、路亜ーーーッ!?」」
もう幾度、モンスターどもを退けたか解らない。その足でよろよろと73式小型トラックの助手席に乗り込むと、誰の飲みかけかも解らない珈琲で喉を湿らし、深く、深く息を吐いた。
「はぁ~~~~………ッ」
ツライ…。
動悸と眩暈がして、呼吸がいくら待っても整わない。
この仕事に就くと決めた時から泣き言は決して言わぬと誓った路亜ですら、今の状況には耐えがたいものがあった。
避難所となっていた女子高へと補給物資を輸送した路亜たち。
だがその後に送られてくるはずの追加の物資が、何時まで経っても届かなかった。しかも再三確認の問い合わせを入れても、ただ連絡を待てとだけの一点張り。そこでやむなく部隊を維持する為の食料も被災した人達に分配し、路亜たち自衛官らは腹を空かせつつもなんとか凌いでいた。
が、その後に通達されたのは「物資欠乏により今後の補給は途絶の恐れあり。よって総員総攻撃をもって現状を打開せよ」などという、まるで旧日本軍の大本営が出しそうなとんでもない命令が送られてきたのだった。
さすがにこれには正気かと疑い、すぐに上官へと確認をとった。
しかしその命令が防衛大臣から出されたものだと知ると、路亜は頭を抱えた。防衛大臣がそんな命令を出したとするならば、それはその上の内閣ないし総理大臣からの命令だと容易に察しがついたからだ。
…。
そして今、俺はどこにいる…?
何日寝ていない…?もう5日か、いや6日か…?
その間の記憶ももはや断片的で、自分が今どこにいるのかすらも解らない。
ともかくもなんとか眠気を払おうとポケットに入れておいた清涼剤を口に含もうとして、疲労は極致に達しそのまま意識を手放してしまった。。。
……。
初めてダンジョンが地球の現れた日、自衛隊内でも大きな衝撃が走った。
だがその後、日本の国土に出現した謎の特異迷宮を調査する為に自衛隊が駆り出された。そしてなかにいたのは、異形の化け物。
政府は自衛隊に、この特異迷宮ことダンジョンの駆除が可能なのかの調査を追って命じた。そんなダンジョン突入部隊に、路亜は配属されたのだった。
突入部隊は2チームのよって編成され、第一線でモンスターと戦うアタックチームと後方で援護や補給を行うサポートチームに分かれていた。
こうして幾度かの調査を行っていると、アタックチームが大量にモンスターの溜っていたエリアを駆除したのか突然後方にいた路亜たちの周囲に少なくない数のモンスターが出現。サポートチームに配属されていた路亜はこの事態に臆することなくモンスターと戦い、これを駆除した。
が、イレギュラーが発生。どういう訳なのか、そこで路亜はスキルを習得してしまったのだ。
しかし体調の異変とステータスの確認により状況を確認した路亜は、即座に上官へと報告。だがサポートチームにはモンスターの落とした物の回収という任もあったことから、スキルを取得できる希少なドロップをネコババしたのではないかという嫌疑が、路亜にかけられてしまった。
それは後に同様のケースがいくつか発生し、スキルの自己習得は偶発的に起こるものだということが確認された。が、当時はまだ誰にも知られておらず、路亜はそれを理由に突入部隊から外されたのだった。
それはいい。疑われるのも当然。
サポートチームは後方から追いかけながら、アタックチームが倒したモンスターのドロップを回収していたのだから。しかし突如スキルという未知の力を手にした路亜に周囲からは妬みと疑いの目が向けられたことで、疑いの晴れた後も突入部隊へと戻ることを希望しなかった。
以降は地上勤務となり、路亜はダンジョンから漏れ出てきたモンスターの駆除にあたった。
それでも最初期からダンジョンへと潜っていた路亜はスキルを抜きにしても他の自衛官らより頭ひとつ飛び抜けており、なにかと面倒なモンスターの相手をさせられる事が多かった。
モンスターの中には、特殊な能力を用いて物理的な攻撃を無効化してくる存在もあったのだ。
そうなるともう銃火器であっても歯が立たない。また実体のない幽霊のようなアンデッドも、それと同様であった。
しかし路亜の偶然取得した【闘気】というスキルを用いれば、そういったモンスターにも有効なダメージを与えられたのだった。
「路亜おきろ!おい、眼を覚ませ!」
「…ぅ!?」
眼を覚ますと、ヘルメットの下の顔を煤と血で汚した同僚がドア越しに路亜の肩を揺すっていた。
「悪い!また実体のないアンデッドだ、頼む!」
「う…そうか。わかった…」
そうしてヘルメットを被りなおし前線へと駆け戻った路亜。だがモンスターと対峙し戦うためにスキルを発動した途端、意識を失いそのままバタリと倒れ込んでしまうのであった。
「GAHHH--!」
「「じ、路亜ーーーッ!?」」
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