うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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再会トラブル

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緑のなかを走り抜けてく林業トラック。

過積載なの、揺れて肉こぼれ落ちそうになるの。交差点では信号ないから警笛で通過~。でも唸っているから坂道きたなら降りて押してやる。ジャガジャン!

てな感じで草津の温泉街に着いた。

で、トラックが乗りつけたのは大きめのホテル。簡単に話を聞いたところでは現在近隣の地域から避難している人達は、学校や公民館のほかホテルの大広間が解放され、そこで避難生活を送っているそうな。

その一方でスタンピードの終息宣言をしたことで、国からの支援はストップ。

しかしスタンピードは終息したかもしれないが、ライフラインが復旧していない地域の人達などはなんの支援のないまま宙ぶらりんでの避難生活を余儀なくされているという。

うん…まぁ大変なのは解る。

けど自衛官の路亜さんからも物資が欠乏していてどうにもならないという実情を聞かされた身としては、なんともいえないものがあるな。

そしてトラックを降りたシシ撃ちおじさんこと笹山さんは、食糧の分配を支配人と話してくると言ってホテルに入っていった。

「「万智~ッ!」」
「あ、みんなぁ!元気だった~?」

と、それと入れ替わるようにして駐車場には瀬来さんのお友達登場。笑みを浮かべながら駆け寄ると、互いに手を取り合ってひさしぶりの再会を喜んでいる。

(友との再会か。ふふ、嬉しそうだな瀬来さん)

そんな様子を、トラックの荷台から眺めるオレ。うん。きっとたくさん積もる話もあるだろうから、無粋に邪魔したりなんかしないよ。ここは遠くに視える山の緑に眼を細め、ひとり静かに荷物番さね。

だがそんな和やかな雰囲気の駐車場に、ズンズンドコドコと重低音を響かせた尖った雰囲気の車が何台も入ってくる。さらには車から武装した若者がワラワラ降りてきたことで、途端に周囲は騒がしくなってしまう。

(むむ、どうやらあの連中も能力者のようだな。地元の人間か?)

力はさほど感じないが、モンスターと戦えるような武装しているという事は、そうなのだろう。

そして車のナンバープレートから察するに、地元民で間違いない筈。彼らは身内でガヤガヤと騒々しくしつつも、車からなにやら荷物を降ろしている。

(ふ~む…。あ、もしかしてこいつらが、オレの車の前に山ゴブリンを落とした犯人か?)

落したというか勝手に落ちたというか。

不可抗力ではあったのだろうが、そう考えると少々面白くないな。ただまぁ確証がある訳ではないので、今すぐどうこうするつもりもない。そこで様子を窺っていると、そのうちの何人かが友人と立話をしている瀬来さんの存在に気が付いた模様。

そうして肩を叩いたり名を呼びあったりして集まると、ひとりの男を先頭に瀬来さんへと近づいていった。

「よぉ!無事だったのか万智!ひさしぶりだな、ずっと心配してたんだぞ!」

男は瀬来さんに向け、満面の笑顔で声をかけた。

とびきりの美青年。という程でもないが、いっしょにいる連中のなかでは十分イケメンで通る容姿。そして見た目にも相当気を使っているらしく、決まった髪型のほか腕時計からネックレスにピアスと、オシャレアイテムフル装備だ。

「あ、どうも…。でもご心配なく」

しかし声をかけられた当の瀬来さんはというと、一歩下がって半身になっての塩対応。声のトーンも低く、これは明らかに気分を害しているご様子。

(はて、これはいったいどういうことだ…?)

そこでさらなる情報を得るため周囲の人物に眼を向けると、瀬来さんのご友人たちは早くもその場からたち去りたそうな顔。声をかけてきた男の後ろでは付いてきた連中が騒がしくしているが、そこに混じってる女性のひとりは、瀬来さんを射抜くような視線で睨みつけている。

(う~む、どうも怪しい雲行きだな…)

とはいえ面識もないオレが、なんの脈絡もなく出ていく場面でもない。

うん。目の届く距離にいるし、ほんとに不味ければ瀬来さんからヘルプが入るだろう。よし、ここはもうしばらく様子を見守ろう。

「戻ってくるなら連絡くらいよこせよ。俺が迎えにいってやったのに」
「あ~…、家族の安否を確認しに戻っただけだから」

「万智。おまえ、特異迷宮能力者って知ってるか?今さ…俺、それなワケ。まぁ解りやすく言うと強いってこと?だからおまえのことも守ってやるよ」
「今も知り合いの手伝いをしてる途中なの。じゃあ忙しいから、また今度ね」

噛み合わない会話が続く。

だが男の方は親しげに話しかけるのに対し、瀬来さんはどこまでも塩対応。さらには友人らを促すと、男に背を向けホテルへと歩き出してしまった。

「チョ待てよ!さっきまでタラタラくっちゃべってたろ!車から見えてんだよッ!!」

そんな態度に我慢の限界に達したのか、男は駆けだすと背後から瀬来さんの右肩を掴んだ。

(おっと。そこまでいくと知り合いとはいえ、もう見過ごせないぞ)

「触らないでッ!!」
「ギャッ!?」

だがオレがトラックの荷台から飛び降りるよりも先に、ボキッと音がして男の右腕がひん曲がった。

掴まれた肩を振り払うように放たれた瀬来チョップが、男の腕を容易く折ってしまったのだ。あらま、無意識に【剛腕】ものせちゃったのかな?

「がァァ痛ぇッ!ま、万智てめぇ…ッ!」

痛みに膝をつきながらも、自身に怪我を負わせた瀬来さんを睨む男。

「え、なんでッ!?なにこの程度で折れてるのッ!?」

一方瀬来さんは慌てた時の癖で、思った事をそのまま口にしてしまっている。う~む、これは悪気はなくても、煽りにしか聞こえない。

「「「……」」」

あ、ほらもぉ…。これには後ろで騒いでた連中も黙っちゃったじゃない。参ったねこりゃ。
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