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カンガルー
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骨ハンマーが風を切り、マッシヴカンガルーをボッコボコにする瀬来さん。
それになんとか反撃をしようとするマッシヴカンガルー。だが、呼吸も出来ず目も耳も利かないのではそれもおぼつかず、ただフラフラするばかり。そこへさらに追加の粘液が放たれ、もはや袋叩き状態に。
「逃がすもんですか!粘液ッ!!」
骨ハンマーがふるわれる度に鈍い音が響き、こうなるともうただの動物虐待にしかみえない。
(ん、まてよ動物…先入観…!?ハッ、もしや!)
「これで、トドメェ~~ッ!」
「待ったッ!」
大きく振りかぶられた骨ハンマーがマッシヴカンガルーの後頭部に振り下ろされる直前で、ピタリと止まった。
「もぅ、なんで止めるのよ江月さん!今夜のメニューはもうこのカンガルーって決めたんだから!」
いやいや食う気だったの??渾身の一撃を止められた瀬来さんはプンスコ怒っているが、これは是が非でも確認せねば。
「待つんだ瀬来さん。そのカンガルー、もしかしたら本物のカンガルーかもしれない!」
「え、どういうこと!?」
「タロと一緒だよ。ソイツもモンスターではなく、ダンジョン能力を得た動物かもしれないってことさ」
「はぁ?恐ろしくおっきいから、動物とは思えないでモンスターと思い込んじゃったってこと??」
「そういうこと。だからどっちか確認するまでは、トドメはいったん待とうね」
「う~ん、どうみてもモンスターだと思うけど…あ」
そんな問答を続けているうちに、息が続かなかったのかマッシヴカンガルーはその場にドサリとのびてしまった。
……。
「ねぇ、あの子まだついてくるよ…」
「う~む、そのようだな。さっきの谷でまけると思ったんだが」
マッシヴカンガルーを調査した結果。モンスターではなく、地球に生息するカンガルーだという結論に至った。
モンスターならば、必ずどこかに歪な感じがあるもの。
だが、コイツには魔力は感じるもののソレがない。異常な角や牙の生え方をしている訳でもなければ、脚が何本もあるというわけでもなかったし。
不審な点は度の過ぎたマッシヴだが、それは能力者であるオレにも共通する点。故に、マッシヴカンガルーはダンジョン能力を得ただけのカンガルーである可能性が大。
恐らくはスタンピードの影響でどこかから逃げだしたカンガルーが、この山に迷い込んでしまったのだろう。
なのでそんなカンガルーがモンスターに襲われぬよう、介抱してやった。だが眼を覚ました途端興奮しツバを吐きかけてきたので、ついカッとなり頬ゲタ張り倒してしまった。
するともんどりうって木の幹に激突し、ふたたび目を回すピヨピヨ状態に。が、オレ達が帰路に着くと、どういうわけかあとを追ってついてきてしまっているのだ。
「にしてもスゴイ跳躍力やったねぇ。谷をひとっ跳びなんて、うちらでもできひんのに」
「そうだな。大きさの比率でいったら、ノミ並みの跳躍力といっていいだろう」
ふぅむ、これも種族特性とか種族ボーナスなんていうやつだろうか。
「ふふ、ノミにたとえられても、凄いんだか凄くないんだかわかんないよ江月さん」
「そうか?ノミって自分の身長の、何倍ものジャンプが出来るだろ?だからそう言いたかったんだけどなぁ」
……。
「わ、なによアンタ!なんで車に乗り込んでくるの!?」
オレ達が軽バンに乗りこむと、なんとマッシヴカンガルーまでもが車内に入り込んでくる。しかも後部の荷物用ドアを、自分で開けて。
「ふぅむ、タロと同じで賢いな。それに人にも車にも、だいぶ慣れている様子だ。やはりコイツは、どこかの動物園で飼われていたカンガルーらしい」
「ぶっしゅ、ふっしゅ!」
「わっ、ケモノ臭い!ちょっと!こっちに息吹きかけないでッ!」
後部座席に座っていた瀬来さんは、荷台に乗り込んできたマッシヴカンガルーに押され窮屈な状態に。
「もぉ~!なんとかしてよ江月さん!」
「う~む、普通は逃げた動物を捕まえる方が大変なんだがな…。まぁもう乗り込んでしまったんだ。このまま連れ帰って、お爺さんに相談してみよう」
「それがええやろね。ウチらじゃこの辺のことよう知らんし、お爺さんに相談するんが一番やろな」
「えぇ!?ってことは私うちに着くまでこのままなのぉ~!??」
「ぶふっしゅ、ぶふっしゅ!」
「ちょっとヤダぁ!顔こっち向けないで~!!」
「万智、しばらく辛抱しときぃ」
「もぉ~~~ッ!」
…
こうして家に到着すると瀬来さんは井戸に直行し、しつこいくらいに洗顔。そして濡れたままの顔で納屋へと向かうと、お爺さんに愚痴をこぼした。
「ただいま、おじいちゃ~ん。もう、ちょっと聞いてよぉ~!」
「おかえり万智。なんじゃ、どうした?」
「きょう山でカンガルーひろっちゃってね、大変だったのぉ!」
「ほぅ、暴れでもしたんか?」
「え、なんで解るのおじいちゃん!?」
「うちでも昔は飼っとったからの。なかには気ぃ強いのもおったぞ」
(え、今なんて…?)
「そうなの!?じゃあ、おじいちゃんがカンガルー飼う?」
「おう、なんもね」
「じゃあ、おねがいね。ああ良かった!私たちじゃ手に負えなくて困ってたの。江月さ~ん、シズゥ!おじいちゃんがカンガルー飼うってぇ!」
(あ…、いや。ソレ違うと思うよ…)
それからしばらくしてお爺さんが納屋から姿を見せたのだが、案の定マッシヴカンガルーを目にすると、見上げたままの姿勢で固まってしまった。
うん、お爺さん。カンガルーとカルガモを、聞き間違えちゃったのね。孫娘には飼うと気軽に約束しちゃってたけど、いったいこのあとどうするんだろ。
それになんとか反撃をしようとするマッシヴカンガルー。だが、呼吸も出来ず目も耳も利かないのではそれもおぼつかず、ただフラフラするばかり。そこへさらに追加の粘液が放たれ、もはや袋叩き状態に。
「逃がすもんですか!粘液ッ!!」
骨ハンマーがふるわれる度に鈍い音が響き、こうなるともうただの動物虐待にしかみえない。
(ん、まてよ動物…先入観…!?ハッ、もしや!)
「これで、トドメェ~~ッ!」
「待ったッ!」
大きく振りかぶられた骨ハンマーがマッシヴカンガルーの後頭部に振り下ろされる直前で、ピタリと止まった。
「もぅ、なんで止めるのよ江月さん!今夜のメニューはもうこのカンガルーって決めたんだから!」
いやいや食う気だったの??渾身の一撃を止められた瀬来さんはプンスコ怒っているが、これは是が非でも確認せねば。
「待つんだ瀬来さん。そのカンガルー、もしかしたら本物のカンガルーかもしれない!」
「え、どういうこと!?」
「タロと一緒だよ。ソイツもモンスターではなく、ダンジョン能力を得た動物かもしれないってことさ」
「はぁ?恐ろしくおっきいから、動物とは思えないでモンスターと思い込んじゃったってこと??」
「そういうこと。だからどっちか確認するまでは、トドメはいったん待とうね」
「う~ん、どうみてもモンスターだと思うけど…あ」
そんな問答を続けているうちに、息が続かなかったのかマッシヴカンガルーはその場にドサリとのびてしまった。
……。
「ねぇ、あの子まだついてくるよ…」
「う~む、そのようだな。さっきの谷でまけると思ったんだが」
マッシヴカンガルーを調査した結果。モンスターではなく、地球に生息するカンガルーだという結論に至った。
モンスターならば、必ずどこかに歪な感じがあるもの。
だが、コイツには魔力は感じるもののソレがない。異常な角や牙の生え方をしている訳でもなければ、脚が何本もあるというわけでもなかったし。
不審な点は度の過ぎたマッシヴだが、それは能力者であるオレにも共通する点。故に、マッシヴカンガルーはダンジョン能力を得ただけのカンガルーである可能性が大。
恐らくはスタンピードの影響でどこかから逃げだしたカンガルーが、この山に迷い込んでしまったのだろう。
なのでそんなカンガルーがモンスターに襲われぬよう、介抱してやった。だが眼を覚ました途端興奮しツバを吐きかけてきたので、ついカッとなり頬ゲタ張り倒してしまった。
するともんどりうって木の幹に激突し、ふたたび目を回すピヨピヨ状態に。が、オレ達が帰路に着くと、どういうわけかあとを追ってついてきてしまっているのだ。
「にしてもスゴイ跳躍力やったねぇ。谷をひとっ跳びなんて、うちらでもできひんのに」
「そうだな。大きさの比率でいったら、ノミ並みの跳躍力といっていいだろう」
ふぅむ、これも種族特性とか種族ボーナスなんていうやつだろうか。
「ふふ、ノミにたとえられても、凄いんだか凄くないんだかわかんないよ江月さん」
「そうか?ノミって自分の身長の、何倍ものジャンプが出来るだろ?だからそう言いたかったんだけどなぁ」
……。
「わ、なによアンタ!なんで車に乗り込んでくるの!?」
オレ達が軽バンに乗りこむと、なんとマッシヴカンガルーまでもが車内に入り込んでくる。しかも後部の荷物用ドアを、自分で開けて。
「ふぅむ、タロと同じで賢いな。それに人にも車にも、だいぶ慣れている様子だ。やはりコイツは、どこかの動物園で飼われていたカンガルーらしい」
「ぶっしゅ、ふっしゅ!」
「わっ、ケモノ臭い!ちょっと!こっちに息吹きかけないでッ!」
後部座席に座っていた瀬来さんは、荷台に乗り込んできたマッシヴカンガルーに押され窮屈な状態に。
「もぉ~!なんとかしてよ江月さん!」
「う~む、普通は逃げた動物を捕まえる方が大変なんだがな…。まぁもう乗り込んでしまったんだ。このまま連れ帰って、お爺さんに相談してみよう」
「それがええやろね。ウチらじゃこの辺のことよう知らんし、お爺さんに相談するんが一番やろな」
「えぇ!?ってことは私うちに着くまでこのままなのぉ~!??」
「ぶふっしゅ、ぶふっしゅ!」
「ちょっとヤダぁ!顔こっち向けないで~!!」
「万智、しばらく辛抱しときぃ」
「もぉ~~~ッ!」
…
こうして家に到着すると瀬来さんは井戸に直行し、しつこいくらいに洗顔。そして濡れたままの顔で納屋へと向かうと、お爺さんに愚痴をこぼした。
「ただいま、おじいちゃ~ん。もう、ちょっと聞いてよぉ~!」
「おかえり万智。なんじゃ、どうした?」
「きょう山でカンガルーひろっちゃってね、大変だったのぉ!」
「ほぅ、暴れでもしたんか?」
「え、なんで解るのおじいちゃん!?」
「うちでも昔は飼っとったからの。なかには気ぃ強いのもおったぞ」
(え、今なんて…?)
「そうなの!?じゃあ、おじいちゃんがカンガルー飼う?」
「おう、なんもね」
「じゃあ、おねがいね。ああ良かった!私たちじゃ手に負えなくて困ってたの。江月さ~ん、シズゥ!おじいちゃんがカンガルー飼うってぇ!」
(あ…、いや。ソレ違うと思うよ…)
それからしばらくしてお爺さんが納屋から姿を見せたのだが、案の定マッシヴカンガルーを目にすると、見上げたままの姿勢で固まってしまった。
うん、お爺さん。カンガルーとカルガモを、聞き間違えちゃったのね。孫娘には飼うと気軽に約束しちゃってたけど、いったいこのあとどうするんだろ。
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