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残されし者
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江月たちが山ダンジョンでハチャメチャアドベンチャーをしていたその頃。糧品瑠羽は至極穏やかな日常を過ごしていた。
そして3人が部屋を留守にする間、鍵を預かっていた瑠羽は定期的にそれぞれの部屋を訪れては、掃除や換気を行なっていたのだった。
「うんしょっ…と。ふぅ、これでよし。フフ、旦那さんが出張で出かけてる時の奥さんて、こんな感じなのかな?」
まず江月の部屋を訪れた瑠羽は、高級羽毛布団を天日に干すとそんな独り言をつぶやきつつ鼻歌まじりに掃除をはじめる。
…。
「えと…、いらっしゃいませ!ダンジョンショップパレードへようこそ!…こんな感じかな?」
次いで訪れた瀬来万智のアパートでは、みつけたダンジョンショップパレードの衣装を胸に当て接客をしている自分を想像してみる。
「ん~、でも私に接客はムリかなぁ。フフ、私じゃ万智ちゃんみたいにはできないよね。大勢のお客さんがきたら、やっぱり慌てたりあがったりしちゃうもん」
なんだかんだで独りの状況を楽しみつつ掃除を終えると、瑠羽は敏腕ホームヘルパーの如く次いで仁菜静絵の部屋へと向かうのだった。
…。
「はぁ~、今日も終わったね。やっぱり静ちゃんの部屋がいちばん早いや。四畳半で荷物も少ないから、掃除もカンタンに済むんだもん」
(ホォムラァ~ン)
「うんうん、おまたせだねカツオちゃん。もう終わったから、バッティングセンターに行こうね」
(ホ~ムラ~ン!)
瑠羽の肩に背負われた可愛い柄の巾着のなかでは、カツオくんバットがバッティングセンターに行くのを今か今かと待ちわびていた様子。
そんなふたりがすみれ荘に続く細い砂利道から裏路地へと出てバス停に向かっていると、大きなリュックを背負った小学生くらいの少年2人が困っているのをみかけた。
「う~ん…マサ、ココってどの辺?」
「わかんない。あれぇ?ほんまドコなんやろ、すみれ荘って…」
(え、今あの子たち、すみれ荘って言わなかった?それにあの口調…)
すみれ荘という単語を聞き、瑠羽は少年ふたりへ声をかけてみることにした。
以前の瑠羽であればどうしようかとアワアワ悩んでいた場面だが、成長した今の瑠羽にはしっかりとそれができるようになっていたのだ。
「ねぇ、キミたち。ちょっと話してるのが聞こえたんだけど、もしかしてすみれ荘に行きたいの?」
すると困っていた様子の少年ふたりは、瑠羽からかけられた言葉に表情をパッと明るくする。
「あ、そうなんや!どこか場所知ってる?」
「ソコにな、ボクらのお姉ちゃんが住んどるんよ!」
「え、それじゃあ2人は、もしかして静ちゃんの弟さん…?」
「なんで知ってるの!?お姉さんボクらのお姉ちゃんと知り合いなの!?」
とても似た容姿のふたり。でもそのうちのマサと呼ばれていた子が、瑠羽の問いにひどく驚いた反応をかえしてくる。
「ウ、ウン。静ちゃんと私は、友達だよ」
「え、なんでなん?お姉さんもこの近所に住んどるとか?」
しかしもう一方の子は、瑠羽と静絵が友人関係であることに疑問を抱いた様子で首を傾げつつ訊いてきた。
「私もね、静ちゃんと同じ大学に通ってるんだよ」
すると少年ふたりはそれを聞き驚愕。
「え~!ぜんぜん見えないッ!!」
「うん。中学生くらいと思った!」
「あ…うん。それはよく言われる、かな…」
そんなふたりの反応に、実の姉にあんな色っぽいお姉さんがいたなら、私なんて同い年じゃなく中学生と思われただけでも良い方だよね…。と瑠羽は思うのだった。
……。
『カキンッ!』
カツオくんバットを握った少年が、飛んできたボールを見事ホームランと描かれたボードにヒットさせる。
「すごいや!このバット、なんだかボールの飛んでくる位置がわかってるみたいに動く!」
「ねぇユキ!はやく!早くボクにも代わってよ!」
そんな後ろ姿を、ベンチに座った瑠羽と利賀るりが缶ジュースを手に眺めていた。
「へぇ~、あの子らが静姉ェの弟たちなんだ」
「うん、急だったから私もビックリしちゃった」
大阪から突然会いに来て、姉を驚かせようとしていたという双子の弟。
しかし当の姉が今東京にいないと瑠羽の口から知らされると、萎れるように元気がなくなってしまった。そんなふたりを放っておくわけにもいかず、瑠羽は自宅に泊まれるよう母親に電話で相談。そうしてOKが出ると、カツオちゃんとの約束を果たす為バッティングセンターへ向かいつつ利賀るりにも相談のため連絡を入れたのだった。
「ま、昨日今日と、山のなかにいるのか万智とも連絡つかないもんな」
「そうなの。3人とも無事だといいんだけど…」
「大丈夫だろ。それよりジャングたち草津で何してんだ?アタシんとこにはさ…。ほら、万智からこんな写真が送られて来たぞ?」
「え、なぁに…?わぁ、万智ちゃんッ!?」
草津に行っている3人からは、瑠羽も頻繁にメッセージや写真を送ってもらっていた。
しかし利賀るりがその通信端末に表示してみせた写真には、マッチョなカンガルーに跨り凛々しくポーズを決める、ナポレオン風味な瀬来万智の姿が映っていたのだった。
そして3人が部屋を留守にする間、鍵を預かっていた瑠羽は定期的にそれぞれの部屋を訪れては、掃除や換気を行なっていたのだった。
「うんしょっ…と。ふぅ、これでよし。フフ、旦那さんが出張で出かけてる時の奥さんて、こんな感じなのかな?」
まず江月の部屋を訪れた瑠羽は、高級羽毛布団を天日に干すとそんな独り言をつぶやきつつ鼻歌まじりに掃除をはじめる。
…。
「えと…、いらっしゃいませ!ダンジョンショップパレードへようこそ!…こんな感じかな?」
次いで訪れた瀬来万智のアパートでは、みつけたダンジョンショップパレードの衣装を胸に当て接客をしている自分を想像してみる。
「ん~、でも私に接客はムリかなぁ。フフ、私じゃ万智ちゃんみたいにはできないよね。大勢のお客さんがきたら、やっぱり慌てたりあがったりしちゃうもん」
なんだかんだで独りの状況を楽しみつつ掃除を終えると、瑠羽は敏腕ホームヘルパーの如く次いで仁菜静絵の部屋へと向かうのだった。
…。
「はぁ~、今日も終わったね。やっぱり静ちゃんの部屋がいちばん早いや。四畳半で荷物も少ないから、掃除もカンタンに済むんだもん」
(ホォムラァ~ン)
「うんうん、おまたせだねカツオちゃん。もう終わったから、バッティングセンターに行こうね」
(ホ~ムラ~ン!)
瑠羽の肩に背負われた可愛い柄の巾着のなかでは、カツオくんバットがバッティングセンターに行くのを今か今かと待ちわびていた様子。
そんなふたりがすみれ荘に続く細い砂利道から裏路地へと出てバス停に向かっていると、大きなリュックを背負った小学生くらいの少年2人が困っているのをみかけた。
「う~ん…マサ、ココってどの辺?」
「わかんない。あれぇ?ほんまドコなんやろ、すみれ荘って…」
(え、今あの子たち、すみれ荘って言わなかった?それにあの口調…)
すみれ荘という単語を聞き、瑠羽は少年ふたりへ声をかけてみることにした。
以前の瑠羽であればどうしようかとアワアワ悩んでいた場面だが、成長した今の瑠羽にはしっかりとそれができるようになっていたのだ。
「ねぇ、キミたち。ちょっと話してるのが聞こえたんだけど、もしかしてすみれ荘に行きたいの?」
すると困っていた様子の少年ふたりは、瑠羽からかけられた言葉に表情をパッと明るくする。
「あ、そうなんや!どこか場所知ってる?」
「ソコにな、ボクらのお姉ちゃんが住んどるんよ!」
「え、それじゃあ2人は、もしかして静ちゃんの弟さん…?」
「なんで知ってるの!?お姉さんボクらのお姉ちゃんと知り合いなの!?」
とても似た容姿のふたり。でもそのうちのマサと呼ばれていた子が、瑠羽の問いにひどく驚いた反応をかえしてくる。
「ウ、ウン。静ちゃんと私は、友達だよ」
「え、なんでなん?お姉さんもこの近所に住んどるとか?」
しかしもう一方の子は、瑠羽と静絵が友人関係であることに疑問を抱いた様子で首を傾げつつ訊いてきた。
「私もね、静ちゃんと同じ大学に通ってるんだよ」
すると少年ふたりはそれを聞き驚愕。
「え~!ぜんぜん見えないッ!!」
「うん。中学生くらいと思った!」
「あ…うん。それはよく言われる、かな…」
そんなふたりの反応に、実の姉にあんな色っぽいお姉さんがいたなら、私なんて同い年じゃなく中学生と思われただけでも良い方だよね…。と瑠羽は思うのだった。
……。
『カキンッ!』
カツオくんバットを握った少年が、飛んできたボールを見事ホームランと描かれたボードにヒットさせる。
「すごいや!このバット、なんだかボールの飛んでくる位置がわかってるみたいに動く!」
「ねぇユキ!はやく!早くボクにも代わってよ!」
そんな後ろ姿を、ベンチに座った瑠羽と利賀るりが缶ジュースを手に眺めていた。
「へぇ~、あの子らが静姉ェの弟たちなんだ」
「うん、急だったから私もビックリしちゃった」
大阪から突然会いに来て、姉を驚かせようとしていたという双子の弟。
しかし当の姉が今東京にいないと瑠羽の口から知らされると、萎れるように元気がなくなってしまった。そんなふたりを放っておくわけにもいかず、瑠羽は自宅に泊まれるよう母親に電話で相談。そうしてOKが出ると、カツオちゃんとの約束を果たす為バッティングセンターへ向かいつつ利賀るりにも相談のため連絡を入れたのだった。
「ま、昨日今日と、山のなかにいるのか万智とも連絡つかないもんな」
「そうなの。3人とも無事だといいんだけど…」
「大丈夫だろ。それよりジャングたち草津で何してんだ?アタシんとこにはさ…。ほら、万智からこんな写真が送られて来たぞ?」
「え、なぁに…?わぁ、万智ちゃんッ!?」
草津に行っている3人からは、瑠羽も頻繁にメッセージや写真を送ってもらっていた。
しかし利賀るりがその通信端末に表示してみせた写真には、マッチョなカンガルーに跨り凛々しくポーズを決める、ナポレオン風味な瀬来万智の姿が映っていたのだった。
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