うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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為せるかな?

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井戸端にゴザを敷き、その周囲には丁寧に木箱を並べていく。

「ナっせるかな?為っせぬかな?はてさてヌフ~ン」
「え~、なぁにその歌?」


おや、瀬来さんは雄々しき神獣と共に旅を続ける、偉大な長身アルケミストの冒険物語をご存知ない?てまぁ、オレもゲームのパロとかで元ネタをちゃんと知ってるわけでもないけど。

「なんだろうね?たまたま口をついて出ただけだよ」
「ふ~ん」

さて、オレがいま何をしているのかというと錬金術、アルケミストの真似事だ。

というのも今は夏場。とっても暑いのでなんでもすぐに腐ってしまう。そしてオレのスキル【空間】で生み出せる空間庫には、イカした冷蔵機能もなければ時間を停止させるなどといった素敵機能なんてモノもない。

故にこのままでは、せっかく手に入れた解毒効果と回復効果を併せ持つ万能回復薬な超巨大アブラムシの体液が腐ってしまうのだ。

うん、それは非常にもったいない。

コレを真田薬品さんに持ちこめば、いったい幾らの値がつくのかって話。まぁオレ達が知らないだけで、もうすでに解毒効果や回復効果を併せ持つ薬品の開発にも成功しているかもしれないけど。が、それでも別系統で同様の効果を持つ薬というのは、研究資料として有用だろう。

もちろん帰ってきてすぐ瀬来さん宅の冷蔵庫に保存してもらったり、即瓶詰めして井戸の底に沈めて保冷しているモノもある。

ただ…オレの空間庫には、1トン近い超巨大アブラムシの体液がまだまだ眠っているのだ。戦闘中、「あ、コレは良いモノだ!」とピンときて咄嗟に空間庫を生み出したけど、思って以上に入ってたわ。

そこでなりふり構わず東京までダッシュで戻り、このまま真田薬品さんに駆け込むという手も無くはない。

しかしそれをするとオレが密輸バンザイな空間庫持ちだというのがバレてしまうし、それを恐れ他の容器を準備してる間に大事な体液が腐敗してしまっては元も子もない。

それに、それらは全て獲らぬ狸のコンピュート。

体液が超高額で買い取ってもらえるとか、すべてが上手い方向に転がったらそうなるよねってな感じの予想に過ぎないのだから。なのでそれを既定のものとして突っ走ってしまうのも、どうかと思う。

それに万能回復薬は、戦闘で負傷する可能性の高いオレ達には必須のアイテム。なので全てを売ってしまうなんて事もしたくない。

仁菜さん瀬来さんも超巨大アブラムシを倒した際に、簒奪効果で【甘露】や【糖】なんてスキルを手に入れた。

が、現段階での回復効果はたぶん栄養ドリンクレベル。そこでふたりのスキルが上昇しちゃんとした回復効果を持つようになるまでは、超巨大アブラムシの体液がオレ達の生命線ともいえる。

故にその薬効を維持しつつ、腐らないようどうにかしなければならないのだ。

ただそんなスゴイ効果があるなら「このままでも腐らないんじゃね?」ともチラと考えた。でも体液以外にもちぎれた組織片なんかも混じってるので「ん~このままだったらまぁ腐るよな~」てのが現状ダス。

そんな訳で朝から麓まで車で下りて行って、調べてみつけた100均のお店にて大量の空きビンを購入。

化学知識に疎いオレでも、薬品の保存にはガラス瓶が最も適している事くらいは知っているのだ。だたそれだけでは無論足りないので、ホームセンターでも漬物に使うようなポリバケツなんかも大量購入。まぁコッチで保存する分は、上手くいったらお慰みといったところか。

ともかく、超巨大アブラムシの体液に酸や塩を添加したり加熱したりと色々やってみて、腐らない万能回復薬ポーションを完成させたい所存。

「さぁてやるぞ。江月のアトリエ開業だ!」
「「ぴぴぃ~!」」


うんうん。ゴザに木箱と非常にお粗末な滑り出し。

でもウチのアトリエでは、序盤から小妖精さん達がお手伝いをしてくれるからな。これはもう、完成したも同然だ。
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