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skill tournament / ejection
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「いや~、負けた負けた!ツキがなかったなぁ~」
控室の扉をあけると、そんな風におどけて入室してみせるオレ。
いや、だって。負けたことで年下のシャークたちに気を遣わせたくなんかないジャンか。なのでココは変に気を遣われるより、オレからおどけてみせサラッと流して欲しいってモンですよ。
「惜しかったなぁジャング。アレ絶対勝ったと思ったのに!」
と、そんな気持ちを汲んでくれたのか、シャークもまた明るい調子で返してくれる。
「お疲れ様でした」
「ああ、雛形くんもありがとう。残念ながらココまでだったよ」
「いえ、とても凄かったと思います」
そして今回の試合でも対戦相手を酷い目に遭わせてしまったが、結月ちゃんの心象もそう悪くなかったようだ。
そうしてふたりに手伝ってもらいながらのんびりスーツを抜いでいると、そこへ姿の見えなかった瀬来さんも戻ってきた。
「(がちゃ)あ、お疲れ師匠~。残念だったね~」
しかしここで外した蟲王パーツ右腕を持ったシャークが、そんな軽い調子で話す瀬来さんに対し目を三角にして怒りだした。
「オイ、残念だったねェ~、じゃねぇよ万智!今までドコ行ってたんだよッ!?」
「あら、言ったでしょ?隣の試合観てくるって」
「だからって一度も戻ってこないなんてアリか!?ジャングの応援もしないでよ!」
だが、そうプリプリと怒るシャークに、肩を竦めて苦笑してみせる瀬来さん。
「ねぇいいシャーク、そもそもこんな場所で師匠が本気出せるわけないじゃない?あなただって大会のレギュレーション、みたでしょ?それに、事情だってあるんだし…。だからガンバって応援する必要なんて、ぜんぜんないのよ。ねェ師匠?」
「ん…うむ。まぁな」
「でもよぉ!」
「…私は師匠の強さをよく知ってるし、信頼もしてる。それは、他の誰よりもね…。だから負けたことなんてなんとも思ってない。それに適当なところで負けるって解ってるんだから、他の選手を観にいった方が何倍もいいでしょ?」
「ム…!」
「それを誘ったのに応援するんだってきかなかったのは、あなたの方じゃない?」
「うぅ…だってさぁ!」
ふ~む、なるほど。オレのいない間にそんなやり取りがあったのか。
シャークと結月ちゃんは、試合にでるオレを応援してくれていた。一方で瀬来さんは、オレの状況をよく理解して動いていたと。そういうことだな。
うむ、ならば…。
「シャーク、応援ありがとう。おまえと結月ちゃんのサポートで、オレは実に気持ちよく戦えた。そして瀬来さんが他の選手をみてどう思ったのか、それを聞くのが今から楽しみだよ」
シャークは試合に出るオレを、自分達で応援してやらねばと思ってくれたのだろう。
ありがたいことだ。そして瀬来さんも、オレの立場や状況をとてもよく理解してくれていた。うむ、自分を解かってくれる人がいる…。これもまた、とてもありがたいこと。
「ふたりともオレの事を考えて動いてくれたんだ。だからなんの不満もないし、あるのは感謝だけさ。だからありがとう、ふたりとも!」
「ふふ、ホラねシャーク。これで解ったでしょ?」
「チェッ…、もぉ解ったよ」
こうして、オレはスキルトーナメントの2回戦反則負けとなったのだった。
…。
「あの、でも…。ここに置いてあるプリントには、閉会式の後で選手たちの慰労パーティーが開かれるみたいですよ?」
と、オレがすっかり私服に着替え終え帰り支度を始めていると、結月ちゃんがそんな事を口にした。
「いや雛形くん…」
「それは、流石にねェ…」
で、その言にオレと瀬来さんは眼を合わせ首を竦ませる。
ウン、こちとら対戦相手を2度とも酷い目に遭わせているのだ。しかもそのうちの1人は病院送りにしてしまった。1試合目に戦った肛門貴公子は、回復薬だけでは間に合わなかったらしい。
なのでそんな状況で慰労パーティーなんか参加しても、針の蓆でしかない。特にオレは、運営の上役にも睨まれちゃってるし。
だよね。それこそどのツラさげてって話だし、そんな悪名で名や顔を売るつもりもサラサラない。
かといって顔を晒さぬようパーティー会場でも覆面レスラーのように私服に蟲王マスク姿って、相当におかしいだろう。
「ま、違約金がナシになって参加賞が貰えるなら、それ以上は望まないよ」
「そうね。あ、さっき瑠羽に連絡取ったら、今日はお父さんもお母さんもうちにいるって言ってたわよ?」
「お、もう連絡つけてくれたのか。ありがとう、ならこのままお土産を渡しに行こうか」
「じゃあ今日は、瑠羽のおうちでしゃぶしゃぶパーティーね!」
「まぁ流れ的にはそうなるかな?」
うん、瀬来さんのお爺さんが、お土産にとたくさん持たせてくれたキノコとお野菜。
コレを新鮮なうちに、瑠羽にも食べさせてあげたい。若干だけど超巨大猪の塩漬け肉もあるので、しゃぶしゃぶパーティーをするには充分な量があるという訳だ。
「ねぇ、せっかくならカニしゃぶもしようよッ!」
「うむむ、でも量が多過ぎないか…?」
「だいじょうぶよ!どうせまた瑠羽のお母さんが近所におすそ分けするから!」
「なるほど、それもそうか。ならこれから瑠羽のうちに向かうとするか!」
「「おーッ!!」」
国破れて山河あり。オレも負けたがなんでもないさ。だってこれから、可愛い可愛い瑠羽に逢えるのだから。
控室の扉をあけると、そんな風におどけて入室してみせるオレ。
いや、だって。負けたことで年下のシャークたちに気を遣わせたくなんかないジャンか。なのでココは変に気を遣われるより、オレからおどけてみせサラッと流して欲しいってモンですよ。
「惜しかったなぁジャング。アレ絶対勝ったと思ったのに!」
と、そんな気持ちを汲んでくれたのか、シャークもまた明るい調子で返してくれる。
「お疲れ様でした」
「ああ、雛形くんもありがとう。残念ながらココまでだったよ」
「いえ、とても凄かったと思います」
そして今回の試合でも対戦相手を酷い目に遭わせてしまったが、結月ちゃんの心象もそう悪くなかったようだ。
そうしてふたりに手伝ってもらいながらのんびりスーツを抜いでいると、そこへ姿の見えなかった瀬来さんも戻ってきた。
「(がちゃ)あ、お疲れ師匠~。残念だったね~」
しかしここで外した蟲王パーツ右腕を持ったシャークが、そんな軽い調子で話す瀬来さんに対し目を三角にして怒りだした。
「オイ、残念だったねェ~、じゃねぇよ万智!今までドコ行ってたんだよッ!?」
「あら、言ったでしょ?隣の試合観てくるって」
「だからって一度も戻ってこないなんてアリか!?ジャングの応援もしないでよ!」
だが、そうプリプリと怒るシャークに、肩を竦めて苦笑してみせる瀬来さん。
「ねぇいいシャーク、そもそもこんな場所で師匠が本気出せるわけないじゃない?あなただって大会のレギュレーション、みたでしょ?それに、事情だってあるんだし…。だからガンバって応援する必要なんて、ぜんぜんないのよ。ねェ師匠?」
「ん…うむ。まぁな」
「でもよぉ!」
「…私は師匠の強さをよく知ってるし、信頼もしてる。それは、他の誰よりもね…。だから負けたことなんてなんとも思ってない。それに適当なところで負けるって解ってるんだから、他の選手を観にいった方が何倍もいいでしょ?」
「ム…!」
「それを誘ったのに応援するんだってきかなかったのは、あなたの方じゃない?」
「うぅ…だってさぁ!」
ふ~む、なるほど。オレのいない間にそんなやり取りがあったのか。
シャークと結月ちゃんは、試合にでるオレを応援してくれていた。一方で瀬来さんは、オレの状況をよく理解して動いていたと。そういうことだな。
うむ、ならば…。
「シャーク、応援ありがとう。おまえと結月ちゃんのサポートで、オレは実に気持ちよく戦えた。そして瀬来さんが他の選手をみてどう思ったのか、それを聞くのが今から楽しみだよ」
シャークは試合に出るオレを、自分達で応援してやらねばと思ってくれたのだろう。
ありがたいことだ。そして瀬来さんも、オレの立場や状況をとてもよく理解してくれていた。うむ、自分を解かってくれる人がいる…。これもまた、とてもありがたいこと。
「ふたりともオレの事を考えて動いてくれたんだ。だからなんの不満もないし、あるのは感謝だけさ。だからありがとう、ふたりとも!」
「ふふ、ホラねシャーク。これで解ったでしょ?」
「チェッ…、もぉ解ったよ」
こうして、オレはスキルトーナメントの2回戦反則負けとなったのだった。
…。
「あの、でも…。ここに置いてあるプリントには、閉会式の後で選手たちの慰労パーティーが開かれるみたいですよ?」
と、オレがすっかり私服に着替え終え帰り支度を始めていると、結月ちゃんがそんな事を口にした。
「いや雛形くん…」
「それは、流石にねェ…」
で、その言にオレと瀬来さんは眼を合わせ首を竦ませる。
ウン、こちとら対戦相手を2度とも酷い目に遭わせているのだ。しかもそのうちの1人は病院送りにしてしまった。1試合目に戦った肛門貴公子は、回復薬だけでは間に合わなかったらしい。
なのでそんな状況で慰労パーティーなんか参加しても、針の蓆でしかない。特にオレは、運営の上役にも睨まれちゃってるし。
だよね。それこそどのツラさげてって話だし、そんな悪名で名や顔を売るつもりもサラサラない。
かといって顔を晒さぬようパーティー会場でも覆面レスラーのように私服に蟲王マスク姿って、相当におかしいだろう。
「ま、違約金がナシになって参加賞が貰えるなら、それ以上は望まないよ」
「そうね。あ、さっき瑠羽に連絡取ったら、今日はお父さんもお母さんもうちにいるって言ってたわよ?」
「お、もう連絡つけてくれたのか。ありがとう、ならこのままお土産を渡しに行こうか」
「じゃあ今日は、瑠羽のおうちでしゃぶしゃぶパーティーね!」
「まぁ流れ的にはそうなるかな?」
うん、瀬来さんのお爺さんが、お土産にとたくさん持たせてくれたキノコとお野菜。
コレを新鮮なうちに、瑠羽にも食べさせてあげたい。若干だけど超巨大猪の塩漬け肉もあるので、しゃぶしゃぶパーティーをするには充分な量があるという訳だ。
「ねぇ、せっかくならカニしゃぶもしようよッ!」
「うむむ、でも量が多過ぎないか…?」
「だいじょうぶよ!どうせまた瑠羽のお母さんが近所におすそ分けするから!」
「なるほど、それもそうか。ならこれから瑠羽のうちに向かうとするか!」
「「おーッ!!」」
国破れて山河あり。オレも負けたがなんでもないさ。だってこれから、可愛い可愛い瑠羽に逢えるのだから。
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