うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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う~む、しかしスゴイな。世にインチキ商品数あれど、いまや人工妖精栽培キットなんてモノまで売られているとは。

「友よ…」
「…なぁに、ジャン氏?」

「ソレ、幾らしたの?」
「…3万2千円」

「ウソ、マジで!たっかッ!ゲーム機買える値段ジャン!?」

しかもソレ…。どっからどう視たって、ただのアクリル製植木鉢だよね。まぁ中に入ってるのは、水晶のザラメっぽいが。

そこで改めて視線を落とし、人工妖精栽培キットの説明書らしき紙を読んでみる。それに観念したのか、鉢を手に持った智も制止するのをやめた。

「ふむふむ…、人工妖精が貴方の夢を叶えます。貴方の敵を破壊するデストロイヤー。貴方を敵から守るディフェンダー。貴方を献身的に支えるサポーター…か。へぇ~、まぁそれなりのラインナップだな。で、智は何を買ったんだ?」
「う、うん。サ、サポーターだよ…」

そう問うと、ひどく言い難そうにしながらも答える智。

「ふぅむ、サポーターか。どれどれ、貴方を献身的に支えるサポーター。育成次第で優秀な執事にも、優しく労わるメイドにも成長可能。貴方の生活に潤いと優雅さを与えます…か」
「……」

と、説明文を読み終えると、オレは智へと視線を据え直した。

「友よ…」
「な、なんだいジャン氏?」

「ズバリ!おまえの欲しいのは執事でもメイドでもなく、それはもうキッツイ感じのS系美人女秘書だろうッ!!」
「グハッ!…な、なぜそれをッ!?」

「フハハ!解らいでかッ!いっしょにエロゲ買いに行く友を舐めるなよ?」
「あぁッ!そ、そういえばそうだったでゴザルぅ~~!!」

てかおまえもオレ好みな薄い本ゲットしてきてくれるんだから、おあいこだろ。

「それで、この人工妖精とやらはいつ生まれるんだ?」
「う~ん、それなんだけどさ…。朝晩に魔力を与えて、夜には1時間ほど月の光を浴びせるんだ」

「ほぉ…なんともそれっぽいな。お、ここにもそう書いてある」
「そうしてれば2週間くらいで生まれるって書いてあるんだけど、まだ生まれないんだよ…」

「ふ~む、ということはもう2週間は過ぎてるわけか」
「う、うん…」

そう言うと智は手にした鉢に視線を落とし、肩も落としてハァと溜息。まぁいいとこに勤めてて金持ってるとはいえ、3万ドブに捨てたと思えば痛いだろう。

「よし、解った。じゃあソレをみせてみろ。本物かどうか、オレがサイコメトリーしてみるから」
「エッ!ジャン氏そんなことも出来るの!?」

「勿論だ。我、ダンジョン能力者ぞ!」
「ウ、ウン!じゃあどうなってるのか見てみてよ!」

そうして渡された鉢を手に持ってみると、そこからは意外にも確かに魔力の気配が。しかも結構しっかりとしたモノだ。

「あれ…?偽物かと思ったら、どうやら本物っぽいぞ。たしかに魔力の気配が感じられる」
「ホ、ホント!?」

「ふ~む…でもそれ以上は解らんな。智、この中にはいったい何が埋まってるんだ?」
「わかんない。最初から、そのままの形で送られて来たんだ。だから詰め物のビニールを取っただけで、確認はしてないよ」

「なるほど、では何が埋まってるのか確認してみるか」
「だ、だいじょうぶかな?」

「まぁこうして水晶のザラメ石に埋まってるのだから、そこから取り出さなければ大丈夫だろう。表面の水晶だけ取り除いてみよう」
「うん…、ちょっとドキドキするね」

そこで中に埋まっているモノに影響のでないよう新品の割り箸を割ると、それで水晶ザラメを少しずつよけていく。オレのスキルで生み出した塩の箸だと魔力が高すぎて何か影響を与えてしまいそうだし、こういったのは金属の持つ気を嫌うハズ。なので金属製のピンセットでもなく、木の割り箸がベストであろう。

そうして水晶ザラメを慎重によけていくと、ちいさな青い石が埋まっているのが視えてきた。

(んッ!この青い石って…もしやッ!?)

色味が似ているのでもしかしたらだが、コレは強力なボス級からしかドロップしない青い魔石みたいだ。だとすると3万以上の価値はあるかもしれない…。

「智、コレは意外にいい買い物だったかもしれないぞ!」
「ホントに!?」

「ああ。でも妖精が芽吹いたり孵化してないのは、きっと注がれた魔力が少なかったせいだろう」
「じゃ、じゃあ上手くいくかもしれないんだね!」

「そうだな。よし、ではオレが後押ししてやるから、コレにおもいっきり魔力を注いでみろ」
「ウ、ウン!やってみるよ!!」

そうして、1時間ほどスキル瞑想にて智にじっくり気を練らせると、魔力を高め実践に臨んだ。

「さぁ目覚めろポクタンの女秘書!えぇ~いッ!!」

智が両手でアクリルの鉢を包み、魔力を注ぐ。

「ヨシ、そうだいいぞ!その調子でいけ!」

そしてオレは智の背に手をあて、オーラ療法の要領で魔力を練るのをアシストしてやる。

(ふふ、しかし人口妖精とはな…。いったいどんなのが生まれるか楽しみだ)

「…く、くるしい!」

しかし智は訓練をサボっていた為に、早くもガス欠を起こしてしまう。

「何をしてる!ほら、反応はだいぶ高まってきてるぞ、もう少しだ!」
「グゥ…!も、もうこれ以上はダメだよ…ジャン氏!」

「ええい、このままじゃ人口妖精が生まれずどうなるか解らんぞ!仕方ない、それッ!!」
「ぎゃああッ!」

そこで智の身体にオレの魔力を流し込んで、それを鉢へと注がせる。するとアクリル製の鉢が光り輝き、そのまま木っ端微塵に吹き飛んだ。

『きゅわわわわわわ…バァンッ!』

その爆発により部屋には煙がたちこめ、真っ白で何も視えない。そしてふたりともが煙に巻かれ、咳と涙がとまらない。

「「ゴホッ!ゴッホ!ゴえッふ…!!」」

だがそうして苦しんでいると、次第に煙が晴れてきた。

「だ、だいじょうぶか智ッ!」
「ゴホッ…!うぅ、ひどいよジャン氏~!」

しかしあれだけ煙たかった煙が綺麗に消え去ると、そこにはやや透けた石ノ〇正太郎風味なちっさいロボフェイスがプカリと宙に浮いていた。

「エッ!なにコレ!?」
「う~む…どうやらソレが、人口妖精らしいぞ?」

「そんなッ!美人で秘書どころか、人ですらないでゴザルよッ!?」

波に揺られているといった様子でプカプカと宙に浮かぶ、夜店で売ってるお面のような人口妖精。

う~む…。どうやらこれは、オレが智のイメージを上書きしてしまったらしい。昨日寝る前に、歴代特撮ヒーローオープニング集とか観てたしな…。最後に注いだ魔力がいけなかったのだろうが、これは智には言わないでおこう。
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