うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

文字の大きさ
484 / 660

ghost sweeper2

しおりを挟む
「おっと、ここは玄関先にも盛り塩をしておきましょう」
「はい、ありがとうございます!」

「オン ア ビ ラ ウン ケン…喝ッ!!」
「(うわぁ…)」

ごく普通な一般人の三原さんは、ただ塩を生み出すだけでも実にいいリアクションを返してくれる。そんな反応が嬉しくて、オレの退魔士ムーブにもつい熱が入っていた。

とはいえ法力や霊力なんてモノは、全くない。それでもオレにはそういった悪霊や呪いの類が、まったく怖くはなかった。

だってダンジョンから現れた恐ろしい姿のゾンビですら、塩おおさじ1で倒せるのだ。ならば地球上に既存していたような悪霊や呪いなど、まったくもって物の数ではないハズ。

なにせ塩精霊の塩太郎が奇御霊で常に共にあり、称号も【しょっぱい男】に【ソルトメイト】と塩尽くし。うむ、並みの悪霊であれば、それこそオレに触れた瞬間消し飛んでしまうことだろう。

と、そうして入室した三原さんのお部屋は、ごくごく普通の1DK。

ベランダ側の部屋にはベッドが置いてあり、普段はダイニングの方で過ごしているような物の配置。そしてテレビなんかも、ダイニングの方に置いてあった。

『(ぴちょん…ぴちょん…)』

ふむ、キッチン水栓のパッキンが劣化してるのかな。水の垂れ落ちる音が静かな部屋に響いているが、さりとて他におかしな様子はない。

「なにか感じる?江月さん…」

霊がでるということで、瀬来さん三原さんも息をころして周囲を見渡している。

「いいや、特には何も。それで、呪いのDVDというのは…?」
「あ、はい。アレです…」

そう三原さんが指差した先には、プレーヤーの上に置かれたDVDケース。そこでゆっくり近づくと、手を触れずに観察してみる。

「ふぅむ…コレはどうも、市販の生DVDを焼いたモノのようだな」

そこでまずは目利き。

目視で確認したところ、情報を隠蔽する為か紙などの取り除かれたプラケースのなかにDVDが入っている。そしてDVD自体も、真っ白でなにも書かれていない。ふむ、コレならいったい何が入っているのだろうと、つい再生してしまいそうだ。

「に、二度、気味が悪くて捨てたんです…。でもいつの間にかソレが戻っていて…」
「なるほど、ほかに霊障が起こるというのは?」

「はい。夜の、11時を過ぎたあたりからおかしな気配がして、酷い時はそれが朝までずっと…」
「そうか…。では正体を突き止めるには、夜を待った方がいいかもしれないな」

「え、いつもみたいにパパッと塩漬けにしちゃったら?」
「後の事を一切考えないのであればそれでいいだろうが、三原さんはまだここへ越したばかりというじゃないか。だから原因を突き止めて、出来たらその根を絶っておきたい」

「ふぅん、そういう見立てらしいわよ、どうする…?」
「はい、では、それでお願いします…」

「うむ…では今夜、オレがこの部屋に泊まってみよう。それによって何か解るかもしれない。ふたりは危険だから、今晩は瀬来さんのとこに泊まるのがいいだろう」
「そうね。じゃあそうしよっか」

「ごめんね、万智ちゃん」
「いいのよ、じゃあ江月さん。あとお願いね」

…。

『(ぴちょん…ぴちょん…)』

『(ピシ…!パキ…!)』

只今午前零時。三原さんの言っていたように、11時を過ぎたあたりからなにやらおかしな音が部屋のなかでするようになった。

(ふ~む…が、オレの眼には何も映らんな…)

ただの肉眼でなくオーラ視で周囲を注意深く見まわしても、なんら変化はみられない。するとあとはもう、呪いのDVDとやらを再生してみるよりないだろう。

「よし、では観てみるか」

こうしてオレは、ケースからDVDを取り出すとプレーヤーにセットしたのだった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~

虎柄トラ
ファンタジー
 下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。  意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。  女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。  敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。  剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。  一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。  快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...