うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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I want friends

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この日、オレは寂しさにロンリーハートだった。

いや、瑠羽は今も変わらず連絡をくれるし、仁菜さん瀬来さんもちょくちょくとメッセージや写真を送ってくれる。ただそれでも一日中いっしょにいた頃を思い出すと、やはり顔を見て話がしたいと思ってしまう。

だが彼女たちはアイドルとして、芸能界にデビューしてしまった。

それはそれで喜ばしいことなのだが、それによりさらに会える機会が減ってしまう事を考えると、ついそれを残念に思ってしまう気持ちが湧いてきたりも…。

ただその思いは彼女達には言わず、ソッと胸のなかに押しとどめる。

彼女たちの近況は、3人からもらう連絡で誰よりも知っている。そしてオレよりも若い彼女たちが懸命に頑張っているのは、日々もらうメッセージからもヒシヒシと伝わってきた。瑠羽の思い。そして瀬来さんに、仁菜さんの思い。それらは全て、とても素晴しいモノだ。

なので決して、そんなことを口にしてはいけない。

オレは彼女達よりも年上で大人なのだからして、後押しこそすれその脚をひっぱるような、その思いを鈍らせるような真似は決してしてはならないのだ。


また一方で、先日ウエポンラックシステムを渡した智は、実に楽しく冒険ができたらしい。

潜ったのは地の利のある月島ダンジョンで、大勢のひとが詰めかけイモ洗い状態だったらしい。が、そんななかでも仲間達と共にモンスターと戦い、その友情を深めたようだ。あまり無理をせず、特に回復薬や毒鱗粉を使う事も無く、智なり活躍できたと嬉しそうに電話で話していた。

うむ。この報告には、オレもホッと胸を撫で下ろした。

いったいどうなることかと心配していたのだが、それは杞憂だったようだ。そして友人らと楽しく冒険が出来たという智を、ほんのすこし羨ましく思った。

なにせオレはといえば、来る日も来る日も悪霊退治とドブさらいの日々。

まぁこれはこれでかつてないほどに稼げているので、ありがたいのは確か。昼間でも半日ちょいで20万30万なんて稼ぎはザラにあるし、深夜の悪霊退治なら一晩で100万を余裕で超えることも。

ちなみに特大青白フェイスの日は、一晩で400万オーバーの大台にのった。

特異迷宮対策省が仲介しているものの鉄道会社がスポンサーの企業案件で、悪霊を一体駆除して¥65000という契約だった。しかしフタを開けてみれば、その悪霊というのはオレにとっては雑魚のレッサーゴースト。そんなのが一晩で40体以上現れ、計測不能の特大青白フェイスはイレギュラーとして30体分として計算してくれた。

なので400万よりも、500万に近い金額になっている。

コレはスポンサーが、鉄道会社な為だ。鉄道会社がその設備などの不備で事故を起こすと、被害を蒙るのはその電車に乗っていた乗客全員ということになってしまう。すると賠償金が発生した場合、とんでもない額になってしまうからだ。なのでとても金払いが良かった。

そんなわけで文句を言うほどではないのだが、それでも流石に連日続くと堪えてくる。

かといって、じゃあ気晴らしに智の仲間達といっしょにダンジョンへ。というのもちょっと。智の戦闘能力でそれなりに活躍できたということは、それはそういうレベル帯だということ。なのでソコにオレが参加し混ぜてもらっても、明らかにオーバースペックで浮いてしまう。

オレは俺ツエ~でイイ気になりたいのではなく、仲間と共に冒険するアレやコレやの醍醐味的なモノを感じて、楽しみたいのだ。なので智のカメコ仲間らに混ぜてもらっても、結局は上級者として指導する立場になってしまうだろう。

うん、だよな…。

ただまぁ、それならば友達の友達という人間関係に気を使ったりするより、特異産業で行なっているダンジョンインストラクター業務の指導員として働いた方がナンボもマシ。ソッチであれば純粋にお客さんともてなす側として、立ち位置もハッキリする分やりやすい。

しかしソッチはソッチで、実に巧い事まわっていた。

銚子くんをはじめとした特異産業の社員たちがとても頑張ってくれているし、シャークと結月ちゃんのJKコンビも休日の指導員として絶賛活躍中。そんな綺麗に回っているとこにオレの口出し手出しは、余計であり無用の助だろう。

うむ。親とはツリースタンダップで、ルックオーバーゼア。

なにも綺麗に回っているところに、余計な真似をする必要はない。もしソレをするならば、オレもまたより頻繁に房総半島へと通わねばならなくなってしまう。うん、チョコチョコ来ては余計な茶々を入れる上司なんて、下からすれば邪魔でしょうがない存在だもんな。なのでオレはそんな風にはなりたくない。

しかし来る日も来る日も不衛生な下水道通いやグロキモなアンデッドの相手ばかりでは、流石に頭がおかしくなってしまう。そこで自身の精神衛生の為、オレは雲海さんを誘ってみることにした。

うん…、だってさ。考えてもみてよ。ドブさらいの方はともかく、迷える魂の相手ならどう考えても僧侶の仕事ジャンね。なのになんでオレみたいな金ピカ蟲男が死霊の相手してんの?おかしくね??そういうのって、やっぱり僧侶や坊さんの領分ジャン。どう考えたっておかしな金ピカ蟲男にやられた霊は、浮かばれないと思う。

と、そう結論づけたオレは、さっそく雲海さんのいるお寺を突撃訪問した。

「というわけでファッ休さんの出番ですよッ!」
「え、いきなり何を言い出すんですか江月さん!?」

しかし受付で呼び出してもらった雲海さんは、どういうことか意味が解らず目を白黒させている。

(ムゥ…、おかしい。ココに来るまでの道中、色々考えながら雲海さんにもしきりにテレパシーを送っていたのだが…)

「なるほど。つまりオレのサイキックパワーもまだまだということですか?」
「いや!もっと訳が分からないのでッ!もうちょっと順を追って説明頂けますか!?」

うむむ、そう言われては致し方ない。そこでオレは、順を追ってはじめから説明することにした。

…。

「なるほど…。いま都心の地下では、そんなことが起きているのですか…」
「そうです。だから今こそ!平和の為なら地獄に堕ちるのも上等だというファッ休さんの力が必要なのですッ!!」

オレは雲海さんほか寺のお坊さんらに熱弁をふるった。

「うむむ…死人が東京の地下を彷徨うとは。これはげに、由々しき事態でございますな…」
「まさにまさに。末法の世、ここに極まれり…」

うん、雲海さんをその気にさせるため死霊が悪霊がと声高に説明していたら、定例会議でもあったのかなんだか雲海さん以外のお坊さんも大勢集まってしまったのだ。

「南無…。これもまた、御仏の導きがあったのでしょう。お行きなさい雲海、行ってさ迷える霊の魂を浄罪し、御仏のもとへ送ってあげるのです…」
「ハッ!この雲海、大日如来さまの輝きを胸に!必ずや浄罪を為し遂げてみせまする!」

すると説得は成功し、雲海さんがオレの仲間になってくれた。
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