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養父が連れ去られて一週間ほどが経っていた。
王国の治安維持部隊が養父を捜索していたが、未だ全く進展はなく、養母もあれからずっと寝込んだままだった。
もしも、養父が帰って来なかったら……
最悪の事ばかり想像してしまう自分がいた。
「……ちゃん。アシュリーお姉ちゃん!」
養父の事を考えていた私は、名前を呼ばれてハッと我に返った。
気がつけば、おさげ髪が可愛らしい孤児のミーナがじっと顔を覗き込んでいた。
「ご、ごめんなさい。えっと、何かしら?」
孤児院の手伝いに来ていた私は、ミーナと一緒に孤児達の昼食を作ろうとしていたのだ。
この孤児院は、伯爵家に引き取られる前にお世話になっていた大切な場所であり、今では毎日のようにここへ来ていた。
「わたしは玉ねぎの皮を剥けば良いの?」
「ええ。お願い」
するとミーナは慣れた手つきで玉ねぎの皮を剥き始めた。
「いつも手伝ってもらってごめんね」
本来なら専任の調理担当者がいたのだが、寄付が集まらないため人員を削減するしかなく、孤児達が自分で食事を作らなければならなくなったのだ。
「別にいいよ。大変なのは知ってるし……」
ミーナは言葉を濁すと、玉ねぎを剥いていた手を止めた。
「……ねぇ。ここは、どうなっちゃうの?」
うつ向きながら、彼女はポツリと呟いた。
「お金が集まらなくて潰れちゃうんじゃないかって、みんな言ってる。それに院長先生も病気で入院しちゃったし……もしここが無くなったら、私達はどこへ行けばいいの?」
ミーナは潤んだ瞳で私を見上げた。
彼女が心配になるのも仕方なく、ここの孤児院は資金不足の上に院長が持病を悪化させて入院してしまい、復帰の目処が全く立っていなかった。
「ミーナ……心配しないで。お金はギリギリだけど、なんとかなってる。院長先生だって元気になってまたここに戻って来るから」
私は彼女に近寄って小さな身体をぎゅっと抱き締めた。
自分の居場所が失われる恐怖は痛い程良く分かった。
私だって両親を亡くした時、ここの院長に拾って貰わなければどうなっていたか分からない。
小さな子供は無力で、大人がしっかり守ってやらないと生きていけないのだから。
「お腹空いた~。メシまだ~?」
そんな時、呑気な声を響かせながら孤児のマルクスがキッチンを覗き込んだ。
「おい。ミーナ。アシュリーに甘えてないで、さっさとメシを作れ」
何も知らないマルクスが無神経に言い放った。
「うるさいっ!早く食べたいなら、アンタも手伝いなさいよ!」
「え~。オレはやだよ」
マルクスは嫌がりながらもミーナの隣で一緒に玉ねぎの皮を剥き始めた。
「そう言えばさ、この前、珍しくライアンが来たんだぜ」
思い出したように言ったその言葉に、人参を切っていた手をピタリと止めた。
「え……ライアン様が?」
以前は彼も頻繁にこの孤児院に来ていたが、王太子殿下の側近になってからは全く現れなくなっていた。
「ちょうど一週間前だよ。突然ふらっと来てさ。チビ共が喜んじゃって、ずっと纏わりついてたからライアンも困ってた」
「一週間前?……それって、何時だったか覚えてる?」
一週間前……それは私が王都でライアン様を見かけた日だった。
「昼メシの後だったから1時くらいかな」
「そんな……ライアン様がここにいるはずないわ。だって、彼は……」
その時間、王都でシェスター子爵令嬢と抱き合っていたのだから。
「マルクスが言ってるのは本当だよ。だって私も良く覚えるもん。アシュリーお姉ちゃんに話があるって言ってたけど、その日はいなかったから後日直接話すって言ってたよ」
私に、話があった?
そんな事は、一言も……
その時私はハッと気がついた。
ライアン様が養父を心配して訪ねて来た日、彼の話を全く聞こうともせず、一方的に責め立ててしまった事を。
彼は本当の事を言っていたのに、頭ごなしに決めつけて酷い態度を取ってしまった。
挙げ句の果てに、養父を連れ去ったのもライアン様ではないかと疑って……
自分はなんて最低なんだろう。
誰よりも信頼していたライアン様を疑うなんて。
もう、今さら後悔しても遅かった。
婚約者である彼を門前払いしてしまったのは私だ。
あの時、彼が見せた失望の瞳を思い出す。
どれほど私に幻滅したことだろう。
もう、自分など嫌いになってしまったかもしれない。
会って直接謝りたいが、彼に嫌われたかもしれないと思うと怖くて、とても会いになど行けなかった。
「……アシュリーお姉ちゃん?」
気がつくと、ミーナが心配そうに私の顔を見上げていた。
「あっ……ごめんなさい。ぼんやりしていたわ」
私は慌てて笑顔を貼りつけると止めていた手を動かした。
伯爵家に帰ると、義兄は何処かへ外出していた。
義兄の部屋で探したい物があった私は、こっそり彼の部屋に忍び込んだ。
日が暮れかけた義兄の部屋は薄暗く、どこか薄気味悪かった。
明かりをつけたかったが、義兄が帰った際に外から見られる恐れがあったためつけられなかった。
「無いわね……」
薄暗い中、部屋の隅から隅まで徹底的に探しても、目当ての物は見つからなかった。
目当ての物──それは、王都でライアン様にそっくりな人物が身につけていた黄昏色のマフラーだった。
行きずりの行商から、たまたま珍しい黄昏色の毛糸を買った時、義兄もその場にいた事を思い出したのだ。
『アシュリーは本当にライアン様が好きなんだな』
黄昏色の毛糸を手に入れて歓喜していた私に、義兄は呆れたような、でも、どこか強い憤りを秘めたような声音でそう言った。
あの場にいた義兄なら、後で同じ毛糸を買って全く同じマフラーを作らせる事が可能だった。
「やっぱり、思い違いかしら」
義兄がそんな事をするはずがないと思い直し、部屋から出ようとした時、ふと寝台が目に入った。
ベッドの下は、まだ見ていなかった。
私は最後にベッドの下を覗き込むと、そこには人目を忍ぶように木箱が置かれていた。
ゴクリと唾を飲み込んで、ベッドの下に置かれた木箱に手を伸ばした。
思いの外軽い木箱の蓋を開けると、あっと息を飲み込んだ。
「そんな……」
ライアン様にプレゼントしたマフラーと全く同じものがそこに入っていた。
私は震える手でそのマフラーを取り出すと、端の方を確認した。
「……ないわ。やっぱり、これは偽物なのね」
ライアン様にプレゼントしたマフラーには、端に小さく彼のイニシャルを刺繍していたが、これにはそれがなかった。
それによく見ると編み方も微妙に異なっている。
何故義兄がこの黄昏色のマフラーを持っているのか。
考えられる理由は、一つしかなかった。
「何をしているんだ」
その時、地を這うような低い声が室内に響いた。
思わずぞわっと背筋が粟立ち、身体が恐怖で竦んだ。
「勝手に人の部屋へ忍び込むなんて、いつからそんな悪い子になってしまったんだ?」
振り返ると、そこには義兄が立っていた。
王国の治安維持部隊が養父を捜索していたが、未だ全く進展はなく、養母もあれからずっと寝込んだままだった。
もしも、養父が帰って来なかったら……
最悪の事ばかり想像してしまう自分がいた。
「……ちゃん。アシュリーお姉ちゃん!」
養父の事を考えていた私は、名前を呼ばれてハッと我に返った。
気がつけば、おさげ髪が可愛らしい孤児のミーナがじっと顔を覗き込んでいた。
「ご、ごめんなさい。えっと、何かしら?」
孤児院の手伝いに来ていた私は、ミーナと一緒に孤児達の昼食を作ろうとしていたのだ。
この孤児院は、伯爵家に引き取られる前にお世話になっていた大切な場所であり、今では毎日のようにここへ来ていた。
「わたしは玉ねぎの皮を剥けば良いの?」
「ええ。お願い」
するとミーナは慣れた手つきで玉ねぎの皮を剥き始めた。
「いつも手伝ってもらってごめんね」
本来なら専任の調理担当者がいたのだが、寄付が集まらないため人員を削減するしかなく、孤児達が自分で食事を作らなければならなくなったのだ。
「別にいいよ。大変なのは知ってるし……」
ミーナは言葉を濁すと、玉ねぎを剥いていた手を止めた。
「……ねぇ。ここは、どうなっちゃうの?」
うつ向きながら、彼女はポツリと呟いた。
「お金が集まらなくて潰れちゃうんじゃないかって、みんな言ってる。それに院長先生も病気で入院しちゃったし……もしここが無くなったら、私達はどこへ行けばいいの?」
ミーナは潤んだ瞳で私を見上げた。
彼女が心配になるのも仕方なく、ここの孤児院は資金不足の上に院長が持病を悪化させて入院してしまい、復帰の目処が全く立っていなかった。
「ミーナ……心配しないで。お金はギリギリだけど、なんとかなってる。院長先生だって元気になってまたここに戻って来るから」
私は彼女に近寄って小さな身体をぎゅっと抱き締めた。
自分の居場所が失われる恐怖は痛い程良く分かった。
私だって両親を亡くした時、ここの院長に拾って貰わなければどうなっていたか分からない。
小さな子供は無力で、大人がしっかり守ってやらないと生きていけないのだから。
「お腹空いた~。メシまだ~?」
そんな時、呑気な声を響かせながら孤児のマルクスがキッチンを覗き込んだ。
「おい。ミーナ。アシュリーに甘えてないで、さっさとメシを作れ」
何も知らないマルクスが無神経に言い放った。
「うるさいっ!早く食べたいなら、アンタも手伝いなさいよ!」
「え~。オレはやだよ」
マルクスは嫌がりながらもミーナの隣で一緒に玉ねぎの皮を剥き始めた。
「そう言えばさ、この前、珍しくライアンが来たんだぜ」
思い出したように言ったその言葉に、人参を切っていた手をピタリと止めた。
「え……ライアン様が?」
以前は彼も頻繁にこの孤児院に来ていたが、王太子殿下の側近になってからは全く現れなくなっていた。
「ちょうど一週間前だよ。突然ふらっと来てさ。チビ共が喜んじゃって、ずっと纏わりついてたからライアンも困ってた」
「一週間前?……それって、何時だったか覚えてる?」
一週間前……それは私が王都でライアン様を見かけた日だった。
「昼メシの後だったから1時くらいかな」
「そんな……ライアン様がここにいるはずないわ。だって、彼は……」
その時間、王都でシェスター子爵令嬢と抱き合っていたのだから。
「マルクスが言ってるのは本当だよ。だって私も良く覚えるもん。アシュリーお姉ちゃんに話があるって言ってたけど、その日はいなかったから後日直接話すって言ってたよ」
私に、話があった?
そんな事は、一言も……
その時私はハッと気がついた。
ライアン様が養父を心配して訪ねて来た日、彼の話を全く聞こうともせず、一方的に責め立ててしまった事を。
彼は本当の事を言っていたのに、頭ごなしに決めつけて酷い態度を取ってしまった。
挙げ句の果てに、養父を連れ去ったのもライアン様ではないかと疑って……
自分はなんて最低なんだろう。
誰よりも信頼していたライアン様を疑うなんて。
もう、今さら後悔しても遅かった。
婚約者である彼を門前払いしてしまったのは私だ。
あの時、彼が見せた失望の瞳を思い出す。
どれほど私に幻滅したことだろう。
もう、自分など嫌いになってしまったかもしれない。
会って直接謝りたいが、彼に嫌われたかもしれないと思うと怖くて、とても会いになど行けなかった。
「……アシュリーお姉ちゃん?」
気がつくと、ミーナが心配そうに私の顔を見上げていた。
「あっ……ごめんなさい。ぼんやりしていたわ」
私は慌てて笑顔を貼りつけると止めていた手を動かした。
伯爵家に帰ると、義兄は何処かへ外出していた。
義兄の部屋で探したい物があった私は、こっそり彼の部屋に忍び込んだ。
日が暮れかけた義兄の部屋は薄暗く、どこか薄気味悪かった。
明かりをつけたかったが、義兄が帰った際に外から見られる恐れがあったためつけられなかった。
「無いわね……」
薄暗い中、部屋の隅から隅まで徹底的に探しても、目当ての物は見つからなかった。
目当ての物──それは、王都でライアン様にそっくりな人物が身につけていた黄昏色のマフラーだった。
行きずりの行商から、たまたま珍しい黄昏色の毛糸を買った時、義兄もその場にいた事を思い出したのだ。
『アシュリーは本当にライアン様が好きなんだな』
黄昏色の毛糸を手に入れて歓喜していた私に、義兄は呆れたような、でも、どこか強い憤りを秘めたような声音でそう言った。
あの場にいた義兄なら、後で同じ毛糸を買って全く同じマフラーを作らせる事が可能だった。
「やっぱり、思い違いかしら」
義兄がそんな事をするはずがないと思い直し、部屋から出ようとした時、ふと寝台が目に入った。
ベッドの下は、まだ見ていなかった。
私は最後にベッドの下を覗き込むと、そこには人目を忍ぶように木箱が置かれていた。
ゴクリと唾を飲み込んで、ベッドの下に置かれた木箱に手を伸ばした。
思いの外軽い木箱の蓋を開けると、あっと息を飲み込んだ。
「そんな……」
ライアン様にプレゼントしたマフラーと全く同じものがそこに入っていた。
私は震える手でそのマフラーを取り出すと、端の方を確認した。
「……ないわ。やっぱり、これは偽物なのね」
ライアン様にプレゼントしたマフラーには、端に小さく彼のイニシャルを刺繍していたが、これにはそれがなかった。
それによく見ると編み方も微妙に異なっている。
何故義兄がこの黄昏色のマフラーを持っているのか。
考えられる理由は、一つしかなかった。
「何をしているんだ」
その時、地を這うような低い声が室内に響いた。
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