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【本編】アングラーズ王国編
嫉妬(ローズ視点)
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レアン殿下を初めて見かけた時、私は14歳だった。
その時、私は父と兄たちと一緒に、他国のパーティーに参加していた。
広い会場が、着飾った招待客で溢れかえる中、ひときわ人が集まっている場所があった。
興味が沸いた私は、集団の中央にいる人物を見た。
その人を一目見た瞬間、私は恋に落ちた。
輝く銀髪に、ラピスラズリのような深い青の瞳は、少し目尻が下がっていて、大人の色気と、甘さを兼ね備えていた。手足が長い長身の体躯は引き締まり、鍛え上げられている事が良く分かる。
その人の笑顔に、ふとした仕草に、私の目は釘付けになった。
離れた場所にいるのに、その人の周りだけ、光輝いているように見えた。
そして、その人がアングラーズ王国の王太子、レアン・アングラーズである事を知った時、私は深い絶望を覚えた。
長い間、戦争を繰り返している敵国の王子など、手に入る筈がない。
叶わぬ恋と知りながら、諦める事が出来なかった私は、それ以降、密かにレアン殿下の女性関係を配下に探らせていた。
あれほど眉目秀麗の人だ。
必ず、女性の影があるに違いない。
そんな私の予想に反して、レアン殿下は潔癖なのかと思うほど、近しい女性の影が皆無だった。
将来有望な彼には、国内外から数多くの縁談が殺到していたが、その全てを拒否していた。
私が、レアン殿下に密かな想いを寄せるうち、2年の歳月が経った。
レアン殿下は23歳になっていたが、未だ婚約者は決まらず、仕事で多忙にしているようだった。
そんなある時、レアン殿下の近辺を探らせていた配下から一報が届いた。
『ベルレアン王国の侯爵令嬢カリーナ・ローレルの元を訪れ、懇意にしている模様』
私はその一報に衝撃を受けた。
ベルレアン王国という弱小国の、侯爵令嬢。
しかも、25歳と行き遅れな上、身なりもとても地味だと書いてある。
高貴で、華やかなレアン殿下に全く見合わないその女に、私は憎悪すら覚えた。
レアン殿下がその女に騙されて、錯乱しているのか知らないが、こんなの絶対に間違っている。
私がレアン殿下の目を覚まさなければ。
居ても立っても居られなくなった私は、すぐさま父である皇帝陛下に直談判し、レアン殿下との縁談を取りつけて欲しいと頼み込んだ。
敵国の王太子との縁談などあり得ないと、最初は拒絶していた皇帝陛下も、私が泣いて懇願すると、渋々ながら承諾してくれた。
兄達にはとても厳しい皇帝陛下も、末っ子で一人娘の私には、とてつもなく甘かった。
そして、フェアクール帝国から敵国のアングラーズ王国へ持ち掛けた縁談は、思いの外、すんなりと承諾された。
アングラーズ王国が縁談を承諾した事を、皇帝陛下はとても驚いていたけれど、私には至極当然の事だと思った。
弱小国の地味な侯爵令嬢よりも、敵国であろうと身分も、身なりも釣り合いが取れている私の方が良いと、レアン殿下も気がついたのだ。
私の気持ちは舞い上がった。
そして、アングラーズ王国建国記念の祝賀パーティーに招待された私は、嬉々としてレアン殿下の元へ訪れた。
初めて恋に落ちてから、2年ぶりの対面だ。
想いこがれていた相手に、やっと会える。
アングラーズ王国の宮殿の応接室で、喜びと期待で胸がいっぱいだった私の前に現れたレアン殿下は、いかにも興味なさげな、上部だけの笑顔を顔に張りつけて現れた。
その事務的な、素っ気ない態度に、私は失望し、衝撃を受けた。
そして、その後現れた侯爵令嬢を見て、私はさらなる衝撃を受けた。
その女は地味な丸縁の眼鏡をかけ、その奥の瞳は、ねずみ色なのか、くすんだ薄紫なのか分からないが、とにかく淀んで薄汚れた色をしていた。たいして手入れもしていないダークブロンドの髪を後ろで束ね、飾り付けが一切ない、実用的なだけの質素な服装をしていた。
話を聞いていたよりも酷いその女に、私は嫌悪感を抱いた。
それなのに、レアン殿下は私に対する時とは全く違う、甘い声音で女の名前を呼び、愛おしいものでも見るように微笑んだ。
そして、私が邪魔者であるかのように、その場から追い出した。
どうして、この私がこんな扱いをされなければならないのか。
私は、今まで、誰からも愛され、大切にされてきた。
一番はいつも私だった。
あの女じゃない。
この間違った状況を正すため、私は女の元へ向かった。
***
「こんなお時間に、何の御用でしょうか?カリーナ様は旅の疲れで、既にお休みになられています」
扉の前に立ち塞がるようにして、その護衛騎士は言った。
癖のあるライトブラウンの髪に、明るいオレンジ色の瞳をした、派手で精悍な顔をしたこの男もまた、カリーナ・ローレルに心酔しているのか。
一体なぜ、あんな地味な女に男は引き寄せられるのだろうか。
「ちょっと話がしたいだけよ。すぐに終わるわ。そこをどいてちょうだい」
「それは出来ません。レアン殿下にも、貴方をカリーナ様に近づけるなと言われているのです」
私を一体何だと思っているのだろう。
レアン殿下はそんなに、カリーナ・ローレルが大切なのか。
私は苛立ちで身体が震えた。
後ろに控えさせていた私の配下に、この目障りな護衛騎士を捕らえるよう、指示を出そうとした時『ガチャリ』と音がして、内側から扉が開いた。
「如何なさいましたか?皇女殿下」
夜着にショールを羽織った姿で、扉から出てきたその女を、私は一瞬誰だか分からなかった。
──透き通るようなすみれ色の瞳。
眼鏡をかけている時とは全く違う、その清楚な容姿に、私は思わず息を飲んだ。
「──カリーナ様。少し、お話をしたいのですが、宜しいですか?」
私は動揺を押し殺し、声を絞り出した。
カリーナ・ローレルは困惑した様子だったが、「分かりました」と言って頷くと、私を中へ導こうとした。
「カリーナ様?!」
護衛騎士は慌てて引き止めようとしたが、それに対し女は首を振った。
「どうぞお入り下さい。皇女殿下」
女はそう言って、私を部屋の中へ導くと「アルは外で待っててね」と言って、素早く扉を閉めた。
薄暗い室内の中、私たちは2人きりになった。
「こちらにお座り下さい」
そう言って、女は椅子を私に勧めた。
目の前のテーブルには、薄紫で統一された可憐な花々が、クリスタルガラスの花瓶に生けられていた。
レアン殿下の指示で、用意させたのであろうその花を、私は冷淡な気持ちで眺めた。
「貴女は、レアン殿下と結婚するつもりですか?」
テーブルを挟んで向かい側の椅子に、女が座ったと同時に私は口を開いた。
「結婚──」
困惑したように、女のすみれ色の瞳が揺らぎ、しばらく思案していた。
「何をそんなに考えているの?貴女の答えは決まっているのに」
「え?」
「貴女では、レアン殿下と結婚は出来ないわ。そんなの、分かりきった事でしょう?」
私は冷酷に、あざ笑いながら言い放った。
「弱小国の、行き遅れた侯爵令嬢が、何を勘違いして舞い上がっているのか知らないけど、貴女と結婚したとして、レアン殿下とこの国に、なんの利益があるの?そんな貴女が、レアン殿下と釣り合っているとでも思っているのかしら?」
「…確かに、私はアングラーズ王国にとって利になるものを、何も持っていません。皇女殿下と違い、レアン殿下となんの釣り合いも取れていません。ですが、結婚相手を決めるのは、レアン殿下です」
力強い光を宿す、すみれ色の瞳に真正面から見据えられ、私は忌々しい気持ちになった。
目の前のテーブルに置かれた、癪に障る薄紫の花々も視界に入る。
──ザワリ
私の心は、かき乱された。
「あなたは、侯爵家と領地が、どうなっても良いのね?」
女は驚いて目を見開き、息を飲んだ。
「貴女がレアン殿下を諦められないのなら、しょうがないわ。ベルレアン王国の侯爵家なんて、潰そうと思えば、いつでも簡単に潰せるわよ」
私はそう言うと、目の前にある、目障りな花を払いのけた。
──ゴトッ
花瓶は倒れ、薄紫の花々が、その花びらを散らしながらテーブルや絨毯に散らばった。
花瓶の水がテーブルから溢れ、ポタポタと絨毯に落ちて黒い染みをつくっている。
カリーナ・ローレルはその光景を、唖然として見つめていた。
その時、扉がノックされると、金髪の男が駆け込んで来た。
レアン殿下の補佐官であるその男は、目の前の光景に一瞬困惑したものの、すぐに冷静さを取り戻し、私のそばにやって来た。
「皇女殿下。お部屋に戻りましょう」
「分かったわ」
そう言って立ち上がった私の下で、カリーナ・ローレルは跪き、哀れに散らばった薄紫の花々を、静かに拾い集めていた。
──哀れね
心の中で蔑んだ。
私は金と、地位と、美貌を使い、どんなものでも手に入れてきた。
欲しいと思ったものは、必ず。
だから今回も、レアン殿下を手に入れてみせる。
貴女には絶対に渡さない。
たとえ、どんな手を使ったとしても。
その時、私は父と兄たちと一緒に、他国のパーティーに参加していた。
広い会場が、着飾った招待客で溢れかえる中、ひときわ人が集まっている場所があった。
興味が沸いた私は、集団の中央にいる人物を見た。
その人を一目見た瞬間、私は恋に落ちた。
輝く銀髪に、ラピスラズリのような深い青の瞳は、少し目尻が下がっていて、大人の色気と、甘さを兼ね備えていた。手足が長い長身の体躯は引き締まり、鍛え上げられている事が良く分かる。
その人の笑顔に、ふとした仕草に、私の目は釘付けになった。
離れた場所にいるのに、その人の周りだけ、光輝いているように見えた。
そして、その人がアングラーズ王国の王太子、レアン・アングラーズである事を知った時、私は深い絶望を覚えた。
長い間、戦争を繰り返している敵国の王子など、手に入る筈がない。
叶わぬ恋と知りながら、諦める事が出来なかった私は、それ以降、密かにレアン殿下の女性関係を配下に探らせていた。
あれほど眉目秀麗の人だ。
必ず、女性の影があるに違いない。
そんな私の予想に反して、レアン殿下は潔癖なのかと思うほど、近しい女性の影が皆無だった。
将来有望な彼には、国内外から数多くの縁談が殺到していたが、その全てを拒否していた。
私が、レアン殿下に密かな想いを寄せるうち、2年の歳月が経った。
レアン殿下は23歳になっていたが、未だ婚約者は決まらず、仕事で多忙にしているようだった。
そんなある時、レアン殿下の近辺を探らせていた配下から一報が届いた。
『ベルレアン王国の侯爵令嬢カリーナ・ローレルの元を訪れ、懇意にしている模様』
私はその一報に衝撃を受けた。
ベルレアン王国という弱小国の、侯爵令嬢。
しかも、25歳と行き遅れな上、身なりもとても地味だと書いてある。
高貴で、華やかなレアン殿下に全く見合わないその女に、私は憎悪すら覚えた。
レアン殿下がその女に騙されて、錯乱しているのか知らないが、こんなの絶対に間違っている。
私がレアン殿下の目を覚まさなければ。
居ても立っても居られなくなった私は、すぐさま父である皇帝陛下に直談判し、レアン殿下との縁談を取りつけて欲しいと頼み込んだ。
敵国の王太子との縁談などあり得ないと、最初は拒絶していた皇帝陛下も、私が泣いて懇願すると、渋々ながら承諾してくれた。
兄達にはとても厳しい皇帝陛下も、末っ子で一人娘の私には、とてつもなく甘かった。
そして、フェアクール帝国から敵国のアングラーズ王国へ持ち掛けた縁談は、思いの外、すんなりと承諾された。
アングラーズ王国が縁談を承諾した事を、皇帝陛下はとても驚いていたけれど、私には至極当然の事だと思った。
弱小国の地味な侯爵令嬢よりも、敵国であろうと身分も、身なりも釣り合いが取れている私の方が良いと、レアン殿下も気がついたのだ。
私の気持ちは舞い上がった。
そして、アングラーズ王国建国記念の祝賀パーティーに招待された私は、嬉々としてレアン殿下の元へ訪れた。
初めて恋に落ちてから、2年ぶりの対面だ。
想いこがれていた相手に、やっと会える。
アングラーズ王国の宮殿の応接室で、喜びと期待で胸がいっぱいだった私の前に現れたレアン殿下は、いかにも興味なさげな、上部だけの笑顔を顔に張りつけて現れた。
その事務的な、素っ気ない態度に、私は失望し、衝撃を受けた。
そして、その後現れた侯爵令嬢を見て、私はさらなる衝撃を受けた。
その女は地味な丸縁の眼鏡をかけ、その奥の瞳は、ねずみ色なのか、くすんだ薄紫なのか分からないが、とにかく淀んで薄汚れた色をしていた。たいして手入れもしていないダークブロンドの髪を後ろで束ね、飾り付けが一切ない、実用的なだけの質素な服装をしていた。
話を聞いていたよりも酷いその女に、私は嫌悪感を抱いた。
それなのに、レアン殿下は私に対する時とは全く違う、甘い声音で女の名前を呼び、愛おしいものでも見るように微笑んだ。
そして、私が邪魔者であるかのように、その場から追い出した。
どうして、この私がこんな扱いをされなければならないのか。
私は、今まで、誰からも愛され、大切にされてきた。
一番はいつも私だった。
あの女じゃない。
この間違った状況を正すため、私は女の元へ向かった。
***
「こんなお時間に、何の御用でしょうか?カリーナ様は旅の疲れで、既にお休みになられています」
扉の前に立ち塞がるようにして、その護衛騎士は言った。
癖のあるライトブラウンの髪に、明るいオレンジ色の瞳をした、派手で精悍な顔をしたこの男もまた、カリーナ・ローレルに心酔しているのか。
一体なぜ、あんな地味な女に男は引き寄せられるのだろうか。
「ちょっと話がしたいだけよ。すぐに終わるわ。そこをどいてちょうだい」
「それは出来ません。レアン殿下にも、貴方をカリーナ様に近づけるなと言われているのです」
私を一体何だと思っているのだろう。
レアン殿下はそんなに、カリーナ・ローレルが大切なのか。
私は苛立ちで身体が震えた。
後ろに控えさせていた私の配下に、この目障りな護衛騎士を捕らえるよう、指示を出そうとした時『ガチャリ』と音がして、内側から扉が開いた。
「如何なさいましたか?皇女殿下」
夜着にショールを羽織った姿で、扉から出てきたその女を、私は一瞬誰だか分からなかった。
──透き通るようなすみれ色の瞳。
眼鏡をかけている時とは全く違う、その清楚な容姿に、私は思わず息を飲んだ。
「──カリーナ様。少し、お話をしたいのですが、宜しいですか?」
私は動揺を押し殺し、声を絞り出した。
カリーナ・ローレルは困惑した様子だったが、「分かりました」と言って頷くと、私を中へ導こうとした。
「カリーナ様?!」
護衛騎士は慌てて引き止めようとしたが、それに対し女は首を振った。
「どうぞお入り下さい。皇女殿下」
女はそう言って、私を部屋の中へ導くと「アルは外で待っててね」と言って、素早く扉を閉めた。
薄暗い室内の中、私たちは2人きりになった。
「こちらにお座り下さい」
そう言って、女は椅子を私に勧めた。
目の前のテーブルには、薄紫で統一された可憐な花々が、クリスタルガラスの花瓶に生けられていた。
レアン殿下の指示で、用意させたのであろうその花を、私は冷淡な気持ちで眺めた。
「貴女は、レアン殿下と結婚するつもりですか?」
テーブルを挟んで向かい側の椅子に、女が座ったと同時に私は口を開いた。
「結婚──」
困惑したように、女のすみれ色の瞳が揺らぎ、しばらく思案していた。
「何をそんなに考えているの?貴女の答えは決まっているのに」
「え?」
「貴女では、レアン殿下と結婚は出来ないわ。そんなの、分かりきった事でしょう?」
私は冷酷に、あざ笑いながら言い放った。
「弱小国の、行き遅れた侯爵令嬢が、何を勘違いして舞い上がっているのか知らないけど、貴女と結婚したとして、レアン殿下とこの国に、なんの利益があるの?そんな貴女が、レアン殿下と釣り合っているとでも思っているのかしら?」
「…確かに、私はアングラーズ王国にとって利になるものを、何も持っていません。皇女殿下と違い、レアン殿下となんの釣り合いも取れていません。ですが、結婚相手を決めるのは、レアン殿下です」
力強い光を宿す、すみれ色の瞳に真正面から見据えられ、私は忌々しい気持ちになった。
目の前のテーブルに置かれた、癪に障る薄紫の花々も視界に入る。
──ザワリ
私の心は、かき乱された。
「あなたは、侯爵家と領地が、どうなっても良いのね?」
女は驚いて目を見開き、息を飲んだ。
「貴女がレアン殿下を諦められないのなら、しょうがないわ。ベルレアン王国の侯爵家なんて、潰そうと思えば、いつでも簡単に潰せるわよ」
私はそう言うと、目の前にある、目障りな花を払いのけた。
──ゴトッ
花瓶は倒れ、薄紫の花々が、その花びらを散らしながらテーブルや絨毯に散らばった。
花瓶の水がテーブルから溢れ、ポタポタと絨毯に落ちて黒い染みをつくっている。
カリーナ・ローレルはその光景を、唖然として見つめていた。
その時、扉がノックされると、金髪の男が駆け込んで来た。
レアン殿下の補佐官であるその男は、目の前の光景に一瞬困惑したものの、すぐに冷静さを取り戻し、私のそばにやって来た。
「皇女殿下。お部屋に戻りましょう」
「分かったわ」
そう言って立ち上がった私の下で、カリーナ・ローレルは跪き、哀れに散らばった薄紫の花々を、静かに拾い集めていた。
──哀れね
心の中で蔑んだ。
私は金と、地位と、美貌を使い、どんなものでも手に入れてきた。
欲しいと思ったものは、必ず。
だから今回も、レアン殿下を手に入れてみせる。
貴女には絶対に渡さない。
たとえ、どんな手を使ったとしても。
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