こっくりさんの遊戯~私と遊びましょ~

みゅう

文字の大きさ
2 / 5

1、終わりの始まり

しおりを挟む
私こと藤堂夏海の中学校は不思議な校則がある。それは【こっくりさんをしてはいけない】というものだ。
先生は皆【こっくりさん】という言葉を出すだけで、顔を青ざめて「そんなことを言ってはいけない」の一点張りだ。この中学校を卒業したお母さんに聞いてみると、真っ青になって、倒れてしまった。私は幽霊なんて信じちゃいない。そんな非科学的なものは信じない。
だから先生たちがビビっているのを見ると、吹き出しそうになってしまう。何がそんなに怖いの?って、こっくりさんなんて、どこにでもある怪談の一つなのに。
小学校からつるんでるメンバーで企画した。「なる」こと三澄成美。一番まじめでしっかり者。「りん」こと東凛香。可愛いもの大好き。
「よっしー」こと高橋義人。ムードメーカーでお調子者。「まな」こと河合真翔。クラス1の切れ者。琉生の親友。
「るい」こと柊木琉生。ちょっとどんくさくて生真面目。と「なっつー」こと私の6人で【こっくりさん】を行うことにした。
小学校の頃から、問題児として知られていた私達。
【こっくりさん】という都市伝説が校則で禁止。。。こんな面白いものはない。5人ともノリノリだ。
【こっくりさん】をして先生たちがどう反応するか見ものだ。先生たちの青い顔が早く見たい。実行は今週末。学校に忍び込むことがすごく楽しみ。そっちの方がどきどきだ。【こっくりさん】が余興となりそう。。。
当日6月17日。6人は学校に忍び込み集合した。

「遅れたーすまねぇ。」

「遅いよよっしー」

「ごめんってりん」

「怒ってないよw」

「そろった?」

「今回の首謀者なっつーのお出ましだぞw」

「その言い方止めてよ!。。。よっしー、まな、るい覚えとけよ?」

「ごめん」

3人が真面目に謝るのが面白い。
こんなくだらない会話をしながら【こっくりさん】の準備を進めていった。こっくりさんの手順は単純。

1、白い紙に、「はい」「いいえ」と書き、その後に鳥居をかく。そしてその後に数字・五十音などをかく。

2、机を囲み、鳥居の位置に10円玉を置く。全員で、人差し指を10円玉に置き、こっくりさんを呼ぶ儀式をする。

3、「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください。もしおいでになられましたら「はい」へお進みください。」と話しかける。

4、聞きたいことを質問する。

5、一回質問するたびに、「鳥居の場所にお戻りください。」とお願いをして、鳥居の位置に戻す。

6、いくつか質問を終え、こっくりさんを終了させる。

7、「こっくりさん、こっくりさん、お戻りください。とお願いして「はい」と答えた後、鳥居まで戻って
きたら「ありがとうございました」と礼を言って終了する。

ネットで調べたところ禁止事項があるらしい。

※10円玉から手を離さない

※途中で止めない

※帰ってくれるまでお願いする

※文字盤はその日のうちに48つに細かく破り捨て、10円玉は三日以内に使う

だそうだ。もっと細かいルールもあったけれど、面倒だったので省くことにした。

「結構マジじゃんw」

成美は怖がる様子もなく、面白がっている。

「でしょ?だって、先生たちの顔が見てみたいもん。それに塩も持ってきちゃった。」

にやにやと笑いながら、私は言った。私は持参の塩と水筒(お茶が飲めないので水)を持ってきていた。

「確かに、先生の顔見てみたい」

くすくすと笑いながら、りんはそう言った。

「じゃあ始めるか!」

義文の一言で軽い気持ちのまま【こっくりさん】を始めた。


            *


「こっくりさん、こっくりさん、おいでください。」

皆で【こっくりさん】を呼ぶ。・・・5分経っても来ない。

「・・・もうやめよーぜ。」

何も起こらないから飽きるのも当然だ。

「なっつー、あと一回にしない?」

凛香の意見に全員が賛成した。

「こっくりさん、こっくりさん、おいでください。」

無言になる。10秒くらいで10円玉が動く。謎の力に指が引っ張られている感覚。

「よっしー動かしてるでしょー」

「俺じゃねーよ!まなだろ?」

「なんで俺なんだよ」

「2人ともけんか止めなよー」

「そんなことより質問しよー!」

そこから各々好き好きの質問をした。クラスメイトの好きな人、この前のテストに結果がよかったか、
今欲しいものは買っておくべきか・・・などつまらないものばっかりだった。
1時間くらい楽しんでそろそろ帰ってもらおうという話になった。

「こっくりさん、こっくりさん、お帰り下さい。」

皆で言う。10円玉は微動だにしない。帰ってもらわないと終われない。何回も何回も繰り返す。動かない。みんなの顔に焦りの姿が浮かび始める。

「なんで動かないんだよ!先まで動いてたよな・・・。」

「もう帰ってよ・・・。」

みんなパニック寸前だ。すると唐突に10円玉が動き出す。おんなじ動きを繰り返す。

「お、に、ご、っ、こ・・・鬼ごっこ?」

「なんだよ鬼ごっこって!なっつー知ってんだろ?」

「私知らないよ!」

「怖いよ・・・。助けてよ・・・。」

「りん落ち着いて。大丈夫だから・・・。」

みんな正常な判断ができなくなっている。また10円玉が動く。

「ゆ、び、を、は、な、せ・・・。指を離せ・・・?」

離したらダメって書いてたのにこっくりさんから言ってくるとは思ってなかった。私たちはおとなしく従うことにし
た。

「・・・ねえ・・・・。」

声が聞こえた。

「今の・・・誰?」

「分かんねーよ」

「・・・ねえ・・あっそっびましょ・・・?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...