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第8話
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「ふうん、マリヲカートか」
次なる勝負はアクションレースゲームの『マリヲカート』だ。
主人公のマリヲとその仲間たちがレーシングカートみたいな車に乗り込み、多彩なコースで速さを競う。ただレースをするだけじゃなくて、アイテムを駆使したりコース上のギミックを活用したりと、アクション性の強いレースゲームである。
「かなり有名なゲームだけどな。俺は通信対戦用のアカウントも持ってるし、クラスも最上位の200㏄まで上げてある」
「へぇ。じゃあ和馬はこれが一番得意なんだな?」
ふっふっふ。得意も何も、俺は通信対戦で無敗を誇る腕の持ち主だ。唯一、前回の全国杯では二位に甘んじたが、
「俺のアカウント名を見て驚くなよ?」
そう、通信対戦の経験者なら誰でも知っているであろう、
「これが俺のレーシングアカウント、kazumaxだ!」
テレビモニターに映った全国二位の称号に、ほたるは一瞬、目をぱちくりとさせる。その表情、さてはビビったな?
「ぶ……」
ビビって言葉も出ないか。ふっ、無理もない。
「……ぶはっ!」
ビビって噴き出した――
「ダサ! kazumaxって『カズマックス』って読むのか!? ダサ、超ダサ!」
わけなかった。足をバタつかせて笑い転げているエロゲの美少女ヒロインが俺の隣にいた。
「kazumaxは和馬のアカウントだったのか。知ってる、あたしkazumax知ってる!」
ケタケタと目尻を下げるほたるに、どうして俺は恥ずかしい気持ちになってるのか。わかってるけどわかりたくないぞ、くそ。
「ぶははー!」
と、ほたるはひとしきり笑い転げると、細い人差し指で涙を拭ってから、
「よし、じゃあマリヲカートでやろう。和馬が勝ったらギュって抱きしめてチューしてやる」
「なんか報酬が増えてる!?」
チューだけじゃ清純なギャルゲのレベルだが、ギュってするのが追加されて一歩エロゲに近づいた感じか。
これは是が非でも勝たなくてはならない。俺のエロゲ魂に懸けて、そのTシャツに隠れた柔らかそうな「ギュっ」と、その苺のような唇の「チュー」をいただく。
つまり、リアルなエロゲ万歳、だ。
ということで俺のキャラ選択はビビンパ。コイツはゲーム内のボス的なキャラで、重量があるから加速も遅いしコーナーでの膨らみも大きい。扱いにくさではダントツだが、最高速度は全キャラでトップクラスだ。
なによりも全国杯で二位に入る俺の得意キャラである。
対してほたるが選んだのは、
「裏マリヲか」
主人公キャラ、マリヲの裏バージョン。いわゆる隠しキャラというやつで、ステータスとアイテム威力はゲーム内でトップクラスだが扱いが激ムズで、少しでも操作をミスるとすぐにスピンしてしまう。
言ってみれば「対戦では使いにくいキャラ」だ。鉄剣での『沖野カナ』といい、ほたるは操作難度の高いキャラを選びたがるのか。
走行ステージは「ハイパーキノコサーキット」を選択。加速ストレートやS字カーブなどの王道な造りに加えて、アイテムの種類も豊富でガチ勝負に最適なコースだ。
スターティンググリッドについたビビンパと裏マリヲ。
『Are You Ready?』
シグナルが赤から青に変わり――
『START!』
エンジンを唸らせたロケットスタートで、先頭に飛び出したのは俺のビビンパ。裏マリヲは出遅れた。ほたるはロケットスタートを使ってない、いや使わないのか?
ドリフトで最初のコーナーを曲がる。最小限の減速で最短のコース取り、先頭はビビンパ。
ここでアイテムボックスが出現する。アイテムはランダムで選択されるので、ここでしょーもないアイテムを引くと不利になるが、
「赤甲羅か。前方に発射すればライバルを追尾して命中すると転倒させるが、今は俺が先頭を走ってるからな。とりあえずストックだ」
どんなアイテムが出るかはランダムなので、こればかりは仕方ない。
と、裏マリヲもアイテムを入手。俺と同じ甲羅だが、あれは『緑色の甲羅』か。追尾性能がない分、赤甲羅よりも使い勝手が悪い。
「どうやら使いにくいアイテムを取っちまったようだな」
横目でチラとほたるを見る。
「ん、そうでもない」
ほたるはアクセルボタンを押しながら十字キーでハンドルを操作しながら、両手の人差し指でコントローラーサイドの『L』と『R』ボタンを小刻みに連打している。
何をしてるんだ……?
ジャンプ台からグライダーで滑空し、大きなカーブを抜けると裏マリヲが真後ろに迫った。まずい、加速性能の差でコーナーからの立ち上がりは裏マリヲが有利だ。
しかしバックストレートに入ると、俺のビビンパが加速する。最高時速はビビンパが上、徐々に距離を広げるが、
「緑の甲羅はこうやって使うんだ」
ここでまたしてもほたるの身体が発光する。全身をまばゆく光らせ、俺の半身までもが白く灯る。くっ、さっきのやつだ。まさかこれは、俺への目つぶし的なお邪魔攻撃なのか?
いや、違った。なんと裏マリヲは緑の甲羅を細かく砕いて、それを弾幕のように発射したのだ。
「にしっ! カメの甲羅ショットガンだ」
ビビンパの真後ろから、緑色の弾幕が飛んでくる。コース上を逃げる場所もないくらいに甲羅の破片が埋め尽くし――
「こんなの避けられるか!」
俺のビビンパの背中に数発がヒット。そのままごろんごろんとでんぐり返しをしながらクラッシュしてしまった。
この隙に裏マリヲが横をすり抜け、あっという間に先へと走り去る。チラと見えた裏マリヲの顔が、何とも悪そうな表情をしてること。
クラッシュのせいで俺のアイテム『赤甲羅』は消失してしまう。これは痛い損失だ。立ち直ったビビンパを急発進させるが、かなり差が開いてしまったぞ。
ていうか、
「さっきのはなんだ、裏技か?」
カメの甲羅を砕いてショットガンみたいに発射するなんて聞いたことがない。裏マリヲは隠しキャラだけに、普通のキャラとは違った性能があるのは知っていたが。
こうなったら俺の技術とスピードで追いつくしかねえ!
次なる勝負はアクションレースゲームの『マリヲカート』だ。
主人公のマリヲとその仲間たちがレーシングカートみたいな車に乗り込み、多彩なコースで速さを競う。ただレースをするだけじゃなくて、アイテムを駆使したりコース上のギミックを活用したりと、アクション性の強いレースゲームである。
「かなり有名なゲームだけどな。俺は通信対戦用のアカウントも持ってるし、クラスも最上位の200㏄まで上げてある」
「へぇ。じゃあ和馬はこれが一番得意なんだな?」
ふっふっふ。得意も何も、俺は通信対戦で無敗を誇る腕の持ち主だ。唯一、前回の全国杯では二位に甘んじたが、
「俺のアカウント名を見て驚くなよ?」
そう、通信対戦の経験者なら誰でも知っているであろう、
「これが俺のレーシングアカウント、kazumaxだ!」
テレビモニターに映った全国二位の称号に、ほたるは一瞬、目をぱちくりとさせる。その表情、さてはビビったな?
「ぶ……」
ビビって言葉も出ないか。ふっ、無理もない。
「……ぶはっ!」
ビビって噴き出した――
「ダサ! kazumaxって『カズマックス』って読むのか!? ダサ、超ダサ!」
わけなかった。足をバタつかせて笑い転げているエロゲの美少女ヒロインが俺の隣にいた。
「kazumaxは和馬のアカウントだったのか。知ってる、あたしkazumax知ってる!」
ケタケタと目尻を下げるほたるに、どうして俺は恥ずかしい気持ちになってるのか。わかってるけどわかりたくないぞ、くそ。
「ぶははー!」
と、ほたるはひとしきり笑い転げると、細い人差し指で涙を拭ってから、
「よし、じゃあマリヲカートでやろう。和馬が勝ったらギュって抱きしめてチューしてやる」
「なんか報酬が増えてる!?」
チューだけじゃ清純なギャルゲのレベルだが、ギュってするのが追加されて一歩エロゲに近づいた感じか。
これは是が非でも勝たなくてはならない。俺のエロゲ魂に懸けて、そのTシャツに隠れた柔らかそうな「ギュっ」と、その苺のような唇の「チュー」をいただく。
つまり、リアルなエロゲ万歳、だ。
ということで俺のキャラ選択はビビンパ。コイツはゲーム内のボス的なキャラで、重量があるから加速も遅いしコーナーでの膨らみも大きい。扱いにくさではダントツだが、最高速度は全キャラでトップクラスだ。
なによりも全国杯で二位に入る俺の得意キャラである。
対してほたるが選んだのは、
「裏マリヲか」
主人公キャラ、マリヲの裏バージョン。いわゆる隠しキャラというやつで、ステータスとアイテム威力はゲーム内でトップクラスだが扱いが激ムズで、少しでも操作をミスるとすぐにスピンしてしまう。
言ってみれば「対戦では使いにくいキャラ」だ。鉄剣での『沖野カナ』といい、ほたるは操作難度の高いキャラを選びたがるのか。
走行ステージは「ハイパーキノコサーキット」を選択。加速ストレートやS字カーブなどの王道な造りに加えて、アイテムの種類も豊富でガチ勝負に最適なコースだ。
スターティンググリッドについたビビンパと裏マリヲ。
『Are You Ready?』
シグナルが赤から青に変わり――
『START!』
エンジンを唸らせたロケットスタートで、先頭に飛び出したのは俺のビビンパ。裏マリヲは出遅れた。ほたるはロケットスタートを使ってない、いや使わないのか?
ドリフトで最初のコーナーを曲がる。最小限の減速で最短のコース取り、先頭はビビンパ。
ここでアイテムボックスが出現する。アイテムはランダムで選択されるので、ここでしょーもないアイテムを引くと不利になるが、
「赤甲羅か。前方に発射すればライバルを追尾して命中すると転倒させるが、今は俺が先頭を走ってるからな。とりあえずストックだ」
どんなアイテムが出るかはランダムなので、こればかりは仕方ない。
と、裏マリヲもアイテムを入手。俺と同じ甲羅だが、あれは『緑色の甲羅』か。追尾性能がない分、赤甲羅よりも使い勝手が悪い。
「どうやら使いにくいアイテムを取っちまったようだな」
横目でチラとほたるを見る。
「ん、そうでもない」
ほたるはアクセルボタンを押しながら十字キーでハンドルを操作しながら、両手の人差し指でコントローラーサイドの『L』と『R』ボタンを小刻みに連打している。
何をしてるんだ……?
ジャンプ台からグライダーで滑空し、大きなカーブを抜けると裏マリヲが真後ろに迫った。まずい、加速性能の差でコーナーからの立ち上がりは裏マリヲが有利だ。
しかしバックストレートに入ると、俺のビビンパが加速する。最高時速はビビンパが上、徐々に距離を広げるが、
「緑の甲羅はこうやって使うんだ」
ここでまたしてもほたるの身体が発光する。全身をまばゆく光らせ、俺の半身までもが白く灯る。くっ、さっきのやつだ。まさかこれは、俺への目つぶし的なお邪魔攻撃なのか?
いや、違った。なんと裏マリヲは緑の甲羅を細かく砕いて、それを弾幕のように発射したのだ。
「にしっ! カメの甲羅ショットガンだ」
ビビンパの真後ろから、緑色の弾幕が飛んでくる。コース上を逃げる場所もないくらいに甲羅の破片が埋め尽くし――
「こんなの避けられるか!」
俺のビビンパの背中に数発がヒット。そのままごろんごろんとでんぐり返しをしながらクラッシュしてしまった。
この隙に裏マリヲが横をすり抜け、あっという間に先へと走り去る。チラと見えた裏マリヲの顔が、何とも悪そうな表情をしてること。
クラッシュのせいで俺のアイテム『赤甲羅』は消失してしまう。これは痛い損失だ。立ち直ったビビンパを急発進させるが、かなり差が開いてしまったぞ。
ていうか、
「さっきのはなんだ、裏技か?」
カメの甲羅を砕いてショットガンみたいに発射するなんて聞いたことがない。裏マリヲは隠しキャラだけに、普通のキャラとは違った性能があるのは知っていたが。
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