青春〜或る少年たちの物語〜

Takaya

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第一章 それぞれの出逢い

第八話 本音※加筆・修正済み

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※ストーリー上の問題で、後半を加筆、修正しました。

「実はな、今から強者チューバーと幹部を決めるんだ。」
「それで?」
「喧嘩で決める。」
「そ、それで?」
「貴哉、お前も参加しろ。」
「は、はい?」

 貴哉は思わず目が点になった。

「はい、じゃねぇよ!お前も戦うんだよ!」

 音也が口を挟んできた。

 実はこれ、音也からの提案である。さっさと貴哉を殴りたいが恭典の手前そんなことはできない。そこでこの場に参加させることにしたのだ。

(やっとこのチビぶっ殺せるぜ)

 音也はほくそ笑む。一方の恭典はと言うと、

(まぁ、気の毒だかこれで貴哉もちょっとはマシになるかもな)

 と、なんとも無責任なことを考えていた。和人に至っては、

(まぁ、叔母さんたちがうるさいから俺らはあいつ殴れねぇもんな。)

 とまぁ、薄情なことを考えていた。

「おい、待てよ。いくらなんでもこいつと喧嘩はできねぇぞ。」

 裕明が口を開く。すると、

「うるせぇ!こいつと戦うのは俺だ!お前らは黙ってみてろ!」

 音也が怒鳴りつけた。こうなったら、もう音也は止まらない。裕明はもう何も言わないことにした。

「さぁ、ここからは逃げられねぇぞ。」
「...分かったよ。」

 貴哉は観念したかのように口を開く。

(どうせ逃げられねぇならさっさとこの金髪殺してやる。)

 彼はどうやら勝つつもりのようだ。というのも、小さい頃から恭典や和人たちとゲームの順番などで喧嘩になるといつも、叔母さんたちが割って入ってきては「じゃんけんで決めなさい」と言われてきた。そのじゃんけんに、貴哉はほぼほぼ勝ってきたのだ。貴哉は今、この状況をそのじゃんけんと同じ感覚で捉えている。

「おぉ、そうかそうか!じゃあ、さっさと始めようぜ。」
「待て、音也!」
「なんだよ、恵弥?」
「こんな狭い部室で喧嘩するつもりか?裏に行くぞ。」
「いけねぇ、いけねぇ。」
「おい、お前らもだ。貴哉、お前は場所分かんねぇか?取り敢えずついて来い。」
「また、移動かよ。」

 恵弥に促され、全員が動きはじめた。すると謙治が、

「おい、恵弥!さっきから気になってってけどよ、なんでお前が仕切ってんだ?」
「あ?」
「まだ幹部も何も決めてねぇだろ?なのになんでお前、そんなに偉そうなんだ?」
「確かに言われてみればそうだなぁ、あ?」

 和人もそれに同調し、2人して恵弥に近づく。

「やめろよお前ら。まだ学校の中だぞ?」
「関係ねぇよ、俺らはお前にムカついてんだぞ?お?」
「...仕方ねぇなぁ。」
「あぁ?聞こえねぇなぁ?」

 次の瞬間、恵弥の右フックが謙治の顎に命中した。たまらず謙治は鼻血を出して倒れる。和人は一瞬怯んだものの、恵弥に掴みかかろうとした。しかし、それよりも早く、恵弥が和人の胸ぐらを掴み、そのまま膝蹴りを和人の鳩尾に喰らわせた。もだえる2人を見つめ恵弥が呟く。

「お前らは予選敗退だ、馬鹿どもが。」
「ぐ、ちくしょうめっ....」
「おい、待てよ。」

 それを見ていた裕明と奏が詰め寄る。

「こんなの見せられちゃもう我慢ならねぇよ。なぁ、俺とも戦えよ。」
「....俺は負けんぞ。」
「待て、恵弥はもう2人倒したろ?お前らの相手は俺だ。」

 恭典がしゃしゃり出てきた。

「かっこつけてんじゃねぇぞ!」

 裕明が渾身の右フックをかまそうとするも、恭典は頭を下げ、逆に強烈なアッパーを喰らわせた。

「ぐっ、野郎....」

 裕明は体勢を維持しようとしたものの、堪えきれずそのまま崩れ落ちた。

「てめぇ!よくも裕明を!」

 不意を突いた奏が恭典の胸ぐらを掴み、右手で恭典の顔を殴りつけた。しかし、恭典は鼻血こそ流れてるものの、ケロッとしている。

「なかなかやるじゃねぇか!」
「なにっ!?」

 次の瞬間、恭典の拳が奏の肋を捉えた。

「がっ....く、くそっ....」

 痛みで手を話した奏の顔に、恭典の回し蹴りが炸裂。勝負あったようだ。

「へっ、お前らも予選敗退だな。」
「おい、恭典、いつの間に回し蹴りなんて覚えたんだよ?」
「うるせぇよ、こんなもん恵弥だってできらぁ。できねぇのはお前ぐれぇだよ。」
「そうだぞ音也。お前が遅れてんだ。」
「けっ!」

 実はこの3人、春休みの間は恵弥の家に集まって独学で筋トレやボクシングに励んでいた。

「おいおい、俺を忘れんじゃねぇぞ。この流れだと俺の相手は音也、お前だな!」

 春樹が言い終わる前に、音也が彼の顔に右ストレートを叩き込んだ。春樹はそのまま、後ろに倒れる。
 一連の光景を見て、貴哉は記憶の奥底に閉じ込めていたことを思い出した。小学校4年生の時、中学生に殴られ金を取られた、忌まわしき思い出を。

(くそっ....もう、俺は、あんな風にはなりたくねぇ!)

 音也が貴哉の方に目を向けた。

「余興はここまでだ。さぁ、次はお待ちかね、貴哉、お前の番だ。面倒くせぇからここで殺してやる。」
「俺の台詞だよ。」

 貴哉は強気に出た。これは今までのじゃんけん勝負とは違う。絶対に負けたくない。もうあんな風にはなりたくない。その思いを胸に貴哉は立ち向かう。

つづく

 
 
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