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五十一話 逢瀬
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目覚めは何時だっただろ?
最初の記憶は痛かったこと、体が動かなかったことそれ以前の記憶はない。
初めて見たものは、がれきの山に傷だらけの自分の手、そして馬鹿みたいに明るい太陽。
なにも分からずどうすればいいもかもわからずただその場に倒れていると、ふいにまるで道端で偶然見かけた友人に話しかけるような気軽さで声をかけられた。
『ああ、この中で生きるなんて貴方、ついていますね』
視界がバ焼けているせいで顔は良く見えないがその声はやけに無機質でまるでロボットが人のふりをして話しかけているように感じた。
でもこの際誰でもよかったこの訳の分からない痛みから解放されるにはこの人にすがるしかない、そう思い(助けて)と声に出そうとしたが口から洩れたのはヒューというか細い
息が漏れるだけ。
ああ、これじゃまるで壊れたガスかんみたいだな。
『助けてと言いましたか』
驚いた、何でか知らないけどこの人は私の声が聞こえたみたい。
『いいですよ。助けます。だから今は眠ってください。このまま意識を持っていれば貴方は死にます。だからお話は次目が覚めた時までのお楽しみということで』
伸ばされる手、その手が私の額に触れたとき、すさまじい眠気が私を襲い私は意識を失った。
そんな懐かしい夢を見た。
「おっ!起きた?」
目覚めて聞く第一声、その陽気な声が耳に入ると同時に私はため息をつきたい気分にかられた。
「桐村くん。何度も言うけどここは女子寮。私以外に見つかったら本当に警察沙汰になるよ」
桐村くんは私のベッドから腰を浮かし正面の勉強机に座り直すとニカリと笑う。
「大丈夫だって!そんなヘマしないさ。見つからなければみんなハッピーってな」
「少なくとも、桐村くんが来るたびにビクビクしている私は迷惑してるよ」
「んだよ!彼氏が来るのが迷惑ってんのかよ」
ムッスとした顔で私に詰め寄る桐村くんは少し寂しそうで、そのライオンのたてがみのような荒々しい金髪とは裏腹に表情は捨てられた子犬のように見えた。
「彼氏なら少しは私のことも考えてよ。私嫌だよ桐村くんが悪者になるのなんて」
「いや、そんなつもりじゃ。ごめん百合」
ゆっくりと私の頬に手を当てる桐村くん。
(あっ、これって)
そう思う間もなく私は唇を奪われ、そのまま押し倒された。
「ちょ!なに、どうしたの?」
そんな反論なんて聞こえないと言わんばかりに次は胸に顔をうずめてくる。
付き合いだして分かったことだけど、桐村くんは何か不安なことがあると度々私の体を求めて来た。
もちろん、最初はそれなりの拒絶もしたし、時実養護施設での一軒をしてる彼もその時は私を気遣い分かってくれた。
だけど、アレはやっぱり私が悪かったんだろう。
一度、その場の空気に飲まれ体を許してしまったことがあった、その時の桐村くんの顔は今でも覚えている、部屋に響く二人分の荒い息の中、痛みしかなかった私とは対照的にその顔は神の祝福で享けたかのような満ち足りたものだった。
それから彼は、ある一定の条件を満たした時だけ私を求めてきた、それがあの捨てられた子犬のような寂しそうな顔だった。
以前、何で桐村くんがこんな行動をとるようになったのかヒルに聞いてみたことがあった。
『それは、安心するためでしょう』
緑葉をおもわせる深緑のソファーにゆったりと腰かけながらヒルは話を聞いてくれた。
『安心?』
『アレは不安なんですよ、いつ貴方が自分のそばから離れるかが怖くてたまらないのです』
『でも、いままで桐村くんはそこまで私に執着していなかったよ』
『手に入れたからこそ、余計それに依存する。珍しい話ではありません』
『だから私を抱く?求められるのは正直嬉しくもあるけど、体だけで私の表面なんかまるで見ていない気もするんだよね。それとも男の人ってそんな感じなのかな?』
そんな男心ヒルに聞いてもしょうがないと思いつつも、ヒルなら答えを持っているだろうと思い聞いてみる。
『アレは貴方を抱くことでコレは自分のものだという征服感を満たしたいのでしょう。そして胸のうちの不安を性欲と快楽で拭い去りたい。けれどそれらはどれも一時的なモノ、だから彼は貴方を抱き続ける、愛情とは無縁感情で。そこにあるのは極めて原始的な欲求まさに飢えですね。桐村修は貴方に飢えているんですよ』
桐村くんの心の奥を代弁するかのように、そして私の心を覗き見るように彼は瞬き一つせず私を見つめる。
『なら、桐村くんは私を愛していないの?』
それは、正直いろいろ困るのだけど。
『愛はあるでしょう。けれどそれがあなたを失いたくないという思いから依存という形に変貌してしまっている。そう、貴方がいないと生きていけないほどにアレは貴方に狂っていますよ。良かったですね、そこまで思われて』
最後のは彼なりの皮肉なのだろうか?
『うん、そうだね。話聞いてくれてありがとう』
私の謝礼に彼は『いえ』と少し退屈そうに答えてくれた。
あの時の彼の言葉通りだとするなら今、桐村くんが私を求めているのは不安からのはず。
私に拒絶されるのが怖くて無理やりにでも私に自身を刻み込もうとしている。
そのことに対して今更険悪感はないけれど、さすがに場所が悪いと思う。
「ねぇ、こんなとこでしちゃったら声でちゃう。お願いやめて」
私の懇願が耳に入り桐村くんの動きはぴたりと止まる。
「ダメ?」
「うん、さすがにね。女子牢に侵入した男の子が女子生徒を押し倒してるのなんか誰かが見たら本当にさよならになっちゃうよ」
「うっ、それは嫌だな」
桐村くんはビクつくように体を私から放す。
その時、彼のズボンが変に膨れていたのは見なかったことにしよう。
私も体を起こすとクローゼットについている身鏡で乱れた服と髪を整える。
鏡越しに見える桐村くんはバツが悪そうにベッドの上でせわしく貧乏ゆすりをしている。
その顔は相変わらず不安そうで、これじゃ何だか私が彼をいじめているみたいだななんて思ったりする。
「ねえ、少し外の空気吸いに行かない?」
さすがにこのまま返すのはなんだか可哀想に思えてきてそんな提案をしてしまう。
「えっ、外」
「うん。なんだか私も体がほてっちゃって、ちょっと夜風に当たりたいなってね」
「でも、こんな時間い外なんか出られないだろ」
うん、桐村くんにしてはめずらしいもっともな意見だ。
だけどそんなことはもちろん私も分かっている。
「そうだね、でも見つからなかったらみんなハッピーってことで私も桐村くん専用玄関を使おうと思います」
ベッドわきの窓を指さす私を見て桐村くんはたちまち青ざめる。
「ばか、危ないって!落ちたらどうすんの!」
「そんなヘマしません。これでも私運動神経はいい方なんだよ。桐村くんにできるなら私も問題ないと思うけどなー」
「万が一ってこともあるだろ」
「なら、もしもの時は桐村くんが私を受け止めてよ」
「俺が!?」
驚愕にゆがむ桐村くんだが私は笑いながら元気づける。
「大丈夫!私、体重軽いから」
「だから、そういう問題じゃないんだけど」
結局、私が押し切る形で桐村くんは了承して夜間散歩が決定した。
「それにしても、ここ二階だよ。どうやって上ってきたの?」
動きやすいようにスカートの下にレギンスを穿きながら尋ねると、桐村くんは『ん』と窓から見える一本の桜の木を指さした。
「あれを上ってきたの?あっはは、まるでお猿さんだね」
「うるさいな。まぁ、でも確かに身軽で良かったよ。んじゃ、俺が先に降りるから真似して降りてきて」
「了解!」
『それじゃ』と先を行く桐村くんだったけどその降り方は今さっき私が想像したお猿とはかけ離れたずいぶんおっかなびっくりしたもので降りるというより落ちるといった方が表現的には合っている思えるものだった。
今が冬でよかったよ、夏だと露出が多いからたぶん怪我してたんじゃないかな?
下で、服に着いた汚れを払っている桐村くんを見届け私もあとに続く。
「よいしょ」
まず窓から身を乗り出し、太めの木の枝を右手でつかむ。
無骨ながらも繊細な気の感触を確認し、徐々に体重をそちらに移していく。
どうや折れる心配はなさそう。
安心した私は次に左手と右足を枝に引っかけ左足で窓枠を蹴り木に飛び移った。
一瞬の浮遊感、まるで自身が飛んでいるかのような感覚に私はついつい微笑んでしまう。
飛び移った桜の木は花や葉こそ落ちものさみしい見かけだったが、じかに触れると冷たいながらも内から伝わる妙な温かさがあり、ああ生きているんだと感じられ安心できた。
その後、、私は桐村くんの手を借りることなく寮からの脱出に成功しました。
「やっぱり、外は冷えるね」
うーんと、腕を組み背伸びをする私を桐村くんは少し心配げに見てくる。
「寒いのか?なんなら俺の上着かすけど?」
「いいよ。私さ、この寒さが結構好きなんだ。なんかこの肌を締め付ける寒さがね、ああ私はここにいる生きてるなって実感できるんだ。生きているっていう感覚を得られるの、だから好き」
そうこの身の引き締まる感覚、細胞の一つ一つが呼応するのがわかる。
それが今自分が確かにここにいるんだという存在確認に安心感する。
「よくわかんないな」
「だね」
そう笑う私に桐村くんは手を差し出す。
いったい何なんだろうか?
「いくら好きだからって冷え過ぎは体に良くない。その、手でもつなげば多少は温かくなるだろ」
ぶっきらぼうに差し出される枝のように細い腕、その視線の先の顔は強張っていて緊張しているのがまるわかりだった。
私はそれに吹き出しそうになるのをこらえ彼の手を握り返す。
女の子の細さとはまた別の桐村くんの細い手は思いのほか温かかった。
「ふふ、実は手を握りたかっただけだったりして?」
そんな分かり切ったことをあえて聞いてみる。
「良いだろそんなことべつに」
答をはぐらかすように桐村くんは私の手を引き歩き出す。
冬空の下、星たちの明かりと町の街灯がまるで蜃気楼のように夜の闇にまぎれ煌めく、それはまるで私が漆黒の舞台の上に立っているようでなかなか悪い気はしなかった。
そう、そしてそれが何より意外だった。
本の気まぐれで誘った散歩、特に大した会話もせず手をつなぎながら夜景を見るだけの行為に心弾ませている私がいるということが。
それからどれだけ歩いただろう、まだ振り返れば寮の姿が見えるということは、時間はまだほんの五分ほどだろう。
寮のそばの坂道、そこを下った先にある交差点、その歩道橋の下で意外な人物たちと遭遇した。
「あらあら、これはこれは。ずいぶんと懐かしい顔じゃない」
そう彼女は痩せ細った骸骨のような顔で笑いかけてきた。
「青渕さん。こんばんは。お久しぶりですね」
出来るだけ愛想よくあいさつしたつもりだったんだけど途端に青渕さんの顔は険しいものに変わる。
「桐村ぁ、アンタはないの私に挨拶。年上には敬意をもって接しましょうって習わなかった?あのクソ施設でさぁ」
そう、威圧的な態度をとる青渕さんでけど、とうの桐村くんはそんなことはまるで眼中にないというように見当違いな方向、青渕さんの後ろにある鉄柱その暗闇に視線は向いていた。
「お前、雄一郎?」
「え?」
青渕さんにわき目も振らずにその暗闇へと駆け寄る桐村くん、そこには捨てられた人形のようにだらしなく足を地面に放り出し座り込む浅見雄一郎くんの姿があった。
「嘘・・・」
たまらず私も駆け寄った。
数年ぶりに見た浅見くんの姿は目をそらしたくなるほど酷いものだった。
体は痩せ細り、髪は乱れ放題、皮膚は土気色とそのさまはミイラ、そうまるで博物館から持ち出したミイラに現代の衣服を着させているようないでたち。
彼の薄暗い肌とは対照的の白いコートがよりその異様さを増していた。
桐村くんが必死に呼びかけるが浅見くんは反応せずうなだれたまま。
呼吸音はするから生きてはいるみたいだけど、意識があるようには見えない。
その後ろで青渕さんはくぐもった笑いをもらす。
「へぇーすごいじゃん桐村。こんなにぼろ糞になってんのに分かるなんてさ。アンタ昔っから百合以外には興味なさそうだったしてっきり忘れてるかと思った」
「家族のこと忘れるわけないだろ。」
「家族、ねぇ」
見下すように私たちを眺める青渕さんの目はそんなものあるわけないだろと小ばかにしているように見えた。
けど、桐村君のように私はすぐに彼を雄一郎君とは認識できなかった、それほどまでに浅見くんの容姿は変わり果てていたのだから。
目はうつろで全てが上の空、それでいて青渕さんの声にはわずかながらに反応している。
この症状はまさか。
「アンタ、一体雄一郎に何したんだ?」
桐村くんがそう聞くが青渕さんは含み笑いを続けるだけ、どうやら答える気はないみたいだった。
「さぁね。アンタには関係ないだろ。さっさと失せな」
「そんなわけに・・・」
そう、桐村くんが反論しようとしたときそれは唐突におきた。
「あっ・・ああ・がぁー!!!」
いままでそれこそ人形のようにピクリとも動かなかった浅見くんが突然奇声を上げ手足をばたつかせ暴れ出した。
しかも、その様子は明らかに尋常じゃなく声はヘッドホンに大音量で音を流したかのような大きさで漏れる声はサイレンのような不快感が高まる言葉にならない雑音。
バタつかせる手足もまったくの考えなしのようで地面やもたれかけていた鉄柱にぶつかっては皮膚が裂けて血が滲みだしている。
桐村くんが彼を止めようとするけど暴れまわる彼を押さえることは出来なくて逆に殴られてけがを負ってしまった。
「桐村くん!」
「いっつ」
驚きのけぞる私たちの間に青渕さんが割り込んでくる。
すると浅見くんは急におとなしくなり何かをしゃべりだした。
そう、しゃべりだした、奇声ではなくて言葉を。
「まんま・・まんま、まんまー!!」
それはまるで言葉を覚えたばかりの子供が発するかのようなあいまいなものだった。
「なに、なんなんだ」
「ああ、ごはんの時間なの。この子のね」
再び響くくぐもった笑い、そして青渕さんがポケットから取り出したのは蚕の繭のような真ん丸な錠剤だった。
それを、青渕さんは自らの口に含むと有無言わさず浅見くんに口づけをし彼の食道へと錠剤を押し込んだ。
じゅちゅりという艶めかしい音を放ちながら口を離す青渕さん、途中、きらめく唾液が糸を引きプツリと途切れた。
「なに、何をした?」
状況の変化についていけず尋ねる桐村くんを青渕さんは無視をする。
そんな彼女に私はついつい口を滑らせてしまうのだった。
「ヒプノシス・ブレイン」
私自身無意識に出たその言葉に驚いたけれど、彼女、青渕さんの驚きはそれ以上のもので天敵に見つけられた獣のような反応でこちらに振り返ってきた。
けれど、その驚きの顔もすぐにこちらを小ばかにしたような顔に変わる。
「へぇー意外。アンタがこの薬のことを知ってるなんてね。なるほど、お姫様もウラじゃとんだ悪事に手を染めてるってわけね」
「そんなこと!・・・ないですけど」
「おい!百合なんなんだよあのへんな薬は」
ひとり会話に取り残されていた桐村くんが声を荒げながら詰め寄ってきた。
「アレは、あの薬はヒプノシス・ブレイン」
「ヒプノシス・ブレイン?悪い百合、そんな名前だされてもよく分かんない」
それはそうだと思う、こんな薬、普通知っている方がおかしんだから。
いや、たとえ彼が専門的な知識を持っている人物だったとしても知っている可能性は低いと思う。
だって、この薬は最近この町だけに出回っているものだったから。
「ヒプノシス・ブレインはその、簡単に言えばドラッグの類だよ。あっ、ここでいうドラグっていうのはその違法薬物の方ね」
「ドラッグって」
向かい合う形で青渕さんを見つめる桐村くんの顔には困惑の色がにじみ出していた。
「へぇー詳しいじゃん。百合ぃー。なに、アンタも実はこれにはまってる口?」
意地悪く薬を見せつけるかのように聞いてくる青渕さんに私はほんのりと心に広がりゆく怒りを覚えた。
「そんなことない。・・・ただ、私たちの学校でそれに手を出した子がいたの」
「へぇーあのお嬢様学校にね。ソイツ自分で飲んだのそれとも飲まされた」
「自分で」
「はは、馬鹿じゃん。コレのことなんも知らなかったんだ」
「・・・行こう、桐村くん」
先ほどとは逆に今度は私が桐村くんの手を引っ張り歩き出す。
そんな私の突然の身を硬くする桐村くんはその場を動こうとせず立ち止まる。
「ちょ、待ってくれ百合。雄一郎をほっとくわけにはいかないだろ。何とかしないと。それにこの女を警察に」
そう言う桐村くんの私は首を振った。
「ダメだよ。青渕さんには何もしない方がいい。この人の後ろには荒身組がついている」
「荒身組っ!」
「うん。だから何もしないで。もしてなんか出したらどんな報復が来るか分からない。それに」
それは言うべきか迷った。
迷ったというより私自身がためらってしまった。
だって、そんな救いのないことを教えるなんて私自身がまるで悪いことをしているような気がしてしまったから。
だけど、未だここを離れるべきかを迷っている桐村くんの葛藤を壊すにはそれしかないと思った。
ごくりと、乾燥しきった喉を唾液で潤す。
緊張のせいで乾ききっていたのだろう喉に広がった水分はピリっと痛みをもたらした。
「それに、なに?」
「それに、浅見くんはその、・・・もう、手遅れなんだよ」
「は?」
「桐村くんだってあの体見たらわかるでしょ。薬のせいでボロボロ。あんなのもうどうしようもないよ。助けることなんてできない。今警察を呼んでも青渕さんを捕まえることができても雄一郎君はもうだめなんだよ。だから・・だから、帰ろう。ここを離れよう。桐村君まで巻き込まれるの嫌だよ」
そう言い聞かせ手を引く。
今度はすんなりと歩き出してくれた。
けれどその体はやけに力なくて、まるで風船でも引っ張っているかのような軽さだった。
そんな私たちを見送る様に青渕さんの笑い声がまた響いてきた。
「あーあ、手なんか引いちゃって仲良いねお二人さん。ふふ、夜の町は気を付けるんだよ。最近物騒だからね」
私はその声を無視した。
最初の記憶は痛かったこと、体が動かなかったことそれ以前の記憶はない。
初めて見たものは、がれきの山に傷だらけの自分の手、そして馬鹿みたいに明るい太陽。
なにも分からずどうすればいいもかもわからずただその場に倒れていると、ふいにまるで道端で偶然見かけた友人に話しかけるような気軽さで声をかけられた。
『ああ、この中で生きるなんて貴方、ついていますね』
視界がバ焼けているせいで顔は良く見えないがその声はやけに無機質でまるでロボットが人のふりをして話しかけているように感じた。
でもこの際誰でもよかったこの訳の分からない痛みから解放されるにはこの人にすがるしかない、そう思い(助けて)と声に出そうとしたが口から洩れたのはヒューというか細い
息が漏れるだけ。
ああ、これじゃまるで壊れたガスかんみたいだな。
『助けてと言いましたか』
驚いた、何でか知らないけどこの人は私の声が聞こえたみたい。
『いいですよ。助けます。だから今は眠ってください。このまま意識を持っていれば貴方は死にます。だからお話は次目が覚めた時までのお楽しみということで』
伸ばされる手、その手が私の額に触れたとき、すさまじい眠気が私を襲い私は意識を失った。
そんな懐かしい夢を見た。
「おっ!起きた?」
目覚めて聞く第一声、その陽気な声が耳に入ると同時に私はため息をつきたい気分にかられた。
「桐村くん。何度も言うけどここは女子寮。私以外に見つかったら本当に警察沙汰になるよ」
桐村くんは私のベッドから腰を浮かし正面の勉強机に座り直すとニカリと笑う。
「大丈夫だって!そんなヘマしないさ。見つからなければみんなハッピーってな」
「少なくとも、桐村くんが来るたびにビクビクしている私は迷惑してるよ」
「んだよ!彼氏が来るのが迷惑ってんのかよ」
ムッスとした顔で私に詰め寄る桐村くんは少し寂しそうで、そのライオンのたてがみのような荒々しい金髪とは裏腹に表情は捨てられた子犬のように見えた。
「彼氏なら少しは私のことも考えてよ。私嫌だよ桐村くんが悪者になるのなんて」
「いや、そんなつもりじゃ。ごめん百合」
ゆっくりと私の頬に手を当てる桐村くん。
(あっ、これって)
そう思う間もなく私は唇を奪われ、そのまま押し倒された。
「ちょ!なに、どうしたの?」
そんな反論なんて聞こえないと言わんばかりに次は胸に顔をうずめてくる。
付き合いだして分かったことだけど、桐村くんは何か不安なことがあると度々私の体を求めて来た。
もちろん、最初はそれなりの拒絶もしたし、時実養護施設での一軒をしてる彼もその時は私を気遣い分かってくれた。
だけど、アレはやっぱり私が悪かったんだろう。
一度、その場の空気に飲まれ体を許してしまったことがあった、その時の桐村くんの顔は今でも覚えている、部屋に響く二人分の荒い息の中、痛みしかなかった私とは対照的にその顔は神の祝福で享けたかのような満ち足りたものだった。
それから彼は、ある一定の条件を満たした時だけ私を求めてきた、それがあの捨てられた子犬のような寂しそうな顔だった。
以前、何で桐村くんがこんな行動をとるようになったのかヒルに聞いてみたことがあった。
『それは、安心するためでしょう』
緑葉をおもわせる深緑のソファーにゆったりと腰かけながらヒルは話を聞いてくれた。
『安心?』
『アレは不安なんですよ、いつ貴方が自分のそばから離れるかが怖くてたまらないのです』
『でも、いままで桐村くんはそこまで私に執着していなかったよ』
『手に入れたからこそ、余計それに依存する。珍しい話ではありません』
『だから私を抱く?求められるのは正直嬉しくもあるけど、体だけで私の表面なんかまるで見ていない気もするんだよね。それとも男の人ってそんな感じなのかな?』
そんな男心ヒルに聞いてもしょうがないと思いつつも、ヒルなら答えを持っているだろうと思い聞いてみる。
『アレは貴方を抱くことでコレは自分のものだという征服感を満たしたいのでしょう。そして胸のうちの不安を性欲と快楽で拭い去りたい。けれどそれらはどれも一時的なモノ、だから彼は貴方を抱き続ける、愛情とは無縁感情で。そこにあるのは極めて原始的な欲求まさに飢えですね。桐村修は貴方に飢えているんですよ』
桐村くんの心の奥を代弁するかのように、そして私の心を覗き見るように彼は瞬き一つせず私を見つめる。
『なら、桐村くんは私を愛していないの?』
それは、正直いろいろ困るのだけど。
『愛はあるでしょう。けれどそれがあなたを失いたくないという思いから依存という形に変貌してしまっている。そう、貴方がいないと生きていけないほどにアレは貴方に狂っていますよ。良かったですね、そこまで思われて』
最後のは彼なりの皮肉なのだろうか?
『うん、そうだね。話聞いてくれてありがとう』
私の謝礼に彼は『いえ』と少し退屈そうに答えてくれた。
あの時の彼の言葉通りだとするなら今、桐村くんが私を求めているのは不安からのはず。
私に拒絶されるのが怖くて無理やりにでも私に自身を刻み込もうとしている。
そのことに対して今更険悪感はないけれど、さすがに場所が悪いと思う。
「ねぇ、こんなとこでしちゃったら声でちゃう。お願いやめて」
私の懇願が耳に入り桐村くんの動きはぴたりと止まる。
「ダメ?」
「うん、さすがにね。女子牢に侵入した男の子が女子生徒を押し倒してるのなんか誰かが見たら本当にさよならになっちゃうよ」
「うっ、それは嫌だな」
桐村くんはビクつくように体を私から放す。
その時、彼のズボンが変に膨れていたのは見なかったことにしよう。
私も体を起こすとクローゼットについている身鏡で乱れた服と髪を整える。
鏡越しに見える桐村くんはバツが悪そうにベッドの上でせわしく貧乏ゆすりをしている。
その顔は相変わらず不安そうで、これじゃ何だか私が彼をいじめているみたいだななんて思ったりする。
「ねえ、少し外の空気吸いに行かない?」
さすがにこのまま返すのはなんだか可哀想に思えてきてそんな提案をしてしまう。
「えっ、外」
「うん。なんだか私も体がほてっちゃって、ちょっと夜風に当たりたいなってね」
「でも、こんな時間い外なんか出られないだろ」
うん、桐村くんにしてはめずらしいもっともな意見だ。
だけどそんなことはもちろん私も分かっている。
「そうだね、でも見つからなかったらみんなハッピーってことで私も桐村くん専用玄関を使おうと思います」
ベッドわきの窓を指さす私を見て桐村くんはたちまち青ざめる。
「ばか、危ないって!落ちたらどうすんの!」
「そんなヘマしません。これでも私運動神経はいい方なんだよ。桐村くんにできるなら私も問題ないと思うけどなー」
「万が一ってこともあるだろ」
「なら、もしもの時は桐村くんが私を受け止めてよ」
「俺が!?」
驚愕にゆがむ桐村くんだが私は笑いながら元気づける。
「大丈夫!私、体重軽いから」
「だから、そういう問題じゃないんだけど」
結局、私が押し切る形で桐村くんは了承して夜間散歩が決定した。
「それにしても、ここ二階だよ。どうやって上ってきたの?」
動きやすいようにスカートの下にレギンスを穿きながら尋ねると、桐村くんは『ん』と窓から見える一本の桜の木を指さした。
「あれを上ってきたの?あっはは、まるでお猿さんだね」
「うるさいな。まぁ、でも確かに身軽で良かったよ。んじゃ、俺が先に降りるから真似して降りてきて」
「了解!」
『それじゃ』と先を行く桐村くんだったけどその降り方は今さっき私が想像したお猿とはかけ離れたずいぶんおっかなびっくりしたもので降りるというより落ちるといった方が表現的には合っている思えるものだった。
今が冬でよかったよ、夏だと露出が多いからたぶん怪我してたんじゃないかな?
下で、服に着いた汚れを払っている桐村くんを見届け私もあとに続く。
「よいしょ」
まず窓から身を乗り出し、太めの木の枝を右手でつかむ。
無骨ながらも繊細な気の感触を確認し、徐々に体重をそちらに移していく。
どうや折れる心配はなさそう。
安心した私は次に左手と右足を枝に引っかけ左足で窓枠を蹴り木に飛び移った。
一瞬の浮遊感、まるで自身が飛んでいるかのような感覚に私はついつい微笑んでしまう。
飛び移った桜の木は花や葉こそ落ちものさみしい見かけだったが、じかに触れると冷たいながらも内から伝わる妙な温かさがあり、ああ生きているんだと感じられ安心できた。
その後、、私は桐村くんの手を借りることなく寮からの脱出に成功しました。
「やっぱり、外は冷えるね」
うーんと、腕を組み背伸びをする私を桐村くんは少し心配げに見てくる。
「寒いのか?なんなら俺の上着かすけど?」
「いいよ。私さ、この寒さが結構好きなんだ。なんかこの肌を締め付ける寒さがね、ああ私はここにいる生きてるなって実感できるんだ。生きているっていう感覚を得られるの、だから好き」
そうこの身の引き締まる感覚、細胞の一つ一つが呼応するのがわかる。
それが今自分が確かにここにいるんだという存在確認に安心感する。
「よくわかんないな」
「だね」
そう笑う私に桐村くんは手を差し出す。
いったい何なんだろうか?
「いくら好きだからって冷え過ぎは体に良くない。その、手でもつなげば多少は温かくなるだろ」
ぶっきらぼうに差し出される枝のように細い腕、その視線の先の顔は強張っていて緊張しているのがまるわかりだった。
私はそれに吹き出しそうになるのをこらえ彼の手を握り返す。
女の子の細さとはまた別の桐村くんの細い手は思いのほか温かかった。
「ふふ、実は手を握りたかっただけだったりして?」
そんな分かり切ったことをあえて聞いてみる。
「良いだろそんなことべつに」
答をはぐらかすように桐村くんは私の手を引き歩き出す。
冬空の下、星たちの明かりと町の街灯がまるで蜃気楼のように夜の闇にまぎれ煌めく、それはまるで私が漆黒の舞台の上に立っているようでなかなか悪い気はしなかった。
そう、そしてそれが何より意外だった。
本の気まぐれで誘った散歩、特に大した会話もせず手をつなぎながら夜景を見るだけの行為に心弾ませている私がいるということが。
それからどれだけ歩いただろう、まだ振り返れば寮の姿が見えるということは、時間はまだほんの五分ほどだろう。
寮のそばの坂道、そこを下った先にある交差点、その歩道橋の下で意外な人物たちと遭遇した。
「あらあら、これはこれは。ずいぶんと懐かしい顔じゃない」
そう彼女は痩せ細った骸骨のような顔で笑いかけてきた。
「青渕さん。こんばんは。お久しぶりですね」
出来るだけ愛想よくあいさつしたつもりだったんだけど途端に青渕さんの顔は険しいものに変わる。
「桐村ぁ、アンタはないの私に挨拶。年上には敬意をもって接しましょうって習わなかった?あのクソ施設でさぁ」
そう、威圧的な態度をとる青渕さんでけど、とうの桐村くんはそんなことはまるで眼中にないというように見当違いな方向、青渕さんの後ろにある鉄柱その暗闇に視線は向いていた。
「お前、雄一郎?」
「え?」
青渕さんにわき目も振らずにその暗闇へと駆け寄る桐村くん、そこには捨てられた人形のようにだらしなく足を地面に放り出し座り込む浅見雄一郎くんの姿があった。
「嘘・・・」
たまらず私も駆け寄った。
数年ぶりに見た浅見くんの姿は目をそらしたくなるほど酷いものだった。
体は痩せ細り、髪は乱れ放題、皮膚は土気色とそのさまはミイラ、そうまるで博物館から持ち出したミイラに現代の衣服を着させているようないでたち。
彼の薄暗い肌とは対照的の白いコートがよりその異様さを増していた。
桐村くんが必死に呼びかけるが浅見くんは反応せずうなだれたまま。
呼吸音はするから生きてはいるみたいだけど、意識があるようには見えない。
その後ろで青渕さんはくぐもった笑いをもらす。
「へぇーすごいじゃん桐村。こんなにぼろ糞になってんのに分かるなんてさ。アンタ昔っから百合以外には興味なさそうだったしてっきり忘れてるかと思った」
「家族のこと忘れるわけないだろ。」
「家族、ねぇ」
見下すように私たちを眺める青渕さんの目はそんなものあるわけないだろと小ばかにしているように見えた。
けど、桐村君のように私はすぐに彼を雄一郎君とは認識できなかった、それほどまでに浅見くんの容姿は変わり果てていたのだから。
目はうつろで全てが上の空、それでいて青渕さんの声にはわずかながらに反応している。
この症状はまさか。
「アンタ、一体雄一郎に何したんだ?」
桐村くんがそう聞くが青渕さんは含み笑いを続けるだけ、どうやら答える気はないみたいだった。
「さぁね。アンタには関係ないだろ。さっさと失せな」
「そんなわけに・・・」
そう、桐村くんが反論しようとしたときそれは唐突におきた。
「あっ・・ああ・がぁー!!!」
いままでそれこそ人形のようにピクリとも動かなかった浅見くんが突然奇声を上げ手足をばたつかせ暴れ出した。
しかも、その様子は明らかに尋常じゃなく声はヘッドホンに大音量で音を流したかのような大きさで漏れる声はサイレンのような不快感が高まる言葉にならない雑音。
バタつかせる手足もまったくの考えなしのようで地面やもたれかけていた鉄柱にぶつかっては皮膚が裂けて血が滲みだしている。
桐村くんが彼を止めようとするけど暴れまわる彼を押さえることは出来なくて逆に殴られてけがを負ってしまった。
「桐村くん!」
「いっつ」
驚きのけぞる私たちの間に青渕さんが割り込んでくる。
すると浅見くんは急におとなしくなり何かをしゃべりだした。
そう、しゃべりだした、奇声ではなくて言葉を。
「まんま・・まんま、まんまー!!」
それはまるで言葉を覚えたばかりの子供が発するかのようなあいまいなものだった。
「なに、なんなんだ」
「ああ、ごはんの時間なの。この子のね」
再び響くくぐもった笑い、そして青渕さんがポケットから取り出したのは蚕の繭のような真ん丸な錠剤だった。
それを、青渕さんは自らの口に含むと有無言わさず浅見くんに口づけをし彼の食道へと錠剤を押し込んだ。
じゅちゅりという艶めかしい音を放ちながら口を離す青渕さん、途中、きらめく唾液が糸を引きプツリと途切れた。
「なに、何をした?」
状況の変化についていけず尋ねる桐村くんを青渕さんは無視をする。
そんな彼女に私はついつい口を滑らせてしまうのだった。
「ヒプノシス・ブレイン」
私自身無意識に出たその言葉に驚いたけれど、彼女、青渕さんの驚きはそれ以上のもので天敵に見つけられた獣のような反応でこちらに振り返ってきた。
けれど、その驚きの顔もすぐにこちらを小ばかにしたような顔に変わる。
「へぇー意外。アンタがこの薬のことを知ってるなんてね。なるほど、お姫様もウラじゃとんだ悪事に手を染めてるってわけね」
「そんなこと!・・・ないですけど」
「おい!百合なんなんだよあのへんな薬は」
ひとり会話に取り残されていた桐村くんが声を荒げながら詰め寄ってきた。
「アレは、あの薬はヒプノシス・ブレイン」
「ヒプノシス・ブレイン?悪い百合、そんな名前だされてもよく分かんない」
それはそうだと思う、こんな薬、普通知っている方がおかしんだから。
いや、たとえ彼が専門的な知識を持っている人物だったとしても知っている可能性は低いと思う。
だって、この薬は最近この町だけに出回っているものだったから。
「ヒプノシス・ブレインはその、簡単に言えばドラッグの類だよ。あっ、ここでいうドラグっていうのはその違法薬物の方ね」
「ドラッグって」
向かい合う形で青渕さんを見つめる桐村くんの顔には困惑の色がにじみ出していた。
「へぇー詳しいじゃん。百合ぃー。なに、アンタも実はこれにはまってる口?」
意地悪く薬を見せつけるかのように聞いてくる青渕さんに私はほんのりと心に広がりゆく怒りを覚えた。
「そんなことない。・・・ただ、私たちの学校でそれに手を出した子がいたの」
「へぇーあのお嬢様学校にね。ソイツ自分で飲んだのそれとも飲まされた」
「自分で」
「はは、馬鹿じゃん。コレのことなんも知らなかったんだ」
「・・・行こう、桐村くん」
先ほどとは逆に今度は私が桐村くんの手を引っ張り歩き出す。
そんな私の突然の身を硬くする桐村くんはその場を動こうとせず立ち止まる。
「ちょ、待ってくれ百合。雄一郎をほっとくわけにはいかないだろ。何とかしないと。それにこの女を警察に」
そう言う桐村くんの私は首を振った。
「ダメだよ。青渕さんには何もしない方がいい。この人の後ろには荒身組がついている」
「荒身組っ!」
「うん。だから何もしないで。もしてなんか出したらどんな報復が来るか分からない。それに」
それは言うべきか迷った。
迷ったというより私自身がためらってしまった。
だって、そんな救いのないことを教えるなんて私自身がまるで悪いことをしているような気がしてしまったから。
だけど、未だここを離れるべきかを迷っている桐村くんの葛藤を壊すにはそれしかないと思った。
ごくりと、乾燥しきった喉を唾液で潤す。
緊張のせいで乾ききっていたのだろう喉に広がった水分はピリっと痛みをもたらした。
「それに、なに?」
「それに、浅見くんはその、・・・もう、手遅れなんだよ」
「は?」
「桐村くんだってあの体見たらわかるでしょ。薬のせいでボロボロ。あんなのもうどうしようもないよ。助けることなんてできない。今警察を呼んでも青渕さんを捕まえることができても雄一郎君はもうだめなんだよ。だから・・だから、帰ろう。ここを離れよう。桐村君まで巻き込まれるの嫌だよ」
そう言い聞かせ手を引く。
今度はすんなりと歩き出してくれた。
けれどその体はやけに力なくて、まるで風船でも引っ張っているかのような軽さだった。
そんな私たちを見送る様に青渕さんの笑い声がまた響いてきた。
「あーあ、手なんか引いちゃって仲良いねお二人さん。ふふ、夜の町は気を付けるんだよ。最近物騒だからね」
私はその声を無視した。
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