人形遣いたちの学園~火の国の王子と水の国の王女~

工藤ゆさ

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花の楽園と石像

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意識が戻った時、クウェリルは鼻にねっとりとこびりついた花の青臭い香りで、自分は死んでしまったのかと錯覚した。

目を開けて見るとそこにはこの世の全ての色彩を集めたかのような、数えきれないほど多くの花の数々がクウェリルを囲んでいて、やっぱり自分は死んだのだと半ば確信めいたものを感じたが尋常ではない背中の痛みで、ここはこの世の苦しみ、そして痛みから解放されるという天国ではないという考えに至った。

徐々に戻って来た記憶が正しければ、クウェリルの体はあの水で満たされた部屋から大きな渦を巻いた水の流れと共に、空中に投げ出されたはずだった。

さきほどの部屋のように、部屋の上から下までつなぐ、大きな階段があればこの背中の痛みは多少ましだったのかもしれないと思いながら、クウェリルは思うように動かない首はそのままに、視線だけ部屋を見渡したがどこにもそれらしきものは見つからなかった。

体を動かさないようにじっと天井を睨んでいると、次第にクウェリルはじんわりと背中が妙に熱を帯び、そしてかゆくなってきたのを感じた。

最初は花の茎についた棘がクウェリルの背中を刺激しているのかと思って多少ながら、首と背中の痛みに耐えつつも体を動かしてみたがその後もどうにも背中の違和感はなくならず、しまいにはまるで燃えるような痛みまで感じ、クウェリルは耐えきれず身を起こした。

この痛みでは炎症を起こしているかもしれない―とクウェリルは身ぐるみを脱ぎ、肉眼で確認したかったが正面から少しでも捻ろうとすると激痛が走る、今の首の状態では到底できそうになかった。

しかし痛みのある背中に手を伸ばさずにはいられず、慎重に触れようと後ろに手を回したその瞬間、クウェリルは自分の体の異変などすっかり頭から抜けていた。

驚くべきことに、花がいたるところに咲く、人によっては楽園とも言うだろうこの空間で、明らかに異常な、黒い塊がクウェリルのすぐ目の前に転がっていた。

クウェリルはこれが先ほどの爆発の原因だと直感し、恐る恐るそれに近づいた。

四本足の可哀そうな動物―クウェリルはそうとばかりに思っていたが、哀れにも爆発に巻き込まれて黒焦げになっているのは、クウェリルと同じ手と足が二本ずつある人間だった。

クウェリルはそれが人間であると気が付いたその瞬間、声にならない悲鳴を上げ大きくのけぞると、バランスを崩し再び花の中へ倒れ込んだ。

背中と首―両方が再び与えられた刺激に悲鳴を上げたが、一番クウェリルの体で異常を訴えているのは間違いなく大きく、そして早く波打つ心臓だった。

これ以上悲鳴が漏れないよう、クウェリルは無意識のうちに手を口元へと持って行っていたがその手は震える口に合わせ、小刻みに震えるばかりだった。

クウェリルの輝かしい人生で、決して見るはずのなかった人の死体――

一刻も早くかつてクウェリルと同じように呼吸をし、生きていた人であったはずの黒い物体から目を逸らしたかったが、クウェリルの目はそれに吸い寄せられ、瞬きもせずにクウェリルはひたすらに見つめ続けた。

しばらくして頬に熱い涙が伝った頃、ようやくクウェリルは瞬きをしてどれほど自分が目を開き続けたかに気が付いた。

まるで粘着しているかのように視線を逸らすことが出来なかった黒い塊からようやく逃げることが出来て、クウェリルはそれから二度と目を向けないようにひたすらに首をそれの反対側に逸らし続けようとしたが、またもやクウェリルの目は意思とは真逆に吸い寄せられた。

クウェリルの体は、意思に反してそれに近づいていたのだ。

死体に向かおうとしている恐怖と、足を絡ませつつ歩んだことが相まってクウェリルは人型の黒焦げになったモノに近寄った時には、既に息が上がっており心臓はとても速く波打った。

同じ階にいた訳でもないのに、クウェリルの耳が一瞬おかしくなるほどの爆発だ―死体は、かつてどんな顔をしていたのか分かる訳がないと思っていたが、実際はそうではなかった。

確かに目の前に横たわるものは、全身が爆発によって丸焦げになり、近づくと炭の匂いが鼻を掠めたが、ただ一つ顔だけは違った。

なんと、その黒いモノは顔を何かについばまれていたのだった―。

それとは一匹の生物ではない―何十匹もの拳ほどのサイズの黒くふわふわの毛をした生き物たちそれぞれが、もはや炭と化してしまった人間の顔全体に、まるで蟻が地面に落ちた砂糖にたかるかのように顔周辺で蠢いていた。

クウェリルは初めにその光景を見た時、蠢く謎の生物が炭と同じ黒色をしていたため、顔の黒さは炭によるもので、まさか人間が他の生物に体を食い漁られているとは夢にも思わなかった。

この奇妙な塔で不幸な死を遂げてしまった目の前の人間のために、クウェリルは無残にも顔に群がる無数の毛むくじゃら達を払いのけるべきだったのは十分承知だったが、小さいながらもきちんと生えそろった手足を使い、顔から落ちないよう器用に引っ付いている光景を見ると、伸ばす手はどうしても震えてしまうばかりだった。

茫然と立ち尽くし、残酷な光景を見たまましばらくたった後、我先にとあまりにも多くの数、毛むくじゃら達は顔にひしめき合っていたにも関わらず、ふと一匹が滑らかに首まで移動すると、それに倣うように、全員が足を動かし、その曲線を滑り落ちてしまった。

単なる気まぐれかとクウェリルは最初思ったが、それは違った。

毛むくじゃら達が移動した後に現れたのは、人間が持ちえる造形美を全てかき集めたかのようなあまりにも端正な顔だった。

頬は、すべらかな曲線を描き、完全に閉じられてしまった目は、それでも切れ長の美しさを感じることが出来た。

顔の中心にスッと通った鼻、少し薄めの唇、そのどれもがまるで全て正しい位置にあるかのように思えたが、そのパーツが乗る顔全体の色味だけが、彼の生を感じさせない土気色をしていた。

しかし、クウェリルはその生の感じなさというのも彼の魅力を最大限に引き出しているようにも思え、一人感嘆した。

クウェリルは自分でも気が付かないうちに膝を折り、目の前に横たわる顔だけが露わになった体を恐々と抱き抱えていた。

黒の毛むくじゃらたちは、長いこと首を覆いつくし彼の体をむさぼり続けていたが、その様子を見ているとクウェリルは自分の首の辺りが落ち着かなくなり、首を左右に振った。

しかし次の瞬間、クウェリルは背後に何らかの気配を感じ勢いよく振り返った。

気配を感じ、すぐさま振り返ったにも関わらずクウェリルのすぐ後ろには人は見当たらず代わりに、一つの石像が迫っていた。

その石像は、クウェリルと同じほどの背丈の少女の石像で、長くカーブした髪をしており、そして両手を広げていたため、クウェリルが振り返った時にはまるでその胸に自ら飛び込んでいるかのような体制になっていた。

何の変哲もない石像だったが、明らかに先ほどまではクウェリルの目には入っていなかったにも関わらず、いつの間にクウェリルはこれに背後をとられていたのだった。

不審の眼差しで石像の足元を見て、再び顔を見ると、石で型を取った顔はクウェリルと同じほどの年齢だったはずの少女から、なんと、顔に皺の入った女のようにも見える風貌へと変化していた。

自分の目を疑い、何度か目を瞑った後また目を開けると、やはりそこには大分年をとったように見える女がいて、そして理由は分からないが、いやに悩まし気な表情をしていた。

その上驚くべきは、少女に良く似合っていた軽やかなウェーブの髪からぴんと張った鋼のような美しさを思わせるストレートの髪に変わっていたことだった。

その髪は、まるでドーエのような自分とは似ても似つかない、美しい髪だとクウェリルは思ったところで、その髪に載せるのにふさわしい何かが、頭上に足りないように感じた。



次の瞬間、クウェリルは自分の周りを囲む草花を凝視し、石像に最もよく似合うものはどれなのかを吟味して手を動かしていた。

なぜそうしているのか―頭で考えようとすると思考が石像のあの眉を寄せた顔で支配され、瞬く間に草花を摘んでいることに疑問を持ったことが、おかしなことのように思えたのだった。



(白い花こそお母さまにふさわしいわ―)



クウェリルはそう考えたが、自分の周りに白の花が無いと分かるとすぐさま立ち上がり軽やかな足取りで視界の端に映った周りよりも少しだけ背が高く、凛と咲いている花を摘みに行った。

白い花を基調に差し色には黄色の花を、ドーエが好んでよく身に着けていたドレスの色を思い起こしながらクウェリルは花の茎を折り、それを編み始めた。

一本だけ長めに採った白い花に、黄色の小ぶりな花弁をした花を巻き込んでいく―。

無我夢中で手を動かしていると、あっという間に花たちは身を寄せ合った白と黄色の、落ち着いた雰囲気ではありつつも、華やかさもある、美しい束になった。

外に出ることを良しとされていなかったクウェリルが作り方を知っているはずが無かったが、クウェリルはいつの間にか美しい花の集合体―花冠を手にしていたのだ。

クウェリルは最後の一房を編み終わると、すぐさまその花冠を右手に持ち、立ち上がりドーエへと足を進めた。

クウェリルが編んでいる間ドーエは静かにその場にたたずんでいたが、振り返ると、クウェリルが向かってくることを歓迎しているかのように、ドーエは口角を小さく上げ、微笑んでいた。

目の前まで来た時、ドーエは頭を緩やかに下げた―クウェリルの手はそれを見ると自然に花冠を持つ手を上に持ち上げていた。



「……うぅ……うぁっ」



しかし、その瞬間クウェリルは、この美しい花園や、ドーエに似合わない低い呻き声を耳にして肩を震わせた。

なんとそれはすっかり意識の外に追いやられていた黒焦げの死体の方から聞こえたもので、クウェリルは一瞬にして恐怖に支配された体に、かすかに力を入れ、どうにか首だけを振り向かせた。



「…………は?」



クウェリルは、振り向いた先で見た光景があまりにも信じられず一瞬時が止まったように目を見開き、口をぽっかりと開けて体を硬直させた。

そして、何とも奇妙なことにクウェリルが驚いた原因であるソレも、クウェリルと全く同じように口をぼんやりと開けていたのだった。

何の罪もないまま、先ほど起きた大爆発に巻き込まれて惜しくも息を引き取っていたはずの目の前に横たわる男は、確実に自分の意思を持って口をはくはくとさせて、必死で呼吸を取り込んでいるように見えた。

この光景を見たら、クウェリル以外の誰かであっても―この男は死にかけてはいるが、まだかろうじて息がある―そう言うに違いないないと思った。

炭と化していた男の体は、いつの間にか上半身のほとんどが元通りに、いや色は血が通っていないかのような土色をしていたが、それは明らかに真っ黒な炭色とは異なっており、そして顔に張り付いていた毛むくじゃら達は、クウェリルが目を逸らしていた内に、今度は太ももに集まり、もそもそと蠢いていた。

上半身と下半身、とても同じ人間の体とは思えないモノをそれぞれに持った男は、突如ぴくりと肩を震わせると、土気色の手を空中に震えさせながら持ち上げた。

クウェリルは力なく、今にも床に吸い込まれそうなその覇気の感じない腕を見て、気が付くとその手に向かって走り出していたが、足を踏み出した途端、長いこと手に握りしめていた花冠がクウェリルの手から離れたことで、それが地面に生える草と接触した音がした。

男の顔の横に膝立ちになり、クウェリルは前のめりになりながらも男の、赤い血を感じさせない手をぎゅっと握った。

すると、急に外部からの刺激が加わったためか、クウェリルの手のひらの中で、ほんの少しではあったが、反応を見せた。

それに呼応し、クウェリルは増々手に力が入ったが、途端に男の綺麗に生えそろった凛々しい眉が痛々し気に歪められたのを見て、慌てて止まっていた呼吸を再開させ、息を吸うと同時にクウェリルは握った手を放し、骨を抜き取られたかのように、地面にへたり込んだ。

眉を寄せたまま、男はしばらくうわ言を言うかのように口をひくひくと動かしたので、クウェリルは男の口を注視していたが、次の瞬間彼が開いたのは口ではなく瞼で、そこにあったのは彼の橙色の髪の色と同じく、少しくすんだ色をした緑色の瞳だった。

くすんだ緑色の瞳は、しばらく定まらないまま宙を彷徨ったが、しばらくしてやっとクウェリルの瞳と視線が交わると、二人は縄で縛られたかのように互いの瞳以外を見ようとすることが叶わなくなっていた。



「……きみ、は……」



しばらくの間見つめ合った後、男は先ほどよりも一等強くクウェリルの瞳を見つめたかと思えば、口端を小さく震えさせながら、掠れた喉を何とか開いて、クウェリルに問いかけた。

クウェリルは、目と目の先にいるにも関わらず、耳に入るかも怪しい声量で紡がれる男の言葉を聞き逃すまいと、かすかに動く彼の口の動きに集中した。



「き、みは……だれに……みえ、る?」



―君は誰に見える―

それは彼の持てる余力を全て出し切って口にした言葉であったはずだった。



苦しみながらも懸命に口を開けていたことから、彼は何か重大な事柄を伝えようとしてくれているのだとばかりに思っており、クウェリルはその大事な言葉を聞き逃すまいと耳を傾けていたのだが、実際の彼の口から出たモノが何の意味を含んでいるのか、クウェリルにはさっぱり分からず、戸惑った。

いまだうつろな目をしたままの男が、困惑した表情のクウェリルを認識していたのか、それは定かではないが、彼は一度目を閉じると、今度は首を上向きに動かし、クウェリルよりも更に、逆さの視界のまま、部屋の奥の方を見た。

男の視線の先を追うと、そこには石像があり、そこでようやくクウェリルはついさっきまでこの石像に、自分の全てを差し出していたことを思い出した。

しかし、ぼんやりとした石像の輪郭を、はっきりと目でとらえた途端、クウェリルの心臓はまたふわりと宙に浮いたような心地になり、座り込んだままのクウェリルの周辺に咲いている草花を、再び摘み始めていた。



(お父様に似合うのは、藍色の花―私とよく似た髪の色よ……)



石像は、肩幅が広く見ていて安定力のある体格で、顔で一番目立つのは鼻下の特徴的な大きな髭、そしてすべてを吞み込んでしまうような大きな目は、石となっても変わらず見ている者の注意を引き付けた。

石像は、父ヴォ―デンによく似ていたのだ。

クウェリルは自分が見渡せる限りの場所に、藍色の花が無くなってしまったことに気が付くと、自分が今座り込んでいるおかげで、藍色がつぶれていないか、と急いで立ち上がろうとした。



しかし、この時クウェリルの忙しなく動く手を、震えながらも掴んだ腕があったおかげで、クウェリルの意識は途端に晴れたように、白く鮮明になった。

花、そして石像のことで頭が沢山だったクウェリルは、弱弱しいながらも強い意思を持って掴まれた右手を茫然と見て、立ち上がろうとしていた足を、ゆるりと力を抜きながら、再び草花を押さえつけながら座り込んだ。

しばらくの間、二人は手で繋がれたまま、しかし視線は合わさずにクウェリルは石像がいる反対側をぼんやりと―男は逆の石像が迫る方向をジッと見つめていた。

交わらない視線と、手に感じるかすかな温もりは、永遠に終わらないようにクウェリルは思ったが、ふとクウェリルは見下ろした先にある男の頭が無防備にも地面に転がっているのを不憫に思い、空いている方の手で彼の頭を手繰り寄せると、自らの膝に優しく乗せた。

男は頭に触れたクウェリルの手に気が付くと、ずっと後ろを見つめていた目をクウェリルへ向け、少しだけ目を見開いた。

膝に乗った男の頭の重みにより、地面に強く押しつけられ、先ほどから気になっていた草花に直接触れる肌に感じるヒリヒリとした痛みが、更に増したように感じてクウェリルが少し眉を寄せると男はハッとしたように口を少し開くと、鈍い動きで自分の頭をクウェリルの膝から退かそうと身動きしたが、クウェリルは頬を抑え、それを妨げた。

手のひらに触れた男の頬は、人間の温もりを感じられ、そこで彼の体は生命活動に懸命であるということが分かった。

男はしばらくクウェリルの膝の上で抵抗を見せたが、頑なに離れないクウェリルの手に恐る恐る自分の手を重ねると、抗うことを諦めたのか静かに目を閉じた。

彼のくすんだ緑の瞳を見つめていたクウェリルはそれが閉じられてしまったことでつられたのか、自らの瞼が重くなってきたのを感じ、身の赴くままにそのまま彼と同じように意識を手放そうとした。

しかしその時、肩を何かに叩かれると、更に重たくなった瞼をこじ開け、薄目で後ろを振り返った。

クウェリルはぼんやりとした視界で見たものに、今までで最も嫌悪感を抱いた。

はっきりしない視界ので見たものは、先ほどからクウェリルの頭を支配し続けてきた灰色の石像だったが、顔の右側は母ドーエのほっそりとした輪郭で、まろやかな顔のパーツをしていて、反対の左半分は、エラがしっかりとある男らしい輪郭をして、顔には立派な髭が付いている大変奇妙な形をしていたため、今度はクウェリルの頭はしっかりと意識を保っていた。

二つの顔は全く違うようにも思えたが、二人の面に張り付いた、目と眉毛を限界まで吊り上げ、まるで耳まで付いてしまうかのように、ピンと一の文字を結ぶように張られた口が全くと言って良いほど同じモノで、それはどこから見ても怒りの表情をしていた―。
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