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「繰り返しって……。」
ぐすっ、ぐすっとミカエルが鼻を啜って泣く声を呆然と聴きながら、思わずそう呟いたルイに、ハッとしたようにミカエルが動きを止めると、涙でぐちゃぐちゃになってもなお美しさを損なわないミカエルがははっと渇いた声を上げて笑った。
「いいよ。今回もどうせ失敗するんだ。全部おしえてあげる。」
この世界はね、ゲームなの。
そう言って話し始めたミカエルの話はルイの想像のはるか上をいくものだった。
それでおれは恋愛ゲームの主人公。は?ゲームって何って……あー、そうだな、あんたも小説くらいは読んだことあるでしょ。ああいった創造物のことだよ。それで、おれは元々そのゲームを遊んでる方だったの。攻略対象にきゃっきゃっして誰と結ばれるかを考えながらそれっぽいセリフを選んで好感度を上げていくだけ。いっちょ前に推しとかも作ってさ、何周もしてやり込んでた。
それがある日気づいたら、主人公のミカエルになってて、貴族が通う学園とかに通わされた。学校に行ってみたらアーノルドがいるし、ルイにめっちゃ怒鳴られるし、あ、おれあのゲームの世界に転生したんだって思ったんだ。最初は楽しかったよ。ちょっと都合のいい言葉言うだけでおれの好みの男がおれのことちやほやしてくれるんだもん。おれ元々男が好きだったからそういうのに抵抗もなかったし、むしろラッキーって思ってた。
でも、おれ、忘れてたんだ。このゲームがただの恋愛ゲームじゃ無かったこと。
このゲームね、エンディングが全部バッドエンドなの。え?どういうことって……ちょっと一回黙っててくれる?あとで教えるから。
それで、誰と結ばれても主人公は死ぬの。それも結構酷い死に方で。酷いゲームだよね、ゲームの中ですら幸せになれないなんて。多分皆んながそう思ってたのか、運営が焦って追加コンテンツでハッピーエンドが追加されたの。
でも結局ハッピーエンドに辿り着くまでがめちゃめちゃ難しすぎて、ますます非難轟々。声優も絵も良かっただけに残念すぎるゲームって世間でちょっと注目されたりして……。ああ、話が逸れたね。
つまり、そのハッピーエンドがあるのはカミルルートだってこと。
「そして、おれはカミルルートを攻略するために何回も死に戻ってる。」
そう言って疲れたように目を伏せるミカエルは全てを達観したような顔をしていた。
「何回も……。」
あまりにルイの理解の及ばない突拍子もない話にルイはなんと答えていいかわからない。ただ一つ、どうしても気になることがあった。
「その、カミルるーと?と一周目っていうのはどんな関係があるの?」
ミカエルが錯乱しながらルイに向かって叫んでいたその言葉に一周目という言葉があった。ルイ自身が二周目の人生を歩んでいるからこそ、引っかかったその言葉。
ルイの問いかけに投げやりな様子ながらもミカエルは意外なほど素直に答えてくれた。
「……言ったでしょ。唯一のハッピーエンドがあるカミルは攻略が難しすぎるって。カミルのルートに入るためには必ずゲームを二周しなくちゃいけない。一周目で攻略対象の好感度をほとんどマックスまで上げた上で特定の攻略対象とエンドを迎えて二周目にいく必要があるの。二周目の内容はほとんど一周目と変わらないんだけど、少し違うところがこの学園に留学生が来ること、それから――」
――ルイのその首の傷。
目線を下に向けボソボソと話していたミカエルが唐突にルイをまっすぐ見て言った言葉に驚きすぎてルイは心臓が止まったかと思った。
聞き間違いかもとも思ったが、ミカエルはルイの首元にある誰も見えないはずの傷跡の場所へとしっかり焦点を合わせている。今はチョーカーに覆われていて直接その傷を見ることはできないが、まるで透けて見えているかのように的確に傷跡の場所まで言い当てたミカエルはどうやら適当にありもしないつくり話をしているわけではないらしい。
「……見えるの?」
「まあ、ボクは主人公だからね。」
ハッピーエンドに一度も到達できない出来損ないの、だけど。
そう言って自重気味に笑みを浮かべるミカエルにルイの考えはぐちゃぐちゃになっていく。全くもって意味がわからない。全てミカエルが作り出した妄想だと言ってくれた方がまだ理解ができる。
だって彼の話が本当ならば、ルイは作られた世界で決められたセリフを読むだけの登場人物だと言うことになる。すんなりと理解する方が難しいだろう。
しかし、ルイのそんな感情など置き去りにして、こういう時にだけ働く頭の冷静な部分が勝手に情報を整理して、ルイに淡々と事実だけを伝えてくるのだ。
「何で僕の傷が関係あるの?」
「あのゲームの中で主人公の恋路を邪魔する悪役令息のルイ・コレットは、主人公が誰と結ばれてもそれまでの報いをうけて死ぬの。ある時は毒殺、ある時は刺殺。……そして二周目に入るための条件として、悪役令息であるルイ・コレットは斬首される必要がある。このゲームのメインヒーローであるアーノルドからね。」
「メイン……ヒーロー……?」
「そう。このゲームは主人公のミカエルとメインヒーローのアーノルドの恋愛を主軸とした世界なの。分岐次第によっては他の攻略対象とも恋愛できるけど、基本的にアーノルドを攻略することが前提。……だから、本来なら二周目に入ること自体は難しいことじゃない。」
その言葉に思わずえ?という声が漏れるルイ。先ほどのミカエルの話から彼は何度も二周目に入るために繰り返しをしているような口ぶりだったが、今の話を聞くとミカエルはまるで二周目に入ることが難しいと言っているようだった。
話が矛盾していてどういうことだか分からないといった考えが全て顔に出てしまっているルイにミカエルは苛立ったように話を続ける。
「確かに、全員の好感度を上げた状態でアーノルドルートに入ることも難しくはあるんだけど、何度かやればすぐに攻略できるようになってる。それよりも、二周目に入ってからのカミルの攻略の方が難しいはずだったの。ゲームでは確かにそうだったの。」
なのに……!とぎりりとルイが見て分かるほど力を込めて手を握りしめているミカエルは、先ほどまで少し落ち着いて見えた狂気の一片を見え隠れさせながら話を続けていく。
「なのに、おれが主人公になってからアーノルドが全く攻略できなくなった……!ちゃんと好感度も上げて、イベントも全部回収して、覚えてる限りのアーノルドが好むセリフを言った……!なのに、なのに……何で!!」
ついに顔を覆って俯いてしまったミカエルにルイの困惑は強くなっていく。
しばらくフーッフーッと荒い息を吐いていたミカエルだったが、少しずつ息が落ち着いていくと同時にゆっくりと正気を取り戻したように見えた。
「……それで、前の週でようやくアーノルドを攻略できた。また巻き戻って、ルイの首元に傷跡があって、一年たって留学生が来たって聞いて、本当に嬉しかった。やっと、やっとこの繰り返しの日々が終わるんだって。おれ、このゲーム本当にやりこんでたから、自信があったんだ。攻略難易度の高いカミルでもおれなら攻略できるって。……アーノルドの時に痛い目見てたのにね。」
そう言って力無く笑うミカエルは全てを投げ出してしまいそうな、そんな儚さがあった。
「結果はこの通り!なぜかカミルは悪役令息のルイと一緒にいて、主人公のはずのおれはカミルとのイベントを何一つ回収できてない。……本当はね、あの曲がり角の先にいるのはルイただ一人なんだ。それなのになぜかカミルもいるし、お助けキャラもいるし。ほんと、何でこうなったんだろ。」
「……お助けキャラ?」
「カミルの他にもう一人いたでしょ。」
「エミリーのこと?」
そうそう、それ、と軽薄そうに笑ったミカエルに状況も忘れて彼女の良さを小一時間ほど説教してやりたい気持ちになったが、なんとか押し込める。
今は一つでも多くの情報を彼から引き出すことが先決である。
「他の攻略対象の好感度とか、便利なアイテムをくれるキャラのこと。そのチョーカーだって、今はただのチョーカーみたいだけど、ゲームの中じゃ結構いいアイテムなんだからね。」
そう言って、疲れたようにため息を吐き出したミカエルは気だるそうにルイを見やる。
「もういい?おれもう疲れたからそろそろ帰りたいんだけど。」
「もういいって……君が僕のことを呼んだんじゃないか。」
「別に、会ってみれば何かわかるかなって思っただけだし。その様子じゃ別にあんたもゲームをプレイしてた人って訳じゃなさそうだし、もういいや。」
そう言ってとっとと校舎へと向かって歩き出そうとするミカエルをルイは慌てて引き止めようとする。まだまだ聞きたいことがあるのだ。中途半端に情報だけ与えられてそのままはいどうぞとミカエルを返すわけにはいかない。しかしあの様子からすると、彼はもう完全にルイから興味を失っており、先ほどまでのように易々と質問に答えてくれるとは思えなかった。
それでも何とか彼の興味を引けないかとぐるぐると考えたルイが遠ざかっていくミカエルに向けて咄嗟に投げかけた質問は何とも素朴な疑問だった。
「じゃっ、じゃあ!君の予知の力ってやつも、そのゲームの知識なの!?」
口に出した側から後悔が押し寄せる。もっと聞きたいことも言いたいこともたくさんある中でなぜよりによってこんなことを聞いたのか。確かに少し気になっていたところではあるが、今ではない。前の自分の死因のひとつと言ってもいい予知の力のことが気にならないと言えば嘘になる。が、繰り返しではあるが、今ではない。
ミカエルを引き止めることを失敗したと確信したルイは頭を抱えそうになったが、ルイの予想に反して彼はルイからの問いに音がしそうなほど勢いよく振り向いた。
「何で、今のルイが予知の力を知ってるの……?」
「なんでって……前に聞いたことがあるからだけど……。」
「前にって……もしかして、ルイは前の記憶があるの?」
「え、うん。そう、だけ、ど……。」
ルイの答えに段々と目を見開いていくミカエルに何やら彼の興味を引くことには成功したらしいことをルイは悟った。
ぐすっ、ぐすっとミカエルが鼻を啜って泣く声を呆然と聴きながら、思わずそう呟いたルイに、ハッとしたようにミカエルが動きを止めると、涙でぐちゃぐちゃになってもなお美しさを損なわないミカエルがははっと渇いた声を上げて笑った。
「いいよ。今回もどうせ失敗するんだ。全部おしえてあげる。」
この世界はね、ゲームなの。
そう言って話し始めたミカエルの話はルイの想像のはるか上をいくものだった。
それでおれは恋愛ゲームの主人公。は?ゲームって何って……あー、そうだな、あんたも小説くらいは読んだことあるでしょ。ああいった創造物のことだよ。それで、おれは元々そのゲームを遊んでる方だったの。攻略対象にきゃっきゃっして誰と結ばれるかを考えながらそれっぽいセリフを選んで好感度を上げていくだけ。いっちょ前に推しとかも作ってさ、何周もしてやり込んでた。
それがある日気づいたら、主人公のミカエルになってて、貴族が通う学園とかに通わされた。学校に行ってみたらアーノルドがいるし、ルイにめっちゃ怒鳴られるし、あ、おれあのゲームの世界に転生したんだって思ったんだ。最初は楽しかったよ。ちょっと都合のいい言葉言うだけでおれの好みの男がおれのことちやほやしてくれるんだもん。おれ元々男が好きだったからそういうのに抵抗もなかったし、むしろラッキーって思ってた。
でも、おれ、忘れてたんだ。このゲームがただの恋愛ゲームじゃ無かったこと。
このゲームね、エンディングが全部バッドエンドなの。え?どういうことって……ちょっと一回黙っててくれる?あとで教えるから。
それで、誰と結ばれても主人公は死ぬの。それも結構酷い死に方で。酷いゲームだよね、ゲームの中ですら幸せになれないなんて。多分皆んながそう思ってたのか、運営が焦って追加コンテンツでハッピーエンドが追加されたの。
でも結局ハッピーエンドに辿り着くまでがめちゃめちゃ難しすぎて、ますます非難轟々。声優も絵も良かっただけに残念すぎるゲームって世間でちょっと注目されたりして……。ああ、話が逸れたね。
つまり、そのハッピーエンドがあるのはカミルルートだってこと。
「そして、おれはカミルルートを攻略するために何回も死に戻ってる。」
そう言って疲れたように目を伏せるミカエルは全てを達観したような顔をしていた。
「何回も……。」
あまりにルイの理解の及ばない突拍子もない話にルイはなんと答えていいかわからない。ただ一つ、どうしても気になることがあった。
「その、カミルるーと?と一周目っていうのはどんな関係があるの?」
ミカエルが錯乱しながらルイに向かって叫んでいたその言葉に一周目という言葉があった。ルイ自身が二周目の人生を歩んでいるからこそ、引っかかったその言葉。
ルイの問いかけに投げやりな様子ながらもミカエルは意外なほど素直に答えてくれた。
「……言ったでしょ。唯一のハッピーエンドがあるカミルは攻略が難しすぎるって。カミルのルートに入るためには必ずゲームを二周しなくちゃいけない。一周目で攻略対象の好感度をほとんどマックスまで上げた上で特定の攻略対象とエンドを迎えて二周目にいく必要があるの。二周目の内容はほとんど一周目と変わらないんだけど、少し違うところがこの学園に留学生が来ること、それから――」
――ルイのその首の傷。
目線を下に向けボソボソと話していたミカエルが唐突にルイをまっすぐ見て言った言葉に驚きすぎてルイは心臓が止まったかと思った。
聞き間違いかもとも思ったが、ミカエルはルイの首元にある誰も見えないはずの傷跡の場所へとしっかり焦点を合わせている。今はチョーカーに覆われていて直接その傷を見ることはできないが、まるで透けて見えているかのように的確に傷跡の場所まで言い当てたミカエルはどうやら適当にありもしないつくり話をしているわけではないらしい。
「……見えるの?」
「まあ、ボクは主人公だからね。」
ハッピーエンドに一度も到達できない出来損ないの、だけど。
そう言って自重気味に笑みを浮かべるミカエルにルイの考えはぐちゃぐちゃになっていく。全くもって意味がわからない。全てミカエルが作り出した妄想だと言ってくれた方がまだ理解ができる。
だって彼の話が本当ならば、ルイは作られた世界で決められたセリフを読むだけの登場人物だと言うことになる。すんなりと理解する方が難しいだろう。
しかし、ルイのそんな感情など置き去りにして、こういう時にだけ働く頭の冷静な部分が勝手に情報を整理して、ルイに淡々と事実だけを伝えてくるのだ。
「何で僕の傷が関係あるの?」
「あのゲームの中で主人公の恋路を邪魔する悪役令息のルイ・コレットは、主人公が誰と結ばれてもそれまでの報いをうけて死ぬの。ある時は毒殺、ある時は刺殺。……そして二周目に入るための条件として、悪役令息であるルイ・コレットは斬首される必要がある。このゲームのメインヒーローであるアーノルドからね。」
「メイン……ヒーロー……?」
「そう。このゲームは主人公のミカエルとメインヒーローのアーノルドの恋愛を主軸とした世界なの。分岐次第によっては他の攻略対象とも恋愛できるけど、基本的にアーノルドを攻略することが前提。……だから、本来なら二周目に入ること自体は難しいことじゃない。」
その言葉に思わずえ?という声が漏れるルイ。先ほどのミカエルの話から彼は何度も二周目に入るために繰り返しをしているような口ぶりだったが、今の話を聞くとミカエルはまるで二周目に入ることが難しいと言っているようだった。
話が矛盾していてどういうことだか分からないといった考えが全て顔に出てしまっているルイにミカエルは苛立ったように話を続ける。
「確かに、全員の好感度を上げた状態でアーノルドルートに入ることも難しくはあるんだけど、何度かやればすぐに攻略できるようになってる。それよりも、二周目に入ってからのカミルの攻略の方が難しいはずだったの。ゲームでは確かにそうだったの。」
なのに……!とぎりりとルイが見て分かるほど力を込めて手を握りしめているミカエルは、先ほどまで少し落ち着いて見えた狂気の一片を見え隠れさせながら話を続けていく。
「なのに、おれが主人公になってからアーノルドが全く攻略できなくなった……!ちゃんと好感度も上げて、イベントも全部回収して、覚えてる限りのアーノルドが好むセリフを言った……!なのに、なのに……何で!!」
ついに顔を覆って俯いてしまったミカエルにルイの困惑は強くなっていく。
しばらくフーッフーッと荒い息を吐いていたミカエルだったが、少しずつ息が落ち着いていくと同時にゆっくりと正気を取り戻したように見えた。
「……それで、前の週でようやくアーノルドを攻略できた。また巻き戻って、ルイの首元に傷跡があって、一年たって留学生が来たって聞いて、本当に嬉しかった。やっと、やっとこの繰り返しの日々が終わるんだって。おれ、このゲーム本当にやりこんでたから、自信があったんだ。攻略難易度の高いカミルでもおれなら攻略できるって。……アーノルドの時に痛い目見てたのにね。」
そう言って力無く笑うミカエルは全てを投げ出してしまいそうな、そんな儚さがあった。
「結果はこの通り!なぜかカミルは悪役令息のルイと一緒にいて、主人公のはずのおれはカミルとのイベントを何一つ回収できてない。……本当はね、あの曲がり角の先にいるのはルイただ一人なんだ。それなのになぜかカミルもいるし、お助けキャラもいるし。ほんと、何でこうなったんだろ。」
「……お助けキャラ?」
「カミルの他にもう一人いたでしょ。」
「エミリーのこと?」
そうそう、それ、と軽薄そうに笑ったミカエルに状況も忘れて彼女の良さを小一時間ほど説教してやりたい気持ちになったが、なんとか押し込める。
今は一つでも多くの情報を彼から引き出すことが先決である。
「他の攻略対象の好感度とか、便利なアイテムをくれるキャラのこと。そのチョーカーだって、今はただのチョーカーみたいだけど、ゲームの中じゃ結構いいアイテムなんだからね。」
そう言って、疲れたようにため息を吐き出したミカエルは気だるそうにルイを見やる。
「もういい?おれもう疲れたからそろそろ帰りたいんだけど。」
「もういいって……君が僕のことを呼んだんじゃないか。」
「別に、会ってみれば何かわかるかなって思っただけだし。その様子じゃ別にあんたもゲームをプレイしてた人って訳じゃなさそうだし、もういいや。」
そう言ってとっとと校舎へと向かって歩き出そうとするミカエルをルイは慌てて引き止めようとする。まだまだ聞きたいことがあるのだ。中途半端に情報だけ与えられてそのままはいどうぞとミカエルを返すわけにはいかない。しかしあの様子からすると、彼はもう完全にルイから興味を失っており、先ほどまでのように易々と質問に答えてくれるとは思えなかった。
それでも何とか彼の興味を引けないかとぐるぐると考えたルイが遠ざかっていくミカエルに向けて咄嗟に投げかけた質問は何とも素朴な疑問だった。
「じゃっ、じゃあ!君の予知の力ってやつも、そのゲームの知識なの!?」
口に出した側から後悔が押し寄せる。もっと聞きたいことも言いたいこともたくさんある中でなぜよりによってこんなことを聞いたのか。確かに少し気になっていたところではあるが、今ではない。前の自分の死因のひとつと言ってもいい予知の力のことが気にならないと言えば嘘になる。が、繰り返しではあるが、今ではない。
ミカエルを引き止めることを失敗したと確信したルイは頭を抱えそうになったが、ルイの予想に反して彼はルイからの問いに音がしそうなほど勢いよく振り向いた。
「何で、今のルイが予知の力を知ってるの……?」
「なんでって……前に聞いたことがあるからだけど……。」
「前にって……もしかして、ルイは前の記憶があるの?」
「え、うん。そう、だけ、ど……。」
ルイの答えに段々と目を見開いていくミカエルに何やら彼の興味を引くことには成功したらしいことをルイは悟った。
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