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第26話「気づいてしまった想い」
しおりを挟む颯馬に抱きしめられたまま、陸は声を殺して泣き続けた。
しばらくして、涙が落ち着いた頃。
颯馬はそっと腕を緩め、陸の顔を覗き込む。
「……ちょっとは落ち着いたか?」
赤く腫れた目を気遣うように、指先で前髪を整えてくれる。
その仕草が、あまりにも自然で優しくて――胸がまた熱くなる。
「颯馬……」
名前を呼んだだけで、心臓が跳ねる。
どうしてだろう。昔からずっと隣にいたのに、今は違う意味を帯びて響く。
視線を逸らそうとして、でも逸らせなかった。
颯馬の瞳が真剣で、逃げ場がなかった。
「俺は、陸に無理して笑ってほしくない。
泣きたいときは泣いていい。俺の前なら、な」
低い声が胸に響く。
その瞬間、陸ははっきりと気づいてしまった。
――颯馬のことを見て、心が揺れてる。
ただの幼なじみだと思ってきたのに。
でも今は、こんなにも近くて、温かくて、安心できる。
「……僕、どうして」
言葉にならない疑問が喉に詰まる。
颯馬は微笑んで、そっと陸の背中を撫でた。
「考えすぎんな。今は休め」
その手の温もりに、陸はまた胸を震わせた。
もう、ただの友達には戻れない気がして――。
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