《一時完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ

MITARASI_

文字の大きさ
27 / 34

第26話「気づいてしまった想い」

しおりを挟む

颯馬に抱きしめられたまま、陸は声を殺して泣き続けた。
しばらくして、涙が落ち着いた頃。
颯馬はそっと腕を緩め、陸の顔を覗き込む。

「……ちょっとは落ち着いたか?」

赤く腫れた目を気遣うように、指先で前髪を整えてくれる。
その仕草が、あまりにも自然で優しくて――胸がまた熱くなる。

「颯馬……」
名前を呼んだだけで、心臓が跳ねる。
どうしてだろう。昔からずっと隣にいたのに、今は違う意味を帯びて響く。

視線を逸らそうとして、でも逸らせなかった。
颯馬の瞳が真剣で、逃げ場がなかった。

「俺は、陸に無理して笑ってほしくない。
 泣きたいときは泣いていい。俺の前なら、な」

低い声が胸に響く。
その瞬間、陸ははっきりと気づいてしまった。

――颯馬のことを見て、心が揺れてる。

ただの幼なじみだと思ってきたのに。
でも今は、こんなにも近くて、温かくて、安心できる。

「……僕、どうして」
言葉にならない疑問が喉に詰まる。

颯馬は微笑んで、そっと陸の背中を撫でた。
「考えすぎんな。今は休め」

その手の温もりに、陸はまた胸を震わせた。
もう、ただの友達には戻れない気がして――。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

痩せようとか思わねぇの?〜デリカシー0の君は、デブにゾッコン〜

四月一日 真実
BL
ふくよか体型で、自分に自信のない主人公 佐分は、嫌いな陽キャ似鳥と同じクラスになってしまう。 「あんなやつ、誰が好きになるんだよ」と心無い一言を言われたり、「痩せるきねえの?」なんてデリカシーの無い言葉をかけられたり。好きになる要素がない! __と思っていたが、実は似鳥は、佐分のことが好みどストライクで…… ※他サイトにも掲載しています。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

美澄の顔には抗えない。

米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け 高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。 ※なろう、カクヨムでも掲載中です。

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜

キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。 モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。 このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。 「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」 恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。 甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。 全8話。

ラベンダーに想いを乗せて

光海 流星
BL
付き合っていた彼氏から突然の別れを告げられ ショックなうえにいじめられて精神的に追い詰められる 数年後まさかの再会をし、そしていじめられた真相を知った時

捨てられオメガの幸せは

ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。 幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。

処理中です...