強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬

文字の大きさ
13 / 17

可愛い子

しおりを挟む
少年は絶頂して全身の力が抜けていたが、俺の顔を見て慌ててトイレットペーパーを引っ張る。

「ごっ、ごめんね!」

「あ、いや…俺が受け止めなかったからだから」

トイレットペーパーより顔を洗った方がいいから断った。

少年の身だしなみを整えて、個室から出た。

洗面台で顔を洗い、うがいをするとすっきりした。

隣でずっと謝っている少年に大丈夫だからと言った。
でも、もう舐めないかな。
何となく自分のを舐めているような変な感じがした。

においでバレないかなと手のにおいを嗅いでみた。
石鹸をいっぱい付けたから石鹸のにおいがする。

授業サボっちゃったな。
落第も掛かってるのに…

「あの、僕の名前…言ってなかったよね…ヨミ・リンクです」

「ルイス・ナイトフロウだ、よろしく」

俺はヨミの名前を知っていた。
名前を不良達に弄られている事も…

ヨミは「僕の事知ってるよね、だから教室で無視していいから」と悲しい顔をされた。
昨日までの俺だったらどうしてたんだろう。

いや、どの日の俺も俺だ…それは変わらない。

ヨミと会ったら、レイラを待たずに助けていた。

いつかレイラが助けてくれると思うが、それまで黙って見ている事なんて出来ない。

俺はヨミの頭を軽く撫でて「放課後一緒に帰ろう」と言った。
全校生徒が寄宿舎で暮らしているから、ヨミも同じだ。

一瞬驚いた顔をしていたが、眩しいくらいの明るい笑顔は忘れないだろう。

そしてその日、ヨミはレイラによって不良達から守られた。
レイラは家で同じ目に遭っていたからか、ヨミと自分を重ねていた。

ヨミも女の子と話したのは初めてだったのか、顔を赤らめて照れている様子だった。

これが友達の恋愛を見守る気持ちか。
嬉しいのにこっちまで照れる。

そして俺の机は、いつの間にこうなったのか年季が入っていた。
刃物で書いたのか、罵倒する言葉が刻まれていて切り傷も多い。

中心にはこれで書いたのかと言いたくなる刃物が机に刺さっていた。

心配したヨミがこっちに来ようとして、首を横に振って止めた。

せっかくヨミは不良達から解放されたんだ、また地獄に戻る事はない。

俺が標的になるのなんて、そんな事分かっていた。

俺はそんな事を気にしてる場合じゃない、落第が掛かっているんだ。

刃物はとりあえず外して、机の奥に入れた。

課題をやりながら授業を受ける二つの事をやっといた。
魂が抜けたような過労で机に伏せた。

もう、放課後だっけ…帰らないとな。

人形のようにぐにゃぐにゃしながら立ち上がると、腕に触れられた。

横を見ると、心配した顔のヨミがいた。

「大丈夫?ルイスくん」

「あー、平気平気…だいじょうぶー」

「全然大丈夫そうじゃないよ」

心配掛けないように笑ったつもりだったけど、余計に心配させてしまった。

いじめられる心配もなくなったし、俺は気にしないでレイラと一緒に帰った方がいいよ。
ヨミはゲームでもレイラにべったりだったんだし、俺は気にしなくていい。

そう言ったが、俺の腕を掴むヨミの手が強く握られた。

俺にだけ聞こえる小さな声で「ルイスくんとの約束が大切だから」と言われた。

これがキュンとする感覚なのか、モロに心臓にきた。

ヨミに心配されたが小さく肩を震わせる事しか出来なかった。

レイラと帰りたくなったら自分で行くよな。
ヨミだって流されやすそうに見えてちゃんと自分の意思ははっきりしている。
今日、行動力もあるんだと知ってびっくりした。

俺とヨミは二人並んで寄宿舎に向かって歩き出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

超絶悪役当て馬転生、強制力に抗う方法は×××

笹餅
BL
乙女ゲームのクズ悪役ストーカーに転生した少年。 17歳のゲーム開始前日から、物語は大きく変わった。 ゲーム通りに進めば、ゾンビになってしまうからゲームの激つよ強制力から必死に逃げるしかない。 ゾンビ回避の近道は攻略キャラクター達と仲良くする事。 勝手に友情ストーリーを目指していたら、別の好感度が上がっている事に気付かなかった。 気付いた頃には裏ルートが始まっていた。 10人の攻略キャラクター×強制力に抗う悪役令息

転生したら本でした~スパダリ御主人様の溺愛っぷりがすごいんです~

トモモト ヨシユキ
BL
10000回の善行を知らないうちに積んでいた俺は、SSSクラスの魂として転生することになってしまったのだが、気がつくと本だった‼️ なんだ、それ! せめて、人にしてくれよ‼️ しかも、御主人様に愛されまくりってどうよ⁉️ エブリスタ、ノベリズムにも掲載しています。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。

あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。 だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。 よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。 弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。 そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。 どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。 俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。 そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。 ◎1話完結型になります

何故か男の俺が王子の閨係に選ばれてしまった

まんまる
BL
貧乏男爵家の次男アルザスは、ある日父親から呼ばれ、王太子の閨係に選ばれたと言われる。 なぜ男の自分が?と戸惑いながらも、覚悟を決めて殿下の元へ行く。 しかし、殿下はただベッドに横たわり何もしてこない。 殿下には何か思いがあるようで。 《何故か男の僕が王子の閨係に選ばれました》の攻×受が立場的に逆転したお話です。 登場人物、設定は全く違います。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

処理中です...