強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬

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一週間の課題

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課題まで残り一週間を切り、俺はヨミに手伝ってもらい終わらせる事になった。

授業をサボる事は出来ないから、休みを全て課題に持っていかないといけない。
量の多さに最初はヨミも驚いていたが、逆にそれが燃えるようで火がついた。

俺を睨みつける不良達がいたが、今の俺は邪魔するなオーラを放っていて近付く人はいなかった。
今は課題に集中したい…それ以外なんて考えられない。

まるで家庭教師のように、先生よりもヨミの方が教え方が上手くて頭にすんなり入ってくる。

普通の授業なら得意だが、魔法関連の歴史や数式などは苦手だ。
俺自身魔法が使えないからなんだろうけど、これを学んでも俺は魔法を使えない。

意味がない授業だが、パス出来るわけもなく落第回避のために覚える。
実技で使えたらきっと当たり前のように覚えられるんだよな。

「回復の数式は上がAでそれを合わせるように補助の応用で」

「応用って事は魔法陣で書くのか」

「うん、そっちの方が覚えやすいね」

ヨミはノートの端に小さな魔法陣を書いて教えてくれる。

実際使う時は心の中で念じて、魔力を解放する。
魔法陣を使うのは物などを使う時が多いが、スピード的にほとんどの人は魔法陣を使わない。

俺は魔法陣で勉強した方が分かりやすいんだけどな。

学校から帰っても俺の部屋で課題の続きをヨミを呼んでやり続けた。

ユッキーはなにか言いたげだけど、真剣な顔の俺達に何も言わなかった。

ヨミは「僕も勉強の復習が出来て助かってるよ」と優しい事を言ってくれる。

俺のためにありがとう、ヨミのおかげでどうにか間に合いそうだ。

そしてとうとうあの日から一週間が経過した。

終わらせた課題を先生に提出すると、嫌そうな顔をされたが受け取ってくれた。

これでとりあえず安心だが、またすぐに次の課題が待っている。
それまでは頭を休ませて次までに温存しておこう。

職員室から出て、来た時よりも身軽だから足取りも軽い。
近くの壁に寄りかかってヨミが俺を待ってくれていた。

「ルイスくん、どうだった?」

「ありがとうヨミ、おかげで課題は終わったよ」

まるで自分のように大きく息を吐いてホッとしてくれた。
俺一人ではダメだった、ヨミのおかげで出来たんだ。

どんなに深く感謝しても、しきれない…どうしたらいいんだろう。

俺の腕に腕を絡ませて、ぴったりくっつくと恋人同士のように見える。
それがヨミにとって友達同士の普通のスキンシップなんだよな。

すりすり肩に頬を擦り寄せていて、まるで戯れている猫のようだ。

それもヨミが愛されている魅力の一つだと思っている。

そして俺は、長い時間の課題で大切な事をすっかり忘れていた。

「ルイスくん、約束覚えてる?」

「約束?」

「ルイスくんとしたいなぁ~」

「何を?」と言おうとした口を閉ざして思い出した。
そうだ、そんな話をしていたんだ…ヨミは別のお礼に変えてはいなかったのか。

あんなに時間を使わせてしまって申し訳ないと思っている。
ヨミが望む事なら何でもしたい、それほど感謝している。

しかし、ヨミとレオンハルトにされたような事をするのか?
ヨミがされる側なら分かるが、入れたいとか言ってたよな。

ヨミには申し訳ない事をするが、別のお礼にしてもらおう。

俺を見つめるヨミは期待に満ちた顔を向けていた。

「ヨミ…」

「ん?何?」

「お風呂入ってからでいい?」

「一緒に入りたいけど、いいよ!」

ヨミが嬉しそうに笑っていて、俺はその笑顔を守りたいと思った。

とりあえず、風呂に入りながら心の準備が必要だ。
ヨミは納得してくれたようで、寮に帰って30分後に俺の部屋に来てもらう事になった。
ヨミは自分の部屋でも大丈夫だと言っていたが、ヨミの同室者に悪い。

今日、ユッキーは部屋に帰ってこない…用事があると今朝言っていた。
何をしているのか分からないが、ユッキーは定期的に大切な用事で外泊している。

だから、俺の部屋なら迷惑掛ける心配はないはずだ。

問題は、俺の覚悟だけだ…初めてじゃないとはいえ、心臓がいろんな意味でばくばくしている。

「大丈夫?別の日にする?」

「…いや、今日にしよう」

次いつユッキーが外泊するか分からないし、時間が開けば開くほどいろんな事を考えて出来なくなりそうだ。
こういう事はすぐに終わらせればいい、覚悟を決めろ俺!
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