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第3章 進窟
第25話 休日
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ノルトライブのある孤児院。今日の俺は冒険は休みだ。
「お兄ちゃん。今日は何を食べさせてくれるの?」
俺は簡潔に言う。
「――チキンライスだ」
子供には鉄板だ。実際にはチキンではないが外すことはないだろう。
ブルーカのドロップアイテムの丸鳥があるからそいつを使う。
「それってどんな料理なの? 何か手伝うことある?」
「そうだな。……野菜を刻んでもらえるか?」
「うん。分かった。どのくらいの大きさで刻めばいいの?」
切り方を指示して、俺も一緒に具材の下準備をする。
この孤児院には合わせて200名の孤児と職員がいる。
全員分を1人では手が回らない。
俺の周りには今、12名のバラバラの年のチビ共がいる。
職業料理人と料理に興味のある職業市民のチビだ。
具材は玉ねぎ、ニンジン、コーンに鳥肉を用意する。
鳥肉を炒めて玉ねぎとニンジンを加える。
ここでのポイントは先にケチャップを入れ、水分を飛ばし香ばしい風味も加えてから米を入れて混ぜること。
お手本に20cmほどのフライパンで食材を炒め、米をあおってケチャップを纏わせる。
「すご~いっ!」
ふっふっふっ。そうだろう。
働け俺の表情筋! 当たり前だろのお澄まし顔をオーダーする!
ちょっと待てっ!
今は動くな鼻の穴!
「あおりが難しければフライパンを斜めにしてヘラで手前からひっくり返すようにしてもいいぞ」
そのやり方も実際にやって見せて教える。
「どんな料理かみんな味見してみろ。一掬いをスプーンで食べてみろ。全員が食べて余ったら新しいスプーンで希望者にもうワンスプーンだ。料理の味見はたえず新しいスプーンを使うようにな。衛生面もだが食事を提供するお客様への礼儀だ」
美味しそうな匂いが広がり、全員がなるべく大盛になるように苦心しながらスプーンを使って味見する。
余ったチキンライスは全員がもう一口を希望したので小さい子から順番に食べさせた。
年長者から数人ずつ順番に調理させて底の深い給食バットにためてゆく。
横に着いた持ち手が稼働する見慣れたやつだ。
いっぱいになり次第時間停止のついた俺のアイテムボックスへ放り込む。
一人一人にコツを教えて、複数回連続で作らせる。
全員がある程度コツを掴んだら、最後に俺の出番だ。
直径80cmのドデカフライパンで一気に大量の具材を炒め米を入れてあおる!
身体強化を使って両手でリズミカルに米を飛ばす。
逆流する滝のように舞った米をフライパンで受けてさらに舞い踊らせる。
みたかっ! この名人芸!
チビどもは呆然とその様子を見ている。
足りない数十人分のチキンライスを作り上げた。
ふっふっふっ。
俺はさも当然と言う顔で給食バットにチキンライスを流し込む。
絶対動くな俺の鼻!
あっ! 動いたなこのヤロ-!
孤児院での食事会は好評のまま終了した。
「また来てね! お兄ちゃん! 待ってるよ!」
料理を手伝ったチビ達にまたなと手を振って孤児院を離れた。
次は領主館の開墾申請所だな。
6日前に申請したからもう許可も出てるはずだ。
まぁ。俺が開墾する訳ではないが、俺は王民事業体の委任章をもっているので開墾指導員として開墾申請と開墾後の管理者への権利の委譲がスムーズに行える。
この都市での王民事業体が軌道に乗れば丸投げできるが、取り急ぎ銀行機能を使えるようにした支店なのでスタート時点では少しサポートも必要だろう。
こんにちはと開墾申請所のドアを潜る。
受付を担当してくれた職員が俺を見つけて声をかけてくれた。
「ノア指導官。申請は受理されていますよ。こちらへどうぞお座りください」
「はい。ありがとうございます。失礼します」
「こちらが受理された許可書類となります」
「はい。確認します」
俺は書類を受け取り確認する。問題なく開墾の申請は受理されている。
「ノア指導官。それにしてもこれほど広大な面積の開墾を申請頂きありがとうございます。この申請所始まって以来の大規模計画ですよ。領主様も期待されておりました」
「将来的には王民事業体へと引き継ぐことになります。私が出来るのはそのスタートを少し早める事とコツコツ開墾の指導をするだけですよ」
「それでもです。何しろノルトライブは畑で作られる麦とダンジョンで得られる肉には事欠きませんが、野菜が不足しています。輸送費を払って購入している状況です。ノア指導官の計画書を拝見いたしましたが、王都で作られている各種野菜を栽培予定だとか」
「ええ。運よくツテが作れましてね。野菜の種を分けて貰えました」
「ノア指導員よりお預かりした王民事業体の名誉顧問イ-ディセル様からの書状にも宜しく取り計らうようにとしっかりと申しつかりました」
「イーディセル師に気にかけて頂いて、私も得難い事と恐縮しています」
「王都で噂の最先端技術を我がノルトライブで実践していただける幸運に心が震える思いです」
「ハハハ。そんなに期待しないで下さい。こちらは期待の大きさに身が縮んでしまいます」
「あっ! 失礼しました。ノア指導官は冒険者でしたね。ダンジョン攻略を優先させるのは当然です。それがノルトライブ市民の安全と利益に繋がりますから。無理をなさらず開墾もお手伝い下さい」
「はい。非才の身ですので少しづつですがお手伝いさせてもらいます」
俺は別れのあいさつを伝えて開墾申請所を後にする。
市場の食材を見て回り暇潰しにブラついてから家へ帰るか。
――モルト。
その飛び方は――まぁ。許そう。
だが――そのコスプレはNGだ!
いや。色が緑だからギリセーフ?
――メロンパンの方に似てるからどっちにしろアウトか……。
「お兄ちゃん。今日は何を食べさせてくれるの?」
俺は簡潔に言う。
「――チキンライスだ」
子供には鉄板だ。実際にはチキンではないが外すことはないだろう。
ブルーカのドロップアイテムの丸鳥があるからそいつを使う。
「それってどんな料理なの? 何か手伝うことある?」
「そうだな。……野菜を刻んでもらえるか?」
「うん。分かった。どのくらいの大きさで刻めばいいの?」
切り方を指示して、俺も一緒に具材の下準備をする。
この孤児院には合わせて200名の孤児と職員がいる。
全員分を1人では手が回らない。
俺の周りには今、12名のバラバラの年のチビ共がいる。
職業料理人と料理に興味のある職業市民のチビだ。
具材は玉ねぎ、ニンジン、コーンに鳥肉を用意する。
鳥肉を炒めて玉ねぎとニンジンを加える。
ここでのポイントは先にケチャップを入れ、水分を飛ばし香ばしい風味も加えてから米を入れて混ぜること。
お手本に20cmほどのフライパンで食材を炒め、米をあおってケチャップを纏わせる。
「すご~いっ!」
ふっふっふっ。そうだろう。
働け俺の表情筋! 当たり前だろのお澄まし顔をオーダーする!
ちょっと待てっ!
今は動くな鼻の穴!
「あおりが難しければフライパンを斜めにしてヘラで手前からひっくり返すようにしてもいいぞ」
そのやり方も実際にやって見せて教える。
「どんな料理かみんな味見してみろ。一掬いをスプーンで食べてみろ。全員が食べて余ったら新しいスプーンで希望者にもうワンスプーンだ。料理の味見はたえず新しいスプーンを使うようにな。衛生面もだが食事を提供するお客様への礼儀だ」
美味しそうな匂いが広がり、全員がなるべく大盛になるように苦心しながらスプーンを使って味見する。
余ったチキンライスは全員がもう一口を希望したので小さい子から順番に食べさせた。
年長者から数人ずつ順番に調理させて底の深い給食バットにためてゆく。
横に着いた持ち手が稼働する見慣れたやつだ。
いっぱいになり次第時間停止のついた俺のアイテムボックスへ放り込む。
一人一人にコツを教えて、複数回連続で作らせる。
全員がある程度コツを掴んだら、最後に俺の出番だ。
直径80cmのドデカフライパンで一気に大量の具材を炒め米を入れてあおる!
身体強化を使って両手でリズミカルに米を飛ばす。
逆流する滝のように舞った米をフライパンで受けてさらに舞い踊らせる。
みたかっ! この名人芸!
チビどもは呆然とその様子を見ている。
足りない数十人分のチキンライスを作り上げた。
ふっふっふっ。
俺はさも当然と言う顔で給食バットにチキンライスを流し込む。
絶対動くな俺の鼻!
あっ! 動いたなこのヤロ-!
孤児院での食事会は好評のまま終了した。
「また来てね! お兄ちゃん! 待ってるよ!」
料理を手伝ったチビ達にまたなと手を振って孤児院を離れた。
次は領主館の開墾申請所だな。
6日前に申請したからもう許可も出てるはずだ。
まぁ。俺が開墾する訳ではないが、俺は王民事業体の委任章をもっているので開墾指導員として開墾申請と開墾後の管理者への権利の委譲がスムーズに行える。
この都市での王民事業体が軌道に乗れば丸投げできるが、取り急ぎ銀行機能を使えるようにした支店なのでスタート時点では少しサポートも必要だろう。
こんにちはと開墾申請所のドアを潜る。
受付を担当してくれた職員が俺を見つけて声をかけてくれた。
「ノア指導官。申請は受理されていますよ。こちらへどうぞお座りください」
「はい。ありがとうございます。失礼します」
「こちらが受理された許可書類となります」
「はい。確認します」
俺は書類を受け取り確認する。問題なく開墾の申請は受理されている。
「ノア指導官。それにしてもこれほど広大な面積の開墾を申請頂きありがとうございます。この申請所始まって以来の大規模計画ですよ。領主様も期待されておりました」
「将来的には王民事業体へと引き継ぐことになります。私が出来るのはそのスタートを少し早める事とコツコツ開墾の指導をするだけですよ」
「それでもです。何しろノルトライブは畑で作られる麦とダンジョンで得られる肉には事欠きませんが、野菜が不足しています。輸送費を払って購入している状況です。ノア指導官の計画書を拝見いたしましたが、王都で作られている各種野菜を栽培予定だとか」
「ええ。運よくツテが作れましてね。野菜の種を分けて貰えました」
「ノア指導員よりお預かりした王民事業体の名誉顧問イ-ディセル様からの書状にも宜しく取り計らうようにとしっかりと申しつかりました」
「イーディセル師に気にかけて頂いて、私も得難い事と恐縮しています」
「王都で噂の最先端技術を我がノルトライブで実践していただける幸運に心が震える思いです」
「ハハハ。そんなに期待しないで下さい。こちらは期待の大きさに身が縮んでしまいます」
「あっ! 失礼しました。ノア指導官は冒険者でしたね。ダンジョン攻略を優先させるのは当然です。それがノルトライブ市民の安全と利益に繋がりますから。無理をなさらず開墾もお手伝い下さい」
「はい。非才の身ですので少しづつですがお手伝いさせてもらいます」
俺は別れのあいさつを伝えて開墾申請所を後にする。
市場の食材を見て回り暇潰しにブラついてから家へ帰るか。
――モルト。
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