農家は万能!?いえいえ。ただの器用貧乏です!

鈴浦春凪

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第6章  罪咎

第9話  右腕

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 ボトヴィット自身が住み暮らし、知り合いも多いこの街。

 今回予想されたスタンピードに際して彼はノアの協力を願った。

 ガンソから止められていたが、心が行動を起こさせる。その結果。ノアに感知され、四人の注意人物の一人として『追跡くん』を付けられていた。

~~~

 自分が迂闊にもノアに知られていた事とノアの言葉をヘルヴィへと伝える。

「――そう。……あなたの気持ちは良く分かる。私からもガンソへ伝えておく事にするわ」

「――はい。申し訳ありません」

 通信の切れた執務室でヘルヴィは息を吐く。

 そして、夫がいるはずの方向を見つめる。

(ボトヴィットの。……いえ。スタンピードに襲われる街に住む全てのドワーフの願いは叶うはず)

 そして、ヘルヴィの希望もだ。それは絶界の弟子と自らの一門の共闘関係。

 ガンソはひっそりと招待を受けた。



 ――――ダンテス公爵家。秘密の別荘に。

 王国の右腕は動き出した。すれ違っていた点は、新たな線を描き始めた。出来上がる図形はまだ定まらない。


§


 ノアはやることがあると伝え、この都市を後にした。一度戻ったら拠点を移すと言い残して。

 王民事業体イーディセル。そのノルトライブ支所の執務室でイェルダは回想する。

 その出発前の食事会の時の事を。

「――ノルトライブの拠点を買い取りたいですか?」

 そう確認するイェルダへノアは答える。

「ええ。色々手を加えましたのでせっかくですから資産へ組み込みたいと思います」

「そうですか。寂しくなりますね」

 零れるようにイェルダは漏らした。そして、気を取り直すと意思を込めて伝える。

「分かりました。管理は私達にお任せください。いつでも戻れるように毎日掃除を欠かしません」

「……いやぁ。自己管理する仕組みを組みましたので大丈夫です」

「遠慮なさらずに、お任せください」

「……防衛機能を持たせているので、下手に入られると危ないですよ? とりあえず、私の不動産だと保護してくれると助かります」

「――ノアさんがそうおっしゃるのならそうします」

「えぇ。お願いします。――それより料理が冷めてしまいます。頂きましょう」

「そうですね。それではノアさんの旅路の安寧を祈願して乾杯!」

 ノルトライブ支所の食堂には関係者数十人が集まっている。その全員がグラスを掲げた。

 テーブルの上には様々な料理が並ぶ。

 一番目を引くのは、タマネギとニンジンのみじん切りと一緒に香味野菜を煮込んだ。真っ赤なトマトのソースが盛られた皿。

 そして、その真っ赤なソース上に盛り付けられたキツネ色の丸いミートフライだ。中心には茹で玉子が入っており、付け合わせのサラダが彩を添えている。

 サクサクの衣にナイフを入れると中から半熟の玉子がトロリと零れる。

 ノアが書き上げたレシピ。――スコッチエッグだ。

 その隣にはスフレオムレツ。メレンゲへ卵黄を優しく混ぜて焼いたそれは雲のような食感だ。

 他にも色とりどりの料理が並ぶ、ビスマルクピザ。カルボナーラ。フレメンカエッグ。メネメン。エッグインクラウド。――料理の共通点は卵だ。

 集まった人々は好きな物を食べ。酒を飲みノアへ挨拶に来る。

 イェルダは全種類のコンプリートを目指して闘い出した。
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