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第7章  獄窟

第14話  旅枕

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 みんなとの別れの挨拶を済ませた俺達は、あの都市を後にした。盛大に送り出してもらった王民事業体の壮行会にはシレっとギルド長も参加していて酒に料理と楽しんでいた。

 湿っぽくなるかと危うんでいたイェルダさんは案外淡々としていて、いつも通りフードなファイティングを繰り広げていた。

 まぁ。泣き笑いの表情を見るよりはいつも通りの彼女がらしくて良かったよ。

 今の俺達は最終目標を辺境都市としながら、回り路して景色の良いダンジョンを巡っている。

 連れはエステラにクラーラ。そして、トゥエアルだ。モルトとチャム、カロ。それにツンツクとオナイギは言わずもがなだ。

 時速50キロで巡行中のトラと並走してトゥエアルがタッタカと駆けている。

(ノア。――たのっしぃぃ~)

 トゥエアルはいつの間にか。正確には……名前を付けた時にテイム出来た。まだ生後四ヶ月程だがもう俺が知るどんな犬よりでかい。さすがに精神年齢はまだ子供のままだ。一日一度ぶつかり稽古で遊んでやらないとイジけてしまう。

 元気が有り余っているので、走り回っているか、何かを食べているか、寝ているかの三択だ。ジッとしていることがない。

「ノアさん。1キロ前方に騎獣車があります。六分後に追い越し見込みです」

 トラが飛ばしたドローンを元に情報を伝えてくる。

(――トゥエ。戻れ!)

「――フワァン」(えぇ? ――もう?)

 今のトラはキャビンを二じょう連ねて牽いている。一つはエステラとクラーラ用。そしてもう一つは大きくなったトゥエアルの乗だ。そこには界域異空エスパシオがセットされていて外を駆けれないときはそっちで遊び回ってもらう。

 なにしろトゥエアルは虎狼の子供だ。人に見られると騒然となる。――従獣じゅうじゅう登録? そんなの目立つだろ! 却下だ。却下。

 その内、狼に見える魔道具を開発予定だが、何しろ日進月歩を地でゆく彼女は魔力の波動が安定しない。朝と夜で量も質も変化する程だ。

 農家の俺としては成長が速すぎて朝と夕方収穫するアスパラガスを見る思いだね。

 なので路に誰もいない時は外を駆けまわり、近くに人や騎獣車が現れたら隠れてもらっている。
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