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20.プチ軟禁
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「春香様!どちらに?」
「運動がてらワンダと遊んできます」
「でしたら騎士をお付け下さい」
「はぁ…い」
絶倫侯爵と遭遇後8日が経ちました。当初の予定では昨日には町屋敷に移る予定だった。しかしまだレイモンド様のOKが出ず屋敷にプチ軟禁状態が続いています。
毎日暇なうえ必ず誰か居て庭に出る時は騎士さんがつく。そろそろ息苦しい…一昨日から昼間はワンダと庭を走りストレス発散をしている。
ワンダは殿下の一件後に再訓練を受けて、興奮して抱きつく事は無くなった。私が運動したいのを理解しているみたいで、私のペースに合わせて走ってくれる。暫くすると騎士のテリーさんが戻りを促す。
「春香様。運動は良い事ですが、その分しっかり食事を採られる事をお勧めします」
「こちらでお世話になるようになって太ったので、ダイエットしようと思って」
「これ以上お痩せになったら無くなってしまいますよ!もう少しふくよかでも良いかと…」
“ふくよか”ってオブラートに包んでいるけど、つまりは体が貧相って事よね…ゴラスの女性はダイナマイトボディの方が多い。私はもろ日本人体型で中肉中背で一応バストはCカップはある。でも周りの女性に比べたらやっぱり貧相だ。
部屋に戻り汗を流すとモリーさんが手紙を2通持ってきた。1通は見なくてもわかる殿下からだ。
殿下には体調不良だと伝えてられていて、心配し見舞いに来たいと言う内容だろう。
あの絶倫侯爵は城内に影響力があり、殿下が動けば貴族のパワーバランスが崩れるため殿下には内密にされている。
知れば大変な事になるのは分かっている。
もう1通は『えっ!』アレックス様からだ!何だろう…読む前から嫌な予感がする。
読みたくない!煖炉で燃してしまいたい!ゔー出来ない…今は煖炉の時期では無かった。
読む決心がつくまでに30分近くかかった。
膝を叩き自分を鼓舞し開封する。時候の挨拶から始まり丁寧な文章に改めて彼が貴族なんだと実感する。しかし次の一文で全て吹き飛んだ!
『事情は公爵様から聞いた。お前はいつまで屋敷に閉じこもっている気だ!早く町屋敷に移れ。お前の移転が延期になり殿下が、毎日いや隙あらば城を抜け出そうとする。家臣一同対応に追われて業務に支障がでている。王宮騎士の選定も終えている。ミハイル殿に確認した所、準備は整っている故お前が越すだけの事。明日朝一迎えをやる故待っておれ。尚、公爵様には了承を得た。案ずるなお前は俺が守る』
「はぁ?!なにこの失礼な手紙は!」
やっぱりこの人好きくない!
普通イケメンに”俺が守る”なんて言われたら、胸キュンになるけどあの人に言われても嬉しくもない!
寧ろムカつく! それよりいきなり明日越せって言われても無理です!準備が間に合いません。
大丈夫!レイモンド様が断ってくれる!…よね⁈
手紙を読んだだけでどっと疲れた。ソファーに寝転がりぼーとする。「ん?」誰か来たみたいだ。
返事をするとクリスさんが来た。どうやらレイモンド様が呼んでいるらしい。
起き上がりワンピースの裾を直してクリスさんの前に行くと、明らかにわらっている。柔らかい表情し私の髪を撫でて
「寝癖が…」
「!」
急に髪を触れドキッとする。あまり表情の無いクリスさんの眼差しが優しいから変に意識してしまった。固まった私に気付いたクリスさんはいつも通りの表情を無くした。残念!男前なんだからもっと愛想良くすればいいのに…
今レイモンド様の執務室です。
「春香。今日登城した際に陛下に呼ばれて春香の引越しを早々にする様に話があった。勿論バーミリオン侯爵の出来事も話してあるが、バーミリオンの動きも確認できないし、町屋敷の王宮騎士の警護が整った今、遅らす理由がないと言われた。私もこれ以上引き延ばすのは無理だ」
同席するミハイルさんが
「ハル。明日昼過ぎに王宮騎士団から迎えが来る。私は港の交渉が有り、出発は昼前になるから一緒にいけない」
「あの!明日って言われても何も準備出来ていません!だから無理です」
「春香。身の回り物や衣類は全て町屋敷に準備出来ている。身一つで大丈夫だよ」
「…急過ぎます。まだ屋敷の皆さんにお礼も言えていない」
するとアビー様が横に座り抱きしめて
「春香ちゃん!今生の別じゃー無いのよ。この屋敷は貴女の家なんだから、いつでも帰って来ればいい。レイモンドも私も寂しいけど、少し早く嫁に出したと思っておくわ」
「はい。じゃ!いっぱい帰りますから!」
「ハル。町屋敷には父上も母上も来ることが多いから、そんなに寂しく無いさ。俺も居るし…」
「はい。ありがとうございます」
少し気分が浮上した。
夕食はみんなでいただく。席に着くといつも通りロックさんが給仕をしてくれます。
お皿を見て驚いた!前菜から肉料理まで一口サイズにカットされワンプレートに盛り付けされている。
いつも魚止まりの私には嬉しい心遣いだ!
今日のお肉料理はステーキで食べやすくそう!
「ロックさんありがとう!」
「町屋敷の給仕長は私の同僚でして、向こうでもこの様にお出しする様に申し送りしてございますから安心して下さい。さぁ!冷めないただく内にお召し上がり下さい」
夕食は和気藹々と楽しい食事となった。満足して席を立つとミハイルさんが手を差し伸べてお茶を誘ってくる。ここ最近毎日だ。
最近のミハイルさんは前よりよく話す様になった。恋愛偏差値の低い私に合わせてくれているみたい。
「ハル。俺はアレックス殿を良く思っていない。女性が苦手なのは俺もそうだから理解できるが、ハルに対する態度が気に食わない。酷い事を言われたら言ってほしい」
「確かにかなり辛口ですよね…でも苦手な方でも最低限のお付き合いはちゃんとします」
そして急に表情を引き締めたミハイルさんが
「ハル。王宮図書室で借りた本に帰るヒントは見つけたかい?大事にベッドヘッドの後ろに隠している様だが⁈」
バレていた。どうやらマリーさんが見つけてミハイルさんに報告していたらしい。隠せてると思っていたのは私だけだった。
「俺はハルの帰り方を探して見つけてほしいと思っている。ハルが帰っていい訳ではない。帰り方が分かった上で、俺との未来を自ら選んでほしいんだ」
「ミハイルさん…」
「だからなんでも話して欲しい。ゆっくりでいいから」
なんて言っていいか分からず黙ってしまう。
「ハル!」
優しい声に前を向くとミハイルさんが跪き私の手を取り微笑み。
「俺はハルの横に居れれば何も要らないよ。この世界を捨て、ハルの生まれた世界に行ってもいいと思っている。ハルの横に俺を置いてくれ」
手の甲に口付けを落とす。赤面しなんて言っていいか分からない。狼狽えていたらクロードさんがミハイルさんを呼びに来た。
お休みの挨拶をしてレイモンド様の元に行くミハイルさんを見送る。
この後部屋に戻ったけどどうやって戻り、就寝したか覚えてい無い。
朝はいつも通り目覚めた。今日は忙しい!朝食後は屋敷の皆さんにご挨拶に行く予定。屋敷の使用人は多いから時間がかかるので朝食を急ぐ。ダイニングルームに着くと皆さんお揃いだった。
楽しく朝食を食べ早速屋敷中の従業員さんにお礼を言って回った。大きなお屋敷だから使用人も多くて約1時間はかかった。やっと最後の庭師さんに挨拶をした帰りクリスさんが慌てて走ってくる。
「春香様!お早く!お迎えが来ています。急ぎます故我慢下さい!」
いきなりクリスさんに抱き上げられた。私1人抱えても走るクリスさんのスピードは落ちない。凄い脚力に驚いていたらエントランスに着いた。
「げっ!」
思わず心の声が出た。何故貴方が迎えに来たの⁈
「運動がてらワンダと遊んできます」
「でしたら騎士をお付け下さい」
「はぁ…い」
絶倫侯爵と遭遇後8日が経ちました。当初の予定では昨日には町屋敷に移る予定だった。しかしまだレイモンド様のOKが出ず屋敷にプチ軟禁状態が続いています。
毎日暇なうえ必ず誰か居て庭に出る時は騎士さんがつく。そろそろ息苦しい…一昨日から昼間はワンダと庭を走りストレス発散をしている。
ワンダは殿下の一件後に再訓練を受けて、興奮して抱きつく事は無くなった。私が運動したいのを理解しているみたいで、私のペースに合わせて走ってくれる。暫くすると騎士のテリーさんが戻りを促す。
「春香様。運動は良い事ですが、その分しっかり食事を採られる事をお勧めします」
「こちらでお世話になるようになって太ったので、ダイエットしようと思って」
「これ以上お痩せになったら無くなってしまいますよ!もう少しふくよかでも良いかと…」
“ふくよか”ってオブラートに包んでいるけど、つまりは体が貧相って事よね…ゴラスの女性はダイナマイトボディの方が多い。私はもろ日本人体型で中肉中背で一応バストはCカップはある。でも周りの女性に比べたらやっぱり貧相だ。
部屋に戻り汗を流すとモリーさんが手紙を2通持ってきた。1通は見なくてもわかる殿下からだ。
殿下には体調不良だと伝えてられていて、心配し見舞いに来たいと言う内容だろう。
あの絶倫侯爵は城内に影響力があり、殿下が動けば貴族のパワーバランスが崩れるため殿下には内密にされている。
知れば大変な事になるのは分かっている。
もう1通は『えっ!』アレックス様からだ!何だろう…読む前から嫌な予感がする。
読みたくない!煖炉で燃してしまいたい!ゔー出来ない…今は煖炉の時期では無かった。
読む決心がつくまでに30分近くかかった。
膝を叩き自分を鼓舞し開封する。時候の挨拶から始まり丁寧な文章に改めて彼が貴族なんだと実感する。しかし次の一文で全て吹き飛んだ!
『事情は公爵様から聞いた。お前はいつまで屋敷に閉じこもっている気だ!早く町屋敷に移れ。お前の移転が延期になり殿下が、毎日いや隙あらば城を抜け出そうとする。家臣一同対応に追われて業務に支障がでている。王宮騎士の選定も終えている。ミハイル殿に確認した所、準備は整っている故お前が越すだけの事。明日朝一迎えをやる故待っておれ。尚、公爵様には了承を得た。案ずるなお前は俺が守る』
「はぁ?!なにこの失礼な手紙は!」
やっぱりこの人好きくない!
普通イケメンに”俺が守る”なんて言われたら、胸キュンになるけどあの人に言われても嬉しくもない!
寧ろムカつく! それよりいきなり明日越せって言われても無理です!準備が間に合いません。
大丈夫!レイモンド様が断ってくれる!…よね⁈
手紙を読んだだけでどっと疲れた。ソファーに寝転がりぼーとする。「ん?」誰か来たみたいだ。
返事をするとクリスさんが来た。どうやらレイモンド様が呼んでいるらしい。
起き上がりワンピースの裾を直してクリスさんの前に行くと、明らかにわらっている。柔らかい表情し私の髪を撫でて
「寝癖が…」
「!」
急に髪を触れドキッとする。あまり表情の無いクリスさんの眼差しが優しいから変に意識してしまった。固まった私に気付いたクリスさんはいつも通りの表情を無くした。残念!男前なんだからもっと愛想良くすればいいのに…
今レイモンド様の執務室です。
「春香。今日登城した際に陛下に呼ばれて春香の引越しを早々にする様に話があった。勿論バーミリオン侯爵の出来事も話してあるが、バーミリオンの動きも確認できないし、町屋敷の王宮騎士の警護が整った今、遅らす理由がないと言われた。私もこれ以上引き延ばすのは無理だ」
同席するミハイルさんが
「ハル。明日昼過ぎに王宮騎士団から迎えが来る。私は港の交渉が有り、出発は昼前になるから一緒にいけない」
「あの!明日って言われても何も準備出来ていません!だから無理です」
「春香。身の回り物や衣類は全て町屋敷に準備出来ている。身一つで大丈夫だよ」
「…急過ぎます。まだ屋敷の皆さんにお礼も言えていない」
するとアビー様が横に座り抱きしめて
「春香ちゃん!今生の別じゃー無いのよ。この屋敷は貴女の家なんだから、いつでも帰って来ればいい。レイモンドも私も寂しいけど、少し早く嫁に出したと思っておくわ」
「はい。じゃ!いっぱい帰りますから!」
「ハル。町屋敷には父上も母上も来ることが多いから、そんなに寂しく無いさ。俺も居るし…」
「はい。ありがとうございます」
少し気分が浮上した。
夕食はみんなでいただく。席に着くといつも通りロックさんが給仕をしてくれます。
お皿を見て驚いた!前菜から肉料理まで一口サイズにカットされワンプレートに盛り付けされている。
いつも魚止まりの私には嬉しい心遣いだ!
今日のお肉料理はステーキで食べやすくそう!
「ロックさんありがとう!」
「町屋敷の給仕長は私の同僚でして、向こうでもこの様にお出しする様に申し送りしてございますから安心して下さい。さぁ!冷めないただく内にお召し上がり下さい」
夕食は和気藹々と楽しい食事となった。満足して席を立つとミハイルさんが手を差し伸べてお茶を誘ってくる。ここ最近毎日だ。
最近のミハイルさんは前よりよく話す様になった。恋愛偏差値の低い私に合わせてくれているみたい。
「ハル。俺はアレックス殿を良く思っていない。女性が苦手なのは俺もそうだから理解できるが、ハルに対する態度が気に食わない。酷い事を言われたら言ってほしい」
「確かにかなり辛口ですよね…でも苦手な方でも最低限のお付き合いはちゃんとします」
そして急に表情を引き締めたミハイルさんが
「ハル。王宮図書室で借りた本に帰るヒントは見つけたかい?大事にベッドヘッドの後ろに隠している様だが⁈」
バレていた。どうやらマリーさんが見つけてミハイルさんに報告していたらしい。隠せてると思っていたのは私だけだった。
「俺はハルの帰り方を探して見つけてほしいと思っている。ハルが帰っていい訳ではない。帰り方が分かった上で、俺との未来を自ら選んでほしいんだ」
「ミハイルさん…」
「だからなんでも話して欲しい。ゆっくりでいいから」
なんて言っていいか分からず黙ってしまう。
「ハル!」
優しい声に前を向くとミハイルさんが跪き私の手を取り微笑み。
「俺はハルの横に居れれば何も要らないよ。この世界を捨て、ハルの生まれた世界に行ってもいいと思っている。ハルの横に俺を置いてくれ」
手の甲に口付けを落とす。赤面しなんて言っていいか分からない。狼狽えていたらクロードさんがミハイルさんを呼びに来た。
お休みの挨拶をしてレイモンド様の元に行くミハイルさんを見送る。
この後部屋に戻ったけどどうやって戻り、就寝したか覚えてい無い。
朝はいつも通り目覚めた。今日は忙しい!朝食後は屋敷の皆さんにご挨拶に行く予定。屋敷の使用人は多いから時間がかかるので朝食を急ぐ。ダイニングルームに着くと皆さんお揃いだった。
楽しく朝食を食べ早速屋敷中の従業員さんにお礼を言って回った。大きなお屋敷だから使用人も多くて約1時間はかかった。やっと最後の庭師さんに挨拶をした帰りクリスさんが慌てて走ってくる。
「春香様!お早く!お迎えが来ています。急ぎます故我慢下さい!」
いきなりクリスさんに抱き上げられた。私1人抱えても走るクリスさんのスピードは落ちない。凄い脚力に驚いていたらエントランスに着いた。
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