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19.絶倫
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クリスさんに促され仕立て屋さんへ向かいます。
屋敷から5分くらいなのに目の前に馬車がある。
「あの…すぐそこですけど」
「少しでも他の男の目にハルをさらしたくない」
こっちに来て歩く事が減り太って来ている気がする。ゴラスの女性に比べたらまだ細い方だけど油断大敵だ。
目の前に手が…手の主はクリスさんで乗車を促している。クリスさんは微笑んでいるけと、目が”早く乗れ”と言っているみたい。慌てて馬車に乗り込んだ。
近いから一瞬で着く。入店すると店主が出て来て奥の部屋に通される。部屋には既にトルソーにドレスが飾られてあった。ラベンダー色のベルラインのドレス。リボン等飾りは少なく袖や裾に上品な刺繍が施され地味目だけど私好みだ。
「初めてお越しいただいた時にお選びになられていたドレスがシンプルなデザインのモノ多かったので、この様なデザインにいたしました。レイモンド様がこの刺繍のデザインをお決めになったのですよ!この刺繍は幸福を呼ぶモチーフでして、親から子へ贈るものに用いられます。レイモンド様の愛情を感じますね」
店主の話に感動しているとミハイルさんとジョシュさんが試着を促し女性店員と奥の試着室へ。
ドレスに袖を通し実感した。肌触りがとても良く軽い。店員さんが言うには最高級のシルクで中々手に入らないらしく、刺繍糸の銀糸も特別な物らしい。
店員さんが刺繍しドレスを着た私を色んな角度からみで、メモに修正箇所を書き込んでいる。店員さんのチェックに長くかかり、控室から催促がかかり移動しする。
「「!」」
「ドレスは素晴らしいのですが、私が伴っていません」
すると2人は立ち上がり
「ハル。父上に嫉妬するよ。こんなに似合うドレスを贈るなんて」
「春香ちゃんは何着ても似合うよ。もう!夜会は行かない方がいい!他の野郎が見ると思うと腹が立つ!」
「お2人とも過大評価し過ぎです」
店主のおじさんは色んな所をチェックしメモをしていきます。店主の横で店員が靴や髪飾をテーブルに並べていき、ミハイルさんとジョシュさんが店員と相談し決めていきます。
私はマネキンように只管立っているだけで正直疲れきた。ふらふらして来た私き気づいたのは付き添いのクリスさんだった。クリスさんが店主に耳打ちをしたら、何故か店主は顔色を無くし店主の奥様を呼び私を別の部屋に案内し着替えを手伝わせた。
クリスさんは人の顔色を奪うのが得意らしい。何を言っていたかは知らない方が良さそうだ。
やっと試着から解放され控室に戻ると小物を選び終わったお2人が待っていた。5日後に仕上がるらしく町屋敷引越後に納品してくれる。
店主にお礼を述べてランチするレストランに移動。正直もう帰りたい! 試着で疲れランチは屋敷で茶菓子とお茶で十分。
しかしミハイルさんとジョシュさんはそうはいかない。気力を振り絞りランチに向かう。
どれくらい走っただろう…やっとレストランに着いた。こっちに来て外食は初めてで、ワクワクしながら入店する。店内はテーブル席が20卓ほどありイメージ的にファミレスに近い。店内は平民も貴族もいて賑わっている。
『うっ!ヤバイ!仕立て屋でお茶飲み過ぎてお手洗いに行きたい!』
入口で案内待ちをしているミハイルさんに
「すみません。お花を摘んできます」
「1人で大丈夫か?」
「大丈夫です。すぐ戻ります」
とりあえず行かせて下さい!足早にお手洗いに向かう。中に入ると姿見鏡の前に妖艶な美女がいた。所謂ボンキュボンのナイスバディ!お胸ははち切れそうだ。思わず自分胸を見下ろす。あの人が山なら私は丘程度だ。…自分で言って悲しかなる。
美女は振り返り驚いた顔をする。恐らく私の髪色だ。美女は挨拶もそこそこに話しかけて来た。
「貴女…どこの貴族のお囲いさん?」
「へ!」
美女はいきなり私の左手を掴み袖を捲り上げた。
『あ!着替えた時にブレスレットが上に上がったままだ!』
「やっぱり何処から連れてこられたの?大切にしてもらっている?うちの旦那様のとこに来ない⁈」
「いえ、あの…」
その女性はマシンガントークをはじめ
「私は本妻なんだけど旦那様が体力あり過ぎで、お囲いさんが必要なのよ。今は2人いるけどもう1人欲しいと思っていてね。でも王宮のチェックが厳しく今は連れて来れないらしく、他のお囲いさんを勧誘スカウトしようかと思っていたのよ!」
「私はお囲いでは…」
「旦那様はお囲いさんにも紳士的で優しいし、大事にしてくれるわ。私も仲良くするし。貴女のような可愛らしい子はいないからお気に入りになれるわ」
だめだ!この人話を聞いてくれない!
「で何処でお世話になっているの?」
「えっと、シュナイダー公爵家で…」
「うそ!レイモンド様がお囲いさんを!」
「ではなく…」
「あの愛妻家でゴラスの暴馬を嫁にしたって有名だったのに! やっぱり可愛い系も手元に置きたかったのね!大丈夫。レイモンド様のお囲いなら尚更旦那様が欲しがるわ! 近いうちに迎えに行くから待っていてね!」
「あの!私の話を」
「じやーね!」
美女は手をヒラヒラ振り出て行った。何が起こったの? 漫画の一コマなら頭上に疑問符がいっぱい出てる筈だ。
でも!とりあえず!トイレ!
はぁ…落ち着いた。手を洗いお手洗いを出るとクリスさんが待っていた。クリスさんの向こうからねちっこい視線感じそちらの方を見ると、さっきの美女と美丈夫がいる。美丈夫は焦茶の瞳に焦茶の長髪でこの人も妙に色っぽい。
美女が私に気付き手を振る。反射的に会釈すると美丈夫が微笑み投げキッスをしてくる。
「!」
気がつくとクリスさんか私の前に立ち美女と美丈夫の視線を遮る。クリスさんがため息を吐いて振り返ると怖い顔をしている。
「バーミリオン侯爵様とお知り合いなのは何故ですか⁈」
「バーミリオン?侯爵?」
「はい。あの方はあまりいい話を聞きません。これは屋敷に帰ったら旦那様に報告いたします」
私無実です!誰か目の前の怖いクリスさんから助けて下さい!
「クリス!何をしている!春香ちゃんが怖がっているだろう!」
ジョシュさん迎えに来てくれ抱きしめてくれる。
「ジョシュさん!私無実です!」
「ジョシュ様。春香様。ここで話せる事では無いので、屋敷に戻ってからお話し致します」
ジョシュさんに手を引いてもらい席に戻ると既に食事が運ばれていた。着席し食べたけど何を食べてどんな味だったか全く覚えていない。
呆然とした状態で馬車に乗せられ屋敷に戻った。
目が覚めてまず見えたのは見慣れた天井で自分の部屋のベッドだ。最後の記憶は馬車に乗ったとこまででやっぱり寝てしまった。誰か分からないけど運んでもらいすみません。
窓のカーテンを開けると外は薄暗い。まだ頭が働かない…とりあえず部屋に…
部屋に行くとモリーさんが慌てて部屋を出て行った。ソファーに座りぼんやりしていたら誰か来て、返事をするとクロードさんが入ってきた。
足早に目の前に来ると屈みいきなり抱き上げた。
「失礼します。皆さんお待ちなので」
「へ?はい」
まだ頭がロード中の私は返事するのが精一杯だった。足早に何処かに向かうクロードさん。向かった先はレイモンド様の執務室で、扉前にはクリスさんがいる。クリスさんが扉を開けて中に入ると室内は冷え切り身震いする。
今から断罪でも始まるのだろうか…
皆さん!私は無実です!弁護士さんを付けて下さい!
入室したクロードさんは1人掛けのソファーに下ろしてくれた。そして重苦しい空気の中沈黙を破ったのはクリスさんで
「王都のレストランのお手洗いで春香様とバーミリオン侯爵夫人が接触したようです。バーミリオン侯爵様が明らかに春香様に興味を持たれた様子。侍女をつけておらず何があったかは春香様しか分かりません」
「春香。お手洗いで侯爵夫人と何を話したんだ⁈」
「裁判長!…じゃなかったレイモンド様。一方的に話をされシュナイダー家のお囲いさんと間違われて、侯爵様のお囲いにならないかと勧誘されました」
「「「何!」」」
皆んな一斉に立ち上がり怒りを露わにする。
それより”お囲いさん”て何?
「あの…”お囲いさん”て何ですか?」
「春香。”お囲い”とは身分を持たない非公式な妻。つまり夜伽相手をする女性の事をさす」
「!」
つまり私はレイモンド様の愛人と間違われたんだ!
アビー様が顔が怖い…
「ハル!ブレスレットはどうした!」
「ドレスの試着の後着替えた時に上がっていたみたいで、侯爵夫人に確認された時に見えなくて」
アビー様が地を這うような声で
「春香ちゃんが悪いんじゃない。あの女人の話を聞かず早合点するところがあるわ。春香ちゃんはちゃんと説明しようとしたんでしょ!」
「はい。でも全く聞いてくれないし、話は進めるし意味わからなくて」
「ウチの娘をお囲いにしようとしたのが腹が立つ!」
レイモンド様が愛人持ちだと間違われたのはいいの?”お囲いさん”って愛人だったんだ。でも確か侯爵夫人は侯爵様は体力があり過ぎてお囲いさん2人では足りないって…
それって『絶倫!』て事?あの侯爵様のねちっこい視線を思い出し寒気がする。
この後レイモンド様から聞いた話だと、バーミリオン侯爵家は位こそ下だか領地の広さや財力、貴族内での力はほぼ互角で、昔から(侯爵家が)一方的に張り合っていた様だ。
レイモンド様がクロードさんに指示をして侯爵家の動向を探らせ、私は暫く屋敷に閉じ籠る事になった。今ミハイルさんは町屋敷引越の準備があるし、ジョシュさんは騎士団の仕事があり屋敷にいない事が多い。暫くはアビー様とクリスさんが側にいてくれるらしい。当然登城も出来ない。
前に見た夢で”大切な物をなくす夢は、要らないものを得る前触れ”ってジョシュさんに聞いたけどもしかしてこれの事だろうか…
屋敷から5分くらいなのに目の前に馬車がある。
「あの…すぐそこですけど」
「少しでも他の男の目にハルをさらしたくない」
こっちに来て歩く事が減り太って来ている気がする。ゴラスの女性に比べたらまだ細い方だけど油断大敵だ。
目の前に手が…手の主はクリスさんで乗車を促している。クリスさんは微笑んでいるけと、目が”早く乗れ”と言っているみたい。慌てて馬車に乗り込んだ。
近いから一瞬で着く。入店すると店主が出て来て奥の部屋に通される。部屋には既にトルソーにドレスが飾られてあった。ラベンダー色のベルラインのドレス。リボン等飾りは少なく袖や裾に上品な刺繍が施され地味目だけど私好みだ。
「初めてお越しいただいた時にお選びになられていたドレスがシンプルなデザインのモノ多かったので、この様なデザインにいたしました。レイモンド様がこの刺繍のデザインをお決めになったのですよ!この刺繍は幸福を呼ぶモチーフでして、親から子へ贈るものに用いられます。レイモンド様の愛情を感じますね」
店主の話に感動しているとミハイルさんとジョシュさんが試着を促し女性店員と奥の試着室へ。
ドレスに袖を通し実感した。肌触りがとても良く軽い。店員さんが言うには最高級のシルクで中々手に入らないらしく、刺繍糸の銀糸も特別な物らしい。
店員さんが刺繍しドレスを着た私を色んな角度からみで、メモに修正箇所を書き込んでいる。店員さんのチェックに長くかかり、控室から催促がかかり移動しする。
「「!」」
「ドレスは素晴らしいのですが、私が伴っていません」
すると2人は立ち上がり
「ハル。父上に嫉妬するよ。こんなに似合うドレスを贈るなんて」
「春香ちゃんは何着ても似合うよ。もう!夜会は行かない方がいい!他の野郎が見ると思うと腹が立つ!」
「お2人とも過大評価し過ぎです」
店主のおじさんは色んな所をチェックしメモをしていきます。店主の横で店員が靴や髪飾をテーブルに並べていき、ミハイルさんとジョシュさんが店員と相談し決めていきます。
私はマネキンように只管立っているだけで正直疲れきた。ふらふらして来た私き気づいたのは付き添いのクリスさんだった。クリスさんが店主に耳打ちをしたら、何故か店主は顔色を無くし店主の奥様を呼び私を別の部屋に案内し着替えを手伝わせた。
クリスさんは人の顔色を奪うのが得意らしい。何を言っていたかは知らない方が良さそうだ。
やっと試着から解放され控室に戻ると小物を選び終わったお2人が待っていた。5日後に仕上がるらしく町屋敷引越後に納品してくれる。
店主にお礼を述べてランチするレストランに移動。正直もう帰りたい! 試着で疲れランチは屋敷で茶菓子とお茶で十分。
しかしミハイルさんとジョシュさんはそうはいかない。気力を振り絞りランチに向かう。
どれくらい走っただろう…やっとレストランに着いた。こっちに来て外食は初めてで、ワクワクしながら入店する。店内はテーブル席が20卓ほどありイメージ的にファミレスに近い。店内は平民も貴族もいて賑わっている。
『うっ!ヤバイ!仕立て屋でお茶飲み過ぎてお手洗いに行きたい!』
入口で案内待ちをしているミハイルさんに
「すみません。お花を摘んできます」
「1人で大丈夫か?」
「大丈夫です。すぐ戻ります」
とりあえず行かせて下さい!足早にお手洗いに向かう。中に入ると姿見鏡の前に妖艶な美女がいた。所謂ボンキュボンのナイスバディ!お胸ははち切れそうだ。思わず自分胸を見下ろす。あの人が山なら私は丘程度だ。…自分で言って悲しかなる。
美女は振り返り驚いた顔をする。恐らく私の髪色だ。美女は挨拶もそこそこに話しかけて来た。
「貴女…どこの貴族のお囲いさん?」
「へ!」
美女はいきなり私の左手を掴み袖を捲り上げた。
『あ!着替えた時にブレスレットが上に上がったままだ!』
「やっぱり何処から連れてこられたの?大切にしてもらっている?うちの旦那様のとこに来ない⁈」
「いえ、あの…」
その女性はマシンガントークをはじめ
「私は本妻なんだけど旦那様が体力あり過ぎで、お囲いさんが必要なのよ。今は2人いるけどもう1人欲しいと思っていてね。でも王宮のチェックが厳しく今は連れて来れないらしく、他のお囲いさんを勧誘スカウトしようかと思っていたのよ!」
「私はお囲いでは…」
「旦那様はお囲いさんにも紳士的で優しいし、大事にしてくれるわ。私も仲良くするし。貴女のような可愛らしい子はいないからお気に入りになれるわ」
だめだ!この人話を聞いてくれない!
「で何処でお世話になっているの?」
「えっと、シュナイダー公爵家で…」
「うそ!レイモンド様がお囲いさんを!」
「ではなく…」
「あの愛妻家でゴラスの暴馬を嫁にしたって有名だったのに! やっぱり可愛い系も手元に置きたかったのね!大丈夫。レイモンド様のお囲いなら尚更旦那様が欲しがるわ! 近いうちに迎えに行くから待っていてね!」
「あの!私の話を」
「じやーね!」
美女は手をヒラヒラ振り出て行った。何が起こったの? 漫画の一コマなら頭上に疑問符がいっぱい出てる筈だ。
でも!とりあえず!トイレ!
はぁ…落ち着いた。手を洗いお手洗いを出るとクリスさんが待っていた。クリスさんの向こうからねちっこい視線感じそちらの方を見ると、さっきの美女と美丈夫がいる。美丈夫は焦茶の瞳に焦茶の長髪でこの人も妙に色っぽい。
美女が私に気付き手を振る。反射的に会釈すると美丈夫が微笑み投げキッスをしてくる。
「!」
気がつくとクリスさんか私の前に立ち美女と美丈夫の視線を遮る。クリスさんがため息を吐いて振り返ると怖い顔をしている。
「バーミリオン侯爵様とお知り合いなのは何故ですか⁈」
「バーミリオン?侯爵?」
「はい。あの方はあまりいい話を聞きません。これは屋敷に帰ったら旦那様に報告いたします」
私無実です!誰か目の前の怖いクリスさんから助けて下さい!
「クリス!何をしている!春香ちゃんが怖がっているだろう!」
ジョシュさん迎えに来てくれ抱きしめてくれる。
「ジョシュさん!私無実です!」
「ジョシュ様。春香様。ここで話せる事では無いので、屋敷に戻ってからお話し致します」
ジョシュさんに手を引いてもらい席に戻ると既に食事が運ばれていた。着席し食べたけど何を食べてどんな味だったか全く覚えていない。
呆然とした状態で馬車に乗せられ屋敷に戻った。
目が覚めてまず見えたのは見慣れた天井で自分の部屋のベッドだ。最後の記憶は馬車に乗ったとこまででやっぱり寝てしまった。誰か分からないけど運んでもらいすみません。
窓のカーテンを開けると外は薄暗い。まだ頭が働かない…とりあえず部屋に…
部屋に行くとモリーさんが慌てて部屋を出て行った。ソファーに座りぼんやりしていたら誰か来て、返事をするとクロードさんが入ってきた。
足早に目の前に来ると屈みいきなり抱き上げた。
「失礼します。皆さんお待ちなので」
「へ?はい」
まだ頭がロード中の私は返事するのが精一杯だった。足早に何処かに向かうクロードさん。向かった先はレイモンド様の執務室で、扉前にはクリスさんがいる。クリスさんが扉を開けて中に入ると室内は冷え切り身震いする。
今から断罪でも始まるのだろうか…
皆さん!私は無実です!弁護士さんを付けて下さい!
入室したクロードさんは1人掛けのソファーに下ろしてくれた。そして重苦しい空気の中沈黙を破ったのはクリスさんで
「王都のレストランのお手洗いで春香様とバーミリオン侯爵夫人が接触したようです。バーミリオン侯爵様が明らかに春香様に興味を持たれた様子。侍女をつけておらず何があったかは春香様しか分かりません」
「春香。お手洗いで侯爵夫人と何を話したんだ⁈」
「裁判長!…じゃなかったレイモンド様。一方的に話をされシュナイダー家のお囲いさんと間違われて、侯爵様のお囲いにならないかと勧誘されました」
「「「何!」」」
皆んな一斉に立ち上がり怒りを露わにする。
それより”お囲いさん”て何?
「あの…”お囲いさん”て何ですか?」
「春香。”お囲い”とは身分を持たない非公式な妻。つまり夜伽相手をする女性の事をさす」
「!」
つまり私はレイモンド様の愛人と間違われたんだ!
アビー様が顔が怖い…
「ハル!ブレスレットはどうした!」
「ドレスの試着の後着替えた時に上がっていたみたいで、侯爵夫人に確認された時に見えなくて」
アビー様が地を這うような声で
「春香ちゃんが悪いんじゃない。あの女人の話を聞かず早合点するところがあるわ。春香ちゃんはちゃんと説明しようとしたんでしょ!」
「はい。でも全く聞いてくれないし、話は進めるし意味わからなくて」
「ウチの娘をお囲いにしようとしたのが腹が立つ!」
レイモンド様が愛人持ちだと間違われたのはいいの?”お囲いさん”って愛人だったんだ。でも確か侯爵夫人は侯爵様は体力があり過ぎてお囲いさん2人では足りないって…
それって『絶倫!』て事?あの侯爵様のねちっこい視線を思い出し寒気がする。
この後レイモンド様から聞いた話だと、バーミリオン侯爵家は位こそ下だか領地の広さや財力、貴族内での力はほぼ互角で、昔から(侯爵家が)一方的に張り合っていた様だ。
レイモンド様がクロードさんに指示をして侯爵家の動向を探らせ、私は暫く屋敷に閉じ籠る事になった。今ミハイルさんは町屋敷引越の準備があるし、ジョシュさんは騎士団の仕事があり屋敷にいない事が多い。暫くはアビー様とクリスさんが側にいてくれるらしい。当然登城も出来ない。
前に見た夢で”大切な物をなくす夢は、要らないものを得る前触れ”ってジョシュさんに聞いたけどもしかしてこれの事だろうか…
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