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47.両思い?
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「春香嬢はもっと食べて膨よかにならないと、いいお子は産めませんぞ」
品のいいグリズリーがずっと話しかけてくるし、今の発言は私の世界じゃセクハラだからね!
ずっと苦笑いの私を心配そうに向いに座るアレックスさんが見ている。しかしアレックスさん人の心配している場合では無く、ポロリ令嬢がすり寄って来てるよ! お互い言いたい事が分かったようで思わず笑ってしまう。
「ハル。無理して食べなくていいよ」
私達の視線に気づいたミハイルさんが明らかにやきもち中だ。今日は晩餐だからテーブルマナー通りフルコースが出てくる。他の方に比べて量は少なくしてくれているが、やっぱり頑張っても魚止まり。もうお腹がいっぱいだ。手が止まると次の料理か運ばれてくる。
『お肉は無理…ってあれ?デザートだ』
思わず給仕さんを見たら
「アレックス様からのご指示でございます」
やっぱりアレックスさんの気遣いだ。お礼は言えないから、目が合った的に小さくお辞儀した。
アレックスさんは手で口元を隠して横を向いてしまった。
「おぃ!そこの給仕!春香嬢になぜ肉が出てないんだ肉を持ってこい。春香嬢には体力をつけてもらわないと!」
「殿下。私は小食なのでもうこれ以上食べれません。それを知っている給仕さんが配慮して下さったのです。なので給仕さんを責めないって下さい」
「そうか!すっすまない」
案外素直な殿下でちょっとびっくりした。
皆さんはまだ食事中だ。私は早く終わりゆっくりお茶を飲みながらまったりしている。
凄い肉な塊を食べ終えた満腹のグリズリーは楽しそうに話しかけてくる。でもちゃんと話してみると俺様気質だけど、国や国民を考えている普通に王太子だった。
会食が終わり一旦休憩室に移動し、ホール準備までお腹を休めます。
ミハイルさんががっつり私について周りを威嚇している。まるで大型犬がおもちゃを必死に守っているみたいだ。そんな風に思っていたらミハイルさんの頭にケモ耳が見えた気がして一人で笑っていたら、ミハイルさんは目を細めて私を見ている。
従僕さんが呼びに来てホールに移動します。
入場し暫く歓談していたら音楽が流れてコールマン侯爵様とマニュラ夫人がファーストダンスを踊ります。正式な舞踏会では無いので、侯爵様の後は自由にダンスできる。ミハイルは私の手を引きフロアー中央に行き踊り出す。
色んな人と踊ったけどミハイルさんは安心して身を預けられる。
「ハル。他は見ないで俺だけ見て…」
ミハイルさんの眼差しと手は優しく温かい。
「早くシュナイダー邸に帰りたい」
「あと少しだ」
「ん?」
さっきまであんなに穏やかだったミハイルさんの顔が曇る。音楽が終わり向き合い挨拶すると背後から大きな声をかけられて心臓が止まるかと思った。
振り返るとジャン王太子が手を差し出している。
「春香嬢!次は俺とだ」
一瞬躊躇したら強引に手を取られ腰に腕をまわされ、腰をホールドされ踊り始める。
はっきり言ってこれば”ダンス”じゃない!熊が木の棒を振り回して遊んでいるみたい!
ターンの時は足が床に着いてないどころか、ダンス始まってほぼ宙に浮いている。
「あの!殿下!もっと優しくゆっくり踊って下さい!」
「あっ!すまない。春香嬢は軽過ぎて加減が分からん」
やっと足は着いたけど、でもやっばり振り回されている。『あと少し…あと少し…』と自分にいい聞かせて最後まで踊り切った。只今遠い目をして頑張った自分を褒めている最中だ。
ふと上座の席に座っているミハイルさんとジュシュさんが目に入る。
ポロリ令嬢が体をくねくねしながらミハイルさんとジョシュさんに擦り寄っている。
『ムカ!』なんか腹立つ。イライラしてたら背後から呼ばれて振り返るとアレックスさんが手を差し出してダンスに誘ってくれた。
「喜んで…」
アレックスさんの手に私の手を重ねる。
音楽が変わりアレックスさんのリードで踊りだす。
不機嫌な私をアレックスさんは何も言わずに優しい眼差しで見つめている。
「私…早くシュナイダー邸に帰りたい。ジャン王太子もポロリ令嬢も疲れるから何かイヤ…」
アレックスさんはミハイルさん達を見てくすりと笑い。
「悋気か…」
「そんなんじゃ…」
「俺がリリアン嬢と親密にしていたら、同じ様に妬いてくれるのか?」
「えっ?」
思わずアレックスさん見ると眉間の皺もなく穏やかな表情。私がアレックスさんにやきもち?
暫く見つめていたら
「いや!今のは忘れてくれ…」
「あっはい…」
どうしょう…ドキドキが止まらない!
きっと今日のアレックスさんはいつもと違う正装姿だからだと自分に言い聞かす。見つめるアレックスさんの視線から逃げる様に視線を外すと王太子が目に着いた。
『ん?殿下のあんな穏やかな表情初めて見た。誰を見ているんだろう⁈』
王太子の視線を辿るとその先にポロリ令嬢だ。
王太子のあの表情は見た事ある。あの視線は好きな人に送るもの。ミハイルさんやローランド殿下から送られるそれと同じだ。
『ジャン王太子はリリアン様を?』
よく見るとリリアン様はミハイルさんにボディタッチしているけど、チラチラ王太子を見ている。
えっ!もしかして両思いなの?
思わぬ発見にまるっとアレックスさんを忘れていて慌ててアレックスさんを見た。
溜息を吐いたアレックスさんがぽつりと
「春香も気付い様だな」
「アレックスさん。あの2人…」
「王族は時に国の為に己の望みが叶わない事がある」
音楽が終わり向かい合い礼をしてダンスを終えた。
アレックスさんがテラスにエスコートし、王太子から庇ってくれた。
気付いてしまうと気になる。好き合っているのに叶わないなんて納得できない!
テラスの椅子に座り果実水を飲んでいたら、アレックスさんが小さく笑い
「お前らしいなぁ…」
「何がですか?」
「何とかしてやりたいんだろ?」
「へ?」
アレックスさんに見透かされと驚いてまじまじ見ていたら、向こうから足早にミハイルさんが来る。
あの顔は怒っている。恐らくアレックスさんと2人でいるからだ。
「アレックスさん!ありがとうございました。ちょっとミハイルさんのヤキモチを鎮めて来ます」
立ってミハイルさんの元に向かう。
「○☆△□…」
アレックスさんが何か言ったけど聞こえなかった。
って言うか聞かない方がいいと何故か思った。
品のいいグリズリーがずっと話しかけてくるし、今の発言は私の世界じゃセクハラだからね!
ずっと苦笑いの私を心配そうに向いに座るアレックスさんが見ている。しかしアレックスさん人の心配している場合では無く、ポロリ令嬢がすり寄って来てるよ! お互い言いたい事が分かったようで思わず笑ってしまう。
「ハル。無理して食べなくていいよ」
私達の視線に気づいたミハイルさんが明らかにやきもち中だ。今日は晩餐だからテーブルマナー通りフルコースが出てくる。他の方に比べて量は少なくしてくれているが、やっぱり頑張っても魚止まり。もうお腹がいっぱいだ。手が止まると次の料理か運ばれてくる。
『お肉は無理…ってあれ?デザートだ』
思わず給仕さんを見たら
「アレックス様からのご指示でございます」
やっぱりアレックスさんの気遣いだ。お礼は言えないから、目が合った的に小さくお辞儀した。
アレックスさんは手で口元を隠して横を向いてしまった。
「おぃ!そこの給仕!春香嬢になぜ肉が出てないんだ肉を持ってこい。春香嬢には体力をつけてもらわないと!」
「殿下。私は小食なのでもうこれ以上食べれません。それを知っている給仕さんが配慮して下さったのです。なので給仕さんを責めないって下さい」
「そうか!すっすまない」
案外素直な殿下でちょっとびっくりした。
皆さんはまだ食事中だ。私は早く終わりゆっくりお茶を飲みながらまったりしている。
凄い肉な塊を食べ終えた満腹のグリズリーは楽しそうに話しかけてくる。でもちゃんと話してみると俺様気質だけど、国や国民を考えている普通に王太子だった。
会食が終わり一旦休憩室に移動し、ホール準備までお腹を休めます。
ミハイルさんががっつり私について周りを威嚇している。まるで大型犬がおもちゃを必死に守っているみたいだ。そんな風に思っていたらミハイルさんの頭にケモ耳が見えた気がして一人で笑っていたら、ミハイルさんは目を細めて私を見ている。
従僕さんが呼びに来てホールに移動します。
入場し暫く歓談していたら音楽が流れてコールマン侯爵様とマニュラ夫人がファーストダンスを踊ります。正式な舞踏会では無いので、侯爵様の後は自由にダンスできる。ミハイルは私の手を引きフロアー中央に行き踊り出す。
色んな人と踊ったけどミハイルさんは安心して身を預けられる。
「ハル。他は見ないで俺だけ見て…」
ミハイルさんの眼差しと手は優しく温かい。
「早くシュナイダー邸に帰りたい」
「あと少しだ」
「ん?」
さっきまであんなに穏やかだったミハイルさんの顔が曇る。音楽が終わり向き合い挨拶すると背後から大きな声をかけられて心臓が止まるかと思った。
振り返るとジャン王太子が手を差し出している。
「春香嬢!次は俺とだ」
一瞬躊躇したら強引に手を取られ腰に腕をまわされ、腰をホールドされ踊り始める。
はっきり言ってこれば”ダンス”じゃない!熊が木の棒を振り回して遊んでいるみたい!
ターンの時は足が床に着いてないどころか、ダンス始まってほぼ宙に浮いている。
「あの!殿下!もっと優しくゆっくり踊って下さい!」
「あっ!すまない。春香嬢は軽過ぎて加減が分からん」
やっと足は着いたけど、でもやっばり振り回されている。『あと少し…あと少し…』と自分にいい聞かせて最後まで踊り切った。只今遠い目をして頑張った自分を褒めている最中だ。
ふと上座の席に座っているミハイルさんとジュシュさんが目に入る。
ポロリ令嬢が体をくねくねしながらミハイルさんとジョシュさんに擦り寄っている。
『ムカ!』なんか腹立つ。イライラしてたら背後から呼ばれて振り返るとアレックスさんが手を差し出してダンスに誘ってくれた。
「喜んで…」
アレックスさんの手に私の手を重ねる。
音楽が変わりアレックスさんのリードで踊りだす。
不機嫌な私をアレックスさんは何も言わずに優しい眼差しで見つめている。
「私…早くシュナイダー邸に帰りたい。ジャン王太子もポロリ令嬢も疲れるから何かイヤ…」
アレックスさんはミハイルさん達を見てくすりと笑い。
「悋気か…」
「そんなんじゃ…」
「俺がリリアン嬢と親密にしていたら、同じ様に妬いてくれるのか?」
「えっ?」
思わずアレックスさん見ると眉間の皺もなく穏やかな表情。私がアレックスさんにやきもち?
暫く見つめていたら
「いや!今のは忘れてくれ…」
「あっはい…」
どうしょう…ドキドキが止まらない!
きっと今日のアレックスさんはいつもと違う正装姿だからだと自分に言い聞かす。見つめるアレックスさんの視線から逃げる様に視線を外すと王太子が目に着いた。
『ん?殿下のあんな穏やかな表情初めて見た。誰を見ているんだろう⁈』
王太子の視線を辿るとその先にポロリ令嬢だ。
王太子のあの表情は見た事ある。あの視線は好きな人に送るもの。ミハイルさんやローランド殿下から送られるそれと同じだ。
『ジャン王太子はリリアン様を?』
よく見るとリリアン様はミハイルさんにボディタッチしているけど、チラチラ王太子を見ている。
えっ!もしかして両思いなの?
思わぬ発見にまるっとアレックスさんを忘れていて慌ててアレックスさんを見た。
溜息を吐いたアレックスさんがぽつりと
「春香も気付い様だな」
「アレックスさん。あの2人…」
「王族は時に国の為に己の望みが叶わない事がある」
音楽が終わり向かい合い礼をしてダンスを終えた。
アレックスさんがテラスにエスコートし、王太子から庇ってくれた。
気付いてしまうと気になる。好き合っているのに叶わないなんて納得できない!
テラスの椅子に座り果実水を飲んでいたら、アレックスさんが小さく笑い
「お前らしいなぁ…」
「何がですか?」
「何とかしてやりたいんだろ?」
「へ?」
アレックスさんに見透かされと驚いてまじまじ見ていたら、向こうから足早にミハイルさんが来る。
あの顔は怒っている。恐らくアレックスさんと2人でいるからだ。
「アレックスさん!ありがとうございました。ちょっとミハイルさんのヤキモチを鎮めて来ます」
立ってミハイルさんの元に向かう。
「○☆△□…」
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