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94.騎士
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「父上!母上!いい加減春香を離し、俺の邪魔をしないで下さい」
「煩いわね!私達は明日しか無いんだから!」
「アレックス。父に譲りなさい」
夕食の時間でケイン父様とマニュラ母様の間に座らされ食事をとっている。向かいに座るアレックスさんはレベル3だ。
「春香。このオムレツは柔らかいから食べてみなさい」
「ありがとうございます」
「春香さん。このトマスは酸っぱいからやめた方がいいわ!」
「はい」
甲斐甲斐しく食事の世話をする2人に不機嫌なアレックスさん。この状態は次の日まで続き、やきもち妬きのアレックスさんは隙あらばちゅーしてくる。
新しい両親に甘やかされアレックスさんの嫉妬を受け楽しく?コールマン家の町屋敷で過ごした。
まだ少し跡が残ってるが頬の腫れも治まり、もうすぐミハイルさんが迎えにくる。
朝からアレックスさんが後追い状態だ。実はまだ私のモヤモヤは解消されていなくて、アレックスさんも何か言い及んでいるみたい。
『でもそろそろ決めないとね…』
部屋の窓から外を見ていたら背中が温かくなる。アレックスさんが背中に張り付いている。
アレックスさんは顳顬に口付け抱きしめる。
「あっ…」
馬の嘶きが聞こえたので下を見ると公爵家の馬車だ。扉を開きミハイルさんが降りて来た。同時にエリさんが馬車到着を知らせに来た。
「ずっとここに居ればいいのに…」
「また遊びに来ますよ」
「エリ。俺が春香を連れて行くから先に行ってくれ」
「畏まりました」
エリさんが少し開けて行った扉を閉めたアレックスは荒々しく抱きしめて、激しく口付けてきた。
激しくて酸欠になりクラクラしてきて、思わずアレックスさんの頬を軽く叩く。
「苦しいよ!」
「すまん。春香と離れたく無いんだ」
「でも一旦帰らないと」
「分かっているんだが…」
扉をノックしミハイルさんが迎えに来た。苦々しい表情をしたアレックスさんにミハイルさんが
「アレックス殿。急だが春香は町屋敷に行かずこのまま登城する。殿下が貴殿も同行しろとの事だ。用意のなされよ。ハルと俺はエントランスで待っている」
「俺もか?なぜだ…」
「俺も理由は聞かされてない」
「承知した。春香直ぐ行くから待っていてくれ」
「はい」
アレックスさんが部屋を出るとミハイルさんが抱きしめて口付けてきた。これまた深い口付けに頬が火照る。どうやら私の恋人達はキス魔らしい。困ったなぁ…
「ハル!会いたかったよ」
「うん。私も。ミハイルさんなんで城なんですか?」
「俺も理由を聞かされて無く分からん」
「ふぅ~ん」
とりあえずミハイルさんとエントランスに向かう。エントランスにはケイン父様とマニュラ母様がいて、ミハイルさんが挨拶をしている。
そうしている間にアレックスさんか足早に来た。騎士服を着たアレックスさんは4倍増しにかっこいい。
「春香?」
「アレクの騎士服姿かっこよくて好きだよ」
「春香…」
皆んな(特にミハイルさん)がいるのにちゅーをしてくるアレックスさんに、皆んな驚いている。私もびっくりだよ!
「うっわぁ!」
背後から引っ張られミハイルさんに抱き抱えられる
ミハイルさんVSアレックスさん
お願いゴングは鳴らさないで!
「私は平和主義です。揉めないで」
「すまん」「すまない」
ケイン父様とマニュラ母様に挨拶をし、お世話になった使用人の皆さんにお礼を言って馬車にのる。
馬車の中ではまたどちらが隣かで揉めると思っていたら、行きはアレックスさんが隣に座り、城から帰るときはミハイルさんが座る事になった。
どうやらさっきの私の発言を聞き、揉めない様に先に決めていたらしい。
『やれば出来るじゃん!』
町屋敷からだから半時間もかからず城に着いた。アレックスさんの手を借り降りるとローランド殿下が待っていて、当たり前のように抱きしめてちゅーしてくる。
「春香待っていたよ。腫れは引いたがまだ目立つね。早く治る様に…」
殿下は頬に口付けて眩しい笑顔をくらい顔が火照る。すると殿下は「可愛い!」と連呼してちゅーが加速する。あたふたしていたらミハイルさんが背後から引っ張り殿下から離してくれ
「殿下、春香との逢瀬のために呼んだ訳では無いなでしょ!春香は病み上がりです。用件を先になさって下さい!」
「すまない!私の執務室に行こう」
やっとこの場から離れてられる。ある種拷問だ!出向かいの騎士さんや文官さん達がいっぱいいる中でのラブシーンだよ!
のっけからクタクタになりながら、殿下の執務室に向かう。ふと疑問に思い殿下に
「殿下。先に陛下にご挨拶しなくていいんですか?」
「今、陛下は会議中でね。謁見が後になる事は陛下に了承は取ってあるから安心ていいよ」
了承済みで安心する。それにしても何の話だろう⁈ もしかしてアンリ王女にチョップした件だろうか⁈ 呼ばれた理由を考えている内に殿下の執務室に着いた。
ソファーに座るとお茶が出され、直ぐに人払いされ殿下とミハイルさん、アレックスが残り話しを聞く。
「さて、今日はまた春香の騎士になろうと思ってね」
「「「?」」」
「春香はアレクに”自分が来た事で皆んなの未来を変えてしまった”と言い、ミハイルには”日本に帰るかも”と言ったらしいね」
バツが悪く頷くと殿下は諭す様に
「そう思う様になった原因はアンリ王女の侍女の発言かぃ?」
「何で!」
そう、エリスさんの発言でここに居ていいのか分からなくなったのだ。でもあの時すごく小さい声だったし、殿下は離れて…
「!」
殿下は指で自分の唇をつつきウィンクした。そうだ!殿下は読唇術が出来るんだった。咄嗟にエリスさんの言葉を読んだんだ。
意味の分からないミハイルさんとアレックスさんはキョトンとして殿下と私を見ている。
「春香に質問だ。新しく10人の人と知り合いになった。何人が春香に好意を持ってくれると思う?あっ勿論友人としてだよ」
唐突な質問に戸惑いながら…
「1人か多くて2人かなぁ…」
「いや、春香は万人に好かれるはずだ!」
「アレク…それは無いよ」
「俺も同意見だ。ハルを嫌う奴はいない」
口を挟む2人に少しイラついた口調で注意し、殿下は話を進める。
「では、聞き方を変えよう。春香を嫌う人は何人だ?」
「3人かな⁈」
「相変わらず謙虚だね。今の回答をまとめると、春香を嫌う人は3人で、春香を嫌っていない人は7人となるね」
「殿下!!」
「おや⁈流石私が愛した人だ。私の言いたい事が分かったようだね」
「はい。昔学校の友人関係で悩んでいた時に、父に内容は少し違いますが話をしてもらい、辛い時期を乗り切る事が出来たんです」
「やはり春香が頭がいいのは父上の教えが良かったんだね」
そう中学の時に例え方は違うが同じ話をお父さんにしてもらった。
あれは中学1年生の部活での事。合唱部に入り同級生は8人で初めは仲が良く楽しかった。しかし夏休みが終わり2学期に入ると何故か1名の女子が私を無視するようになり、その子が仲がいい子からも無視されるようになった。初めは知らない間にその子の気に触る事をしたんだと思い、気を使い接していたが相手の対応がどんどん悪化し、完全に無視され陰口も聞こえてくるようになった。
真面目な私は部活を休む事も出来ずどんどん追い込まれ、とうとう部活中に吐き気をもよおし早退してしまった。
きっと悲壮な顔をしていたんだと思う。仲がよかった友人からメールをもらったけど立ち直れなくて、不登校寸前まで行っていた。見かねた父が休日に話してくれたのが今殿下が話しくれた内容だった。
『春香。人は仏や神と違うんだ。万人に好意を持つことは出来ない。必ず何をしても好きになれない人はいる。だから戦争や争いが起きる。しかしみんな今の春香の様に悲壮は顔をし精神が病んでいるかぃ?』
『…』
『何故だか分かるかい⁈それはね、自分と合わない人を認識しその人は最低限の付き合いをし、自分に好意を持ってくれている人の方を見ているのさ』
『??』
『春香が合わない人が3人だとしたら、7人は春香の事が嫌いではないという事だ。どっちらと付き合う方が楽しい?』
『7人の方』
『そうだ。要は自分の捉え方次第という事だよ。社会に出れば今以上に合わない人が出て来る。それは仕方ないんだよ。その合わない人が悪いのか?違う。誰も悪く無くて、お互い相性が良くないだけなんだよ。そこを認識して人と付き合うと自分が楽になれる。春香も少しずつ大人になる準備をしないといけない時期に入って来た。色々悩むだろうそんな時は信頼できる周りの人に頼りなさい。春香を真剣に想ってくれる人が手を差し伸べてくれるはずだ』
こうして少しずつだか前を向ける様になり、気の合わない人は最低限の付き合いをして行くうちに、部活内でもバランスよく人づきあいが出来る様になり、3年間続ける事が出来た。
「アンリ王女が帰国前に春香に手紙を置いて行ったよ。内容は王女から聞いている。これを読んだらなぜ侍女がなぜあんな事を言ったのかが分かり、更に気持ちの整理がつくと思うよ」
そう言った殿下は綺麗な薔薇の柄が入った封筒を渡してくれた。封筒には綺麗な字で私の名が書いてある。
「殿下。我々には意味は分からないが春香を救えるならなぜもっと早く言ってやらなかったんですか?」
「あの時は私の言葉も受け入れれる状態では無かったんだよ。今傷も治り冷静になれ今だから春香の心に届いたんだ。ね!春香」
殿下の心遣いに感動し気が付くと立上りソファーに座る殿下に飛びついていた。
「殿下ありがとう。胸のもやもやが取れて行く様です。殿下はやっぱり私の騎士ですよ!」
「惚れたかぃ⁈」
「はい!」
「ならいい仕事をした騎士は褒美を願いたいね!」
と指で唇をつつく殿下。ミハイルさんとアレックスさんの視線が怖いけど、自分から殿下にちゅーをした。
「「なっ!!」」
ミハイルさんとアレックスさんは立上り、殿下は私を抱きしめ褒美以上の口付けが始まった。
びっくりして抗うとミハイルさんとアレックスさんが殿下から引き離してくれた。
暫くドタバタが続く。やっと落ち着くと咳払いをした殿下が
「春香。これは私が勝手に感じている事だが、近々何か決断する期限が来るのではないのか?だからこんなにも悩んでいたと」
やっぱり加護を受けた王子だ鋭い。アレックスさんも驚いている。そう期限まであと10日を切った。この事を知っているのはアレックスさんだけだ。
「殿下が言われた通りです。ここに残るかの決断の日が近づいています。正直まだ決めかねていて…」
「今日1つ解決したのだから、それを踏まえてゆっくり考えればいい。春香は元の生活手放す事になる。簡単は話ではない。私たちは春香が残ってくれる事を切に願うが決めるのは春香だ。私たちは残ってくれる様に愛を贈る事しか出来ない」
ミハイルさんとアレックスさんは手を握ってくる。
「ありがとうございます。このまま静観してもらえると嬉しいです。自分で決めたいと思います。後悔しないためにも…」
てっきり残ってくれと泣き脅しされると思っていたので拍子抜けだ。ここに居る意味を得て振りだしに戻った。どうするかゆっくり考える時間が欲しい…。少しの沈黙の後、陛下が会議を終えて殿下の執務室に来た。
「陛下。すみません。私が伺わないといけないのに…」
「何を言うのだ。ヴェルディアでは多くの功績をあげ、アンリ王女の件ではゴラスにも恩を売る事が出来たのだ。春香はレイシャルに幸運を運ぶ乙女なのだ。儂から挨拶せねばな!」
「お世話になりっぱなしなのに、恐れ多いです」
恐縮していたら陛下が手を取り隣に座らせて手を握る。陛下の隣って…緊張する。陛下は私の顔を覗き込んで眉を顰めて
「まだ跡が残っておるな…可愛い顔に傷が残らんでよかった。いずれ王妃になるのだ自分の身を大切にしなさい」
「えっと…その件は…まだ殿下に返事して無くてですね…」
「聞いておる。強制するつもりは無い。この調子でローランドを見てくれ」
「はい…」
この後、暫く陛下と雑談しやっと公爵家の町屋敷に帰る事になった。護衛責任者のアレックスさんは一旦侯爵家町屋敷に戻り夕方に来てくれる。
ローランド殿下はミハイルさんとアレックスさんを先に馬車に向かわせ、私は殿下の執務室に残された。嫌な予感が…ソファーに座っていたら人払いがされる。予想通り殿下に抱きしめられ濃厚な口付けをいただく。殿下の熱い吐息が首筋に当たり体の芯が熱くなってくる。
「春香…見栄を張って理解ある男を装っているが、本心は1秒も春香を離してたくないんだ!ずっと側にいて欲しい!同じ時を過ごしてたいんだ」
「えっと…考えてみます」
「あと10日ほどでミハイルとの婚約も解消するか、婚姻するか決めなければならない。その時を目処に答えを出して欲しい」
「んっと…がんばります」
中々離してくれない殿下。結局ミハイルさんとアレックスさんがまた戻って来て、執務室に突入してくれ解放された。そしてやっと町屋敷に帰ります。馬車の中で無口なミハイルさんが徐に話し出す。
「春香が悩んでいた事を殿下は気付いていた。同じ加護持ちなのに俺は気付いてやれなかった。正直ショックで…」
「殿下はあの場にいましたからね」
「春香…決める期限は何時なんだ?」
「ここに来てから半年後です」
「直ぐではないか!ハル…あって欲しくは無いがいきなり帰らないでくれ…そうなったら俺は恐らく正気を保てない」
「うん。いきなりはいなくならないよ」
ミハイルさんは私を膝の上に座らせ強く抱きしめる。温かいミハイルさんの腕の中、ここが私の居場所なのかぁ… いい匂いと温かさでやっぱり寝てしまう私。気が付くとミハイルさんに抱っこされ、私の部屋に向かう階段をミハイルさんが上がっていた。
「ごめんなさい!また寝ちゃって」
「まだ、疲れているんだ。部屋で休むといい。なんなら添い寝しようか?」
「えっと…遠慮します」
柔らかく微笑み額にチューするミハイルさん。部屋に着くとソファーに下してくれる。すると…
「春香ちゃん!!お帰り目が覚めた様ね!」
パワフルママのアビー母様が来た。手に箱を持っている。
「??」
「開けてみて」
箱を渡され開けると…光沢のある白のドレスが入っている。ウェディングドレス?焦って母様を見ると微笑み、ドレスを持って見せてくれる。
よく見るとウェディングドレスっぽいけど、少し違う。
「母上、気が早いですよ」
「いつ必要になるか分からないじゃなぃ!だから用意しておくのよ!」
「母様。これ花嫁衣裳?」
「違うわ。婚姻の返事をするときに着るドレスよ。花嫁衣装と違い縫い糸をよく見て!」
アビー様母様に言われ良くドレスを見ると…縫い糸がピンクだ。全てピンクの糸縫われている。
シンプルロングワンピースに淡いピンクのリボンが袖口、裾、襟ぐりに付いていつラブリーな雰囲気だ。凹凸の無い純日本人の私が似合いか甚だ疑問だ。それに…
テンションが下がった私に気付いたアビー母様は私を抱きしめて
「出来れば着て欲しいけどそこはいいの」
「へ?」
「ゴラスの女は娘にこのワンピースを仕立てるのが夢なのよ。しかしレイシャルに嫁げば男の子しか生まれない。だからレイシャルに嫁いだ時点で諦めたわ。それが春香ちゃんという可愛い娘が出来たのよ!嬉しくてね。諦めてたワンピースを仕立てられるのよ!作るに決まってるでしょ!」
「母様…」
「着なくてもいいから、受け取って欲しいわ」
日本でいう所の成人式の振袖って感じかなぁ…お母さんが生きていたら一緒に着物を買っていたのかなぁ…何だかすごく嬉しい。
「あっ因みにね、このワンピースは王妃様とマニュラさんと相談して作ったのよ」
「はぃ?」
「2人とも私と同じで諦めていたワンピースを娘に作ってあげれると喜んでね。3人で春香ちゃんに似合いそうなデザインを相談したのよ!」
「…」
凄い母の愛3倍だ。嬉しくて涙が出てきた。
「あらあら。可愛い顔が台無しだわ。この涙が嬉し泣きならいいけど…」
「嬉し泣きに決まってるじゃないですか!」
アビー母様は更に強く抱きしめてくれた。
「私の可愛い娘ちゃん。あまりいっぱい泣くとおめめが溶けちゃうわ。嬉しかったら笑って欲しいわ」
「はい!」
半泣きのぶちゃいくだけど微笑んでみたら、ミハイルさんに引っ張られミハイルさんの腕の中に収まった。この世界の人は抱擁をよくする。初めの内は恥ずかしかったけど、今は相手の想いが感じれるから好きだ。【目は口ほどに物を言う】ていうけど、抱擁も相手の気持ちがわかる手段だと最近思う様になった。部屋でアビー母様とミハイルさんと話していたら、アレックスさんが来てまた抱きしめてくれる。今、私愛情過多です。
「煩いわね!私達は明日しか無いんだから!」
「アレックス。父に譲りなさい」
夕食の時間でケイン父様とマニュラ母様の間に座らされ食事をとっている。向かいに座るアレックスさんはレベル3だ。
「春香。このオムレツは柔らかいから食べてみなさい」
「ありがとうございます」
「春香さん。このトマスは酸っぱいからやめた方がいいわ!」
「はい」
甲斐甲斐しく食事の世話をする2人に不機嫌なアレックスさん。この状態は次の日まで続き、やきもち妬きのアレックスさんは隙あらばちゅーしてくる。
新しい両親に甘やかされアレックスさんの嫉妬を受け楽しく?コールマン家の町屋敷で過ごした。
まだ少し跡が残ってるが頬の腫れも治まり、もうすぐミハイルさんが迎えにくる。
朝からアレックスさんが後追い状態だ。実はまだ私のモヤモヤは解消されていなくて、アレックスさんも何か言い及んでいるみたい。
『でもそろそろ決めないとね…』
部屋の窓から外を見ていたら背中が温かくなる。アレックスさんが背中に張り付いている。
アレックスさんは顳顬に口付け抱きしめる。
「あっ…」
馬の嘶きが聞こえたので下を見ると公爵家の馬車だ。扉を開きミハイルさんが降りて来た。同時にエリさんが馬車到着を知らせに来た。
「ずっとここに居ればいいのに…」
「また遊びに来ますよ」
「エリ。俺が春香を連れて行くから先に行ってくれ」
「畏まりました」
エリさんが少し開けて行った扉を閉めたアレックスは荒々しく抱きしめて、激しく口付けてきた。
激しくて酸欠になりクラクラしてきて、思わずアレックスさんの頬を軽く叩く。
「苦しいよ!」
「すまん。春香と離れたく無いんだ」
「でも一旦帰らないと」
「分かっているんだが…」
扉をノックしミハイルさんが迎えに来た。苦々しい表情をしたアレックスさんにミハイルさんが
「アレックス殿。急だが春香は町屋敷に行かずこのまま登城する。殿下が貴殿も同行しろとの事だ。用意のなされよ。ハルと俺はエントランスで待っている」
「俺もか?なぜだ…」
「俺も理由は聞かされてない」
「承知した。春香直ぐ行くから待っていてくれ」
「はい」
アレックスさんが部屋を出るとミハイルさんが抱きしめて口付けてきた。これまた深い口付けに頬が火照る。どうやら私の恋人達はキス魔らしい。困ったなぁ…
「ハル!会いたかったよ」
「うん。私も。ミハイルさんなんで城なんですか?」
「俺も理由を聞かされて無く分からん」
「ふぅ~ん」
とりあえずミハイルさんとエントランスに向かう。エントランスにはケイン父様とマニュラ母様がいて、ミハイルさんが挨拶をしている。
そうしている間にアレックスさんか足早に来た。騎士服を着たアレックスさんは4倍増しにかっこいい。
「春香?」
「アレクの騎士服姿かっこよくて好きだよ」
「春香…」
皆んな(特にミハイルさん)がいるのにちゅーをしてくるアレックスさんに、皆んな驚いている。私もびっくりだよ!
「うっわぁ!」
背後から引っ張られミハイルさんに抱き抱えられる
ミハイルさんVSアレックスさん
お願いゴングは鳴らさないで!
「私は平和主義です。揉めないで」
「すまん」「すまない」
ケイン父様とマニュラ母様に挨拶をし、お世話になった使用人の皆さんにお礼を言って馬車にのる。
馬車の中ではまたどちらが隣かで揉めると思っていたら、行きはアレックスさんが隣に座り、城から帰るときはミハイルさんが座る事になった。
どうやらさっきの私の発言を聞き、揉めない様に先に決めていたらしい。
『やれば出来るじゃん!』
町屋敷からだから半時間もかからず城に着いた。アレックスさんの手を借り降りるとローランド殿下が待っていて、当たり前のように抱きしめてちゅーしてくる。
「春香待っていたよ。腫れは引いたがまだ目立つね。早く治る様に…」
殿下は頬に口付けて眩しい笑顔をくらい顔が火照る。すると殿下は「可愛い!」と連呼してちゅーが加速する。あたふたしていたらミハイルさんが背後から引っ張り殿下から離してくれ
「殿下、春香との逢瀬のために呼んだ訳では無いなでしょ!春香は病み上がりです。用件を先になさって下さい!」
「すまない!私の執務室に行こう」
やっとこの場から離れてられる。ある種拷問だ!出向かいの騎士さんや文官さん達がいっぱいいる中でのラブシーンだよ!
のっけからクタクタになりながら、殿下の執務室に向かう。ふと疑問に思い殿下に
「殿下。先に陛下にご挨拶しなくていいんですか?」
「今、陛下は会議中でね。謁見が後になる事は陛下に了承は取ってあるから安心ていいよ」
了承済みで安心する。それにしても何の話だろう⁈ もしかしてアンリ王女にチョップした件だろうか⁈ 呼ばれた理由を考えている内に殿下の執務室に着いた。
ソファーに座るとお茶が出され、直ぐに人払いされ殿下とミハイルさん、アレックスが残り話しを聞く。
「さて、今日はまた春香の騎士になろうと思ってね」
「「「?」」」
「春香はアレクに”自分が来た事で皆んなの未来を変えてしまった”と言い、ミハイルには”日本に帰るかも”と言ったらしいね」
バツが悪く頷くと殿下は諭す様に
「そう思う様になった原因はアンリ王女の侍女の発言かぃ?」
「何で!」
そう、エリスさんの発言でここに居ていいのか分からなくなったのだ。でもあの時すごく小さい声だったし、殿下は離れて…
「!」
殿下は指で自分の唇をつつきウィンクした。そうだ!殿下は読唇術が出来るんだった。咄嗟にエリスさんの言葉を読んだんだ。
意味の分からないミハイルさんとアレックスさんはキョトンとして殿下と私を見ている。
「春香に質問だ。新しく10人の人と知り合いになった。何人が春香に好意を持ってくれると思う?あっ勿論友人としてだよ」
唐突な質問に戸惑いながら…
「1人か多くて2人かなぁ…」
「いや、春香は万人に好かれるはずだ!」
「アレク…それは無いよ」
「俺も同意見だ。ハルを嫌う奴はいない」
口を挟む2人に少しイラついた口調で注意し、殿下は話を進める。
「では、聞き方を変えよう。春香を嫌う人は何人だ?」
「3人かな⁈」
「相変わらず謙虚だね。今の回答をまとめると、春香を嫌う人は3人で、春香を嫌っていない人は7人となるね」
「殿下!!」
「おや⁈流石私が愛した人だ。私の言いたい事が分かったようだね」
「はい。昔学校の友人関係で悩んでいた時に、父に内容は少し違いますが話をしてもらい、辛い時期を乗り切る事が出来たんです」
「やはり春香が頭がいいのは父上の教えが良かったんだね」
そう中学の時に例え方は違うが同じ話をお父さんにしてもらった。
あれは中学1年生の部活での事。合唱部に入り同級生は8人で初めは仲が良く楽しかった。しかし夏休みが終わり2学期に入ると何故か1名の女子が私を無視するようになり、その子が仲がいい子からも無視されるようになった。初めは知らない間にその子の気に触る事をしたんだと思い、気を使い接していたが相手の対応がどんどん悪化し、完全に無視され陰口も聞こえてくるようになった。
真面目な私は部活を休む事も出来ずどんどん追い込まれ、とうとう部活中に吐き気をもよおし早退してしまった。
きっと悲壮な顔をしていたんだと思う。仲がよかった友人からメールをもらったけど立ち直れなくて、不登校寸前まで行っていた。見かねた父が休日に話してくれたのが今殿下が話しくれた内容だった。
『春香。人は仏や神と違うんだ。万人に好意を持つことは出来ない。必ず何をしても好きになれない人はいる。だから戦争や争いが起きる。しかしみんな今の春香の様に悲壮は顔をし精神が病んでいるかぃ?』
『…』
『何故だか分かるかい⁈それはね、自分と合わない人を認識しその人は最低限の付き合いをし、自分に好意を持ってくれている人の方を見ているのさ』
『??』
『春香が合わない人が3人だとしたら、7人は春香の事が嫌いではないという事だ。どっちらと付き合う方が楽しい?』
『7人の方』
『そうだ。要は自分の捉え方次第という事だよ。社会に出れば今以上に合わない人が出て来る。それは仕方ないんだよ。その合わない人が悪いのか?違う。誰も悪く無くて、お互い相性が良くないだけなんだよ。そこを認識して人と付き合うと自分が楽になれる。春香も少しずつ大人になる準備をしないといけない時期に入って来た。色々悩むだろうそんな時は信頼できる周りの人に頼りなさい。春香を真剣に想ってくれる人が手を差し伸べてくれるはずだ』
こうして少しずつだか前を向ける様になり、気の合わない人は最低限の付き合いをして行くうちに、部活内でもバランスよく人づきあいが出来る様になり、3年間続ける事が出来た。
「アンリ王女が帰国前に春香に手紙を置いて行ったよ。内容は王女から聞いている。これを読んだらなぜ侍女がなぜあんな事を言ったのかが分かり、更に気持ちの整理がつくと思うよ」
そう言った殿下は綺麗な薔薇の柄が入った封筒を渡してくれた。封筒には綺麗な字で私の名が書いてある。
「殿下。我々には意味は分からないが春香を救えるならなぜもっと早く言ってやらなかったんですか?」
「あの時は私の言葉も受け入れれる状態では無かったんだよ。今傷も治り冷静になれ今だから春香の心に届いたんだ。ね!春香」
殿下の心遣いに感動し気が付くと立上りソファーに座る殿下に飛びついていた。
「殿下ありがとう。胸のもやもやが取れて行く様です。殿下はやっぱり私の騎士ですよ!」
「惚れたかぃ⁈」
「はい!」
「ならいい仕事をした騎士は褒美を願いたいね!」
と指で唇をつつく殿下。ミハイルさんとアレックスさんの視線が怖いけど、自分から殿下にちゅーをした。
「「なっ!!」」
ミハイルさんとアレックスさんは立上り、殿下は私を抱きしめ褒美以上の口付けが始まった。
びっくりして抗うとミハイルさんとアレックスさんが殿下から引き離してくれた。
暫くドタバタが続く。やっと落ち着くと咳払いをした殿下が
「春香。これは私が勝手に感じている事だが、近々何か決断する期限が来るのではないのか?だからこんなにも悩んでいたと」
やっぱり加護を受けた王子だ鋭い。アレックスさんも驚いている。そう期限まであと10日を切った。この事を知っているのはアレックスさんだけだ。
「殿下が言われた通りです。ここに残るかの決断の日が近づいています。正直まだ決めかねていて…」
「今日1つ解決したのだから、それを踏まえてゆっくり考えればいい。春香は元の生活手放す事になる。簡単は話ではない。私たちは春香が残ってくれる事を切に願うが決めるのは春香だ。私たちは残ってくれる様に愛を贈る事しか出来ない」
ミハイルさんとアレックスさんは手を握ってくる。
「ありがとうございます。このまま静観してもらえると嬉しいです。自分で決めたいと思います。後悔しないためにも…」
てっきり残ってくれと泣き脅しされると思っていたので拍子抜けだ。ここに居る意味を得て振りだしに戻った。どうするかゆっくり考える時間が欲しい…。少しの沈黙の後、陛下が会議を終えて殿下の執務室に来た。
「陛下。すみません。私が伺わないといけないのに…」
「何を言うのだ。ヴェルディアでは多くの功績をあげ、アンリ王女の件ではゴラスにも恩を売る事が出来たのだ。春香はレイシャルに幸運を運ぶ乙女なのだ。儂から挨拶せねばな!」
「お世話になりっぱなしなのに、恐れ多いです」
恐縮していたら陛下が手を取り隣に座らせて手を握る。陛下の隣って…緊張する。陛下は私の顔を覗き込んで眉を顰めて
「まだ跡が残っておるな…可愛い顔に傷が残らんでよかった。いずれ王妃になるのだ自分の身を大切にしなさい」
「えっと…その件は…まだ殿下に返事して無くてですね…」
「聞いておる。強制するつもりは無い。この調子でローランドを見てくれ」
「はい…」
この後、暫く陛下と雑談しやっと公爵家の町屋敷に帰る事になった。護衛責任者のアレックスさんは一旦侯爵家町屋敷に戻り夕方に来てくれる。
ローランド殿下はミハイルさんとアレックスさんを先に馬車に向かわせ、私は殿下の執務室に残された。嫌な予感が…ソファーに座っていたら人払いがされる。予想通り殿下に抱きしめられ濃厚な口付けをいただく。殿下の熱い吐息が首筋に当たり体の芯が熱くなってくる。
「春香…見栄を張って理解ある男を装っているが、本心は1秒も春香を離してたくないんだ!ずっと側にいて欲しい!同じ時を過ごしてたいんだ」
「えっと…考えてみます」
「あと10日ほどでミハイルとの婚約も解消するか、婚姻するか決めなければならない。その時を目処に答えを出して欲しい」
「んっと…がんばります」
中々離してくれない殿下。結局ミハイルさんとアレックスさんがまた戻って来て、執務室に突入してくれ解放された。そしてやっと町屋敷に帰ります。馬車の中で無口なミハイルさんが徐に話し出す。
「春香が悩んでいた事を殿下は気付いていた。同じ加護持ちなのに俺は気付いてやれなかった。正直ショックで…」
「殿下はあの場にいましたからね」
「春香…決める期限は何時なんだ?」
「ここに来てから半年後です」
「直ぐではないか!ハル…あって欲しくは無いがいきなり帰らないでくれ…そうなったら俺は恐らく正気を保てない」
「うん。いきなりはいなくならないよ」
ミハイルさんは私を膝の上に座らせ強く抱きしめる。温かいミハイルさんの腕の中、ここが私の居場所なのかぁ… いい匂いと温かさでやっぱり寝てしまう私。気が付くとミハイルさんに抱っこされ、私の部屋に向かう階段をミハイルさんが上がっていた。
「ごめんなさい!また寝ちゃって」
「まだ、疲れているんだ。部屋で休むといい。なんなら添い寝しようか?」
「えっと…遠慮します」
柔らかく微笑み額にチューするミハイルさん。部屋に着くとソファーに下してくれる。すると…
「春香ちゃん!!お帰り目が覚めた様ね!」
パワフルママのアビー母様が来た。手に箱を持っている。
「??」
「開けてみて」
箱を渡され開けると…光沢のある白のドレスが入っている。ウェディングドレス?焦って母様を見ると微笑み、ドレスを持って見せてくれる。
よく見るとウェディングドレスっぽいけど、少し違う。
「母上、気が早いですよ」
「いつ必要になるか分からないじゃなぃ!だから用意しておくのよ!」
「母様。これ花嫁衣裳?」
「違うわ。婚姻の返事をするときに着るドレスよ。花嫁衣装と違い縫い糸をよく見て!」
アビー様母様に言われ良くドレスを見ると…縫い糸がピンクだ。全てピンクの糸縫われている。
シンプルロングワンピースに淡いピンクのリボンが袖口、裾、襟ぐりに付いていつラブリーな雰囲気だ。凹凸の無い純日本人の私が似合いか甚だ疑問だ。それに…
テンションが下がった私に気付いたアビー母様は私を抱きしめて
「出来れば着て欲しいけどそこはいいの」
「へ?」
「ゴラスの女は娘にこのワンピースを仕立てるのが夢なのよ。しかしレイシャルに嫁げば男の子しか生まれない。だからレイシャルに嫁いだ時点で諦めたわ。それが春香ちゃんという可愛い娘が出来たのよ!嬉しくてね。諦めてたワンピースを仕立てられるのよ!作るに決まってるでしょ!」
「母様…」
「着なくてもいいから、受け取って欲しいわ」
日本でいう所の成人式の振袖って感じかなぁ…お母さんが生きていたら一緒に着物を買っていたのかなぁ…何だかすごく嬉しい。
「あっ因みにね、このワンピースは王妃様とマニュラさんと相談して作ったのよ」
「はぃ?」
「2人とも私と同じで諦めていたワンピースを娘に作ってあげれると喜んでね。3人で春香ちゃんに似合いそうなデザインを相談したのよ!」
「…」
凄い母の愛3倍だ。嬉しくて涙が出てきた。
「あらあら。可愛い顔が台無しだわ。この涙が嬉し泣きならいいけど…」
「嬉し泣きに決まってるじゃないですか!」
アビー母様は更に強く抱きしめてくれた。
「私の可愛い娘ちゃん。あまりいっぱい泣くとおめめが溶けちゃうわ。嬉しかったら笑って欲しいわ」
「はい!」
半泣きのぶちゃいくだけど微笑んでみたら、ミハイルさんに引っ張られミハイルさんの腕の中に収まった。この世界の人は抱擁をよくする。初めの内は恥ずかしかったけど、今は相手の想いが感じれるから好きだ。【目は口ほどに物を言う】ていうけど、抱擁も相手の気持ちがわかる手段だと最近思う様になった。部屋でアビー母様とミハイルさんと話していたら、アレックスさんが来てまた抱きしめてくれる。今、私愛情過多です。
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