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6. 咲 〜 前世1 〜
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「エミリア?」
目を開けると前に座る綺麗な女性が私を呼んでいる。
「私ですか?」
「エミリア?貴女大丈夫?何処か調子悪いの?」
目の前の綺麗な女性は誰?
「体調が良く無いなら戻ろうか?」
女性の横には超男前も誰?
状況か分からず外を見るとガラスに映る女の子は私?綺麗な亜麻色の髪と大きくぱっちりな瞳、鼻筋の通った鼻に小さい桜色の唇。美人では無いが愛嬌のある顔立ちだ。
「イタ!」頭が痛くなり眩暈がした。
「エミリア!」
抱き締められた。隣に座る美男子は…
「兄様⁈」
目の前の人々は私の家族だ。
斜め前の男性はお父様でリーバス侯爵家当主のライリー・リーバス。
私の前に座る女性はお母様でマリーナ。
そして横に座る美男子はお兄様でジョージ。
そして私はエミリア。13歳。
「エミリアは無理はいけない。侯爵には私から話しておくよ」
「お父様。私は大丈夫です。エドワード兄様のお祝いを言いたいもん」
どうかしてた。今からアルフレッドのお兄様の婚約式パーティーに向かうところだった。
アルフレッドは幼馴染で(仮)婚約者だ。
アルフレッド(アルフ)のお母様と私の母様が幼馴染で、兄様達も私達も同じ歳で幼少期から親交があった。兄様達は幼馴染で親友。私とアルフは生まれてすぐに(仮)婚約をしている。
アルフの兄様は2歳年上で”時渡の儀式”が終わり、騎士に選ばれ無かったので(仮)婚約していた令嬢と正式に婚約する。
私達が暮らすマルラン王国は神クロノスを信仰している。毎年初めに行われる”時渡の儀式”で満15歳の乙女が神殿の泉に手を浸し”時渡の巫女”を選ぶ儀式を受ける。この儀式は身分関係なく平民から王女まで全ての乙女が受ける事が義務付けられている。
”時渡の巫女”とは簡単に言う『生贄』だ。
起源は分かっていないが、このマルラン王国に問題が起きた時に、神クロノスが時渡の巫女を選び異世界に転生させる。
この世界以外に沢山の世界がありそれぞれに神がいる。神々は自分の加護する世界に刺激を与える為に異世界人を迎える。
転生者を送ってくれた世界に、対価としてその世界が望む知識や技術をもたらす。それによってマルラン王国は救われて来た。
そして転生者が転生先で困らない様に時渡の巫女に騎士をつける。巫女と騎士は儀式の時点で満15歳の男女から選ばれる。巫女が儀式で決まりその深夜に神クロノスが巫女を守れる騎士を選び印を付ける。儀式の翌日に巫女と騎士が発表され2日後深夜に時渡の扉から巫女と騎士は異世界に転生する。
巫女は毎年選ばれるではなく、マルラン王国の危機の時のみだ。安寧が続けば数百年巫女が選ばれない事もある。
故にマルラン王国の成人年齢は16歳。時渡の儀式で巫女や騎士に選ばれなかった者が成人し婚姻できる。マルランでは巫女、騎士に身分関係なく選ばれるので法律で婚姻した男女は子を2人以上儲けないとならない。何故なら巫女、騎士に子が選ばれれば跡継ぎがいなくなってしまうからだ。
ジョージ兄様もエドワード兄様も時渡の儀式で騎士に選ばれず、無事に成人し今日エドワード兄様は仮婚約の令嬢と正式に婚約式をする事になった。ちなみにジョージ兄様は先月にナターシャ姉様と婚約をしている。
アルフのマデライン侯爵邸に着いた。
おじ様とおば様が迎えてくれる。パーティーは立派な庭園で行われ、薔薇が咲き誇る庭園に案内されるとアルフが令嬢に囲まれている。
アルフはマデライン侯爵家次男で、おじ様に似て銀髪に若草色の切長の瞳。一見冷たそうに見えるが、優しい微笑みに彼を慕う令嬢が多い。
私と(仮)婚約しているのにそんなの無視してアプローチする令嬢達。正直いい気はしないが、いつもアルフは私を見つけると直ぐに駆け付けてくれる。
「エミリア。待っていたよ!今日も綺麗だ」
「ありがとう!エドワード兄様は?お祝いを言いたいわ!」
アルフは優しくエスコートしてくれ、中心のテーブルに居るエドワード兄様の所に案内してくれる。
しかしエドワード兄様はご友人とお話し中だったから、アルフと隣のテーブルでお茶をいただきながら待っていた。するとアルフは従僕に呼ばれて退席した。私は1人で茶菓子をいただく。
「失礼。貴女の名前を知る名誉を私に与えてくれませんか⁈」
振り返ると少し垂れ目の優しい面立ちの美男子が声をかけて来た。誰だろう?
身なりから高位の貴族の令息だろう。
「あの…」
「あっ失礼しました。イグラス公爵家ケインと申します。以後お見知り置きを…」
「リーバス侯爵家のエミリアと申します」
カーテシーから直るとその男性は私の手を取り、手の甲に口付け親しげに話しかけてきた。
イグラス公爵家はマルラン王国の3大公爵家の一つで広大な領地を持つ大貴族だ。
確かご嫡男がジョージ兄様やエドワード兄様のご学友だったはず。ケイン様はお話上手だが少しボディタッチが多い。少し怖くなって助けて欲しくて周りを見渡すと丁度アルフが帰ってきた。
必死にアルフに視線を送ると気づいたアルフが走ってくる。
「ケイン様。兄の祝いにおいで下さりありがとうございます。エドワードの弟のアルフレッドでございます。エミリア嬢をリーバス夫人が探しておいでですので失礼致します」
「そうですか残念です。エミリア嬢またの機会に…」
「はい…」
アフルがエスコートしてくれその場を離れた。アルフの手の温かさに強張った体が緩んでいくのが分かる。
「エミリア大丈夫かぃ?顔色が悪いよ」
「何かされた訳では無いのだけどあの方少し怖いわ」
「ごめんね。もぅ絶対1人にしないから。ちゃんと守るから…」
「お願いね!」
しかしこの出会いか私の運命を狂わす事になった。
目を開けると前に座る綺麗な女性が私を呼んでいる。
「私ですか?」
「エミリア?貴女大丈夫?何処か調子悪いの?」
目の前の綺麗な女性は誰?
「体調が良く無いなら戻ろうか?」
女性の横には超男前も誰?
状況か分からず外を見るとガラスに映る女の子は私?綺麗な亜麻色の髪と大きくぱっちりな瞳、鼻筋の通った鼻に小さい桜色の唇。美人では無いが愛嬌のある顔立ちだ。
「イタ!」頭が痛くなり眩暈がした。
「エミリア!」
抱き締められた。隣に座る美男子は…
「兄様⁈」
目の前の人々は私の家族だ。
斜め前の男性はお父様でリーバス侯爵家当主のライリー・リーバス。
私の前に座る女性はお母様でマリーナ。
そして横に座る美男子はお兄様でジョージ。
そして私はエミリア。13歳。
「エミリアは無理はいけない。侯爵には私から話しておくよ」
「お父様。私は大丈夫です。エドワード兄様のお祝いを言いたいもん」
どうかしてた。今からアルフレッドのお兄様の婚約式パーティーに向かうところだった。
アルフレッドは幼馴染で(仮)婚約者だ。
アルフレッド(アルフ)のお母様と私の母様が幼馴染で、兄様達も私達も同じ歳で幼少期から親交があった。兄様達は幼馴染で親友。私とアルフは生まれてすぐに(仮)婚約をしている。
アルフの兄様は2歳年上で”時渡の儀式”が終わり、騎士に選ばれ無かったので(仮)婚約していた令嬢と正式に婚約する。
私達が暮らすマルラン王国は神クロノスを信仰している。毎年初めに行われる”時渡の儀式”で満15歳の乙女が神殿の泉に手を浸し”時渡の巫女”を選ぶ儀式を受ける。この儀式は身分関係なく平民から王女まで全ての乙女が受ける事が義務付けられている。
”時渡の巫女”とは簡単に言う『生贄』だ。
起源は分かっていないが、このマルラン王国に問題が起きた時に、神クロノスが時渡の巫女を選び異世界に転生させる。
この世界以外に沢山の世界がありそれぞれに神がいる。神々は自分の加護する世界に刺激を与える為に異世界人を迎える。
転生者を送ってくれた世界に、対価としてその世界が望む知識や技術をもたらす。それによってマルラン王国は救われて来た。
そして転生者が転生先で困らない様に時渡の巫女に騎士をつける。巫女と騎士は儀式の時点で満15歳の男女から選ばれる。巫女が儀式で決まりその深夜に神クロノスが巫女を守れる騎士を選び印を付ける。儀式の翌日に巫女と騎士が発表され2日後深夜に時渡の扉から巫女と騎士は異世界に転生する。
巫女は毎年選ばれるではなく、マルラン王国の危機の時のみだ。安寧が続けば数百年巫女が選ばれない事もある。
故にマルラン王国の成人年齢は16歳。時渡の儀式で巫女や騎士に選ばれなかった者が成人し婚姻できる。マルランでは巫女、騎士に身分関係なく選ばれるので法律で婚姻した男女は子を2人以上儲けないとならない。何故なら巫女、騎士に子が選ばれれば跡継ぎがいなくなってしまうからだ。
ジョージ兄様もエドワード兄様も時渡の儀式で騎士に選ばれず、無事に成人し今日エドワード兄様は仮婚約の令嬢と正式に婚約式をする事になった。ちなみにジョージ兄様は先月にナターシャ姉様と婚約をしている。
アルフのマデライン侯爵邸に着いた。
おじ様とおば様が迎えてくれる。パーティーは立派な庭園で行われ、薔薇が咲き誇る庭園に案内されるとアルフが令嬢に囲まれている。
アルフはマデライン侯爵家次男で、おじ様に似て銀髪に若草色の切長の瞳。一見冷たそうに見えるが、優しい微笑みに彼を慕う令嬢が多い。
私と(仮)婚約しているのにそんなの無視してアプローチする令嬢達。正直いい気はしないが、いつもアルフは私を見つけると直ぐに駆け付けてくれる。
「エミリア。待っていたよ!今日も綺麗だ」
「ありがとう!エドワード兄様は?お祝いを言いたいわ!」
アルフは優しくエスコートしてくれ、中心のテーブルに居るエドワード兄様の所に案内してくれる。
しかしエドワード兄様はご友人とお話し中だったから、アルフと隣のテーブルでお茶をいただきながら待っていた。するとアルフは従僕に呼ばれて退席した。私は1人で茶菓子をいただく。
「失礼。貴女の名前を知る名誉を私に与えてくれませんか⁈」
振り返ると少し垂れ目の優しい面立ちの美男子が声をかけて来た。誰だろう?
身なりから高位の貴族の令息だろう。
「あの…」
「あっ失礼しました。イグラス公爵家ケインと申します。以後お見知り置きを…」
「リーバス侯爵家のエミリアと申します」
カーテシーから直るとその男性は私の手を取り、手の甲に口付け親しげに話しかけてきた。
イグラス公爵家はマルラン王国の3大公爵家の一つで広大な領地を持つ大貴族だ。
確かご嫡男がジョージ兄様やエドワード兄様のご学友だったはず。ケイン様はお話上手だが少しボディタッチが多い。少し怖くなって助けて欲しくて周りを見渡すと丁度アルフが帰ってきた。
必死にアルフに視線を送ると気づいたアルフが走ってくる。
「ケイン様。兄の祝いにおいで下さりありがとうございます。エドワードの弟のアルフレッドでございます。エミリア嬢をリーバス夫人が探しておいでですので失礼致します」
「そうですか残念です。エミリア嬢またの機会に…」
「はい…」
アフルがエスコートしてくれその場を離れた。アルフの手の温かさに強張った体が緩んでいくのが分かる。
「エミリア大丈夫かぃ?顔色が悪いよ」
「何かされた訳では無いのだけどあの方少し怖いわ」
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「お願いね!」
しかしこの出会いか私の運命を狂わす事になった。
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