女神の箱庭は私が救う【改編版】

いろは

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161.元サヤ?

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「我が領地視察の時は贈ったワンピースを着ていただけますか?」
「勿論!」

グラント様はマリカさんを呼び再度抱きしめて退室していった。ソファーになだれ込む私。今日は濃い1日だった。やっと食欲も出て夕食をしっかり食べて一息入れる。
明日はフリーだから久しぶりに書物庫に行って本を探しに行こう。ならば早く寝ないと!身支度をして寝室へ。
ベッドでてん君とまったりしていたらてん君がテラスの続く掃き出し窓に行った。

『あ…この行動はフィラが来たんだ』

テラスに出ると目の前がベージュに染まる。フィラのローブだ。顔を上げるとふんわりと抱きしめられる。外は少し肌寒いからフィラの体温が心地いい。気持ちよくておでこをすりすりする。

「帰って来て落ち着いたか?」
「うん。でも直ぐにモーブルに移るからバタバタしているよ」
「無理はするな」
「うん。何かあった?」
「そうだ!吉報だ。第2女神のイリアの妖精王ロイドとエリザベスに子ができた。さっきロイドから連絡が入った。喜んでいて多恵にお礼を言いたいそうだ。これでイリアの箱庭も安寧が続くだろ」
「本当に!良かった!お役に立ててよかったよ!」

うれしい!エリザベスさんには会って事ないけど、不妊の苦しさは身をもって知っているからすごく嬉しい。

「ロイドがお礼をしたいそうだ。何か望みはあるか?」
「う…ん…皆さんに良くしてもらっているから正気ない」
「多恵は無欲だなぁ…」

この後、ベンチの座り旅での話を色々した。フィラは優しい眼差しで私の話を聞いている。この穏やかな時間が好きだ。

「モーブルは我が父の故郷故妖精の加護が手厚い。それゆえに国は豊かだ。国民は大らかな者が多いが、男尊女卑の傾向が強い。女性を卑下しているというより女性に過保護だ。故に多恵はあちらでは息苦しいかもしれん。だがモーブルに合わす事無い。お前の好きにすればいい」
「そっか。“また半人前にしたいのか”って言われるんだね」

少し先が思いやられる。溜息を吐いていたら、フィラの視線を感じ見上げたらヤバい雰囲気になって来た。そろそろ寝室に戻ろっかぁ…って思ったら

「口付けたい…」
「頬にならいよ」
「頬だけか?」
「今はね…」
「“今は”っという事はいずれは受けてくれるのか?」

色っぽい顔をして擦り寄るフィラに困り

「先の事は分からない…もう少し待って」
「俺は人に近いが妖精の気質も持っている。だから我慢が苦手だ。一応努力はしている。お前に嫌われたくないからなぁ…しかし永遠に答えを待つことはしない。知っているな。俺のキャパは持って後数年だ。待ってられない時が来る。俺はお前以外の者を選ぶ気はない」

さらに近づくフィラにタジタジになり

「うん・・・」

ぐっと身を寄せるフィラが超絶色っぽくてドキドキする。ズルいそんなセリフと“男の顔”されたら流されるじゃないか!洪水警報?雪崩警報?がでたよ!
必死にとどまる私。

『たえ すなお ない』

下を向くと足元にてん君がいて鼻息が荒く座っている。

『すき ほか きにしない たえ フィラ すき それ いいこと』
『うん でもね…』
『なに こまる?』

そう言い首を傾げるてん君。

『好きって言うと、リリスのお仕事が手に着かなくなる。私不器用だから』
『だいじょうぶ フィラ いっしょ しごと できる』
『でもね・・・』
『てん わからない なぜ だめ?』

てん君の問いに答えが見つからない。困っていると

「俺に心をくれ。大丈夫だ。お前が役目に専念できるように俺も協力しよう。多恵は俺が嫌いなのか?」
「嫌いじゃないから困っているの!」
『えっ!今私なんて言った⁈』

目の前のフィラが破顔しキツく抱き締めた。
少し苦し嬉しい…

「嫌いじゃないなら…」
「好きだけど愛かは自分でも分からない」
「俺が好きか?」
「うん?」

この後フィラの雰囲気に飲み込まれ気がつくと、押し倒されてキスの大洪水に飲み込まれていた。やっぱり押しに弱い私。もう少し距離を置きたかったのに…

「俺が好きなんだよな!」
「うん…でもまたその口付け以上はまだ…」
「分かっている。”好き”は”愛”の始まりだ。いつか俺を愛してくれ」

結局解消後たった10日程でフィラと元サヤになった。予定外だ…


翌朝目覚めたら腕の中に水色のでっかい毛玉。珍しくてん君がまだ眠っている。てん君を撫でようとしたら手首に鈍い痛み。手首を見たら少し赤い。

『あーフィラか…』

昨日晴れて?伴侶候補に返り咲いたフィラは暴走し私を押し倒した。その時に両手首を強く握られた様だ。昨晩の出来事を思い出すと顔が熱くなる。あんな激しいキスは経験し事がない。キスであれならその先は…死んじゃうかもしれない。
視線を感じその先を見たらてん君が冷たい目で私の手首をみている?

『たえ それ いたい だれ?』
『えっと…』
『フィラ した! たえ いたい ぜったい だめ!』

腕の中の毛玉が消えた!もしかして…

暫くするとてん君にローブを引っ張られてフィラが現れた。

『たえ いたいした フィラ なおす』

気まずそうにベッドサイドまできたフィラは、私の両手を取りマジマジと手首をみて

「すまなかった。喜びに感情を抑えられなかった。こんなに赤くなるほど掴んで痛かっただろう」

眉尻を下げ申し訳なさそうなフィラ。私は痛い事より昨日の今日で恥ずかしい方が勝っている。

「大丈夫。今日は予定無いから大人しくしていれば治るよ」

フィラはポケットから容器を出しクリームの様な物を手首に塗り包帯を巻いた。両手首に包帯ってまた周りの人に心配をかけてしまう。
ふとフィラの腕に包帯が…『あ…またてん君に噛まれたな』でも敢えて言わないでおこう。

フィラは優しく抱きしめ口付けて来る。解禁になったら前みたいに頻繁にしてくる。日本人である私はこの習慣は慣れなくて恥ずかしい。
てん君がベッドに上がり私に口付けるフィラの袖をひぱった

『フィラ たえ こまる たくさん だめ』
「俺の口付けは嫌か?」
「嫌じゃないけど頻繁は恥ずかしいのと、人前では止めて…」
「分かった。もう2度とお前を失いたくないから自重しよう」

“コンコン”

誰か来たようだ。フィラは再度口付け「また来る」と告げ帰って行った。
てん君の鼻息はまだ粗い。確かてん君が私の守りに着いたときにフィラが“こま(てん君)は手強い”って言っていたのを思い出した。やっぱりてん君の守りは鉄壁です。返事をするとマリカさんが入室してきた。

「多恵様。そろそろご起床下さ…ぃ!!どうしたんですかその手首は!」
「えっと…ちょっと色々ありまして…」
「宮廷医を呼んでまいります!」
「まっ待って!必要ない。フィラが薬を塗ってくれたから、昼には治るから」

マリカさんは私を見て思考停止していて、暫くすると何かを察知し顔を真っ赤にして狼狽えだした。

「妖精王が多恵様にご無体な…」
「ないない!誤解しないで!」
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