妖怪~化け猫〜

桃香

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2.ばあさん

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仕方ないがないからとりあえず、
僕はダンボールから這い出て、鬼娘のミチが
言った通りにばあさんの所まで行きました。

「あの。。僕は…猫です。まだ名前がありませんにゃ」

「なんじゃい、お前は某作家の冒頭みたいな
自己紹介をしよるなぁ~つーまーんーない」

……

『何だ!このばあさん!!
某作家って誰だにゃー!!名前がないからないんだよーにゃ』

と、心で思いつつ、

「おばあさん、僕生まれたばかりだから、
某作家って言われても知らないですにゃ」

「えーまだひっぱるの?この話は終わりじゃ」

『ムカつくにゃ』

生まれて初めての怒りをこのばあさんに
感じながら、

「おばあさんはここで何をしてるにゃ?」

「ばあさん、ばあさんってイヤな子じゃねー。こんな可愛い女の子をつかまえて」

『ゲっ!女の子なんかいないにゃ!汚い、ばあさんだにゃ』

「今、悪いことを思ったね。。
マジで地獄に行かせるよ」

しわくちゃ目の奥がキラリと光り、
僕は唾を飲んだ。
本物だと確信した。

「ごめんなさいにゃ」

「まあ~いいわい。
わしは奪衣婆(だつえば)じゃ。
あそこで拗ねてる爺さんおるじゃろ。
あれは懸衣翁(けんえおう)じゃ。」


「奪衣婆?懸衣翁?って名前なの?」

「そう、そう。
にしても、お前の服を脱がしたいんじゃが…」


「裸…だけどにゃ?毛ならありますが...」


「裸ね~たまに人間でもおるしなあ。
同じ変態地獄でいいっかのぉ」


「変態地獄?」

やだやだやだにゃー!

「おーい!懸衣翁!!仕事じゃー!」

ばあさんが懸衣翁を呼ぶと、怖い形相の
どこからみても鬼しかみえない爺さんが
トボトボやってきました。

「な~に?奪衣婆。許してくれるの?」

鬼の形相に涙。。
どうなってるんだ?

「許さんわ!可愛い可愛い奪衣婆がいるって言うのに、チヨと話す時ニヤニヤしやがって!ゆーるーさーない!」


どうやら、話を聞いていると、
チヨと言うのは先程の鬼娘の事で、最近地獄でアイドルを始めたから応援してほしいと
お願いされて。
その状況をばあさんが見てしまい…ヤキモチを焼いたみたい。

くだらん

「まあまあまあ、懸衣翁も大好きな奪衣婆を
忘れた訳じゃなくてにゃ、娘みたいなチヨさんがお願いしてきたから話を聞いてただけですよねにゃ?」

「そう!そう!大好きなのは奪衣婆だけだよ!」

「えっー?そうなん。んーじゃ、許そうかな…」

ばあさんが許してくれそうな雰囲気になって
一安心。

「そうだーこの子何?衣領樹(えりょうじゅ)にかける服を着てないじゃん」

やっと僕の存在に気づいたおじいさんが
言いました。

「生まれたばかりの子猫かな?」

「はいにゃ。気づいたら兄弟とここに来てて
…」

「兄弟は?」

「あっ生き返ったみたいですにゃ」

「なるほどー。お前~前世で悪いことをしたのかな?はっはっははは」

何がおかしいんだろうか。

「前世の事なんかしりませんにゃ」

「そりゃ、そうだ。ははは
にしても、ありがとうなっ。奪衣婆と仲直りが出来たし」

「もし僕が服を着てたら、あの木にかけるのですかにゃ?」

「そうだ。
そして生きてた時に悪いことをした罪の重さをあの衣領樹と言われる、木で測るんだよ」

「でも、僕は服を着てないにゃ」

そこにフリフリのはだけた着物をきた
ばあさんがもどってきて、急に踊りだした。

結構な地獄絵図。

鬼のおじいさんも雄叫びをあげながり、
踊っている。

『はあ、僕も、兄弟達と一緒に戻りたかったにゃ』

よっしゃー!!!!


奪衣婆と懸衣翁が唸り声をあげると、
瞬く間に川が真っ二つに!


「渡るんじゃー!」


ばあさんが叫ぶ。

「その先に閻魔様がいるから行けー!」


僕は慌ててその川を渡りました。
渡った瞬間、川はまた元に戻りました。
後ろを振り返るとばあさんとじいさんは
まだ踊っていました。

『仲直りして良かったにゃ』

と思っていたら、また、チヨが2人に近づいて…いました。

ここから修羅場になりそうだから、
僕は閻魔様がいる所に急ぐ事にしました。

『女の人ってこーわーいにゃー!!!!』
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