三味線声優 しゃみきちとももの物語

桃香

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17.いちこ

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いちこちゃんは、髪が長くてパーマをかけてて一見大人っぽい女の子。
身長も高くて170センチ。私と一緒にいると凸凹の漫才師みたいです。
だけど、やっぱり同じ夢をみている同志とは波長が合うのかな~、すぐに仲良くなりました。。



って、実は店長からも強く勧めらて。。

「店長、おはようございます。」

「あ~もも!おはよう!
そうだそうだ、今日から入った娘だよ。」

「いちこです。よろしくお願いします。」

「どうだ、どうだ、ももちゃん!絶対に仲良くなれるだろう?
だって声優になりたくて東京に来たんだって。ももちゃんと一緒だなあ。親友とかになれるんじゃないか?」

てっ店長~空気読んで下さい!初対面ですよ~!
いちこちゃん引きつってます~。

「はっはじめまして、桃香です。同じ夢を追いかけてる者同志仲良くしましょう!愛と友情、勇気です!」

わっ私何変な事を言ってるの。恥ずかしい。。

「あっはっはい!仲良くしましょうね。」


後でいちこちゃんに聞いたら、面接で話した上京した理由やらを
初対面の私に店長がペラペラ話すからびっくりしてたんだって。
「東京人はもっとクールな方ばかりだと思ってました。」
って言われたけど、店長が特別におかしいだけで、東京の人みんなあんな感じじゃないからねって1日かけて説明しました。
因みに店長は東京人で三代続く江戸っ子。


上京理由をバラされても、
いちこちゃんは優しいし、田舎は福岡県で方言にも親近感がわくねって意気投合。
私達はすぐに仲良くなりました。バイトの帰りにファミレスに行って、今までの事やじゅんきーの話もしてました。

「ももちゃんは今の事務所に変わって何をするの?」

いちこちゃんに言われてもすぐに返答が出来ない。情けない私。
先日、たると約束したから、夢は諦めてないけど、
何をしたら良いのか。。分からないし。。


じゅんきーも入院ですぐに田舎に帰る事になって、
辛くて悲しいからメールしただけ。。何って言えば良いんだろう。。でも帰る前に会わなくちゃ。


「今の事務所も声優事務所だから。もちろん声優だよ!」

「私はタルト事務所にいるんだけど、結構厳しくて。。
来年もしかしたら。。もうクビになるかもなんだ。」


「えっ!来年?早くない?」

「うん。。でもまだ養成所だから上に上がれないとね。」

「そうなんだね。」

こう言う話が出る度に、胸が締め付けられちゃいます。
だって、この世界はみんながみんな幸せになれる訳じゃないし、
頑張ったからといって報われる訳ではないから。


「ね!いちこちゃん!
私の親友じゅんきーに会ってくれない?」

「えっ?
じゅんきーさんっていつも、ももちゃんが話してくれる方だよね?会いたい~!」


じゅんきーに私だけでも会いに行けば良い話なんだけど、
どうしても同じ夢を持つ者同志、じゅんきーといちこちゃんを
会わせたかった。

電話をしたら元気そうな声で一安心。
しかも、明後日岡山に帰るみたいだか、本当にギリギリ間に合いました。
どうやらじゅんきーも私にどう説明をしたら良いのか、
悩んでたって。。

こうして明日は、じゅんきーに東京で会える最後の日になりました。




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