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第二章
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「いくつか試作が出来たものがあったので持ってきたのですが、これは面白いことをしているザマスね」
部屋前部の巨大モニターを観察しつつ、マッケインがうなる。
俺開発の魔道具の商品化に関しては丸投げしている。だからおそらくこれを商品化すべきかどうか悩んでいるのだろう。
ぶっちゃけた話、俺は世事に疎い。だからどの程度のものが文明破壊レベルのオーパーツなのか判断がつかない。
この前の海洋都市で行われたレースの優勝賞品だった多機能時計もそうだが、あんなペルセウスくんのまがい物でさえここではひじょうに価値が高い。
だからうっかり俺が自分で使っているものを気軽に世間に放出すると、市場が混乱どころか、最悪は国単位での争奪戦につながる。
その為に俺の技術を商品化するのは、世情に詳しいマッケインに一任してある。
だからこそ少年少女に渡した武器は、ギリギリK=インズ商会で取り扱っている最高品レベルで妥協したのだ。
もっとも、渡してあるテント一式(結界付き)や、通常の何倍も入る収納ポーチ、バイタルチェックと緊急救難信号発生が可能な簡易ペルセウスくんは割とヤバめな代物だ。
あいつらが帰ってきたら返却させなければならない。
「それで、マッケインの方の用事はなんだったんだ?」
「ああ、はい、そうザマス。試食品が完成したザマス」
試食品。
つまり食べ物関係。
あまり期待せずに待てば、マッケインが収納ポーチから取り出したものは…………
……、おいおい、まさか、まさか!?
「こちらがサイダー、そしてポテチザマス」
お、おお、おおお!!
やった! ついにやりやがった!
会いたかったぞこんちくしょう!
自前ではない、市販化されたサイダーとポテチ!
サイダーの瓶を手に取り、フタを開ける。
「しかもサイダーがキンキンに冷えてやがる! さすがだマッケイン!」
「おほめに預かり光栄ザマス。研究員も喜ぶザマスよ」
興奮する自分の心を宥めつつも、視線はその二つに固定されてしまった。我慢は体に良くないし、早速頂くか。
この透明な瓶の容器もいい。実にいい。とても良い。マーベラスだ。
「ゴクッゴクッゴクッ! ぷはーー! うめぇ!」
プチプチ弾ける二酸化炭素が口内と喉をこれでもかと飛び回り、俺の心を満たしていく。
そしてティラントの森の戦闘を見ながらポテチをほおばる。
これぞ、これぞ現代日本の懐かしき学生の在り方よ。
クニャリ、クニュクニュ……。
「……、このポテチ、なんでしけってんだ?」
「そういうものではないザマスか?」
「ちげーよ! 油を吸いすぎだろ! こう、もっとカラっとしてなきゃ! 揚げ物だろ!?」
「研究員にはそれがバカ受けだったザマス」
どうなってんだよ!
なお、このポテチ、以前に作った風をこすり合わせて発熱させる摩擦魔法で調理している。
俺たちは自前の魔法で作れているから、機材そのものは持っていない。魔道具でその機材を作らせたのだが、結果がコレではとてもノンオイルフライヤーとは言い難い。
と、そこで気が付き食材に手を当てて、その魔法を使う。
「『ノンフライヤー』」
芋が厚切りなのが気に食わないが、気合いを入れて魔法を使いカリっと仕上がる。
それを一つまみし、口に放り込む。
パリッ。パリパリ……。
「これこれ、これだよ! なんでこうしねーんだ!」
「パリパリパリ……。これは病みつきになるザマスね」
「おうよ。しかも原価は安いスライスした芋のみ! スライサー使えば楽々だろ?」
「露店で売ってたら絶対買っちゃうねー、パリパリパリ」
「少し塩が足りませんか? パリパリパリ」
パリパリパリ……。
「でもでもー、これって家でも簡単に作れるよね? なんでマッケインに頼んだの?」
「そりゃ、市販化されれば企業努力で色んな味が出るからだ」
前世でだってチョココーティングのポテチなんて異色の取り合わせもあったくらいだ。この世界オリジナルのポテチや炭酸飲料が生まれるかもしれない。
そんな期待を込めての情報提供だ。
パリパリパリ……。
「もうなくなったか」
「さすがに四人で食べたらあっという間だったザマス」
「あぁ!? 見て! いつの間にか二人がティラントマンキーとティラントボアーを倒してるよ!」
あ、見逃した。
「あとで録画したのを確認するか」
現場の二人はと言えば、討伐証明部位の尻尾を取って、後は放置していた。
折角の収納ポーチなのに持って帰らないらしい。俺に頼るのを良しとしなかった結果なのか、それとも抜けているのか。
「警備ゴーレム、回収しとけ」
「ラジャー、マスター」
その辺で死屍累々の魔物も持ってかえるよう指示を出す。三流の素材とは言え、何かの役には立つと判断してのことだ。
「しかしまさかこんな短期間でティラントを倒しきるとはな。苦戦も山場も盛り上がりも何もなかったわ」
「そうですね……。あら、お二人はまだ探索を続けるつもりみたいですね」
「簡易ペルセウスくんの方位磁針機能を使って、奥へ進むのか」
どうやら先ほどの戦果では満足いかなかったようだ。
厄介な。
だが、それも全部自己責任だ。
いくら十歳の子供とは言え、貴族として教育を受けていたのだから引き際は弁えているはず。
はず、だよなぁ?
初戦で大戦果を挙げたから調子に乗っているなんて、ないよなぁ?
なにやらイヤな予感がする。
部屋前部の巨大モニターを観察しつつ、マッケインがうなる。
俺開発の魔道具の商品化に関しては丸投げしている。だからおそらくこれを商品化すべきかどうか悩んでいるのだろう。
ぶっちゃけた話、俺は世事に疎い。だからどの程度のものが文明破壊レベルのオーパーツなのか判断がつかない。
この前の海洋都市で行われたレースの優勝賞品だった多機能時計もそうだが、あんなペルセウスくんのまがい物でさえここではひじょうに価値が高い。
だからうっかり俺が自分で使っているものを気軽に世間に放出すると、市場が混乱どころか、最悪は国単位での争奪戦につながる。
その為に俺の技術を商品化するのは、世情に詳しいマッケインに一任してある。
だからこそ少年少女に渡した武器は、ギリギリK=インズ商会で取り扱っている最高品レベルで妥協したのだ。
もっとも、渡してあるテント一式(結界付き)や、通常の何倍も入る収納ポーチ、バイタルチェックと緊急救難信号発生が可能な簡易ペルセウスくんは割とヤバめな代物だ。
あいつらが帰ってきたら返却させなければならない。
「それで、マッケインの方の用事はなんだったんだ?」
「ああ、はい、そうザマス。試食品が完成したザマス」
試食品。
つまり食べ物関係。
あまり期待せずに待てば、マッケインが収納ポーチから取り出したものは…………
……、おいおい、まさか、まさか!?
「こちらがサイダー、そしてポテチザマス」
お、おお、おおお!!
やった! ついにやりやがった!
会いたかったぞこんちくしょう!
自前ではない、市販化されたサイダーとポテチ!
サイダーの瓶を手に取り、フタを開ける。
「しかもサイダーがキンキンに冷えてやがる! さすがだマッケイン!」
「おほめに預かり光栄ザマス。研究員も喜ぶザマスよ」
興奮する自分の心を宥めつつも、視線はその二つに固定されてしまった。我慢は体に良くないし、早速頂くか。
この透明な瓶の容器もいい。実にいい。とても良い。マーベラスだ。
「ゴクッゴクッゴクッ! ぷはーー! うめぇ!」
プチプチ弾ける二酸化炭素が口内と喉をこれでもかと飛び回り、俺の心を満たしていく。
そしてティラントの森の戦闘を見ながらポテチをほおばる。
これぞ、これぞ現代日本の懐かしき学生の在り方よ。
クニャリ、クニュクニュ……。
「……、このポテチ、なんでしけってんだ?」
「そういうものではないザマスか?」
「ちげーよ! 油を吸いすぎだろ! こう、もっとカラっとしてなきゃ! 揚げ物だろ!?」
「研究員にはそれがバカ受けだったザマス」
どうなってんだよ!
なお、このポテチ、以前に作った風をこすり合わせて発熱させる摩擦魔法で調理している。
俺たちは自前の魔法で作れているから、機材そのものは持っていない。魔道具でその機材を作らせたのだが、結果がコレではとてもノンオイルフライヤーとは言い難い。
と、そこで気が付き食材に手を当てて、その魔法を使う。
「『ノンフライヤー』」
芋が厚切りなのが気に食わないが、気合いを入れて魔法を使いカリっと仕上がる。
それを一つまみし、口に放り込む。
パリッ。パリパリ……。
「これこれ、これだよ! なんでこうしねーんだ!」
「パリパリパリ……。これは病みつきになるザマスね」
「おうよ。しかも原価は安いスライスした芋のみ! スライサー使えば楽々だろ?」
「露店で売ってたら絶対買っちゃうねー、パリパリパリ」
「少し塩が足りませんか? パリパリパリ」
パリパリパリ……。
「でもでもー、これって家でも簡単に作れるよね? なんでマッケインに頼んだの?」
「そりゃ、市販化されれば企業努力で色んな味が出るからだ」
前世でだってチョココーティングのポテチなんて異色の取り合わせもあったくらいだ。この世界オリジナルのポテチや炭酸飲料が生まれるかもしれない。
そんな期待を込めての情報提供だ。
パリパリパリ……。
「もうなくなったか」
「さすがに四人で食べたらあっという間だったザマス」
「あぁ!? 見て! いつの間にか二人がティラントマンキーとティラントボアーを倒してるよ!」
あ、見逃した。
「あとで録画したのを確認するか」
現場の二人はと言えば、討伐証明部位の尻尾を取って、後は放置していた。
折角の収納ポーチなのに持って帰らないらしい。俺に頼るのを良しとしなかった結果なのか、それとも抜けているのか。
「警備ゴーレム、回収しとけ」
「ラジャー、マスター」
その辺で死屍累々の魔物も持ってかえるよう指示を出す。三流の素材とは言え、何かの役には立つと判断してのことだ。
「しかしまさかこんな短期間でティラントを倒しきるとはな。苦戦も山場も盛り上がりも何もなかったわ」
「そうですね……。あら、お二人はまだ探索を続けるつもりみたいですね」
「簡易ペルセウスくんの方位磁針機能を使って、奥へ進むのか」
どうやら先ほどの戦果では満足いかなかったようだ。
厄介な。
だが、それも全部自己責任だ。
いくら十歳の子供とは言え、貴族として教育を受けていたのだから引き際は弁えているはず。
はず、だよなぁ?
初戦で大戦果を挙げたから調子に乗っているなんて、ないよなぁ?
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