離婚しようとしたら将軍が責任とれ?

エイプリル

文字の大きさ
19 / 40

第十九話 気のある素振り

しおりを挟む
 第十九話 気のある素振り
 それから数日がたち

 宮廷に帰った筈の第六王子がやってきた  

「嫁っ子ちゃん!大変だよ!
 将軍が倒れたよ!」

 侍女達一緒にお茶していたところ
 飛び込んできた
「まぁ!」
 と一同驚きの声を上げたが 
 宮廷なら御殿医がいるから安心ね
 とお菓子を一つつまむ

「ちょっとさぁ~将軍が倒れたんだよ?もっと驚いてよ~」

 王子が大げさな身振り手振りで訴える

「だって、王子様にあんまり緊迫感が無いから、無事かなって?!」

「もっと驚いてよ~出ないと俺

 いろんな意味でもやもやする~~~」

「え?」

「なんでもないよ~でも将軍にしばらく合ってないでしょ 
 行こう?」

 そうは言っても勝手に行けるとこではない 
 先触れの申請して診査に受かって 
 始めて行けるのだ

 思案していると

「何してるの?俺が連れてけば問題ないじゃん?ね♪」

「問題大有りの間違えでは?」
 真顔で答える

「やだな~何その顔を可愛い♡
 ホラ行くよ~」

 さぁさぁと背中をおされる

「ちょちょっとまってください
 支度が…やめて!引っ張らないで~」

 引きずられるように連れて行かれる夫人の後を侍女達がバタバタと荷物を岡持ちに入れていく

「大丈夫、何もいらない!俺がいれば平気!」

 そう言いながら腕を取って引いていく王子の横顔を、夫人はふと盗み見る。
 その頬にはわずかに赤みが差し、けれど口元はどこか寂しげに引き結ばれていた。
(まるで晨と、重なるような――)

 いやいや、何を考えているのかしら。夫人は慌てて思考を切り替える。
 その様子を侍女たちはバタバタと岡持ちに荷物を詰めながら見守るばかりだった。

 馬車に引きずられるように乗り

 夫人はブスッとしてた

「なにむくれてんの~?可愛い♡」

「やめて下さい」
 プイッと横をむく

「王子さま~奥様は体制を整えてキチンとした身なりで行きたかったんですよ?」侍女の明蘭が言うと

 そうだ~そうだ~と2人の侍女も合いの手を入れる

 普段、侍女は馬車には乗らないものだが馬を走らせて
 急ぎで行くと行って侍女も乗せてくれたのだ

「いつ何時でも人前に出る時は将軍家の夫人として優雅さと気品を忘れずに」

 そうだ~そうだ~と夫人に続く侍女達に押されながらも

「今回は急を要するから身だしなみは普通でいいんじゃない?
 慌てて来ました~みたいな
 それとも将軍に綺麗な姿を見せたい?」
 最後の方は声がかすれていたが
「違います!」
 と夫人は食い気味に答えた
「慌てて来ましたと言っても普段からそんな品の無い格好をしてるのかと言われたり
 将軍が衣も与えないのかとか
 良からぬ考えを持っものが
 良からぬ事をいうものです!
 私は常に将軍家の夫人として気品を忘れずに謙虚であらねば
 将軍にも迷惑をおかけし
 ひいては我が沈家がお家取り潰しになるやもしれません!」

 きゃーと侍女達が騒ぐ

「ちょ、ちょ、何、何?何!
 待ちなさい!そんな深刻に考え無くても~ね?
 将軍さまぁ。ご無事で何より~
 って軽い感じで、手の一つも握るだけで~」

「なりませ!私は王命で婚姻したのです。
 つまり陛下の対面を傷つけるような行為は断じて出来ません」

 そうだ~、といいかけた明蘭が

「奥様。もう少し緩めてもよろしいのでは?」

「いいえ!私は毎日毎晩考えて、答えを導いたのです
 何故、私が選ばれたのか!
 それは地方の清廉潔白な父の元華美な装いもせず。日々民の為に働く娘ならば、浮ついた事をせず。財産も食いつぶすこともなく
 都会の事に疎いので邪な考えを持っ友に諭されたり、利用されたりしないだろうと
 役目がはっきりしていれば、またその様な使命ならやぶさかではありません」
 ふん!と鼻高々に私は悟りましたと堂々と言い切る夫人に
 拍手する侍女達を横目に

「将軍はそんな役目を負わせるために君と結婚したんじゃないよ~?」

 と言っても彼女達にはとどかない

「将軍………お気の毒に(合掌)」

 --------------------

 長い廊下を小走りで、時おり

「将軍、将軍……ご無事かしら?」

「奥様!落ち着いて下さい
 将軍ならきっとだ丈夫です

 お気を確かに」

 と侍女達に支えられて将軍の元へと急ぐ…………と装っているらしい
 馬車から降りるさい
 侍女達と相談、打ち合わせしていた

「そんな事する必要があるの?」

「将軍が倒れた知らせは広まって居ると思います
 ですから邪な考えを持った良からぬ輩が湧いてくるはず。
 つまりそれを逆手にとるのです」

「勇ましいね~。そういう所好きだな♪」 

「ふふっありがとうございます」

「いやぁ、うん、ハイ…」

 何故、ちょっと暗い顔するのかと
 クビをかしげる夫人だった


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 そうこうしてると将軍の寝所についた

 侍女達に扉を開けさせ

 小さく咳払いひて「将軍、参りました」声をかけ、返事を待たずに入ると
 はっ!思わず息を飲み
 明蘭が腕を取って椅子に座らせてくれる
 明蘭が絶妙な位置に夫人を座らせる
 繍慧(シュウフェイ) 草盈(ツァオイン) は目を合わせ頷く

 王子はハラハラしていた
『将軍が浮気してると勘違いしてるの?何か怖いけど~』

 将軍の寝台の周りにはとびきり可愛い宮女、とびきり美人な宮女と
 キラキラした宮女3人が囲んでいた

 宮女達が気付き挨拶をする
 流石宮廷、品がある
 優雅な身のこなしで
 部屋をでて行こうとする宮女達を止める
 緊張がはしる
「あなた…………白粉は何をお使いかしら?」
 -草盈(ツァオイン)が尋ねる
 戸惑う宮女を置き去りに
「香の配合は?」と続けて質問する
「この刺繍は見事ね。どちらでお求めに?この衣の縫い目はもう芸術ね」

「あの、将軍夫人?」と声をかけられた

 何?と優雅にしている
「なにしてるのかな?あの子達」

 ああ「あんな天女みたいに綺麗な人始めてよ!今後の参考にしなくちゃ」

 目を輝かせて言った

 それに将軍のまわりにいると

 男神と仙女よ~萌えるわ~

 将軍を見るのが怖いと思うのは俺だけか?


 夫人が宮女たちへの観察を終えて廊下に出た時のこと。

 夫人は侍女たちに向かって、

「いやぁ……やっぱり宮廷の女性は違うわね。見惚れちゃったわ。あんなに綺麗な人たちに囲まれてるなんて……」

 頰に手を置いてうっとり言う

 王子がふいに歩み寄り、冗談めかして言った。

「じゃあ……俺も、誰か綺麗な人に囲まれて倒れようかな。君がこんなふうに駆けつけてくれるなら」

「もちろんじゃないですか!」

「え?」
 王子の目が見開く

「だって私と王子様はもう親友ですもの」
 と屈託なく笑う
「ああ、うん、親友だね?
 そっか~親友かぁ~」

 きっぱりと告げる夫人に、王子はふっと息を漏らして目を細めた。

「さ~て!俺はもうちょっと様子見てくるから、君は将軍様の枕元で涙でも流してきなよ~?」

「泣きません!」

 夫人の即答に、廊下の侍女たちが小さく吹き出す。
 それを聞いた王子は、くすりと笑いながら軽やかに歩いて行った。

 



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

課長と私のほのぼの婚

藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。 舘林陽一35歳。 仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。 ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。 ※他サイトにも投稿。 ※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

最後にして最幸の転生を満喫していたらある日突然人質に出されました

織本紗綾(おりもとさや)
恋愛
─作者より─  定番かもしれませんが、裏切りとざまぁを書いてみようと思いました。妹のローズ、エランに第四皇子とリリーの周りはくせ者だらけ。幸せとは何か、傷つきながら答えを探していく物語。一話を1000字前後にして短時間で読みやすくを心掛けています。 ─あらすじ─  美しいと有名なロレンス大公爵家の令嬢リリーに転生、豪華で何不自由ない暮らしに将来有望でイケメンな婚約者のランスがいて、通う学園では羨望の眼差しが。  前世で苦労した分、今世は幸せでもいいよね……ずっと夢に見てきた穏やかで幸せな人生がやっと手に入る。  そう思っていたのに──待っていたのは他国で人質として生きる日々だった。

番など、今さら不要である

池家乃あひる
恋愛
前作「番など、御免こうむる」の後日談です。 任務を終え、無事に国に戻ってきたセリカ。愛しいダーリンと再会し、屋敷でお茶をしている平和な一時。 その和やかな光景を壊したのは、他でもないセリカ自身であった。 「そういえば、私の番に会ったぞ」 ※バカップルならぬバカ夫婦が、ただイチャイチャしているだけの話になります。 ※前回は恋愛要素が低かったのでヒューマンドラマで設定いたしましたが、今回はイチャついているだけなので恋愛ジャンルで登録しております。

処理中です...