空晴ラビット 1

やました

文字の大きさ
5 / 26
第1章

第3話 友達

しおりを挟む


「あ!教室ここだね!」

私とキュトアちゃんは無事、自分たちの教室までたどり着いた。

入ってみるとやはり個性豊かな魔獣族たちで溢れかえっている。

「ミヨコちゃん!体育館集合まで私の席にいなよ!結構席離れちゃったね…」

「う、うん!ありがとう!そうする!」

「そ、そう言えばキュトアちゃんはなんでこの学校を選んだの?」

私は一番疑問に思っている質問を投げかけてみた。

「ん~とね!人間になりたいから!」

「えっ、人間に?」

私は斜め上の回答にびっくりした。

「うん!人間界で人間として暮らしたいんだ!だって、楽しそうだもん!耳も尻尾もいらないの。普通の人間の女の子になりたいんだぁ!」

なんだかとても純粋な回答……。
人間界に行きたいと思っている魔獣族は"変人"なんて。誰が言い始めたのだろう。
ひょっとしてこの思想は私の村だけなのかな?

「ここを卒業すれば人間になれるって聞いてね!そういうミヨコちゃんはどうして人間界に行きたいの?」

ドキッ

やっぱりそうなるよね…。うぅ、純粋な目標を言われてからじゃ言いづらいな……汗

「わ、私……、小さい頃は人間界で暮らしてて……。」

「えっ!!??」

キュトアちゃんはびっくりして立ち上がった。

「わわわ、しー!!」

キュトアちゃんは、はっとして周りを見ると、声にびっくりした教室にいる新入生たちが目を丸くしてこっちを見ていた。

「あ、す、すいませんでしたぁ~汗」

キュトアちゃんはそう言って静かに座った。

「え、ミヨコちゃん人間界にいたの?家族と?ノラとして?」

「うん、なんでかは分からない…。私が8歳のときに人間界でお父さんとお母さんとはぐれちゃってね。だから、人間界に行って2人を探したいの。それがこの学校に入学した理由で……。」

キュトアちゃんの人間界に行きたい理由とのギャップに、私は恐る恐るキュトアちゃんを見た。
すると、

「うっ、うぅ、そうだったんだぁ……」

なんとキュトアちゃんはその場で泣いていた。

「え、えぇ!?キュトアどうしたn……」

するとキュトアちゃんは私の手をガッと掴んだ。

「困ったことがあったら言ってね!力になるから!あたし!」

「キュトアちゃん……」

凄く嬉しい……。こういうふうに言われたのは初めてだった。
村の人たちは口を揃えて気の毒に…と、もう会えないのだという同情を示された。

私は、そんな同情はいらなかった。
まだ会える希望が欲しかった。
そうやって、声をかけて欲しかったんだよ。

「ありがとう……。嬉しい。」

この学校に来てよかった。
そして、キュトアちゃんに会えたのも。



ピンポンパンポーン

「新入生の皆さんおはようございます。これから体育館にて入学式が行われます。生徒の皆さんは体育館へ集まってください。」


「だって!ミヨコちゃん!行こっか!」

「うん!」

私は零れそうになる涙を拭きとり、キュトアちゃんと一緒に体育館へ向かった。


4話に続く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

妻が通う邸の中に

月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...