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Meets02 ホスト系アサシン
22 時間です、お客様
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「ギャアアア!」
アニーの一撃が猪ベスティアに通った。頬を傷つけられた黒い獣は悲鳴を上げる。
「すごい! 攻撃が通じた!」
ミチルは驚きと歓喜の声を上げた。
アニーも手応えを感じて息を切らせながらも笑う。
「……へへ、ざまあみろ」
「──フム」
喜ぶ二人を置いて、ボスは突然小石を拾い上げて猪ベスティアに投げつけた。
「ええっ!?」
ミチルは不意をつかれて素っ頓狂な声を上げる。
猪ベスティア目掛けて飛んで行った小石は、その体をすり抜けて川に落ちた。
「なるほど。私の攻撃は通らないのか」
「ちょっと! いきなり何してんの! 当たったらこっちに来るじゃん!」
ミチルの抗議にボスは不服そうに応えた。
「おかしな事を言う。攻撃が通らないと言ったのは君ではないか」
「そうだけどさあ、いきなりやらないでよ! ビックリするじゃんか!」
「だが、いきなりやるから攻撃に意味があるのでは?」
「おじさん構文キライ!」
正論に返す言葉が見当たらなかったミチルはヒステリーを起こす。その様子にボスは何故か嬉しそうだった。
「なかなかに骨がある。さすがアニーが見初めた子だな」
「おじさんの話は意味わかんない!」
そんな暢気な会話をしている場合ではない。アニーの攻撃が効くとなればミチルにできることは、応援だ。
「アニー! 頑張れ! やっちゃえ!」
「もちろん。まずはその物騒な牙から折ってやる」
「いいぞ、アニー! 強いぞ、アニー!」
「おああああっ!」
ミチルの声援を受けてアニーは勢いよく猪ベスティアに向かっていった。そしてナイフでその牙目掛けて切りつける。
ガキーン!
「──!!」
だが、その牙を折ることは叶わず、アニーの誇り高きナイフの方が折れた。
「なっ……!」
「ああっ!」
ミチルはサッと血の気が引いた。
また、やってしまった。
調子に乗ってアニーをけしかけて、大事なナイフを折ってしまった。
ジェイの時もミチルが暴走した挙句に、大切な父親の形見の剣を失ってしまった。
どうしてオレはいつもこうなんだ! ごめん、ごめん、アニー!
「ミチル!」
「!?」
アニーは声を張り上げてその名を呼んだ。
「まだだ、まだ俺はやれる」
「でも……」
アニーの手に残るのは刃を失った短い柄だけだ。それでもアニーの瞳はまだ輝いていた。
「俺は負けない。だからもっと俺を呼んでくれ。君の、君の声が──力になるんだ!」
「アニー……」
アニーは超絶イケメンだ。すなわちイケメン・イズ・ジャスティス!
イケメンが負けるなど世の理にあってはならないのだ!
「アニー!! 頑張れェエエ!!」
ミチルは声の限り叫んだ。
だが、それに触発されたのは猪ベスティアの方だった。
「ガオオオォッ!」
猪ベスティアはアニーに突進する。それを寸でのところで躱したが、アニーは手からナイフの柄を放してしまった。
「しまった!」
柄はコロコロとミチルの足元まで転がった。反射的にミチルはそれを拾い上げる。
「ベスティア、コノヤロウ!!」
「ダメだ、ミチル、来るな!」
ミチルは柄を振り上げて怒りと共に叫んだ。
「お前なんかなあ、このホストアサシンとモブ学生が八つ裂きにしてやらあ!」
するとミチルの手が眩く青い光を放つ!
「ギャアアア!」
その神々しい青い光に、猪ベスティアは大きく震えた。
「あ──」
ミチルの手にあったのは、青い刀身のナイフだった。柄から刃が再生し、青い光を放っている。
「わあ、また出た!」
ミチルは歓喜のままに叫ぶ。ジェイの大剣と同じ、この青い刀身を見ると勇気と自信が湧いてくる。
「ミチル? 何をしたんだ?」
あまりの事に目を見張るアニーに向けて、ミチルはそのナイフを放り投げた。
「アニー! これ使って! 絶対勝てるから!」
「これは……」
ナイフを受け取ったアニーは何か不思議な感覚だった。
懐かしいような、それでいて別の力が湧き上がってくるような……
「やっちゃえ、アニー!」
「──ああ!」
アニーは余裕を取り戻し、ナイフを構えて猪ベスティアを見据える。
不思議だ、もう全然怖くない。目の前にいるのはカボチャか何かか?
そう思えるほどに、アニーにとってその獣はすでに何の意味もなさなくなっていた。
「あばよ! ワイルドボアー!」
アニーはナイフを猪ベスティアに投げた。
ナイフは猪ベスティアの前でピタとその切先を向けて空中に止まる。
「散れ!」
アニーが掛け声とともに掲げた右手のひらを開くと、ナイフはユラリとぶれて八本に増えた。
「ゲッ!」
ミチルが驚いている間もなく、八本のナイフは縦長の円を形づくり猪ベスティアの胴回りを取り囲んだ。
「……お会計の時間だ」
急にカッコつけたアニーはそう呟いて右手を握る。すると八本のナイフは円の中心、すなわち猪ベスティアの心臓を一斉に刺した。
瞬く間に猪ベスティアは形を保てずに霧散した。
辺りがシンと静まり返る。
また一本に戻ったナイフがコトリと地面に落ちる音だけが森の中に響いたのだった。
アニーの一撃が猪ベスティアに通った。頬を傷つけられた黒い獣は悲鳴を上げる。
「すごい! 攻撃が通じた!」
ミチルは驚きと歓喜の声を上げた。
アニーも手応えを感じて息を切らせながらも笑う。
「……へへ、ざまあみろ」
「──フム」
喜ぶ二人を置いて、ボスは突然小石を拾い上げて猪ベスティアに投げつけた。
「ええっ!?」
ミチルは不意をつかれて素っ頓狂な声を上げる。
猪ベスティア目掛けて飛んで行った小石は、その体をすり抜けて川に落ちた。
「なるほど。私の攻撃は通らないのか」
「ちょっと! いきなり何してんの! 当たったらこっちに来るじゃん!」
ミチルの抗議にボスは不服そうに応えた。
「おかしな事を言う。攻撃が通らないと言ったのは君ではないか」
「そうだけどさあ、いきなりやらないでよ! ビックリするじゃんか!」
「だが、いきなりやるから攻撃に意味があるのでは?」
「おじさん構文キライ!」
正論に返す言葉が見当たらなかったミチルはヒステリーを起こす。その様子にボスは何故か嬉しそうだった。
「なかなかに骨がある。さすがアニーが見初めた子だな」
「おじさんの話は意味わかんない!」
そんな暢気な会話をしている場合ではない。アニーの攻撃が効くとなればミチルにできることは、応援だ。
「アニー! 頑張れ! やっちゃえ!」
「もちろん。まずはその物騒な牙から折ってやる」
「いいぞ、アニー! 強いぞ、アニー!」
「おああああっ!」
ミチルの声援を受けてアニーは勢いよく猪ベスティアに向かっていった。そしてナイフでその牙目掛けて切りつける。
ガキーン!
「──!!」
だが、その牙を折ることは叶わず、アニーの誇り高きナイフの方が折れた。
「なっ……!」
「ああっ!」
ミチルはサッと血の気が引いた。
また、やってしまった。
調子に乗ってアニーをけしかけて、大事なナイフを折ってしまった。
ジェイの時もミチルが暴走した挙句に、大切な父親の形見の剣を失ってしまった。
どうしてオレはいつもこうなんだ! ごめん、ごめん、アニー!
「ミチル!」
「!?」
アニーは声を張り上げてその名を呼んだ。
「まだだ、まだ俺はやれる」
「でも……」
アニーの手に残るのは刃を失った短い柄だけだ。それでもアニーの瞳はまだ輝いていた。
「俺は負けない。だからもっと俺を呼んでくれ。君の、君の声が──力になるんだ!」
「アニー……」
アニーは超絶イケメンだ。すなわちイケメン・イズ・ジャスティス!
イケメンが負けるなど世の理にあってはならないのだ!
「アニー!! 頑張れェエエ!!」
ミチルは声の限り叫んだ。
だが、それに触発されたのは猪ベスティアの方だった。
「ガオオオォッ!」
猪ベスティアはアニーに突進する。それを寸でのところで躱したが、アニーは手からナイフの柄を放してしまった。
「しまった!」
柄はコロコロとミチルの足元まで転がった。反射的にミチルはそれを拾い上げる。
「ベスティア、コノヤロウ!!」
「ダメだ、ミチル、来るな!」
ミチルは柄を振り上げて怒りと共に叫んだ。
「お前なんかなあ、このホストアサシンとモブ学生が八つ裂きにしてやらあ!」
するとミチルの手が眩く青い光を放つ!
「ギャアアア!」
その神々しい青い光に、猪ベスティアは大きく震えた。
「あ──」
ミチルの手にあったのは、青い刀身のナイフだった。柄から刃が再生し、青い光を放っている。
「わあ、また出た!」
ミチルは歓喜のままに叫ぶ。ジェイの大剣と同じ、この青い刀身を見ると勇気と自信が湧いてくる。
「ミチル? 何をしたんだ?」
あまりの事に目を見張るアニーに向けて、ミチルはそのナイフを放り投げた。
「アニー! これ使って! 絶対勝てるから!」
「これは……」
ナイフを受け取ったアニーは何か不思議な感覚だった。
懐かしいような、それでいて別の力が湧き上がってくるような……
「やっちゃえ、アニー!」
「──ああ!」
アニーは余裕を取り戻し、ナイフを構えて猪ベスティアを見据える。
不思議だ、もう全然怖くない。目の前にいるのはカボチャか何かか?
そう思えるほどに、アニーにとってその獣はすでに何の意味もなさなくなっていた。
「あばよ! ワイルドボアー!」
アニーはナイフを猪ベスティアに投げた。
ナイフは猪ベスティアの前でピタとその切先を向けて空中に止まる。
「散れ!」
アニーが掛け声とともに掲げた右手のひらを開くと、ナイフはユラリとぶれて八本に増えた。
「ゲッ!」
ミチルが驚いている間もなく、八本のナイフは縦長の円を形づくり猪ベスティアの胴回りを取り囲んだ。
「……お会計の時間だ」
急にカッコつけたアニーはそう呟いて右手を握る。すると八本のナイフは円の中心、すなわち猪ベスティアの心臓を一斉に刺した。
瞬く間に猪ベスティアは形を保てずに霧散した。
辺りがシンと静まり返る。
また一本に戻ったナイフがコトリと地面に落ちる音だけが森の中に響いたのだった。
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