123 / 226
Meets05 優しいバーサーカー
13 破天荒兄さんがいじめる!
しおりを挟む
さあ、目を開けてごらん……
「ヒギャアァアアーッ!!」
豪速で飛び回る絨毯の上で、悠長に歌えると思うなよ!
ミチルはルークにしがみついて、叫び続けた。だが、絨毯はスピードを緩めるどころかさらに加速する。
「ダーッハッハッハ! 間抜けに口なんか開けてると舌噛むぞぉ!」
高速移動中の空飛ぶ絨毯の上で、座っていられるだけでも奇跡的なのに、ルードは立ち上がって高笑いしていた。
ナニ、このヒト! 変態なんじゃない!? ほんとにルークのお兄さん?
目の前ではエセアラ○ンが爆笑しながら絨毯を動かしている。助け出してもらった恩も忘れて、ミチルは冷たい視線を彼に向けた。
「ミチル、すぐ着く。我慢、して?」
ルークは落ち着いた声で、ミチルを抱きしめる腕に力を込めた。
こうなればルークを信じて委ねるしかない。
「うぅう……ふぅうんっ!」
ミチルは目をぎゅっと閉じて、口も引き結び、ルークにめいっぱいしがみついた。
ルークはミチルの小さな体を愛おしそうに更にきつく抱きしめる。
「ほほぉ……あの話はマジだったのかよ……」
そんな二人の様子を見たルードは、人知れずそう呟くのだった。
「よぉーっし、到着ゥ! 野郎ども、全員無事か?」
ループス邸に絨毯を横付けしたルードは、ヒラリと飛び降りて付いてきていたラクダやらロバやらに乗った者達を振り返った。
見た目は完全にアリ○バに出てくる盗賊だ。無頼漢達は揃って腕を振り上げ、勝鬨を叫ぶ。
「うるさいんだけどぉ、ナニ、この人達ぃ」
絨毯が静かに地面につき無事に着地できたミチルは、安心感からさっそくこの変な人達に悪態をついた。
「大丈夫、ミチル。皆、兄さんの仲間。乱暴だけど、良い人」
「ええー……?」
大抵の人間は後から褒めれば先に挙げた欠点は帳消しになる。ミチルは半信半疑で彼らを見ていた。
ミチルとルークを降ろした絨毯は、ひとりでに包まって縦に立ち上がり、ルードに懐くように擦り寄った。
「おお、ジーナちゃん。ごくろーさん!」
ルードはそう言って絨毯を撫でた後、ミチルの目の前でそれを消してみせた。
「ギャァ! 何それ、魔法!?」
「うん、兄さん、魔法使える。ラーウスでは、珍しい」
「そ、そうなんだ……」
ミチルが呆然と見ていると、ルードはまた振り返って二人に相対した。
「ルーくぅううん! 久しぶりだねぇえ♡ 元気だったかなぁ?」
猫撫で声でルークのほっぺを両手でうりうりする兄の顔は、ベッタベタに蕩けていた。
聞いてたのと話が違う。ミチルは変態的ブラコンを見せつけられて、さらに呆然とする。
「に、兄さん、やめてよ。コドモじゃない、から」
ルークが困りながらもされるがままでいるのを見ると、兄弟仲も悪くないようだ。一方的かもしれないけど。
紛らわしいなあと思いながらミチルが二人を見ていると、ルードはそのまま顔だけをミチルに向けてすごんだ。
「おおい、異邦の少年よ。いい気になるなよ、ルーくんは俺様の弟だからなぁ」
「へ? どゆこと?」
にこやかに笑ってはいるが、目が冷たい。
ルードは次の瞬間には音もなくミチルの前におり、耳元で低い声で囁いた。
「調子こいて初心な弟を誘惑して、ペロペロなめなめ××××なんかしやがったら、○○スぞ」
卑猥と殺意のダブルコンボ!
どこかの毒舌師範とタイマンはれる言葉遣いに、ミチルは震え上がった。
「兄さん! ミチルに、変なこと、言わないで!」
「ルークゥ!」
耳が虐められました! ミチルは涙目で思わずルークの腕に縋る。
それを見たルードは舌打ちしてものすごい台詞を吐き捨てた。
「……仕方ねえ、ルーク。それならヤられる前にヤれ、徹底的にな!」
「ナニをぉお!?」
もうヤダァ! この兄貴、絶対先生と年齢が近い!
わかった、この世界の若オジはみんなこうなんだ!
ミチルが恐怖に震えていると、ルードは少し満足げに笑って踵を返す。
「よーし、泥棒猫には釘を刺したから、とりあえず一旦退くぞぉ!」
そう叫ぶと、周囲の無頼漢たちは「オォ」と口々に言いながら、ラクダやロバに跨って走り始める。
巻き上がる砂煙の中、ルークは兄を呼び止めた。
「兄さん! どこ、行くの?」
いつの間にか仲間が連れてきた立派な馬に跨って、ルードはニッと笑って言った。
「じきに親父が帰ってくる。俺様がここにいたらマズイだろ。心配すんな、魔教会をぶっ潰す算段整えたら連絡する!」
バイバイベイビー☆
そんな軽薄な言葉とともに、ルークの兄・ルードは馬を駆ってあっという間に走り去っていった。
「ああぁぁ! ルークさまぁあ! よくぞ無事にお戻りでぇえ!」
入れ替わりに、執事のカカオが泣きながら玄関から飛び出してきた。
それを見て、ルークはやっと肩の力を抜く。
「カカオ、兄さん、知らせた?」
「申し訳ありません! 旦那様もいらっしゃらずにどうしたら良いかわからず……!」
執事は跪いて許しを請うた。
それにルークは一息吐いて屈み、笑ってその肩を叩く。
「いいんだ。心配かけて、ごめん。ありがと」
「ルークさまぁ……」
無事に戻れたものの、ルークの表情は少し暗かった。呪いが解けると言われたことをまだ信じているのかもしれない。
ミチルは助かったと安心する気持ちをしまって、ルークに真相を告げる決意を固めた。
「ヒギャアァアアーッ!!」
豪速で飛び回る絨毯の上で、悠長に歌えると思うなよ!
ミチルはルークにしがみついて、叫び続けた。だが、絨毯はスピードを緩めるどころかさらに加速する。
「ダーッハッハッハ! 間抜けに口なんか開けてると舌噛むぞぉ!」
高速移動中の空飛ぶ絨毯の上で、座っていられるだけでも奇跡的なのに、ルードは立ち上がって高笑いしていた。
ナニ、このヒト! 変態なんじゃない!? ほんとにルークのお兄さん?
目の前ではエセアラ○ンが爆笑しながら絨毯を動かしている。助け出してもらった恩も忘れて、ミチルは冷たい視線を彼に向けた。
「ミチル、すぐ着く。我慢、して?」
ルークは落ち着いた声で、ミチルを抱きしめる腕に力を込めた。
こうなればルークを信じて委ねるしかない。
「うぅう……ふぅうんっ!」
ミチルは目をぎゅっと閉じて、口も引き結び、ルークにめいっぱいしがみついた。
ルークはミチルの小さな体を愛おしそうに更にきつく抱きしめる。
「ほほぉ……あの話はマジだったのかよ……」
そんな二人の様子を見たルードは、人知れずそう呟くのだった。
「よぉーっし、到着ゥ! 野郎ども、全員無事か?」
ループス邸に絨毯を横付けしたルードは、ヒラリと飛び降りて付いてきていたラクダやらロバやらに乗った者達を振り返った。
見た目は完全にアリ○バに出てくる盗賊だ。無頼漢達は揃って腕を振り上げ、勝鬨を叫ぶ。
「うるさいんだけどぉ、ナニ、この人達ぃ」
絨毯が静かに地面につき無事に着地できたミチルは、安心感からさっそくこの変な人達に悪態をついた。
「大丈夫、ミチル。皆、兄さんの仲間。乱暴だけど、良い人」
「ええー……?」
大抵の人間は後から褒めれば先に挙げた欠点は帳消しになる。ミチルは半信半疑で彼らを見ていた。
ミチルとルークを降ろした絨毯は、ひとりでに包まって縦に立ち上がり、ルードに懐くように擦り寄った。
「おお、ジーナちゃん。ごくろーさん!」
ルードはそう言って絨毯を撫でた後、ミチルの目の前でそれを消してみせた。
「ギャァ! 何それ、魔法!?」
「うん、兄さん、魔法使える。ラーウスでは、珍しい」
「そ、そうなんだ……」
ミチルが呆然と見ていると、ルードはまた振り返って二人に相対した。
「ルーくぅううん! 久しぶりだねぇえ♡ 元気だったかなぁ?」
猫撫で声でルークのほっぺを両手でうりうりする兄の顔は、ベッタベタに蕩けていた。
聞いてたのと話が違う。ミチルは変態的ブラコンを見せつけられて、さらに呆然とする。
「に、兄さん、やめてよ。コドモじゃない、から」
ルークが困りながらもされるがままでいるのを見ると、兄弟仲も悪くないようだ。一方的かもしれないけど。
紛らわしいなあと思いながらミチルが二人を見ていると、ルードはそのまま顔だけをミチルに向けてすごんだ。
「おおい、異邦の少年よ。いい気になるなよ、ルーくんは俺様の弟だからなぁ」
「へ? どゆこと?」
にこやかに笑ってはいるが、目が冷たい。
ルードは次の瞬間には音もなくミチルの前におり、耳元で低い声で囁いた。
「調子こいて初心な弟を誘惑して、ペロペロなめなめ××××なんかしやがったら、○○スぞ」
卑猥と殺意のダブルコンボ!
どこかの毒舌師範とタイマンはれる言葉遣いに、ミチルは震え上がった。
「兄さん! ミチルに、変なこと、言わないで!」
「ルークゥ!」
耳が虐められました! ミチルは涙目で思わずルークの腕に縋る。
それを見たルードは舌打ちしてものすごい台詞を吐き捨てた。
「……仕方ねえ、ルーク。それならヤられる前にヤれ、徹底的にな!」
「ナニをぉお!?」
もうヤダァ! この兄貴、絶対先生と年齢が近い!
わかった、この世界の若オジはみんなこうなんだ!
ミチルが恐怖に震えていると、ルードは少し満足げに笑って踵を返す。
「よーし、泥棒猫には釘を刺したから、とりあえず一旦退くぞぉ!」
そう叫ぶと、周囲の無頼漢たちは「オォ」と口々に言いながら、ラクダやロバに跨って走り始める。
巻き上がる砂煙の中、ルークは兄を呼び止めた。
「兄さん! どこ、行くの?」
いつの間にか仲間が連れてきた立派な馬に跨って、ルードはニッと笑って言った。
「じきに親父が帰ってくる。俺様がここにいたらマズイだろ。心配すんな、魔教会をぶっ潰す算段整えたら連絡する!」
バイバイベイビー☆
そんな軽薄な言葉とともに、ルークの兄・ルードは馬を駆ってあっという間に走り去っていった。
「ああぁぁ! ルークさまぁあ! よくぞ無事にお戻りでぇえ!」
入れ替わりに、執事のカカオが泣きながら玄関から飛び出してきた。
それを見て、ルークはやっと肩の力を抜く。
「カカオ、兄さん、知らせた?」
「申し訳ありません! 旦那様もいらっしゃらずにどうしたら良いかわからず……!」
執事は跪いて許しを請うた。
それにルークは一息吐いて屈み、笑ってその肩を叩く。
「いいんだ。心配かけて、ごめん。ありがと」
「ルークさまぁ……」
無事に戻れたものの、ルークの表情は少し暗かった。呪いが解けると言われたことをまだ信じているのかもしれない。
ミチルは助かったと安心する気持ちをしまって、ルークに真相を告げる決意を固めた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
腐男子♥異世界転生
よしの と こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。
目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。
トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、カクヨムさん、Caitaさんでも掲載しています。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
異世界転移した先は陰間茶屋でした
四季織
BL
気が付いたら、見たこともない部屋にいた。そこは和洋折衷の異世界で、俺を拾ってくれたのは陰間茶屋のオーナーだった。以来、俺は陰間として働いている。全くお客がつかない人気のない陰間だけど。
※「異世界に来た俺の話」と同じ世界です。
※謎解き要素はありません。
※ミステリー小説のネタバレのようなものがありますので、ご注意ください。
【完結】自称ワンコに異世界でも執着されている
水市 宇和香
BL
「たとえ異世界に逃げたとしたって、もう二度と逃さないよ」
アザミが高校二年生のときに、異世界・トルバート王国へ転移して早二年。
この国で二十代半ばの美形の知り合いなどいないはずだったが、
「キスしたら思いだしてくれる? 鳥居 薊くん」
その言葉で、彼が日本にいたころ、一度だけキスした同級生の十千万堂 巴波だと気づいた。
同い年だったはずのハナミは、自分より七つも年上になっていた。彼は王都から辺境の地ーーニーナ市まではるばる、四年間もアザミを探す旅をしていたらしい。
キスをした過去はなかったこととして、二人はふたたび友人として過ごすようになった。
辺境の地で地味に生きていたアザミの日常は、ハナミとの再会によって一変し始める。
そしてこの再会はやがて、ニーナ市を揺るがす事件へと発展するのだった…!
★執着美形攻め×内弁慶な地味平凡
※完結まで毎日更新予定です!(現在エピローグ手前まで書き終わってます!おたのしみに!)
※感想や誤字脱字のご指摘等々、ご意見なんでもお待ちしてます!
美形×平凡、異世界、転移、執着、溺愛、傍若無人攻め、内弁慶受け、内気受け、同い年だけど年の差
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる