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僕の好きな職人レスラー

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またまたプロレスブロガー、プロレス考察家でお馴染みのジャスト日本さんからエッセイのリクエストを頂いた際に書いた記事です。プロレスネタを振っていただけるのは有難い限りですが、反面ちょっと私なんかが偉そうに語って良いものかどうか。少し迷ったり躊躇う部分もあります
偉そうにならないように今回も書かせていただきました
ホント言うと、こんな話を私なんかがしてていいのかな、という気持ちもちょっとあります。そんなに込み入った話ではないのですが、自分は選手になれたわけではないので……
でも、プロレスの見方、面白さ、楽しみ方の幅がちょっと広がるかなとも思いましたので、考えたことをそのまま書きます

そのお題は「好きな職人レスラーについて」とのことです
私の諸先輩方です。具体的には
CHANGOさん
アミーゴ鈴木さん
ヤマダマンポンド選手
松山勘十郎座長も
みんなみんなプロレスの試合に必要不可欠な、個性的かつとびきりの職人レスラーだと私は思います。何故なら、プロレスラー養成学校闘龍門は職人レスラー養成学校でもあると思うからです。プロレスが好きで好きで仕方がなく、どうにかしてプロレスラーになりたかったウルティモ・ドラゴン校長が自身の切り開いた道を次代に託すための、いわば門戸開放の一助となった闘龍門
背丈やスポーツ経験、容姿もほとんど関係なく集められたプロレスラー志望の生徒たちを集めて、ある日校長は言いました
プロレスラー養成学校でも
校長先生のお話
は勿論あります。そしてこれは今でも忘れられないお話です
それは
「俺はプロレスやってれば幸せなんだ。君たちも自分の個性を見つけて居場所を作るんだ。小さくても弱くてもいい、どんな形でもプロレスやりたいなら自分で自分の隙間を作ることだ」
ということでした
それがすなわち、職人レスラーになることだと私は今になって考えています。プロレスラーにも色々な選手がいて、立場があって、歴史があります
稀代の大悪党が実は若いころは正統派のスターだった、とか、覆面レスラーの素顔は期待のホープのあの選手だった、とか
そうして連綿と続くプロレスには、綺羅星の如くリングで輝くスター選手と一緒にプロレスの試合を成立させる職人技が必要不可欠。どんなスターも悪党も一人で勝手に輝き続けることは出来ません
そこで、自ら好きで入ったプロレスで生き残るためには、プロレスの試合に必要不可欠である必要があるということになります
プロレスの試合を成立させる、誰とでもプロレスを成立させる、どこででもプロレスを行える。それが本当の
職人レスラー
だと思います

今現在のメジャーマットで、またかつての時代に活躍した選手であっても、インディープロレスで引っ張りだこの選手であっても、このプロレスの試合の根幹を担う選手の重要性というのは目立たないけど変わらないと思います。アメリカのWWEでは職人ポジションの選手をメカニックという呼ぶとストーンコールド・スティーブ・オースチンの本に書いてありましたが、まさに縁の下の力持ちであり陰から日向からプロレスを支える人たちです
また目の肥えたファンには、そういう人を好きになる人も多いでしょう
そして職人として人気が出る選手もいる
藤田ミノル選手は、まだにそうなんじゃなかろうかと思います。デスマッチからルチャ・リブレ、おネエ系レスラーとも丁々発止のやりとりを展開し、感情剥き出しの激しい試合もする。まさに何でも来いの職人、いや仕事人と言うべきでしょうか

誰もが同じ努力、同じ経験があっても同じ選手にはならない
プロレスを楽しみに集まったお客さんを必ず満足させて、またどんな選手とでもリングに上がればプロレスが出来る。これって凄い事だと思うのです
松山勘十郎座長は以前、東京で出た試合の対戦相手が物凄く大きな単なる女性、ということがありました。目の前で見ましたがマジで全部ひとりで動き回って叫んで転げまわってでも、それをプロレスラー・松山勘十郎の試合にしていました。あの大きな女性は選手として出場はしていますが、プロレスラーとして実際にプロレスをしていたのは勘十郎さんでした。終わってみれば松山勘十郎座長のオンステージ。ゲストが大きな女性と言った感じ。そしてそれは確かに面白かった。爆笑しつつ座長のムーブに驚き、大きな女性のキャラクターはお客さんにも十分に伝わっていました
これぞ職人技、松山勘十郎座長が一級品の技術と体力を持つプロレスラーだからこそ成立した試合でした
何処のリングでも見せ場を作り、松山勘十郎と言えばコレ! という動きを見せ、確実にお客さんを楽しませてくれる。だけどいっぺんご自身の世界観を構築するとそれがまた人気を呼ぶ。我が先輩ながら松山勘十郎座長は、職人と看板選手の不思議な狭間にいて、それはとても闘龍門的と言いますか、ウルティモ・ドラゴン校長の教えに対し実に的確かつ不可思議なプロレスラーになったのではないかなと思います
私の好きな先輩は、そういう不思議な職人レスラーでもあります
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