不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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だいすき竜ヶ岩洞

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静岡県に竜ヶ岩洞(りゅうがしどう)という洞窟がある。
デカいというか広いというか凄いというか、愛知県でも東三河あたりに住んでいるひとには結構おなじみの場所である。
静岡県浜松市浜名区引佐町、というところにあって、東西に広い静岡県の中でも西側の山の中である。ざっくりいうと、地図で見れば浜名湖のやや右上あたり。
新東名の浜松いなさジャンクションから257号線で南下すればすぐ。
私の住む豊橋からだと、ドライブがてら浜名湖を回って舘山寺から上がってきたり三ヶ日から向かったり、鳳来寺山の方から来たりと色々だ。
そして私は子供の頃から、この竜ヶ岩洞が好きで今も年に数回ほど訪れている。

祖父母がお出かけ好きで私を可愛がってくれていたから、色んなところに連れてってくれた。その古い記憶の中に竜ヶ岩洞がぽっかりと口を開けている。
鍾乳石のように積もった思い出を辿ってみると、洞窟ではしゃいだり外にある岩石園の展示に飛び乗って怒られたり、売店の2階でご飯食べたり、マテリアでアイス食べたりと色々ある。
何しろ30年以上前の記憶だから、もう時期なんかゴチャゴチャだけれど。

竜ヶ岩洞さんのHP(アドレスがDoukutu.co.jpなのスゲーいいと思う)によればオープンしたのが1983年。私が生まれたのが1986年だから、物心ついた時まだオープンして数年だったことになる。連れてってもらうのが楽しみだった。
けど竜ヶ岩洞だけじゃなくて、舘山寺とか三ヶ日に行くついでに、和哉も来るから竜ヶ岩洞へ…って感じだったと思う。

小学校の頃までは、そんなふうに遊びに行っていた場所だった。
それから暫く足が遠のいていたのだけれど、自分でバイクやクルマを駆るようになって、また行くようになった。2008年くらいからかな?
ちょっと走って竜ヶ岩洞行って、マテリアでジェラート食べて帰る。
結構お手軽で朝から出れば昼過ぎには家に帰れるコースだ。
一昨年に転職するまでは夜勤明けにドライブして立ち寄ったりもしていた。
このところで最後に行ったのは繁忙期に入る前、2024年の11月。前の職場からのお友達Oさんと遠鉄さぎの宮駅近くまでご飯食べに行って、そこからぐるーっと回って飛龍大橋という藤波辰爾さんみたいな橋を渡って行ったんだった。
洞窟を見て歩いてリフレッシュするのも勿論、飲み物やデザートもあって、お手洗いもあるからドライブの〆にも最適というわけだ。

さっきから簡単に洞窟と書いているけど正確には鍾乳洞だ。
手前の券売所で入場券を買って、入口から足を踏み入れるとすぐに空気がヒンヤリと変わる。もうそこは鍾乳洞で、壁や地面がうっすら濡れている。この壁の水分にもきっと鍾乳石の元が含まれているのだろう。

子供の頃にはあまり記憶になかったけど、最近は各所にカラフルなライトが設置されている。ミステリアス・ケイビング・リゾートと銘打っているだけあって神秘的な演出にも一役買っているが、それ以上に普通に足元が悪いのである程度は明かりが必要なんだと思う。
前はわざとらしく感じたこともあったけど、今となっては必要な措置でもあるんだろうなと…私もトシを取ったのかも知れない。

洞内は狭かったり暗かったり天井も低かったりするが基本的に一本道で、その周りを縦横無尽に鍾乳石、横道が彩っている。中には誰が名付けたかワニの岩、十六羅漢、仁王門などタイトルの付いているものや、ちょっと脇に逸れて潜って戻れる場所なんかもある。
単なる洞窟ではなく、飽きの来ない作りになっているのが凄い。それも、最初は殆ど人力で掘り始めた天然の洞窟だと聞いてまた驚きである。
これだけCGもARも発達し、VRで何でも作れて見れて、最新技術の遊園地や万博だってガンガンやってる時代に、それとは真逆の概念のど真ん中を掘り進む、天然の鍾乳洞という観光名所・竜ヶ岩洞。
その白眉と言えるのが、洞窟の最奥にある落差30mを誇る「黄金の大滝」である。
洞窟の中に滔々と水が流れてるのだって充分ファンタジーだが、これはもう紛うことなきモノホンの滝である。

ピエールでもレンタローでもなく、ザーっとド迫力で流れ続ける滝である。
ゴールデン・フロウジョンだ。緑色にライトアップしたらエメラルド・フロウジョンになるだろうか。

私が好きなのは、この大滝もさることながら、もうちょい先の「鳳凰の間」である。これも凄いぞ。溶けて固まった鍾乳石がそこかしこに広がり、屹立したり垂れ下がる鍾乳石も無数にある。
黄金の大滝が無かったら確実にココが一番の売り物になっていたであろう空間だと思う。
内部には看板などで注意書きや説明があるので、目を通しておくとちょっと洞窟の成り立ちや生き物に詳しくなれる。ただ書いてあるとおり滑りやすい場所や、大滝などには階段もあるし当然びしょ濡れなので足元には気をつけたほうがいい。

さて、鍾乳洞を抜けると出口の前に資料館がある。決して広くはないスペースに鍾乳洞の成り立ちや竜ヶ岩洞が現在の観光名所になるまでの足跡、それに様々な鉱物や洞窟生物の展示が沢山あるのだが、たった今まで洞窟を歩いてきたタイミングで触れられるのがとてもユニークだし、普段は地面の下にある世界が妙に身近に感じられる気がする。
ものすごい小さくて真っ白な生き物が、あの洞窟の奥深く……ニンゲンじゃ入れないようなところでカサコソ逞しく行きているのだと思うと、やっぱり単なる岩石と水のある場所じゃなく、これもひとつの自然の結晶なのだなと思う。大事にしなくちゃな。

で、出口の売店でお菓子や飲み物を買うもよし(コンパクトながら中身が濃い鉱物図鑑を前に買った。面白いぞ)、外のお土産屋さん八角堂で焼きたてのお団子や五平餅、浜松餃子などを食べるもよし。ホンモノの化石や地域の名産品、お酒もある。
奥には名物ジェラートのマテリアが控えていて、ここのジェラートが絶品。正直に言うと洞窟に入らなくてもコレだけ食べに来たこともある。
たまに味が変わっているので、行ってみてのお楽しみ。私が好きなのはホワイトクリームと、ご統治のドラマにちなんだ「おんな城酒(じょうしゅ)」というもの。お豆腐と甘酒を使ったもので、勿論お豆腐は地元・都田(みやこだ)のお店のを使っているそうだ。
くろごまきなこも美味しいぞ。

あと今でもあるのかな、古代のチーズを再現したという「蘇」が美味しかった。
これがラインナップされていると必ず注文するぐらい好き。
牛乳を煮詰めて出来た膜を重ねて重ねて作ったもので、まあまあクセの強い食べ物なのだが時の醍醐天皇が大好物だったことから〝醍醐味〟って言葉が出来た。
って、むかし公文式で読んだ気がする。おじいちゃんから聞いたのかも知れない。

祖父母との思い出の場所であり、そろそろ半世紀近く変わらず営業してくれている観光名所であり。
お店や様子は変わっても、洞窟は悠久の時の流れのなかにずっとあって。
その間にも鍾乳石は伸びている。
1cm伸びるのに100年かかる、と言われているが、私が通いだして35年くらいは経っただろう。ひとつぐらい、ちょっと大きくなった鍾乳石があるんじゃないかな。
それを探しに、そしてまたいつか確かめるために、また近いうち訪ねてみたい。

だいすき竜ヶ岩洞。
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